僕らの物語〜シェル編〜
昼月キオリ
僕らの物語〜シェル編〜
1話 フローナ登場
街でシェル達と知り合ったフローナは食事に誘われた。
フローナ「ごちそうさまでした!レンさんの料理凄く美味しかったです!」
レン「ありがとうございます」
フローナ「じゃあ暗くならないうちに帰るね」
シェル「フローナも来なよ」
フローナ「え?」
シェル「俺らの旅にさ」
レン「隊長、せめて女性を誘う時はもう少し慎重になって下さいよ
彼女だってこんな男だらけのグループ嫌でしょう」
シェル「嫌?」
ストレート過ぎるシェルの発言にレンは頭を抱える。
フローナ「嫌なわけじゃないよ?でも1人暮らしでアパートの契約とか家族や友達にも話さないと」
シェル「それなら2、3日この街にいるから一緒に行くか、連れてく奴らの顔くらいは知っといた方がいいだろ」
レン「アパートの契約はともかく、家族に何て話すつもりです?」
シェル「え、ちょっとこの子借りてくよって」
レン「・・・」
レンは呆れた表情でじと〜っとシェルを見た。
シェル「え、なんか不味い?」
メリサ「いや、不味いと言うか・・・」
フローナ「シェル、一緒に来てくれる?」
レン「フローナさん良いんですか?こんないい加減な男の言い分聞いて」
フローナ「私が旅したくて行くんだし
1人で行くより安心してくれると思う」
メリサ「そう簡単に了承するかなぁ」
シェル「明日皆んなで行くか」
レン「まぁ、顔も知らない人達について行くとなるよりはいいか・・・」
コキア「ごくごくっ」
コキアは黙ったまま牛乳を飲んでいる。
次の日。
シェル「と言う訳でこの子の契約今日で切っといて
あーそれと部屋の中のもん全部処分しといてくれない?金なら払うからさ」
大家「それは構わないけどこんなにいいのかい?」
シェル「もちろんだ、こっちの都合で振り回しちゃったからな、このくらい当たり前だ」
大家「そうかい、ならありがたく受け取っておくよ」
フローナ「今までお世話になりました」
大家「こちらこそありがとね、気をつけて行っておいで」
フローナ「はーい!」
フローナの両親はシェルと話しているうちに気に入ったらしく話が盛り上がっていた。
母「この子、人一倍手のかかる子だけどよろしく頼むわね」
父「いやー、こんないい男が一緒なら安心だな!!」
シェル「ああ、連れてくからには命に変えても俺が守る」
フローナ「ドキッ」
その日の夜。
シェル「フローナ、この部屋使って」
フローナ「え、でもこの部屋シェルのでしょ?」
シェル「俺は元々あいつらと雑魚寝予定だったんだよ
あいつらが気使って俺専用の部屋作ってくれたんだ」
フローナ「いいの?」
シェル「もちろん、あー、布団変えるからちょい待っててな」
フローナ「ありがとう」
フローナ"こんなお姫様待遇でいいのかな"
〜体調不良〜
キッチンにて。
メリサ「もう、フローナちゃん体調悪い時はちゃんと僕に言わなきゃダメじゃないか」
シェル「そうだぞ〜フローナ」
フローナ「すみません・・・体調悪い事が多いので無視する癖がついてて」
メリサ「今まではそうでもこれからはちょっとでも異変を感じたらちゃんと僕に言うように、事前に防げるような薬配合してあげるから」
フローナ「はい・・・ありがとうございます」
シェル「うんうん」
メリサ「隊長、き、み、も、だよ」
シェル「え、俺も??」
メリサ「そうだよ、隊長は腕が折れててもヘーキそうにヘラヘラ笑ってるんだから困ったもんだよ」
フローナ「え?そ、そんなことがあったんですか・・・?」
メリサ「フローナちゃんが仲間になる前にね」
シェル「まさか折れてるとは思わなかったんだよ・・・まぁさすがに槍が脇に貫通した時は痛かったけどな!ははは」
レン「はははじゃありませんよ」
その時、三時のおやつを作り終えたレンが背後からレシピ本の面でシェルの頭を軽くぽすっと叩く。
シェル「だって我慢できちまうんだもん」
レン「我慢って言ってる時点であなたの場合大怪我なんですから、俺たちが日頃どれだけ心配してると思ってるんですか」
メリサ「ま、それはレン君も同じなんだけどね・・・全く、君たちは僕がいなかったら死んじゃうんだからね」
シェル「おー、だからメリサは絶対俺らに必要ってことだ」
メリサ「!・・・それは狡いじゃないか」
そこへコキアが起きてきた。
コキア「ふぁ・・・おはようございます」
メリサ「おはようコキア君って血!額から血出てるよ!」
コキア「え?ああ、そう言えばさっき起きた時に運転席の壁に激突した気が・・・」
メリサ「早く治療室に行くよ!」
コキア「分かりました」
メリサ「もーほんっとに君たちは!」
プンスカしながらメリサはコキアの手を取ると治療室へと向かうのだった。
〜フローナ風邪〜
レン朝ごはんの支度中。
レン「フローナさん、どこか具合悪いですか?」
フローナ「え?いや、悪くないですけど」
レン「何か顔色悪くないですか?ちょっとおでこ触りますよ」
フローナ「!」
