第17話
---
『配信者、ダンジョン突入中。【コメントで攻略】』
「変わらない歩み、変わっていく景色」
---
今回は特別な演出もなく、冒頭からシンプルに配信が始まる。
---
主人公:「今日もひとりダンジョン攻略。モフ蔵もリス太郎もウサギもおやすみです」
リュックを背負い、ヒノキ棒を担いでダンジョンへ向かう。
---
◆ダンジョン名:《静寂の裂谷》
深く刻まれた谷。風が鳴くような、誰もいない空間。
戦闘も罠も少なく、静かに歩き、静かに敵を倒し、
静かに前に進む──
---
> 「なんか今日は落ち着くな」
「こういう回も必要」
「コメントも減ってて草だけど好きだわ」
---
しかし、配信終了間際まで登録者数は4人しか増えない。
---
画面端に控えめに表示される:
📉 登録者:+4人
収益:安定
---
それを見て、主人公は少しだけ笑う。
「……まあ、そういう日もあるさ」
「配信って、ずーっと右肩上がりなわけないからな」
「おれ、別にバズりたくてやってるわけじゃないし──」
少しだけ視線を落とすが、すぐに前を向いて続ける。
「収益はあるし、飯は食える。
それだけで、十分やれてる。
それにな……」
---
カメラ目線で、ゆっくりと言葉を紡ぐ。
「いつも見てくれてる、コメントくれる、切り抜いてくれる──
お前らのおかげでここまで来れたよ。
2人でも、4人でも、100人でも、
俺の配信、見てくれる人がいる限り続けるからさ。ありがとうな。」
---
一瞬だけ、コメントが止まる。
画面の向こうで、見ていた誰もが言葉を失った。
---
> 「泣いた」
「まって、それ普通にグッとくるんだが……」
「数字だけじゃないって言えるの、かっこよすぎ」
---
【配信終了後】
──それから数時間後。
一人の切り抜きリスナーが、このラスト数分を編集して動画を投稿。
タイトルは:
『数字が伸びなくても、感謝だけは伝える男の背中』
──「お前らのおかげでここまで来れたよ」
---
この動画が、静かに、そして確実にバズる。
コメント欄にはリスナーや初見の声が集まり、
「本物の配信者がいた」
「推せる」
「これは伸びてほしい」
---
【その日、夜中の登録者数】
📈+30人増加(合計:2,198人)
📈動画再生数:2.8万
📈推定収益:微増(でもそれでいい)
---
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます