第2話 彷徨う
サイクロップスが立ち去った森を見渡すと、周辺の多くの木々が倒れ、壮絶な状態となっている。
死にかけた大輔は、動く気力もなくうずくまっていた。
「どうにか生き延びた。気配遮断を得ていなかったら死んでた。ここはどうやら本当に異世界のようだ。神にも天使にも会ってないぞ。魔法陣とやらが光った覚えも無いぞ。どうしてこんな事になったんだよ。なんでこんな目に遭わなきゃいけないんだよ。俺はただ単にいつものコンビニに入っただけだろ」
全身スライムの体液まみれのまま、疲れ果てた体を起こし地面に座り直す。
大輔は改めて自分のステータスを見つめていた。
「最初の時から、レベルと称号の表記が増えているな。スライムの天敵は、どう考えても逃げながらスライムを大量に踏み潰したせいだよな。横に数字にないスキルはレベルMAXなのか,それともレベルの無いスキルかもしれん」
改めて、ステータスを出してみる。
【氏名:日暮大輔
種族:人族
状態:疲労
職業:異世界からの迷い人
レベル:6
スキル:
ステータス
異世界言語
料理 1
長生き 1
暗視 1
演舞 1
鑑定(極)
弱点看破
斬撃 1
物体強化 1
気配察知 1
悪運
第六感 1
異空間倉庫 3
生活魔法 1
気配遮断 1
レアスキル:
スキルコレクター
経験値十倍化
称号:
スライムの天敵 】
「本当に小説や漫画にある異世界なんだな。完全に異世界だな。ハァ〜、こんな過酷な場所に、なんで来なきゃいけないだよ。俺は普通の生活で十分なんだよ。こんなわけのわからん世界は勘弁してほしいよ」
愚痴を言いながら、レアスキル:スキルコレクターと称号:スライムの天敵を見つめていたら、追加の表記が現れた。
【レアスキル:
スキルコレクター
・魔物討伐時や訓練によりスキルを獲得し
易くなる。どんなスキルかは取得してみな
ければ分からない。
・スキルのレベルアップをしやすくなる。
スキルレベル5から先に伸ばせる者は、
とても少ないが、このスキルコレクター
所持者は、その壁を楽々と超えていく。
・スキルレベルアップ
通常の100倍の上昇率。
称号:
スライムの天敵
・スライム討伐時に攻撃力200%アップ 】
「スキルコレクターは、予想通りスキルが得やすくなるか、なるべく使い勝手のいいスキルが得られればいいけど、ランダムみたいだから期待できないな。スライムの天敵は、普通に踏み潰せるのに攻撃力200%アップなんて過剰だろう。それとも他にとんでもないスライムがいるのか。まあ、とりあえずいいか。この体にまとわりついているベタベタをどうにかしたいな。生活魔法でどうにかできないのかな」
ステータスの生活魔法の部分を見ていたら、再び追加項目が出てきた。
【生活魔法
種火、飲み水、水洗浄、乾燥、
傷手当、土工作、木工 】
「よく話に聞く定番のクリーンは無いのか。仕方ない、水洗浄を試してみるしかないか」
ゆっくりと立ち上がる。
「水洗浄」
強い思いでこのネバネバを払い流してくれと願いながら生活魔法の水洗浄を使う。
頭上から大量の水が滝のように勢いよく降り注いできた。
ネバネバは無くなったが、全身がずぶ濡れとなった。
「クッ・・加減がうまくできないな。要練習だな。乾燥」
水洗浄を反省してゆっくり乾燥させることをイメージする。
うっかり急激に乾燥させてしまい、自らがミイラのように干からびるわけにはいかないと考えたからだ。
全身のずぶ濡れの状態がゆっくりと乾燥していく。
「繰り返し練習して加減を覚える必要があるな。まあ、贅沢は言えないよな。これはこれで助かったからな。だが、ボロボロになった服は元には戻らんか」
元々くたびれたスーツだったが、さらに上着もスボンもボロボロになっていた。
