音のないあなたに恋をする
蒼月 仁 #おかゆ探し
第1話
”音”ってなんだろう・・・
耳が聞こえるってどんな感覚なんだろう?
自分は、蒼月 仁は今までそんなことばかり考えて生きてきた。
耳が聞こえないというだけで、ただそれだけで独りぼっちになる。
そんな人生に嫌気がさして何度も・・・何度も命を投げ出そうとした・・・
でも、幸か不幸か・・・死のうとするたびに両親に止められた。
それから両親に「死なせてくれ」と伝えたら
、母は泣いて父は何も言わず部屋に入っていった。
ただ、学校にはどうにか通えていた。学校ではずっと本を読んでいたから家にいるよりかはずっと楽しかった。
ある朝、自分のクラスに転校生が入ってきた。
一瞬、「同じ人間だろうか」と思ってしまうほど美しい人だった。
彼女は”東〈あずま〉 凛花〈りんか〉といった。
彼女は茶色のポニーテールに制服姿がよく似合う人だった。
でも、俺はすぐに興味を失った。
”どうせみんなと同じように自分を馬鹿にするんだろう”初めから信じてなんかいなかった。
でも、彼女は他の奴らとは違った。
クラスの女子からやっと解放された彼女は他の男子そっちのけで僕の方に向かってきた。
驚いて思考が止まってしまった。
何やら急にスマホをいじりだしたかと思ったら、今度は画面を見せてきた。そこには”連絡先交換しよ!”と書いてあった。
はっとしたように俺はスマホを取り出してロインの画面を開いた。
そこからはもう流れ作業で、気が付いたら一人の友達になっていた。
途中でクラスの男子からの視線が俺に集まった気がした。
こんなことを言ってはあれだが、いつも自分を馬鹿にしていたであろう奴らを見返してやったような気になった。
「なぜ最初に自分のところに来たのだろう・・」と考えながらその日の学校は終わった。
帰り道に一人で歩いていると、肩をつつかれ振り返るとそこには、彼女が立っていた。
音のないあなたに恋をする 蒼月 仁 #おかゆ探し @20110306hakumai
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