転生後に喫茶店のマスターになり、時々主人公を覚醒させる

猫助 月

第1話 平和の終わりと新たな――

「マスター、この問題わかんないよぉぉぉぉ!!!!助けてぇぇぇぇぇぇぇ!!!」


―――と、頭を抱えているこの少女の名は〔佐々木ささき りん

赤色の髪と瞳のショートヘアが特徴の体育系女子である


「マスターに頼りすぎ。もっと1人で頑張るべき。はい、教科書と参考書」


―――と、学校の教科書と分厚い参考書をドンッと机に置いたのは〔織山おりやま あおい

青色の髪と瞳に長い髪をまとめているポニーテールが特徴のクール系女子である


そしてそれを横目に見ながらパンケーキを作っているのは〔橋本はしもと 琥珀こはく〕。この喫茶店のマスターをしている高校1年生である


出来上がったパンケーキを皿に乗せて生クリームを乗せ、メイプルシロップをかけて完成したものを少女たちの目の前のカウンターの置く


「パンケーキの出来上がり。早めに召し上がれ」

そういうと凛は真っ先にフォークを手に取った


「いっただっきまーす!」

と、さっきまでの姿は一体どこに行ったのやらと思わせるほど元気いっぱいに手を合わせてからバクバクとパンケーキを食べていく


一方で葵の方は「いただきます」と静かに言ってからフォークでパクパクと食べていく


しばらくすると「美味しかったー!マスター!おかわりー!」という、元気な声が響いた


―――

――


「??????」

「はぁ。やっぱり凛は運動特化の脳筋」

「う、うるさい!そういう葵は運動不足すぎ!そんなんじゃ太るよ!」

「じゃあ、勉強教えなーい」

「そ、それはずるい!」

「フッ」


ドヤ顔をする葵とぐぬぬと問題に向き合う凛

しばらくして凛が降参した


そんなこんなで勉強は再開して、葵と琥珀が凛に勉強を教えはじめた




「んーーーーーー!!!つっかれたーーーーー!!」

グイーーっと伸びをする凛


「? どうしたのマスター?」

「門限大丈夫?」

「あ」

「忘れてたんだな…」

「ち、ちちちちち違うよ!忘れてないよ!」

「大丈夫マスター。忘れんぼの代わりに私が出しといた」

「さすが葵ー!」

「あー、凛のやつは出し忘れたかもー(棒読み)」

「そんなぁ」

「やっぱり出してたかも」

「!」


悲しんだり喜んだりと表情がコロコロ変わる凛と表情はあまり変わらないけど楽しそうに凛をからかう葵。そしてそれを微笑ましく思いながら洗い物をする琥珀


これがいつもの"日常"であり、いずれ終わる"日常"だ



〜翌日〜


力加減をミスって目覚まし時計をぶっ壊した琥珀はショップモールに来ていた


そして慣れた足取りでいつもの手軽なお値段の目覚まし時計を手に取った

そう、琥珀はよく目覚まし時計を壊しては買ってを繰り返してるから慣れてしまったのだ

店員さんには「また壊したんですか…」という会話をするほど買いに来ている


ちなみに今日は土曜日なので学校は休みである

ついでに日記用のノートも買ってから家に帰る


ふと琥珀は転生時の事を思い出す


×××


「つまり外の世界から来る敵を殺せ、と?」

「はい!それ以外なら基本、何してもいいですよ!敵側についてもよし!逆に少女たちの味方になってもよし!」

「じゃあ中立で」

「はやっ!しかも中立?どうして?」


The女神って感じの見た目をした女神様が不思議そうに聞いてくる


「いや、だって敵側についても少女たちについても忙しくなるんでしょ?だったら中立でちょっとミステリアスな喫茶店のマスターをしたい。あの、女神様が知ってるかわかんないけど、ラノベとかアニメとかのマスターになんかなんでも持ってるマスターいるでしょ?あれ、やってみたい」

「ほぉ、なかなかに面白いね。よし、君には今空いている神の席をあげるよ。ただし、条件があるの」


女神様の真剣な声色にゴクリと息を飲む


「それは…………ある世界でその力を使いこなせるようにすること」

「理由はあるの?」

「もちろん!君の転生先はグレイスと呼ばれる怪物がいるの。それで使いこなしてない力だと星の核に何かしらの影響を与える可能性があるから。さすがに転生先の星が無くなるなんて困るでしょ?」

