第22話 炎を求めて
第二層の探索を始めてから三日目。
第一層よりも一つのフロアが広く、いまだに次のフロアへの道へ見つかっていない。岩山の山道を歩き探索している。
「お、また宝だ」
岩山の山肌の変色した場所を見つけ、そこを軽く押すと岩が外れて中からアイテムが出てきた。この宝箱?にも慣れてきた。
出てきたのは
[落石のクリスタル]
使用すると狙った場所に岩を落とす魔法を発動する。
命中した岩の分だけ経験値を入手する。
お、こういうアイテムもあるんだ。
俺は武器で物理攻撃しかできないけど、魔法っぽいこともアイテムでできるのはいいねぇ。
「それで、『命中した岩の分だけ経験値を入手する』。これは多分Eの能力で追加された経験値能力だよな。文面的には、複数の岩が落ちてくるんだろうな」
ダメージを与えてさらに経験値までもらえるなんて最高か?
早く使ってみたいけど、どうせなら経験値も多くもらいたいし、大きいモンスターが出てくるまで待とう。体が大きければ当たる岩の数も多くなるからな。
二層にくると、一層では見なかったアイテムが手に入って上がるな。
本当に新アイテムは色々と手に入り、その後の探索でも。
[スタミナポーション]
一定時間中に消費したスタミナに応じて経験値が増える。
[ライフポーション改]
飲むと経験値がさらに増える。
[アースハンマー]
モンスターを倒すと経験値+100
など見つけることが出来て気分はウキウキだ。
ダンジョン探索で一番楽しいのって、アイテム見つけた時だよな。それが新規アイテムならなお最高だ。
しかし……。
肝心の炎関連のアイテムが見つからない。
炎によって攻撃すると経験値が入手できる[炎帝の剣]を活用するアイテムがあるはずなんだよ。ないのにそんな条件つくわけがないから。
装備してる武器にエンチャントファイアする松脂とか、そんなアイテムが。
もっと探索しなきゃだめかなー……ん? あれは?
山から突き出た隘路の先に大理石の台座があった。
一層から二層へと移動した時に使ったものと同じで、白い霧が立ち上っているところも同じだ。
霧に入ったらまた別な場所へ移動しそうだな。
同じパターンなら先の階層に進むってことだが……。
「行ってみるか。この階のモンスターには苦戦してないから、一つ先に進んでも瞬殺されるってことはないだろう! ……多分!」
俺は霧の中に足を踏み入れた。
景色が一変する。
さっきまで山の上にいたのに、今いるのは谷の底。
頂上の見えない急峻な崖に挟まれた谷底の道に転移していた。
「山の上が二層の一階で、山の下が二層の二階、ってことか」
両サイドの崖はさっきの岩山と同じ色で同じようにごつごつしている。雰囲気似てるし、あの山の下がここなのかな。
しかし上とは違って日の光が届かないし、地面には苔やシダがたくさん生えてるし、だいぶおどろおどろしい雰囲気だ。こういうところにはおどろおどろしいモンスターがいると決まってるから、気を引き締めて行こう。
しばらく歩いて行くが、やはり同じ二層ということでダンジョンの基本構造は同じような感じだった。
深くえぐれて山の内側に入っていくような隘路や、谷が二股に分岐したり、上り坂や下り坂があったり、時折広い場所があったりとしている。
そして同じと言えば、
「お、宝発見」
同じように岩壁に色の違う箇所があり、そこを押すと岩が外れてアイテムが出てきた。
[爆炎のクリスタル]×2
・起動すると広範囲に爆炎を巻き起こす。
・巻き込んだ対象の数に応じて経験値を入手する。
きっ、たああああ!
炎! 炎です! 燃える炎!
ついに待ち望んでいた炎のアイテムを手に入れた。
以前手に入れた武器
[炎帝の剣]
・炎による攻撃を強化する。
・装備者が炎による攻撃をしたとき、【経験値を入手する】。
と完璧なシナジーがある。
このアイテムを強化して、さらに経験値も手に入る。おそらくはたっぷりと。
これはやってみるしかないだろう。
そのためのちょうどいい相手を探す……前に、今の経験値を確認しとかないとな。どれだけ増えるか比較できないし。
───────────────────
[名前]
[レベル] 15
NextEXP 40910 / 60000
[所持スキル]
・耐久力C ・自然治癒E ・持久力D sp2
[クラス] E
[装備]
・炎帝の剣
・鉄の指輪
───────────────────
二層のモンスターは経験値をかなりもっているのでだいぶ稼げた。
だがレベルアップに必要な経験値もかなりインフレしているので、まだレベル16には届いていない。
さて、ここからどれだけ経験値を稼げるか…………いた。
ステータスを確認していると、こちらに向かってさかさかと走ってくる影が見えた。
近づきわかったその正体は――大型で紫色の不健康そうなハムスターのモンスター。
ハムスターとは言ったけど、体型がハムっぽいだけでサイズは豆柴くらいあり、サーベルタイガーのような牙をむき出しにしていて、パリパリと音を立てている。
それが三匹でやってきたのだ。
さて、それじゃあ稼がせてもらおうか。
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