第54話

🌅夜明け前の静けさ。

ほんのりと朝焼けに染まる街並み。

その中で、ひとつの配信通知が点灯する――



---


📡 【LIVE】未明の大劇場 第二章 -開幕前- 配信中


画面が映し出すのは、どこか見覚えのある場所。

古びたベンチ、公園脇の小さな掲示板。

後ろにはまだ開店前のコンビニの灯り。


そう、そこは──

彼が初めて配信ボタンを押した、始まりの場所だった。



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🎤主人公(少し照れたようにカメラを見ながら)


「……えーっと、どうも……あー、じゃなかったな……」


「……みんな、おはよう。

 今日は、ちょっとだけ特別な配信にさせてくれ。」


静かに、穏やかに、でもどこか熱を帯びて。


「ここが、俺が“はじめて”配信した場所。

 右も左も分からなくてさ、

 画面の向こうに誰がいるかも分からなくて、

 でも……“何かを伝えたい”って思って、ここで喋ったんだよな。」



---


📜彼は静かに語りはじめる。

そして、ゆっくりと手元のメモを広げる。


「今日は……“本気のありがとう”を言わせてほしい。」



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📝名前は出さずとも、心を込めた言葉が続く。


「初配信のときから、ずっと俺の配信に来てくれたあんた。

 誰よりも早くコメントして、どんなときも見てくれてた。」


「切り抜き動画を、最初の頃からずっと作ってくれたあんた。

 再生数が伸びなくても、俺の奇行の良さを信じてくれた。」


「途中から“ツッコミ担当”って言われてたあんた。

 毎回、笑わせてくれたし、俺の心の支えだった。」


「他にも、途中から来てくれたみんなも、

 一回でも見に来てくれたみんなも……ありがとう。」



---


🌟そして、彼は立ち上がる。


懐かしい、でも少し照れた顔で、

初配信とまったく同じ挨拶をする。


「えーっと……どうも、はじめまして! かな?」


「俺は、奇行の主人公……じゃなかった、

 なんか、ちょっと変なことするだけのやつだけど……」


「見てくれてありがとう。これから、よろしくな!」



---


📢コメント欄:


「懐かしすぎるwww」

「泣いた」

「初心に帰るってこういうことか…」

「切り抜きリスナー準備完了」

「このタイミングでこの配信はズルい…最高だわ」



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🎭そして、主人公はカメラに向かって一礼し、宣言する。


「それじゃ、準備は整った。

 いくぞ、俺たちの『未明の大劇場 第二章』へ!」


🌟画面にフェードインする一言。


> 「本気でやるから、奇行になるんだよ。」




──いよいよ幕が開く。

未明の大劇場 第二章 開幕。




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