片袖は千切れ、ところどころ穴が空き、切れている。
ズボンも片方は膝の部分が切れて、穴が空いていた。
財布は無くしてしまい、スマホも木っ端微塵になっている。
「財布も電子マネーも無くして無一文だな。そもそもここが異世界ならそんなもん使える訳も無いから無一文は変わらんな。しかし、スライムのおかげで色々スキルを貰えたが戦う術が無い。多少はマシになった程度で、絶望的なのは変わらん。さてどうする。とりあえず人の集落を探すか、それとどうにかして戦う術が必要だな。生活魔法でどうにかできないか検証も必要だな。水は生活魔法で大丈夫そうだが、あとは食料を探さないとだ。鑑定を使いながら歩いて探して行こう」
目の前に先ほど踏み潰しまくったスライムがいたので鑑定(極)を使い見てみる。
【スキルスライム
・ここにしかいない特殊個体。
・とても弱いが味が激まずのため、他の
魔物からも見向きもされない。
・倒すと何らかのスキルを手に入れるこ
とができる可能性がある。
ただし、取得できる確率は極めて低い】
「へぇ〜、スキルスライムと言うのか。スキルを手に入れる確率は低いらしいが、自分は大量に潰したことと、色の違うやつを潰したせいだろうな」
大輔は、スライムをそのままにして合ういていくと、サイクロップスが暴れていたところに倒れていた木々を鑑定(極)で見た。
【トレント木材
・サイクロップスにより倒された。
・超高級木材として取引される。 】
「なんと、高級木材になるのか。スキルに異空間倉庫があったな,異空間倉庫に入るかな。おっ・入った」
手で触れて収納を念じてみたら、長さ10mほどの木が突如消えた。
【異空間倉庫
・トレントの木材 】
「お〜、しっかりと入っている。スゲ〜こんなに大きくとも入るんだ。人里で売れたらいいな。これだけスキルを使っているけど具合が悪くならないのかな。魔力切れで頭痛がするとか無いのかな。今のところ何とも無いからこのまま行くか」
何度もトレントの木を異空間倉庫から出し入れを繰り返し確認が済むと歩き出す。
しばらく行くと赤い実を枝に付けた木が見えてきた。
【アポーの実
・長期保存可能。
・独特の甘みと酸味があり。
・人気の高級果物。
※これは全て収穫すべし。 】
「長期保存可能か、これはラッキーだよ」
大輔は、木にのぼりアポーの実を取れるだけ取り始める。
収穫したものは残らず異空間倉庫に入れていく。
アポーの実を一つ食べてみる。
「やはりこれは林檎だよな。しかし、どれだけ入るんだ」
【異空間倉庫
・トレントの木 10m
・アポーの実 153個 】
収穫したアポーの実を一つ食べてみる。
「これはうまい。腹が減っているのもあるけど、これはうまい。高級果物と表記されているだけはある。あっ、そうだ異空間倉庫や気になるスキルの能力も調べておこう」
【異空間倉庫:
・レベルが上がるに従い内部の経過
時間が遅くなる。
・収納量は特別に最初から無制限。
・レベル4ー手に触れていなくても
目視した物を収納可能となる。
範囲は50m先まで。
・レベル5ー倉庫内の時間が止まる。
・レベル6ー自動解体が解放。
・レベル7ー200m先の物を自動収
納が可能となる。
・レベル8ー収納物ごとに経過時間を
設定ができる。
・レベル9ー距離に関係なく、目視
できる場所であれば自由に収納、
放出が可能となる。
・レベル10(MAX)
収納物を分解して新たに再構築す
ることが可能となる。 】
【長生き:
・病気にかかりにくく、かかっても
回復が早い。
・レベルが上がるごとに長寿となっ
ていく。
・レベル10 MAXで不老となる。
※さあ、目指せ不老長寿。 】
【悪運:
・パッシブスキル。レベル無し。
・良くも悪くも思いもよらぬ出来事を
引き寄せる。
