枯れオバサン異世界で花咲かせる~転生したら男の子でした~
姫野 りぉ
第一章 異世界転生
桜庭美代子はオバサンです!
「もしもしミヨちゃんなの?帰って来るのかい?」
「うん┅なんか疲れちゃってね┅年も年だし・・・婆ちゃん心配だからねぇ~」
「わたしゃまだ元気だから良いよ
それよりミヨちゃんが心配だけどね?大丈夫なのかい?」
「アハハ!まぁ良いから、明日こっちを出るから
婆ちゃん!芋の煮物を沢山作って待っててね!ね!アハハ♪」
「気をつけて来るんだよ、最近は物騒な事が多いからね?」
「大丈夫だよぉ、私は年だし見た目もそんなに良く無いからね┅
こんなオバサンを襲う奴はいないよ、じゃあ業者さん来たから」
「ハイハイ♪待ってるよ」
桜庭美代子37歳独身アラサァ~♪
お肌も曲がりくねって角も無いわよ!でも人は「お若いですねぇ~」とか言って馬鹿にするけどね
見た目が地味で髪も長く顔を隠してる私はバスト80のAカップかな?最近Bカップくらいは・・・
所謂ちぃパイの幼児体型なのよ!
痩せてるとも言うわ!ふん!
152cmって普通よね?顔も普通で性格も普通よ!たぶん・・・
趣味は動物喫茶周りよ♪猫ちゃんカフェとかずっと入り浸り♪
あの澄ました仕草が好きなのぉ~
それにワンちゃんカフェも健気な好き好き攻撃がたまらん!
後は雑草漁りよ!その辺の雑草の中には美味しいのが沢山!
私はノビルが一番好きだけど最近は河原の土手とかじゃ無いと見つからないのよねぇ
休みの日はそんな事して1日が終わるかな┅┅
結婚?ナイナイ!だって恋愛経験なんて皆無だし駄目なんだ私┅
中学高校は男女共学だったけど┅┅大学は女子大で合コンとかお付き合いで行ったりしたけどねぇ
「趣味は?」
「はぁ┅雑草採取です」
「雑草?また変わってるね?」
「美味しいんですよ?天婦羅とかお浸しとか」
「た、食べる!雑草ですよね?」
「ハイ♪」
「他には?」
「う~ん猫カフェとかワンちゃんカフェとか好きですよ」
「あれ可愛いですよね♪」
「ええ♪猫ちゃんのお腹とか吸うと幸せです!ワンちゃんの口の中を検査したり耳掃除も楽しいですよねぇ~♪」
「┅┅そうですか┅」
まぁ引くわね┅それに私は心霊スポットとか幽霊屋敷とかなんとも思わないから夏場は苦手だよ
過ごした田舎はそんな所ばかりだし幽霊や妖怪は身近だったからね
「美代子┅このトンネルは幽霊が出るらしいわよ┅早く行きましょ!ね!」
「幽霊なんて出ないよ、出ても恐く無いから、あの子達は可哀想に三途の川を渡れなかっただけなの、余程未練があるのかウロウロするだけなの
悪さとかしないから平気よ♪」
「平気って┅出たら嫌でしょ?」
「出たらってその辺に沢山出てるじゃない、それより温泉よ!
湯上がりの一杯がたまらんのよ!行くよぉ!」
「出てる┅┅イヤァ!早く!美代子!あれ!なんか冷たいのが・・・キャア!」
「もぅ!ハイハイ!あんた達は近くに来ないの!来たら消すわよ!良い!私は温泉でゆっくりしたいからね!邪魔しないで!」
手を振ると沢山の幽霊達が逃げる様に道を開ける
そうなのよ!お婆ちゃんは村の巫女様なの!
だから幽霊とか浄化する呪文を教えられて育ったのよ♪
トンネルで死んだ人達の霊は大した事が無くてその霊を喰らう悪霊が面倒なだけ
そんなのを浄化するのがお婆ちゃんの仕事だったりしてね?