「困る。めっちゃ困る」


ということで別世界で修行をして力を完全に掌握した状態で転生したのだ


×××


ただ、その過程で体を鍛えたため、力が常人離れしている。更にヒョロっとした見た目だが筋肉はすごい。そしてトレーニングは今もなお続けているため体力もある


琥珀はなんとなく人間辞めてないよね?と、少し不安になっているのである


そんなことを考えながら帰っていると、急に警報がなった

それを聞いて琥珀は「ああ、そういえば今日だっけ。グレイスが出始めるの」と呑気に考えた後、どうすっかなぁと考え込むのであった


しばらくして結論を出すと、裏路地に入ってショートカットをしようとして、路地に入るとそこには――――


☆☆☆


「グレイスのシグナルを確認!司令!アルテナ保持者の出撃許可を!」

「許可する!一般人の避難誘導を最優先にしろ!いいな!」

「いい?絶対に無茶だけはしないで!」

『『了解!』』



「司令、これって30年前と同じ……」

「その可能性が高い。いま鏑木かぶらぎ博士に解析をお願いしている」

「司令!グレイスの再来と同時に地下深くに収容中の三つのアルテナリングのエネルギーの周波数が増大しています!」

「なにっ!?今すぐ原因を調べろ!」


こうして、日陰に隠れて力を蓄えていた対グレイスの組織が日陰から日向へと出てくることとなった


☆☆☆


グレイス、30年前突如として出現した異形の怪物が世界を襲った。それに対抗するために作られたのがアルテナと呼ばれる結晶を使った指輪、アルテナリングを使い変身して戦う兵器、【戦姫】を作った。しかし、使えば使うほど命を燃やすという副作用があり、30年前の第一世代のアルテナリング計5個が廃棄処分となり、それを元に試行錯誤を繰り返し完成したのが副作用を極限まで無くした第五世代のアルテナリングである。しかし、副作用を無くした代わりにリングとの相性という条件が必要になった


それをクリアしたのが今の戦姫である2人、〔石澤いしざわ 明美あけみ〕と〔桜井さくらい 瑠花るか〕の2人である


しかし、人には限界がある。疲れ知らずの化け物であるグレイスとは違う。人である限りいつか限界が来る

それにいくら訓練したからと、実戦は大丈夫かといえばそれは違う


リングを使い、変身した衣装と武器を持つが実戦経験のない少女が戦えば、いかにも訓練しようと実戦は違う。実戦は命の駆け引きだ。自分が死ぬか、相手が死ぬか………これはそういう戦いだ


そして少女たちは理解した。30年前に世界を危機に陥れた化け物の、グレイスの本当の恐ろしさを理解させられた


グレイスとは、星の外から来訪したいわば宇宙人というやつだ。だが、特殊な能力を持ち、圧倒的な再生力、たったふたつの能力だけで世界を危機に晒した

それを無効化していたのがアルテナリングであった。しかし、時が経てば適応する。人がかつて環境に適応したように、グレイスもまた、適応していた


今回出現したグレイスは蛇に翼が生えたような姿で、羽を刃にして射出して人間を切り刻み、食らい、そして強くなる


既に20人以上の人間を食ったグレイスはまさに化け物であった


明美と瑠花はアルテナリングを使い、様々な攻撃を仕掛けるがすぐに再生力、または弾かれて効かず、2人の傷が増える一方であった


「あたしの弓も効かない。司令!グレイスってこんなに強いんですか?」

明美は問う

『いや、前はアルテナリングが効かないなんてことはなかった。この30年の間に一体何が……』


「みーちゃん、セカンドギアを解放する。援護を……「ダメっ!」」

「それだけはダメ、絶対に」

『桜井さん、セカンドギアの使用は認められない』

「じゃあどうするの!?私たちの攻撃は効かないしもう手段が……」


アルテナリング保持者の攻撃が効かないという絶望的状況、現代兵器は無意味、リング保持者の攻撃も効かない


「司令、ごめんなさい。命令違反は後で受けます……………だから、セカンドギア〈解放〉!」

「瑠花!?何してるの!?早く戻して!」

『そうだ桜井さん!それでも効かなかった場合はどうするつもりだ!効くという保証もなく無闇に戦うな!』

「ごめんなさい。でも、行きます!」


一気に駆ける


グレイスとの距離を一気に詰め、2本の短剣でグレイスに切りかかる


(効かなかった!?……いや、違う。これは、鱗が固くてダメージが入らなかったんだ!なら…………押し通るまでっ!!)


「はあああああああああああああああ!!!!!」


激しい斬撃に耐えきれず、グレイスは叫び声をあげたがすぐさま瑠花を吹き飛ばし、ビルに激突する


「ごほっ、まだ…私は………………」


「ゴホッゴホッ」

(こんな所で死ねない。みーちゃんと一緒に…………居たいよ)


今にも意識がなくなりそうになった瞬間、瑠花を緑色の暖かい光が包み込み、一人の少年が現れ言った



「問おう、君はその力で何を成す」





☆☆☆


「・・・」

「・・・」

気まずい空気が流れる


琥珀は何も見なかった、とUターンをして戻ろうとするとそこにいる男は引き止めた


「おい、まさかこの状況で逃げるとでも?」

「はぁ」

「おまえ、人を殺したことあるだろ」


その言葉を言った瞬間、男は謎のプレッシャーを感じた


「おまえ何もんだ……」

「質問に答えるつもりは無いよ。時に、人は知らなくていいこともあるのを覚えておくといい。じゃあね、

「なっ!!」


これが血と屍が散乱する裏路地での、最初の邂逅であり、最初の暇つぶしで何をするかを決めた瞬間であった



〜しばらくして〜



「グレイスとリング保持者はあっちか。さて、最初の暇つぶしに行きますか……」

原作、本来のシナリオではリング保持者の片方が死に、その後激戦の末に何とかグレイスを討伐するもリング保持者の1人が死亡、生き残った保持者も重症を負い、対抗手段が無い状態での2度目のグレイスは到来