良い事なのか、それとも悪い事かは、
起きてみなければ分からない。
・発動条件不明だがいい事もあるかも】
スキル悪運がイマイチわからんが考えても分からないから放置にする。
しかし、鑑定が微妙にウザい言葉が入るみたいだが無視していく。
きっと俺をこの世界に引き込んだ奴が笑って見ているんだろうな。
大輔は再び生活魔法の火を掌の上に灯しながら歩き始める。
火の高さはすでに30センチほどの高さまで出せるようになっている。
そして時々、思い出し下のように水洗浄を横に向けて強く放つこともしていた。
ーーーーー
すでに森の中を彷徨い7日目であった。
生き残るためには各種スキルをレベルアップさせる必要がある。
スキルをレベルアップさせるために、できるだけいろんなスキルを使いながら移動している。
スキルを使い続けていても体に異常は無いみたいだ。
気配察知はレベル2になっていた。
途中、新たな果物を見つけ異空間倉庫にしまってある。
【異空間倉庫
トレントの木 10m
アポーの実 131個
ピピーチの実 172個
カカカオの実 108個 】
どれも鑑定では高級品と表記された。
ピピーチの実は桃、カカカオの実はチョコレートのカカオの実のことらしい。
意外とみんな長期保存が可能らしい。
同時並行の生活魔法の訓練では、種火の炎が成長して5mまで伸ばせるようになったので,火を強化圧縮して炎の剣を作っていた。
「お〜うまくいった。やればできるもんだ。これでとりあえず武器はできたな。しかし、不思議なもんだ。炎の剣を自ら作り出して手で握っているのに熱く無く。やけどもしていない。どんな理屈なんだ?異世界物やファンタジーにイマイチ詳しく無いからさっぱり分からん」
右手に作り上げた炎の剣を満足そうに眺めていた。
「うまく扱えるかな。高校までなら段位は無いけど部活で剣道はやってたんだが、両刃の剣は使ったことないからな。日本刀の形にしてみるか」
大輔は炎の剣を日本刀の形をイメージしながら作ってみる。
「おっ!上手く出来た。これならいけるな」
右手の炎の刀は、最初は赤い色をしていたが今では蒼い色をしている。
『ピロリ〜ン!生活魔法 2 にレベルアップ』
『ピロリ〜ン!レアスキル蒼炎刀を獲得』
「おっ!生活魔法が上がったのか、毎日使っているもんな。それとレアスキル蒼炎刀か」
ステータスを見てみると【生活魔法 2】と表記されている。
「しかしこの声は一体何なんだろうな。聞いても答えは返ってこないし、ほんと分からん」
鑑定(極)を使い蒼炎の刀を見る。
【蒼炎刀
・神々の聖なる炎によって作られた。
・この世界にあるあらゆる物を切り裂き
燃やし尽くす神の炎。
この炎は触れるもの全てを燃やす。
しかし、所有者には無害な炎。
・所有者である大輔以外は扱えない。
所有者以外が持てば死あるのみ。
※立ちはだかる敵は全て燃やし尽くせ!
スキル斬撃と組み合わせ,飛んでいく炎を
イメージして振ると炎の斬撃が飛ばせる便
利機能もあるよ! 】
「えっ!神々の聖なる炎だと・・・これ神剣なの???単なる生活魔法の炎で作ったはずなんだが、これは・・やばくないか。人前では使えんぞ」
大輔は恐る恐る近くの大木前で炎の刀を構える。横に一閃。
大木は真っ二つに切れて倒れ、切口から炎が上がる。
「やばい、水水水水水・・・どこかに水・・あっ、生活魔法があるじゃん」
急いで炎を消そうと強力な水を放つ。
炎は消えたが切れた大木が水の勢いで飛ばされ、そのまま数本の大木をへし折ってしまった。
「・・・もう少し加減を覚えることが必要だな」
付近に民家や集落が無くてよかったと思うのであった。
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