リンは力で夕真を裏から守りますが、彼の前では非力で可愛らしい女の子を演じなければなりません。一方、夕真は自身の非力さにコンプレックスを抱きながらも、大切な人を守るため、恐怖を乗り越えて暴漢に立ち向かいます。
「女子っぽさ」を求めるリンと、「カッコよさ」に憧れる夕真。互いにないものねだりをし、理想の自分を演じようとする姿は、誰しもが抱える自己と理想の乖離というテーマを浮き彫りにしていますし、本当の自分を隠して恋する切なさと、それでも誰かを守ろうとする登場人物たちの姿に、胸が熱くなります。
ヒロインが組織の命令系統から外れ、主人公への個人的な愛情から「害する敵」を排除する、という設定も面白いですし、最強の力を持つ彼女が、恋愛においてはあまりにも無力であるという皮肉な状況が、物語をより一層ドラマチックにしていると思います。