これが序盤のシナリオであり、琥珀が暇つぶしで介入出来ると思っているシナリオである


それから崩壊した建物を巧みにかいくぐり、一人の少女を見つけた

紫のトレードカラーが印象の服と短剣、ズタズタに切り刻まれて今にも死に絶えそうな少女の姿を


「〈夢境領域〉」


夢境領域:夢の世界を構築して対象を夢の中に誘う力


夢の中で琥珀は問いかける


「問おう、君はその力で何を成す」


少女―――瑠花は答える


『私は、みーちゃんを、みんなを助けたい』


琥珀は問いかける


「英雄にでもなるつもりか?」


瑠花は答える


『違う。もし、みんなを助けられなくても、私の目の前で、手の届く範囲でいいから、大切なものを守りたい!』


琥珀は再び問いかける


「君は、この先の未来でどんなことがあろうと抗う覚悟があるか?」


瑠花は迷わず答える


『覚悟なら既に決まってる!!』


「良かろう。では君の決意を見せてみろ。〈夢境進化〉」


夢境が終わりを告げ、世界は再び時間が動き出す


グレイスはもう一人の少女、明美を食らうために羽の刃を飛ばして切り刻むべく羽を飛ばしたところだった


琥珀は瑠花に〈時間停止〉を掛け、喫茶アスタルテに〈夢境門〉で移動させ、グレイスに飛び蹴りをして吹っ飛ばした


蹴られたグレイスは真横に吹き飛び、ビルに激突して止まった


「『「………………」』」


皆が唖然とする中で琥珀は一人感想をまとめていた


「力の加減が少し緩んでるな。能力を使ったせいで制限が少し緩んだか?いや、身体に影響は無いはずだ。となるとやはり鍛えすぎたのか。力の解放無しでグレイスを吹っ飛ばせるほどの筋力か……は、ははは、人間辞めたかもしれんな」


はぁ、とため息をついた


「ギシャァァァァァァァァァァ!!」


土煙からグレイスが飛び出して来るがヒョイっと避けながら今後の方針を決めた


(よし、基本的に干渉せずにいよう。ただ、今回は力試しとして活用しよう。それと最後に、こいつに修行の時に使ってた武器は通用するのか試しとくか)


「【破神シヴァ】限定解放」


右手に顕現した黒と赤の禍々しい気配を放つガントレットでグレイスを軽く殴った


するとグレイスに殴った場所からボロボロと崩れ落ちてものの数秒で粉々に変化した


「さて、帰るか。〈夢境門〉」

「まっ――――」


視界が切り替わり、いつもの喫茶店の中に戻ってきた。その後、先に連れてきた瑠花の傷と痛覚以外の〈時間停止〉を解除した


「―――ん。う、ん?えっ、ここどこ!?あなた誰!?」

「うん、まあそうなるよな」

「んー?あ、あなた夢に出てきた変な人だ!」

「変な……まあ、うん。はい」


桜井瑠花、仲のいい人には愛称(例:みーちゃん)をつけて距離感が急にバグることで前世では有名で懐かれるとめっちゃ甘えてくる可愛い少女

――――と言うのが視聴者の感想だ


めっちゃあってるのだが、実際にやられるとびっくりするよ

しばらく話をしたのだが、なんか好感度が上がったらしく〔はーくん〕の愛称をつけられた

しかも距離感がおかしい


話す前まで結構距離(精神的)あったはずなのに話したあとは急に真隣に来たし(物理的×精神的距離)

おかしい、転生云々は話さなかったけどとりあえず助けたのとグレイスを倒したこと、そして身体の状況とついでに喫茶店のマスターをしてることを話しただけなのにっ!


「はーくん!このいちごパフェの特大ってやつが食べたい!作って!」

「え、それまじで大きいぞ」

「どれくらいで?」

「これくらい」


そう言ってサイズを大まかに手で表すが瑠花は余計目をキラキラさせるだけであった


まあ残せば俺が食えばいいか、と考えつつも慣れた手つきでパフェを作っていく


完成したパフェは瑠花の顔の3倍以上の大きさ――――なのだが、おかしい。みるみる減っていく……あ、無くなった


「ぷはっ、美味しかった〜」

「そ、そりゃどうも……」


ちょっとだけ引いたのはここだけの話だ


「よしっ!決めたっ!今日からここに住む!不束者ですがよろしくお願いしますっ!」

「え」

「それじゃあ、そういうことで!荷物取りに一旦帰ります!」


言うだけ言ってそそくさと店を出ていった瑠花を見送り、呟いた


「まさか本気じゃないよね?まさか、ね……」


それから2時間後、キャリーバックなどを持った瑠花が店にやってきた


こうして喫茶アスタルテ店長橋本琥珀のうちに一人の少女が住み着いたのであった



◇◇あとがき◇◇


とあるアニメに影響を受けて思いついたのでとりあえず書いてみたやつです。思いつきで書いているので設定をもう少しねっておきます

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