第2話 幼馴染兼恋人2人との同棲が始まった件②

「海星君。そろそろお昼ご飯にしましょう」

「もうそんな時間か?」


 スマホで時間を確認するとお昼になろうとしていた。 

 

「どおりでお腹が空いてるわけだ」

「食材を買いに行く余裕がなかったので、出前を取ろうかと思っているのですが……」

「いいんじゃないか。何を出前するんだ?」

「それはこれから決めようかと」

「おけ。環奈は?」

「環奈ちゃんはリビングにいます」

「じゃあ、リビングに行くか」

「はい」


 俺は美尋と一緒にリビングに向かった。


「お~。ずいぶんと片付いたな」


 俺が自分の部屋の片づけをしている間も美尋がリビングの片付けをしてくれていたみたいで、リビングはかなり綺麗になっていた。

 

「あ、きたきた。早くご飯頼のも~。お腹ペコペコ~」

 

 ソファーに座っていた環奈の隣に俺と美尋も座った。

 家具を選んだのは美尋だ。

 このソファーも美尋が選んだもので、見た目から高級感が漂っていた。

 座り心地も最高に良い。 


「何頼む~?」

「私はお二人にお任せします」

「無難にピザとかでいいんじゃないか?」

「あり! ピザにしよ~!」


 環奈がスマホでピザ屋を検索した。


「何ピザにする? 海星はどうせマヨコーンでしょ?」

「さすがよく分かってるな」

「みーちゃんはどうする?」

「私はいろんな種類のやつにします」

「クワトロピザね。じゃあ、私はテリマヨにしようかな~。注文しちゃうね~」

「頼んだ」

「よろしくお願いします」


 環奈が三人分のピザを注文してくれた。


「到着まで三十分くらいかかるって~。届くまで何する~?」

「三十分か。絶妙な時間だな」

「ゲームでもする?」

「まぁ、ありではあるな」

「じゃあ、ゲームしよ~! 家からゲーム持ってきたはずだけど、ゲームが入ったダンボール箱ってどこにある?」

「確かあそこにあったはずです」


 美尋の指差した先にはまだ片付けられていないダンボールがあった。

 

「取って来るね」


 環奈はソファーから立ち上がり、ゲームの入ったダンボールを探しに行った。

 美尋の言う通り、ゲームの入ったダンボールを見つけた環奈はすぐに戻ってきた。

 

「手伝うか?」

「大丈夫~。すぐに準備しちゃうね~。その間に何のゲームやるか決めといて~」


 環奈は本体だけをダンボールから取り出すと、ゲームソフトの入ったダンボールを俺たちの足元に置いた。


「ということらしいけど、何やる?」

「何をやりましょうか。三人でゲームをするの久しぶりですね」

「そういえば、そうだな。受験勉強でゲームをしている暇なんてあんまりなかったもんな」

「そうですね」

 

 高校受験があって、一年間くらいはゲームはほとんどしなかった。

 ゲームをしたとしても勉強の息抜きくらいで、電話を繋いで夜通しゲームをした日々がもうずいぶん昔のような気がする。


「対戦ゲーにするか、協力ゲーにするか、どうする?」

「私はどちらでも構いません」

「環奈。対戦ゲーか、協力ゲーどっちにする?」

「そりゃあ、対戦ゲー一択でしょ!」

「了解」


 対戦ゲーがいいということだったので俺は格ゲーを選んだ。

 『ストリート・オブ・キングス』。通称、ストキン。

 ストキンは数年前に全世界で大ヒットをした格ゲーで、今でも世界大会が開かれるほどの大人気ゲームだ。

 

「せっかくだし、負けたら何か罰ゲームとかどう?」

「俺はいいぜ」

「私も構いませんよ」

「じゃあ、決まりだね!」

「罰ゲームの内容は?」

「どうしよっかな~。あっ、じゃあ、負けた人がピザの代金を払うでどう?」

「おけ」

「分かりました」

 

 対戦形式は総当たり戦で、まずは美尋と環奈が対戦することになった。 

 三ラウンド制で先に二ラウンド取った方が勝ちとなる。

 

「みーちゃんと対戦するの久しぶりだよね?」

「そうですね」

「本気でいくからね!」

「私だって、負けるつもりはありませんから覚悟しておいてくださいね」


 お互いバチバチに火花を飛ばし合った二人はいつも使っているキャラを選択して、対戦がスタートした。 


「腕は鈍ってないみたいね」

「環奈ちゃんも腕は鈍っていないみたいですね」


 実力が拮抗しているのでお互いに一進一退の攻防が繰り広げられる。

 俺たち三人の格ゲーの実力はほぼ同じだ。

 だから、一つのミスが命取りとなる。

 先にミスをしてしまったのは美尋で、第一ラウンドは環奈が勝利を収めた。


「まず一勝~!」

「次は私が取ります」


 第一ラウンドが終わり、すぐに第二ラウンドが始まった。

 今度は環奈がミスをして、そのミスを見逃さなかった美尋が勝利を収めた。


「これで、一勝ずつですね」


 お互いに一ラウンドずつ取り、ファイナルラウンドが始まった。

 このラウンドで勝敗が決まる。

 このラウンドを取った方が勝者となる。

 お互い慎重になっているみたいで、お互いが相手の出方を伺っていた。

 その膠着状態を先に崩したのは環奈だった。

 必殺技ゲージが溜まっているので、必殺技に繋げるためにコンボを繰り出そうと動き出した。

 それは美尋も分かっているようで、しっかりとガード態勢を取り、反撃の好きを狙っていた。

 どっちが勝つのかと俺は二人の勝負の行く末を見守っていた。


☆☆☆


「負けました」

「久しぶりにみーちゃんと対戦出来て楽しかった~」

「ですね。私も楽しかったです」

 

 美尋対環奈の勝負は環奈が見事に必殺技を決めて、環奈の勝利となった。

 

「じゃあ、次は海星と私ね!」

「おけ。二連勝はさせないから、そのつもりで」

「いやいや、私が二連勝した方がどう考えてもいいでしょ! だから、勝たせてもらうから!」


 美尋からコントローラーを受け取って、俺はいつも使っているキャラを選択した。

 環奈はさっきと同じキャラだ。


「海星君。頑張ってください」

「美尋に応援されたら負けるわけにはいかないな」

「海星だけズル~い! みーちゃん! 私も応援してよ!」

「環奈ちゃんのことは応援しません。勝たれたら困りまりますから」

「え~」


 この後、美尋と戦うのだが、そんなことは今はどうでもよかった。

 美尋に応援されたからには絶対に負けるわけにはいかない。

 環奈との対戦がスタートした。

 俺は初めから強気の攻めでいくことにした。

 高校受験の息抜きでやっていたから、俺の腕も鈍っていなかった。

 

☆☆☆

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