第25話「王都と村の対立!? 独立か従属か、揺れるフェルネ村」

■“産業革命の村”が招いた波紋

「フェルネ村の産業計画は、王都にとって脅威になりかねません」


議会室でアリシアが静かに告げた。


フェルネ村が進めるMagica-Excelプロジェクト。

農業、物流、医療、教育にまで及ぶ魔法産業の導入は、王都の耳に届いていた。


王都の商業組合:「フェルネ村が物流の中心地になるのでは?」


王都の貴族連合:「税収が村に流れ、中央の権威が揺らぐのでは?」


そして――ついに、王都から公式書簡が届いた。


【王都からの通達】


フェルネ村は、その重要性に鑑み“帝都直轄管理下”に置かれる。

村の議会、自治権、Magica-Excelプロジェクトは凍結し、

王都より特使が赴任、行政を掌握するものとする。


「つまり、村を王都の“植民地”にするつもりですね」


ティナの声は冷たかった。


「……ここまで来て、これか」


レオン・ミナト。異世界領主歴1年と5か月。

今、最大の決断を迫られている。


■議会、二つに割れる

「王都の保護下に入るべきだ!」

「いや、独立して我らの道を行くべきだ!」


議会は二つに割れた。


従属派(王都直轄を支持)

理由①:王都の軍事力による防衛が受けられる


理由②:王都との交易が円滑化


理由③:反抗すれば制裁の恐れ


「フェルネ村だけで王都に対抗できる力はない」

「今は耐えて、時が来るのを待つべきだ」


独立派(自治権を守るべき)

理由①:Magica-Excelはフェルネ村の努力の結晶


理由②:王都に取り込まれれば自由が失われる


理由③:王都の“庇護”は、実質的な支配に過ぎない


「このままでは、我々が築いた村が消える!」

「自分たちの未来は自分たちで決めるべきだ!」


■Excel脳の出番

「みんな落ち着け。感情で争っても何も生まれない」


俺は議場中央に立ち、スクリーンを開いた。


【王都従属と独立の比較シミュレーション】


項目 王都従属 独立維持

経済自由度 ★☆☆☆☆ ★★★★★

安全保障 ★★★★★ ★★☆☆☆

技術流出リスク ★★★★☆ ★☆☆☆☆

交易コスト ★☆☆☆☆ ★★★★☆

村民満足度(推定) 65% 87%


「数値化すれば、見えなかったものが見えてくる」


「王都従属なら短期的な安定は得られるが、長期的には村の自主性が失われる」


「独立維持はリスクも大きい。しかし、それを乗り越えれば“本当の豊かさ”がある」


■村民総会、そして民意

議会だけでなく、村民全員を集めた総会が開かれた。


「王都に従えば安全は得られる。でも、自由は?」

「王都に逆らえば制裁もある。でも、ここは私たちの村だ!」


「あなたはどう思うの、レオン様?」


村人たちの視線が集まる。


■レオンの決断

「……俺は、フェルネ村の自由を守りたい」


「でも、戦争はしたくない。だから、王都に“対話のテーブル”を用意させる」


「フェルネ村は王都の属国じゃない。

 対等なパートナーとして手を組むべきだと――Excelで示す!」


■王都への提案

数日後、俺たちは王都に提案書を送った。


【フェルネ村提案書】

・王都との連携は歓迎

・しかし自治権は保持

・Magica-Excelの技術は“共同管理”

・王都には村の“持続可能な成長モデル”を提供


「これが受け入れられなければ、独立路線だ」


■ノートの記録

■フェルネ村独立計画(案)

・村防衛組織の強化(自警団→準軍事組織)

・貿易ルート多角化(王都依存率を50%以下に)

・食糧・資源の自給率向上


「王都と村が対等な関係になるまで、俺はExcelを握り続ける」


■夜、ティナの言葉

「レオン様。これが本当の意味での“Excelの使い道”なのかもしれませんね」


「データを通して未来を変える。

 異世界でそれができるのは、俺たちくらいだ」


二人で見上げた夜空には、王都の方角に光る一筋の流れ星。


その先に待つのは、対話か、それとも衝突か。

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