第2話 ユキisドクウツギ◻︎シカク
この作品はフィクションです
現実に存在する国家、地名、組織、人物等には何の関係もありません
一部シーンには現実味を出すためにAi等の力を借りています
それを御留意いただいた上で拝読して下さい
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見た目はブスでも美人でも好きな方を想像すればいい
私は髪を染めても生きる意味を見いだせない高校2年生
遠くからスーツを着た紳士そうな男がやってきて口を開く
「ユキちゃんだよね...僕はタナカ イチロウ...今日は1日...パパという事で...」
タナカは申し訳なさそうに周りの目を気にしながらユキに3万円を渡した
私は素早く回収し
「よろしくねパパ!」
202E年L月4日 15時50分 T県
私は優木棚葉(ゆうき たなは)
通称ユキ
家はS県の田舎にあって父親は居ない、母親は直ぐにバイトをクビになるようなクソみたいなフリーターと付き合ってる
家で母親と盛ってる途中だったソイツの姿を少し見たことがある
あんな男とヤって何が楽しいんだろうと思った
今はT県という都会で遊ぶためにパパとゴハンに行く事で日銭を稼いでいる
私が着ているファッションも日々の積み重ねで得た努力の
私と手を繋いでいるオジサンはタナカと名乗っているが絶対に本名じゃないし手には指輪の跡がある
(妻子持ちがパパ活してんのかな...まぁ...この人は...私に金払い良いから許すけど)
タナカが喋り出す
「ユキちゃんは何年生?こういうのは初めて?」
「初めてです〜!新しいスマホが欲しくて〜!パパとゴハン食べに行こうかなって!」
「ハハハッ...買えるよ...ゴハン食べたらね〜」
こういう大人は死ぬ程に気持ち悪いが利用しない手はない
同級生の馬鹿な女達はダサいファッションに身を包んで自分の家に縛られて生きづらい学校生活を送ってる
私は自分の立場を利用して、こういう寂してくて誰からも必要とされていない人間の心を埋める手伝いをしてる
(もうコレ公共事業ってコトで国から私に金が入らないかな?)
というかラクして金を稼ぎたい、この世は私みたいな女が生きるには難しすぎるし辛すぎる
「あそこに俺の車が止まってるからさ、乗ろっか」
「うわー!自分の車もってるんだ?カッコイイ!!」
コイツらは適当に褒めておけば大丈夫って考えてるけど、車に誘ってくる系のヤツって
マジで調子に乗らないで欲しい
オマエらみたいな死にかけのオッサンを私みたいな若い女が相手にしてやってる事が異常なんだよ光栄に思えよ
車に乗ると煙草臭くは無かったから及第点をあげてやる事にした
ユキは可愛く声を作ってタナカに話しかける
「ねぇパパは今日どこに行きたい〜?」
「え?俺が決めていいのか...そうだなぁ...?」
するとタナカは自分のバックの中を必死になって掻き回し始めた
多少もたついた後にスプレー缶のような物を取り出してユキに吹きかけた
ユキは甲高い声を上げて抵抗し男の顔を殴りつけた
男は殴られ慣れてないのか頭をぶつけて痛みに悶えている
ユキは大急ぎで車から降りて走り出す
遠くに見えるタナカがユキを追いかけて叫んでいる
「良いだろぉぉぉっ!どーせ世界が終わるのにさぁっっっ!!おたかくとまってんじゃねーよJK!!」
男は狂ったように笑い周りのゴミ箱やら看板やらを蹴り飛ばしている
ユキは必死に手を動かして歩きづらい靴で何とか距離を離そうとしていた
(アイツは何?ストーカーになっちゃったワケ...ていうかシートベルトつけてたら危なかった...
というか世界が終わるとかマジで頭がオカシイよアイツ...)
すると警官が2人タナカの方に向かっていくのが見えた
(助かった...ムショ行きになって反省しろよジジイ)
遠くでタナカと警官が喋っているのが見える
ユキは物陰に隠れながらソレを観察していた
(何やってんのよ警察...早くあのバカを捕まえてよ...いやでも...アイツが捕まったら私のパパ活がバレちゃうのかな?お母さんは...どう思うんだろう?)
ユキが色々と考えていると遠くの警官の頭が勢いよく吹き飛んだ
もう1人の警官は逃げ出そうとして焦って転び頭をタナカによって踏み潰されていた
(どういうこと...なんで...人間ってあんな簡単に死ぬの?)
