コアラパトロール ー裁判編ー
oga太
第1話
「動物園の管理不行き届きで、我らけんさつ側は王様の追放を要求します!」
黒ひょうのエメルダの声が王宮のホールにこだましました。
ライオンの王様は、そんなばかな!と叫びました。
この裁判の様子をうかがう動物たちも、みな顔を見合わせ、ざわざわしています。
一体、なぜこんなことが始まってしまったのでしょうか?
ことの始まりは、昨日にさかのぼります。
6月30日(月)の深夜。
動物園の厨房で、料理をしていたパンダが倒れたと連絡を受け、救急チームのクマがたんかを持って現れました。
医務室でチンパンジーがパンダをけんさし、倒れた原因について、考えます。
パンダはベッドであおむけになって言いました。
「何だか頭がボーッとして、気づいたらこの部屋の天井が…」
「熱中症か、体調不良か、もしかしたら、さんけつかも?」
警察のクマたちが厨房内に立ち入って、そうさをしています。
誰かが、ガス臭いな、ということに気が付きました。
更にくまなくそうさした結果、厨房のガス管に小さな穴が空いていることを発見しました。
クマたちは急いでかんきをし、厨房を立ち入り禁止にします。
やはり、パンダは厨房の漏れ出たガスを吸い込んで、「さんけつ」になったようです。
さんけつとは、ガスを吸ってさんそが足りなくなると起こるげんしょうです。
頭が痛くなったり、さいあく、倒れてしまいます。
そして、騒ぎを聞きつけた黒ひょうが、これはこのままにしておけないぞ、と裁判を始め、王様をうったえたのです。
かくして、裁判が始まった王宮では、王様のべんご側にホワイトタイガーのリアムが立ち、王様の無実をうったえます。
「倒れたパンダは、まんせいてきな鼻づまりでした。もし、鼻づまりでなければ、臭いに気づいて逃げることもできたハズです!」
黒ひょうが、ここぞとばかりに声を張り上げ反論します。
「鼻が詰まっていても、ガス漏れが発生すれば、「ガス漏れ検知器」が作動する。それが働かなかったということは、点検をおこたっていたからに他ならない!」
黒ひょうは、そう言った点検は法律で義務づけられている、ということも付け加えた。
その事実に、見守っていた動物たちのざわめきがピークに達します。
そして、こづちが振り下ろされました。
カーン、とかわいた音がホールになりひびき、マンドリル裁判長が判決を言い渡します。
「法律いはんとみなし、王様をこの動物園から追放する!そして、時期国王として、黒ひょうエメルダをにんめいする!」
「おおせのままに…」
黒ひょうがおじぎをし、ライオンの王様は頭をかかえました。
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