第37話 継縁子と修復の間1
『あっ! ねぇねぇ、そこ、ほどれかけてるよ』
『本当だ。教えてくれてありがとな』
『ふんっ、みんなに教えるのに、自分が壊れそうになってるなんて』
『何だよ。お前もこの前、ボタンが取れかかってたじゃないかよ。俺のこと言えるかよ』
『私はすぐに自分で気づいて直しました』
『……2日くらいは取れそうなままだった』
『だってさ。ほら、同じじゃないか』
『あなたと私を一緒にしないでください』
『もう、2人ともやめなよ。どうせいつものことなんだから。どっちもどっちだよ。それよりも、次のこと考えないと。次はどこに行く?』
『ばぁばに聞きに行こうか』
『うん!!』
『ばぁば!!』
『どうしたんじゃ?』
『お勉強の時間終わったよ。あのねぇ、ありがとう、これからも頑張って練習するねって。言ってもらえた』
『お礼にお菓子いっぱいもらったぜ!』
『それに、とっても上達したんだよ!!』
『縫い方なんて、最初と比べたら全然変わりました』
『今度会う時に、どんなもの作ったか見るの楽しみ!』
『そうかそうか。それは良かったのう』
『それでね、ばぁば。次にどこに行くか聞きに来たの』
『それじゃがのう、このあやかしが良い話しを持ってきてくれたんじゃ』
『よう! オレはばあちゃんの知り合いだ』
『『『こんにちは!』』』
『おう!』
『良いお話しってなぁに?』
『古い付き合いのあやかしがな、人間にぬいぐるみを修復してもらったらしいんだ。かなりの腕前らしい。ついでに本人もあやかしに人気らしい。それでだ、そいつの所に1度行ってみたらどうだって、ばあちゃんに話してたんだよ』
『ぬいぐるみの修復?』
『へぇ、面白そう』
『いつも洋服とか小物とかばっかりだもんね』
『ぬいぐるみ。良いですね』
『だろう? 俺がその人間がいる場所まで連れて行ってやるから、どうだ? 行くか?』
『ばぁば、行っても良い?』
『オレ、行きたいぞ!!』
『えぇえぇ。行っておいで』
『『『やったー!!』』』
『よし!! じゃあ行くか!!』
◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇ ◆◇
「よし、今日の作業は終了だ。みんな片付けるぞ」
『オレ、今日は初めて1人で全部の糸外し、やってやったぜ』
『……やってやったぜ! は良いけどさ。かなり糸が残ってたよ? 早く丁寧になら良いけど、早く雑にじゃねぇ』
『なんだよ、ヒビキお前、オレの糸外しに文句でもあんのかよ』
『ちゃんと外してって言ってるんだよ。大体カエンが糸外しの日は、ボクが洗う係りに時が多くてさ。カエンが残した細かい糸を、ボクたち洗う係りのあやかしが、綺麗に外すんだから。それでどれだけ洗う時間が遅くなるか。毎回毎回、やになっちゃうよ』
『は? オレは綺麗に取ってるだろうが!!』
『今、ボクはなんて言った? 毎回毎回って言ったんだよ? ほら、これを見てみなよ!! 明日洗う分の、今カエンが糸を外したやつ!! ここと、ここと、ここ、ほら、こんなに糸が残ってるじゃないか!! 明日洗う作業をするあやかしが。この糸を取る事になるんだよ!!』
『……本当に?』
『ほ、ら、こ、こ!!』
『ねぇねぇピヨ助、ピヨ吉、明日はボク達、何の係やる? 縫うのは難しいけど、晴翔と縫うのは楽しいよね』
『1発で針が刺さった時は、最高だぞ!!』
『すーと針を抜く瞬間も最高』
『だよねだよね! でも他の作業も楽しいよね。……ちゃんと前のお仕事してくれればね』
『そうだぞ!!』
『前の作業大事』
ジト目でカエンを見るピヨ太たち。
『見て見て、ネズじいちゃんの真似』
『わぁ、それどうやったの?』
『晴翔に練習用のワタもらったんだ。こう体に静電気を溜めてワタをつけると……。暑い日だけど雪だるま!!』
『ボクもやりたり!!』
『まだワタ残ってる?』
『良いなぁ。ねぇ、晴翔。変身用ワタが欲しい!』
『おっ! ワタだるまできた!!』
『そう言えば、ネズじいちゃんは静電気なんて溜めなくても、ワタだるまになれるよね? いつもワタを飛ばしちゃって、それにじいちゃんが突っ込んじゃって、そのままワタだるま。何でだろう?』
今日も俺の部屋は、いつも通り騒がしい。でも問題が起きて騒がしんじゃないし、みんなニコニコ楽しんでるから良いんだ。……みんなからジト目で見られてるあやかしも1人いるけど。
それに今日は練習の日だしな。少しぐらい遊びが入ったって良い。今日は、何も依頼がなかったから、俺が作ったぬいぐるみを使って、みんなでぬいぐるみ修復の練習をしていたんだ。
今は、あやかしや動物のぬいぐるみを修復しているけれど、やっぱり練習は欠かせない。ただ、もちろん預かったぬいぐるみを使うわけにはいかないから。練習には、自分で作ったぬいぐるみを使っているぞ。
みんなが騒いでる中、俺は自分の片付けを始める。が、横を見て驚いた。
「……お前それ、どうやってやってるんだ?」
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【あとがき】
お読みいただきありがとうございます。ありぽんです。
『猫又と俺の願いを縫う不思議な工房』
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猫又と俺の願いを縫う不思議な工房 ありぽん @myuhima
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