【第11話】守護戦争イベント、開幕!



 ついに“守護戦争イベント”の朝がやってきた。


 現実世界の遼も、エリスも、レオンも、それぞれの場所で胸の高鳴りを抑えきれない。

 遼は朝食をとりながらスマホのギルドチャットを何度も確認し、

 エリスは鏡の前で「今日も絶対がんばる」と小さく気合を入れる。

 レオンは学校の帰り道、校門の前でふと空を見上げていた。


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 夜。

 《イモータル・ワールド・オンライン》に、全ギルドのメンバーたちが続々と集結していく。

 広場には、色とりどりの装備や個性的なアバターが並び、どこかお祭りのような華やかさと緊張感が満ちていた。


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 ギルド「架け橋」も、リュカ(遼)、エリス、レオンを中心に、仲間たちが続々と集まる。


 「みんな!今日は絶対に勝つぞ!」

 リュカの号令に、チャットが一気に盛り上がった。


 『リーダー、頼りにしてる!』

 『負けない!』

 『エリスさん、ヒール頼むね!』

 『レオン、守りは任せた!』


 普段は控えめなメンバーまでもが、今日は頼もしく声を上げている。


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 イベント開始直前、アリアが全プレイヤーにアナウンスを送る。


 「守護戦争イベント、まもなく開始です。

 各ギルドは自分たちの“聖域”を守りながら、他ギルドの“聖域”を制圧してください。

 勝利条件は、最後まで自分たちの聖域を守り抜くことです――健闘を祈ります!」


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 開始の合図と同時に、フィールドが激しく変化した。

 大地がせり上がり、空には幻の守護獣たちが舞い、各ギルドの本拠地が光の柱に包まれる。


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 リュカはギルドの前線で指示を飛ばした。


 「守りはレオン班、攻めは俺とエリス班で行こう!」

 「了解!」

 「任せてください!」


 戦場では、仲間たちが連携し、必死で敵ギルドの波を押し返す。


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 エリスは回復と支援を切らさず、仲間をサポートする。

 レオンは仲間の盾となって最前線で敵を食い止める。

 リュカは状況を的確に判断し、攻撃と指示を繰り返した。


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 だが、戦いが激しさを増すにつれて、少しずつ仲間たちの疲労が見え始めた。


 強敵ギルド「ルシファー」の精鋭が、架け橋の聖域に迫ってくる――


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 「ここは絶対、守り切る!」

 レオンが叫ぶ。


 「ヒール間に合わない、でも……あきらめないで!」

 エリスも必死で仲間を回復する。


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 チャットには「もうだめかも…」という不安の声も混ざり始める。


 リュカは一度深呼吸してから、全体チャットに力強く呼びかけた。


 『絶対に負けない! 一人じゃない、みんなでここまで来た!最後まで一緒に戦おう!』


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 その声に、仲間たちの士気が一気に高まる。


 『リーダーがいるなら大丈夫!』

 『絶対勝とう!』

 『負けないで…!』


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 熾烈な防衛戦。

 だが、エリスの支援魔法が奇跡のタイミングで決まり、レオンのカウンター攻撃が「ルシファー」の精鋭を押し返す!


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 リュカも切り札の「神技スキル」を解放し、一気に前線を押し上げる。


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 残り時間、あとわずか。

 全員がギルドのために声を掛け合い、助け合い、守り切ることだけに集中する。


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 そしてついに、イベント終了の合図と共に「架け橋ギルド・聖域防衛成功!」のテロップがフィールドに表示された――!


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 歓声と祝福のチャットが画面いっぱいに溢れた。


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 リュカ、エリス、レオン――

 仲間たちと共に勝ち取った初めての大勝利だった。


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 イベント終了後、ギルド「架け橋」の本拠地には、

 仲間たちの祝福メッセージと喜びのエモートが溢れていた。


 『やったあ!』

 『最高のチームだよ!』

 『リーダー、感動した!』


 エリスは画面の向こうで、思わず涙ぐみながらメッセージを打った。

 『みんながいたから、勝てました。本当にありがとう!』


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 レオンも、こっそりガッツポーズをしながら『俺も、仲間でよかった』と素直に書き込む。


 リュカは「みんな、本当にありがとう。これからも一緒に強くなろう!」と送り、

 チャットは拍手とスタンプで埋め尽くされた。


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 現実世界の遼は、ベッドに寝転びながら天井を見上げた。

 「ほんと、夢みたいだな……」

 そのまま妹の真琴に「今日はどうだった?」と聞かれ、

 「最高だった!みんなで頑張ったら勝てたんだ」と素直に笑った。


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 エリスも、母親に「最近、本当に楽しそうだね」と声をかけられ、

 「うん、すごく素敵な仲間ができたの」と嬉しそうに返した。


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 夜遅く、ギルドチャットに再びアリアが現れる。


 「架け橋ギルド、守護戦争イベント優勝おめでとうございます。

 優勝ギルドには“新世界解放権”が授与されます。

 これから先、さらに大きな冒険と困難が待ち受けています。

 皆さんの絆と勇気に期待しています――」


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 リュカ、エリス、レオンはそれぞれの画面越しに、

 (またみんなで進もう。きっと、どんな未来も仲間となら怖くない)

 そんな思いを胸に、次のステージへと目を向ける。


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 現実と仮想が交差する青春の日々は、まだまだ続く――。


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 翌朝、遼は大学へ向かう途中、ふと周囲の景色がやけに鮮やかに見えた。

 (なんだか、どんな一日でも前向きに挑める気がする――)


 エリスは教室で友達と明るく笑い合い、レオンも校庭で仲間とスポーツに汗を流していた。


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 昼休み、遼はタクと一緒にランチを取りながら、

 「この前のイベント、めちゃくちゃ盛り上がったんだ」と熱く語る。

 タクは「遼、ホントいい顔するようになったな」とからかいながらも、嬉しそうにうなずいた。


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 家に帰ると、真琴が「今日の晩ご飯は私が作る!」と宣言。

 家族の団らんが、今までより一段と温かいものに感じられた。


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 そして夜、画面の向こうでリュカ、エリス、レオンは、新たな世界への扉が開く瞬間を見つめていた。


 「よし、次もみんなで冒険しよう!」


 チャットにはまた、仲間たちの笑顔が広がっていく――。


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