#9

彼女が風呂場から出てくる音がする。

『あ……やっちゃった………』と声が聞こえる。

「どうした?大丈夫?」と声をかける。

『あの……服を忘れてきました……』と言う彼女。

「あ…俺ので良ければ貸すよ…」と言うと『本当?取りに行ってもいい?』と返ってくる。

「あ……待って入口に置くから」と予備の着替えをカバンから出し、入口に置く。

『あ……言いにくいんだけど……下着も………』とドア越しに聞こえる。

「え?あ…………どこ?」と聞くと

『タンスの右上の引き出し…ど…どれでも良いから持ってきて』と言う。

「わ…分かった」と言い引き出しの前に立つ。

目を瞑りながら下着を掴む。

それを後ろ手にして持ちそのまま扉の前に置く。

脱衣場の扉を背にして彼女に声をかける。

「ど…どうぞ」

と言うと扉が開く音がして下着と俺のTシャツを回収していった。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る