お爺ちゃんは神主さんで多くの神社を世話してたの
だから幽霊とか妖怪はその辺に沢山いたんだ
そんな変な女の子として育ったから友達とか中々ね┅┅
婆ちゃんが育てたワンちゃんのジロウや勝手に住みついた猫のミーちゃんとかと遊ぶ毎日だったなぁ~
「桜庭君!これは特別に出る退職金だ、普通はこんなに出ないが君は長年経理で頑張ってくれた
不正やネコババとか見つけてくれたのも君だ
社長も感謝してる、受け取ってくれ」
何が特別よ!これは口止め料でしょうが!
部長の横領とか専務の資材横流しに社長の愛人に架空給与払いとか
何をやってるのよ!
愛人なら自腹で囲いなさいよ!
奥さんにバラすわよ!
あらまぁまぁ!こんなに?300万の上乗せ?ふん!良いわよ!黙っておくわよ!こんな会社その内に潰れるでしょうからね!
社長の馬鹿息子が後を継ぐんでしょ?
女しか興味無いボンボンに務まる訳無いっしょ!
「桜庭ババア!やっと辞めんのか!ふん!俺が社長になったらお前は倉庫へ飛ばす予定だったが手間が省けた
精々ババアの余生を楽しむんだな!へっ!」
「これはこれはご丁寧に♪どこぞの2代目ボンボン様には世の中が見えないのでしょうかね?
尻軽女の尻ばかり見てるから業績とか分からないでしょう
新人のサヨちゃんはちゃんと恋人がいますから尻を触らないで下さいね?
アナタには最愛のニューハーフちゃんがいますでしょ?ウフフ♪」
「な、なんだと!キララがニューハーフだと!馬鹿な事を言うな!このババア!言って良い事と悪い事を知らないのか!」
「あら?キララちゃんはれっきとしたニューハーフでしょ?
確か倉田良一君!彼は優しい《男性》だから可愛いがってあげてね♪偉大な社長さん♪アハハ!
じゃあねぇ~バイバイ♪」
ふん!ホント馬鹿なんだから、騙されてるとも知らず湯水の様に金を貢いで会社の金に手をつけるなんて
ああ~こんな世の中もう良いかな
なんか疲れたわ・・・
『ニュースをお伝えします
東京発長野行き高速バスが中央高速で横転 現在通行止めとなってます
事故の詳細はまだ入っておりませんが死者数名と怪我人が多数との事です
詳しい情報が入りましたら改めてお伝え致します』
新宿発長野行き高速バスに乗った私はこうして死んじゃったの
ついてないと言うかやっぱりと言うか・・・
私の人生ってなんだったのかしら?
浮いた話も無くて親の温もりとか知らないし┅┅
爺ちゃんは小さい時から武道だ!とか言って剣道や弓道を仕込んで
毎日アザだらけ┅┅
婆ちゃんは雑草採取とか煎じ薬とか役に立つとか言って山に連れて行ったしね
やっぱ都会の暮らしは肌に合わなくていつも雑音ばかり
耳が良すぎてうるさい言ったらありゃしない
目も良くて汚いのを良く見てた
そして年を取ってアラサーに成ればなんか少しは良い事が有るんじゃないかってね
大人の女みたいな?出来る女子とか?ふん!女の消費期限は25歳!
こんなオバサンは子供からババアと呼ばれる始末
なんで男じゃ無かったのかな?
男なら37歳でも恥ずかしく無いわよね?
それに胸が小さいだとか顔が普通とか・・・
この経験値高目のキャリア女子の私が男なら出来る奴とかじゃ無いの?
不細工な男でも経済力と才覚で美女を従えてるでしょ?
どんなに不細工で禿げでチンチクリンでもよ!
それは不公平だわ!
ブスでデブでもキャリアウーマンならと思うけど無理なのよ┅
キャリアウーマンってのは美女が最低条件よ!
それにおっぱいドーン!でお尻はキュート!
色気がキャリアを引き立てるのよ!
男とは偉い違いなの!
容姿端麗で賢く控えめ・・・
ふん!何が大和撫子よ!カマトトじゃない!(古!死語!)
だから私は女より男に生まれるべきだったのかしら?
でもこの人生は嫌いじゃなかったわよ!