タナカの足は伸び始め身長は2メートル程に大きくなり衣服は破れて全身が黄色い骨の様な鎧に包まれていった
タナカはユキの方を左手で指差すとクラウチングスタートの姿勢を取った
タナカは左手の指を三本立てて3カウントを始めた
3...2...1...
タナカが石造りの地面を蹴り上げると石片が背後の通行人に当たり顔を潰した
タナカは前かがみになり車道を走る車よりも早いスピードで走り始める
ユキは涙を浮かべながら必死になって走る
頭の中には東京に来た事の後悔やら自分の人生への疑念やらが今更になって渦巻いていた
(私の人生...こんな下らない事で終わるの?)
タナカは勢いよくユキの服を掴んで
タナカは低くしゃがれた声で話し始める
「お前は僕が最後に選んだ
ユキは声も出せずに恐怖していると
前方から緑色のコートを着た太った男が走ってきている足にはタナカと同じような骨の鎧が付いていた
(挟み撃ちってこと...私の人生...終わった...)
男はユキを無視して高速で接近するタナカの頭をジャンプして蹴りつけた
タナカの頭が天高く吹き飛び勢いよく地面に落ち鈍い音を鳴らした
ユキは地面を転げ周り服がボロボロになったが大きな怪我は無かった
周囲の人間は悲鳴をあげてコートの男から逃げ回る
男は何やら四角い正方形のカードの様な何かを横にいるワックスで髪を逆立てている男に手渡していた
ユキはボロボロになりながらもできるだけ遠くへと逃げた
202E年L月5日 16時12分 T県 異袋駅北口 周辺
少し遠くに離れただけで街は何も知らない人々で溢れていた
ユキは先程の異常な光景を思い出し身震いしていた
視線を横に移すと、そこには背が低く赤い半袖とベージュ短パン...やっすいスニーカーを履いて
男の周りには不真面目さから負のオーラが漂っている
男が横断歩道を渡ろうとすると信号が赤になった顔だけじゃなく運も悪い様だ
(あれ...アイツってママが付き合ってるクソフリーターじゃん...)
するとユキの手に何か違和感があった、コートの男が持っていたような正方形のカードが付いている
カードには光沢のある紫と緑色の植物の彫刻のような絵柄と
[ドクウツギのシカク]と黒い文字が書いてあった
(なにこれ?これ皆んなもしかして持ってる感じ?)
ユキはフリーターの男に再び視線を移すと目が合ってしまった
男はユキに驚いたのか見ていないフリをしてポケットからスマホを取っていた
(うわ...気まず...なんか向こうもビックリしてるし...)
ユキもそれに合わせてスマホを見るとケータイの画面はバキバキに割れ、着信履歴やメールの履歴が溜まっていた
(なにこれ...もしかしてさっきの事件が話題になってる感じ...?やっぱりアレは現実だったんだ...
みんな心配してくれてるとか?)
突如としてユキは頭を捕まれ勢いよく地面に伏せられた
ユキさモヒカンでガラの悪そうな大男に地面に寝かせられ顔を蹴られている
激しい痛みと混乱からユキは動けなかった
大男は迷彩柄の服を着ており意味不明な言葉を叫び始めた
「にほんこくばんざーい!!せかいのサービス終了はマジカ!!今までアリガトウゥー!!」
周りの人間は男から距離をとって逃げたりスマホを取り出して一部始終を録画しているヤツも居た
しばらく経つと2人の警官が来て男を羽交い締めにした
「そこのキミ!何をやっているんだ!逮捕する...」
ユキは倒れながら警官に期待をしていなかった
(またこのパターンかよ...)
モヒカン大男は全身に力を込めると身体がクマのような体毛で包まれ大柄で凶暴な獣人へと変貌していった
男は駄々っ子のように力任せに警官を近くのコンビニのガラス窓に叩きつけた
ガラスの破片が飛び散って男にも刺さるが力任せが止まらない
もう1人の警官を車道側に投げ込むと警官は走ってきたトラックの前へと落ち勢いよく轢き殺された
よく耳を済ませると辺りからもチラホラ悲鳴や怒号が上がっている事に気づいた
一度、ばら撒かれた狂気が収まる
フリーターの男も逃げ回りユキの事など意に返して無かった
(ふざけやがって...)
いつしかユキの体からは紫色の煙が吹き出していた
暴れていた熊の獣人は突如として激しい痙攣を起こして倒れ動かなくなった
ユキは自分の持っている正方形のカードを眺めていた
[ドクウツギのシカク]
(あぁ...私の能力は...
いつしか紫色の煙は消失してユキは意識を失った
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