【40,000PV突破御礼】古医術で診療所やってたら医術ギルドに潰されそうになり、闇バイト先が魔王軍で魔族たちに溺愛されてます(R15)
第20話 せんせぇ、泣きそうだった──サキュバスに背中からそっと抱きしめられて
第20話 せんせぇ、泣きそうだった──サキュバスに背中からそっと抱きしめられて
診療所の椅子に座ったまま、俺は動けなかった。
エリシアの「裏切り者」って言葉が頭を巡る。
俺は、人間を裏切った覚えはない。
魔族の側に立った覚えもない。
ただ、目の前の患者を治したかっただけ。
でも──それが“どっちつかず”なんだろうな。
医術ギルドに戻る気はない。
でも、軍医長って言われて、うなずくこともできなかった。
魔族を治して、人間を傷つける。
人間を救って、魔族を怒らせる。
結局、どっちの味方でもない。
ただ、どっちの敵にもなっただけか。
俺は──今、この世界に、立ってる意味があるのか?
なんで、今さらそんなことを言うんだ。
「……くそっ」
拳を握りしめる。
なにが正しくて、なにが間違いなんだ。
俺はただ、誰かを治したかっただけなのに──
そのとき、不意に背中からぬくもりがのしかかってきた。
「──わっ、ラナ!?」
「ん~♡ 背中が空いてたから埋めてみた♡」
耳元で、甘ったるい声が囁く。
抱きついてきた彼女の柔らかな胸が、背中に押し当てられる形になる。
……いや、これは完全にアウトだろ。
胸元に押し付けられるこの感触は──
もしかしなくても、あれだ。
思考が一気に吹き飛んだ。
首に巻き付けられた腕の温かさ、耳元の甘い息遣い、
そして背中に押し当てられた柔らかな感触──
全部が一斉に、思考をジャックしてくる。
「……っ、離れろ、バカ」
「やーだ♡ せんせぇがむっつり顔してるから、慰めてあげようと思ったのに~♡」
「どんな発想だよ……!」
でも、怒鳴れなかった。
背中にぴったりと張りつく温もりが、ひどく優しくて、苦しくて。
ほんの少しだけ、目を閉じる。
ラナの匂いがふわりと鼻先をかすめた。それは、いつもの魔力香よりずっと淡く、
優しい匂いだった。
「……せんせぇ、今、泣きそうだった」
「泣いてねぇ」
「……そっか。でも、泣いていいんだよ?」
言葉が、優しすぎた。
ぐっと奥歯を噛みしめる。こぼれそうになるものを、力づくで押し戻した。
「──ちょっと、行ってくる」
「え?」
「殴り込みだ」
「どこに?」
「ヴェレムのとこ」
ラナは、目をぱちくりとさせて。
そして、そっと背中から腕をほどいて──
「行ってらっしゃい♡ 帰ってきたら……またいっぱい抱きしめてあげる」
「……バカ」
扉を開けて、冷たい夜の空気に身を晒す。
足が自然と、怒りの熱で早まっていた。
「……レオナルト。来てくれるか?」
静寂を裂くように、空が鳴った。
黒銀の鱗が月明かりに煌めき、蒼翼の飛竜が、
診療所の屋根をかすめて降りてくる。
アスリナの配下、飛竜レオナルト。
応えるように、静かに首を垂れた。
彼の存在が、少しだけ背中を押してくれる気がした。
──それから、帰ったら。
ラナの腕の中に、倒れ込んでもいいだろうか。
少しだけ、甘えても許されるだろうか。
あのぬくもりと香りが、まだ胸の奥に残っていた。
***
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https://kakuyomu.jp/works/16818792435685695540
(新作紹介)ゲーム開発者転移無双!俺つええですが、美女AIに溺愛されてます。
PvP、戦記好きの方ぜひ!
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