ぼくと彼女のぼうけんのしょ

@bokutoka

ぼうけんのはじまり

たくさんの荷物を用意した。

前回の時よりは少ないしし車にたくさんの彼女の荷物や機材を積まなくていい。何より3日も準備期間があった。

彼女のときはいつもすぐ!その日!なんだもの。

事前にもらった資料を読んであれやこれやと買い出しも楽しかった。

お気に入りのものと、有ったら便利なもの。経験値はあるから多分困ることはないはず。

そして今回はぼくが当事者なのだから気楽なものだ。何か足りなくても困るのは彼女じゃなくぼくだもの。


いつもは車で行く距離だけど復路は未定なので初めてバスで行ってみようと前の日の夜はナビアプリとにらめっこをした。

何時に着こう。着いたら信号を渡らなくてはならないから少し早く出なくては。

電子支払いの残高はあっかたかしら。久しぶりすぎてどきどきした。

その後仕上げの細かい家事。

冷蔵庫とゴミのチェック。洗濯物は干しきってお風呂も乾燥。


当日はいつも通りといいつつちょっと名残惜しく家族を見送って、いざ出発。


ふとこんなに重い荷物は背負えないなと気がつく。

予定より少しへらしていざ外へ。

バス停は少し急な坂の上。

登れる気がしない。

あそこまで登ってバスへ乗るだなんてとんでもない。バスには階段がある。この重い荷物を背負って登り、椅子に荷物を置き、また降りる時に背負うのは到底無理だと感じた。


坂を登らずに済むには徒歩で向かってしまえばいいのだ。

歩いていったことなんてなかったけど歩けない距離じゃないし。

そうすれば重い荷物を下ろすことなく重心を傾けていれば脚は進むはず。

久しぶりの晴天の日差しを浴びながらずっしりと重い身を引きずり出発した。


なにしろ歩いたことのない道だから途中でナビを見ながら重たい散歩を楽しんだ。

待ち合わせしている大学生。自転車にまたがり颯爽と駆けていった。なんてさわやかなんだ。

反対に泥のように進む自分に少し引きながら目的地へ。

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