第11話 そして世界は……
「ふあぁ~、面白かった」
大欠伸しながら両手を上げて背伸びする。
土曜日の夜から一気読みして、もう、日曜の朝だ。さすがに疲れた。
たった今俺は、超楽しみにしていたラノベ『転生したら五人姉妹の天使様が花嫁になっていた件』を読み終えたところだ。
「やっぱ、五つ子天使様のバトルフォーム最強だよなぁー。ぜってぇ、コスプレする奴増えちゃうぜ」
五人の美少女天使が描かれているジャケットを見る。
「やっぱ三女のミカちゃんが一番……って、あれ。おかしい。シーちゃんの方が気になる……。う~ん、俺って、ギャル子趣味だっけ? まっ、いっか、全員かわいいし」
テレビをつけて天気予報を確認。
7月6日、日曜日、大安。天気予報は晴れマーク。休日なんだから、出かけるか。
「あれっ? もう7月だっけ? おかしい……。まだ6月だったような気がする……。昨日が夏至じゃなかったっけ?」
昨日のことを思い出そうとするが、どういうわけか思い出せない。ドシャ降りの中、本屋まで走ったような記憶があるが、昔のことのような気がして変な違和感。
「まぁ、日曜日だし、会社休みだし、今日はゆっくりするか……」
お腹が空いているので、コンビニに行ってカップメンを買うことにした。
自宅の玄関を出て、コンビニに向かう。
どん!
急に後ろから誰かがぶつかってきた。
「いったぁーい!」
女の子の声。
後ろを振り向くと、ギャルの格好をした女の子が尻餅をついている。
「大丈夫?」
「だ、だいじょうーぶぃ!」
彼女は元気よくピースサインを作って立ち上がった。
ピンクのツインテギャル。よく見ると結構かわいい。
「スマホいじってて、つい……」
「ぶつかったってか」
「そうなの。ゴメンなさい」
おや、予想に反して素直に謝ってる。かわいいとこあんじゃん。
「ねぇ、ジュンちゃん! 今からデートしよぉーよ!」
「マ、マジっスか!?」
「ガチっス!」
「あれ? なんで俺の名前知ってんの?」
「カッコイぃーからに決まってんじゃん!」
「だよなぁー!」
俺は、そのピンクの服を着たギャル子ちゃんと意気投合し、そのまま二人で遊びに行くことにした。
§ § §
その日、五つ子天使たちは、それぞれの場所へと出向いていた。
あの真面目な野球少年のところに、影のお仕置きプログラマーのところに、良き夫、良き父であるアニメ制作監督のところに、20歳の人気美少女レイヤーのところにも。
もちろん、もっともっと沢山いる。人類を救済してくれた戦士たちが、命を投げ出して戦ってくれた英雄たちが。
全員の無事を確認するためには、しばらく日数が必要となるだろう。それでも、一人一人の無事を確認していきたい。
今日、こうして平和な世界が続いていることに感謝しながら。
転生したら五人姉妹の天使様が花嫁になっていた件 なんちゃってAI小説家 @socalled-ai-novelist
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
カクヨムを、もっと楽しもう
カクヨムにユーザー登録すると、この小説を他の読者へ★やレビューでおすすめできます。気になる小説や作者の更新チェックに便利なフォロー機能もお試しください。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。