第2話

 王様は腕を組んで、たこ焼き食べたかったなぁ〜、と小さくつぶやきます。

となりのお妃様が言いました。


「あなた、たまにはいいんじゃない?でも、私からひとつ、いいかしら?せっかくお祭りなんだから、みんなここに集まればいいじゃない?」


 ホワイトタイガーはその場でピョンピョンステップを踏んで喜びます。


「お妃様、いいんですか?イエーイ!」


 王様は、まだみれんがましく、焼きそば、食べたかったなぁ、と言っています。

お妃様は王様をなだめるように言いました。


「また来年、やりましょうよ。それより、リアム。準備はアナタにまかせていいのよね?」


「もちろん!みんなが喜ぶ音楽祭にしてみますからっ」


 そう言って、そそくさと自分の部屋へと戻っていきました。

部屋へと戻ると、窓の方へと向かいます。

そして、そこから顔を出して、声をかけました。


「お〜い、うまくいったぜ。お前のおかげだ」


 窓の向こうには木が生えており、その枝からこちらの部屋へと入れます。

その枝にしがみついて待っていたのは、いたずらスカンクのくんぷうでした。

ホワイトタイガーは、スカンクにみんなの部屋の空調をめちゃくちゃにいじって、体調不良にするよう頼んでいたのです。


「ギシシ、いいっていいって。俺ぁ、いたずら大好きなだけだからな」


「そっか、じゃあ、今度やるミュージックパーティーにも参加するか?」


 ホワイトタイガーは白く塗ったりんごをスカンクに差し出しました。


「おえっ、そんな白くりんご、食べたくねぇし。また何か悪だくみ思いついたら、呼んでくれ」


 そのままスカンクは枝をつたいながら、暗闇へと消えていきました。


「白って、かっこいいじゃん。アイツはセンスないなぁ。エンタメの方向性も全然ちがうし」


 白いりんごをがぶりとかじると、少し首をひねりました。

りんごの味のあとに、ペンキの味がしたためです。

窓の枠に食べかけりんごを置くと、今度はチンパンジーを呼びました。


「おーい、チンパニー、いるかー?」


 しばらくして、チンパンジーのチンパニーがやって来ました。

木をスルスル登ってやって来ます。


「リアム、どうしました?」


 ホワイトタイガーは、チンパンジーに音楽祭をやることを説明して、たくさんのスピーカーを準備するよう言いました。

チンパンジーは、分かった、僕にまかせて、とどこかへ向かいます。

 夜の事務所。

ここは、昼間は人間たちが働いている場所です。

プラスチックのカードキーを使って、そおっと中へと入ると、チンパンジーは黒いノートパソコンを開いて、電源を入れました。

チンパンジーは、どうやらパソコンの「ネット通販」で、たくさんのスピーカーを買うみたいです。

器用にマウスを操作して、パソコンの画面に「スピーカー、20個」と入力します。

 その翌朝。

昼間に事務所で働いている人が、配達業者から大量のスピーカーを受け取りました。


「これ、誰が頼んだのー?」


 受けとった事務員さんが辺りを見回しますが、みんな返事をしません。


「じゃあ、一旦倉庫に入れとくよー」


 事務員さんは、宅配業者に頼んで20個ものスピーカーを倉庫にしまうよう、言いました。

そしてまた、夜が来ました。


 

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