女の子って悪くないもの・・・
享年38歳 桜庭美代子は死んだ
両親は彼女が8歳の時に事故で亡くなり母方の祖父母に引き取られた
長野県の田舎で当時はまだ村だった、そこで育った彼女は厳しい祖父から武芸を習い祖母からは野山の恵みを教えられた
そして神主と巫女を生業としてた祖父母からその技も習いこの世の異能を知る
引き取られた8歳から祖父は鍛えに鍛える
朝からの走り込みは日課となり柔道、剣道、合気道、弓道を習った
彼女は弓道と合気道が好きで中学では剣道部へ入ったが日頃は弓を持って歩く変な女の子
弓道の弓とは違い爺ちゃん手製の弓で背中に背負える物だ
合気道は力を使わないから好きになった程度だが好きこそ物の上手成れでは無いがメキメキと技を覚え段持ちに
頭は良くて物覚えが速く記憶力が良いから英語は得意だった
巫女のお婆ちゃんから古典を習い源氏物語はエロ本よ!と言ってた子供時代
ワンパク大将と言うかお転婆娘でその辺のやんちゃ小僧をコテンパンに叩きのめし
曲がった事が嫌いで嘘付きを蹴飛ばす事が普通だと思ってる
昼間から酔っ払って騒ぐ大人に容赦なく向かって問題を起こす事も度々と┅┅
そんな子が女子大へ入ったから価値観の違いに悩まされる事に
挙げ句にお姉様と慕われる
大学の不埒な男性職員を血祭りに挙げた時は悲惨だった
今やセクハラ職員は普通に存在するこの頃
ましてや若い女子大生だムラムラするのも当然かも知れない
しかし襲ったら駄目でしょ?
強姦とか強要とかマジ無理!
美代子は性意識が飛んでると言うか落っことしてる?
祖父母に育てられてテレビ無しの生活
思春期の性欲も厳しい武芸と習い事ばかりで無し!
男と女の事を知らないにも酷かった・・・好きイコールエッチとか無い
はぁ~キスで子供が出来るかも?
なんて何時の時代なの!
そんな感じの女の子として育ち女子大生として都会を過ごした
スマホも持たずテレビも見ないから情報が変な子?となる
何故か?ガキ大将として君臨したお陰で同年代の女の子とは親密な関係は持てなかったから?
学生の時は部活ばかりで帰れば鍛えられ習い事も
朝は早くからマラソンと鍛練、余計な知識は入らなかった
だから時代錯誤の性格と知識しか持てない変な女の子に育ったようだ
37歳迄恋愛経験無しで好きな事しかして来なかった美代子は優秀だが偏屈極まりない女となる
そして経理担当となった日にゃもう健全な会社を目指して一円の違いも許さない鬼経理ババアよ
そして事故で死んだ・・・
『ふぅ~また厄介なのが来たわね この子誰が担当なのよ!』
『え~この子はそのぉ~ここへ来るべき魂では有りませんね┅』
『はぁ?だから橋のたもとでボ~としてるのね・・・
ちょっと!川は渡れないのにどうして渡ろうとするのよ!』
死後の世界では三途の川のキップが渡され橋を通る
しかし美代子にはそのキップが無い
無いが渡る気満々!おい!
「なによ!橋を渡るのは当然でしょ!
ボヤボヤしてたら鬼に連れて行かれるじゃ無いの!
私は嫌よ!なんで閻魔さんの所に!
それに幽霊なんてならないの!」
『そのぉアレは間違いで来たんだよな?』
『はぁ・・・アレは100歳以上生きる予定の魂でして┅まだコチラへ来る筈では無いのです
それがどうして?』
『ふむ┅┅来たからには仕方ないのぉ では向こうの世界へ飛ばしてしまうかのぉ?』
『良いのですか?勝手に 向こうの方々も困るのでは?』
『ヨイヨイ 少しは困らせたら良い! それにアレはチト面白い魂なのだ ククク 見ておれちょいと愉快な事にするからの?フフフ♪』
あれ?なんで?なのかな?
こ、これは転生かしら?
でもぉ?はぁ~困ったわね・・・
生まれ変わるの?かな?・・・
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
新作です♪
前からずっと思ってた事を書いてみました!
面白い!と思ったら評価して下さい!星みっつ!なん~て・・・
ボチボチと投稿する予定なので宜しくお願いしますねぇ♪
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