第2話
ブレスレッドに導かれるままに、僕は街外れの林へたどりついた。
林の中には、銀色の人がいる。
某日曜朝の仮面〇イダーみたいな姿かたち。
ほっそりと女性らしいプロポーションをしていて、腰のアーマー部分はスカートのようだ。
今の僕の姿の女性バージョンって感じ。
それもそのはず、正体は生徒会室で僕につめよっていた
偶然、彼女が変身を解いたところに、建物の角から見てしまったんだよね。
それにしても早いな。僕と同じくらいに高校を出たはずなのに、もう着いているなんて。
セイバイタン星人を叩きたくって、ウズウズしていたのだろうな。
キョロキョロと林を探ってみても、まだセイバイタン星人がやってくる亜空間ゲートは見当たらない。
まだ余裕があるみたいなので、僕は光圓寺さんに挨拶することにした。
「全国の老若男女に呼ばれて、コールマン…… ここに参上っ!」
「遅い! なにやっていたのよ!」
光圓寺さんは怒っているようだけど、僕が特別遅いわけではないし、彼女はこれがデフォなんだ。
コールマンに変身後、僕はどもらないでいられるし、素直に思ったことが言える。
同じようにたぶん、普段の光圓寺さんのおしとよかさは素じゃない。
変身後の態度のほうが、彼女の素なのだ。
好きな子の誰も気づいていない素を知っているなんて、ちょっとドキドキする。
だから僕は、ダイダン星人からブレスレッドを押し付けられても、コールマンでいられるのを嬉しく思う。
それに光圓寺さんのデレが見れるし。
「ハハハ、コールガール。そんなに怒ると綺麗な君が台無しだぞ」
「いい加減なこと言って。変身していたら顔なんて見れるわけないでしょ!」
「見えていなくっても綺麗なのはわかるさ。コールガールの立ち振る舞いから、心が綺麗だってね」
「なっ! またそんなこと言って…… そういうアナタこそ格好良いと思うし…… いつも助けてくれるし……」
ほらね、小声でこうしてデレてくれるんだ。
でも、聞こえているとわかったら、光圓寺さん恥ずかしいだろうから――
「うん? 何か言った?」こうして聞こえないふりをするんだ。
「な、なんでもない! あっ! ゲートが現れたわ。奴らがくる。戦闘態勢よ!」
ああ、楽しい会話タイムも終わりか。
林の中に、ドロドロした空間が出現する。セイバイタン星人の亜空間ゲート。
そこから黒い機械化兵たちがこちらへやってくる。
鋭い手足をしているから、僕たちが「針公」と呼んでいるセイバイタン星人の先兵たちだ。
「いくわよ!」
「おう!」
いつものように光圓寺さんが先陣を切る。
「こんちくしょう! 砕け散れ!」
光圓寺さんの戦い方は、普段のおしとよかさから想像できないほどパワフルだ。
その分、動きが雑で隙が大きい。
僕はその隙を埋めるように、狙いすませた攻撃をセイバイタン星人に繰り出す。
次々と倒れていくセイバイタン星人。
僕と光圓寺さんは相性抜群だ。
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