フローナ"わ、レンさんの手おっきいなぁ
シェルと同じくらいの大きさなのに違う暖かさと優しさ"
レン「これ熱ありますね、フローナさんは部屋でゆっくりしてて下さい」
フローナ「え、わぁ」
フローナはレンに肩を押されながらシェルのいる部屋へ入るとシェルは起きていた。
珍しく爆睡していたらしい。
シェル「何、どした?」
レン「フローナさん熱あります、おそらくこれから上がるかと」
シェル「え、大丈夫か!?」
シェルは慌ててフローナに駆け寄る。
シェル「少し熱いな」
フローナ「大丈夫だよこれくらい」
シェルはフローナのおでこにデコピンする。
フローナ「あいたっ」
シェル「ばーか、大丈夫じゃねーの」
レン「俺、お粥作ってきます」
フローナはおでこをさする。
フローナ「え、わざわざ悪いですよ!」
レン「簡単ですし大丈夫ですよ」
フローナ「シェル、風邪が移っちゃうよ」
シェル「俺風邪引かないから大丈夫だよ
免疫力くっそ高いから」
フローナ「そ、うなんだ」
フローナ"確かに高そう"
その夜、フローナの熱は上がり、苦しそうにしていた。が。
フローナ「シェル、ごめん、やっぱ1人にして欲しい
今日は皆んなの部屋に行って」
ぶっちゃけフローナは頭痛やら吐き気やらでイラついていた。
表に出さないように平静を装ってはいるが・・・。
シェル「分かった」
レン「あれ、隊長フローナさんと一緒に寝ないんですか?あなた風邪移んないでしょ」
シェル「1人にしてって、今日は皆んなのとこ行ってってさ」
レン「あー邪魔だから出てけって言われたんですね」
シェル「おっま!そんな言い方フローナはしてねぇ!・・・俺が気にしてる事を・・・」(ず〜ん)
部屋の片隅にしゃがみ込むシェル。
メリサ「え、何なに、隊長どしたのさ?笑」
レン「フローナさんに部屋から追い出されたらしいですよ」
メリサ「ぷっ、何それダッサ!」
シェル「お前らなぁ!」
レン「隊長、大丈夫ですよ
熱でつい本音が出ちゃっただけですって」
レンはニヤニヤしながらシェルの肩に手を置く。
シェル「フォローになってねーよ!!」
メリサ「だいたい普段隊長はフローナちゃんにくっつき過ぎなんだって」
レン「そうですよ」
今がチャンスだと言わんばかりに2人はシェルをいじめる。
次の日。すっかり体調が戻ったフローナ。
フローナ「わ!?シェルどしたの?」
シェルは部屋の片隅でまだいじけていた。
レン「あ、フローナさん!体調大丈夫ですか?」
フローナ「はい!もうすっかり!ありがとうございます、メリサさん、薬ありがとうございました」
メリサ「いえいえ、元気になったみたいで良かったよ!」
レン「すみません、昨日隊長をいじめ過ぎてあんなになっちゃいまして」
フローナ「シェル、何して虐められたの?」
シェル「何で誰も俺の味方してくんねーんだよ!」
フローナ「ごめんごめん、昨日私が部屋から追いだ・・皆んなの部屋に行ってもらったのを」
シェル「今追い出したって言いかけたよね!?」
フローナ「・・・そんな寂しかったの?」
シェルは不貞腐れながらフローナにぐい〜っと体重をかける。
フローナは微笑むとシェルの頭を優しく撫でた。
〜しゃっくりが止まらない〜
レン「それで、次はどのルートで行くんです?」
レンは畳の上に地図を広げて次の街に行くルートを確認していた。
フローナ「ひっく」
シェル「んー、こっちの道から行くか」
フローナ「ひっく」
レン「それなら途中で買い出しに出れそうですね」
シェル「そうだな」
フローナ「ひっく」
シェル「メリサ・・・フローナのしゃっくり止めてあげてくれ」
メリサ「いくら僕でもしゃっくりを止めるなんてできないよ」
レン「驚かせると止まると言いますがねぇ・・・」
シェル「フローナの場合、心臓止まり兼ねないからそれは待った」
コキア「それなら僕止められますよ」
メリサ「え、コキア君どうやって??」
コキア「フローナさん、お水飲んで下さい」
フローナ「ひっく、分かった」
コキア「3、2、1で止まりますから、いきますよ?
3、2、1」
シェル「お?止まった?」
メリサ「コキア君すごーい!」
シェル「え、何、今のマジック!?」
コキア「違いますよ、ただの心理トリックです
疑い深い人には効きませんがフローナさんみたいに素直な人には効きやすいんです」
レン「なるほど、思い込みを利用したテクニックですね」
フローナ「ありがとうコキア君、助かった!」
コキア「いえいえ、役に立てて何よりです」
その後フローナはしゃっくりが出るとコキアに止めてもらうようになった。
〜自信のあり方と落ち込まない理由〜
フローナ「シェルってほんと自信家よね」
シェル「ん?俺、自信なんかないよ」
フローナ「嘘」
シェル「本当だよ、だって言うのが先だもん」
シェルは人差し指を立てて言った。
フローナ「!それは一理あるかも」
シェル「でしょでしょ」
メリサ「隊長でも落ち込むことあるのかね
レン「隊長は能天気のかたまりですからね」
シェル「あのねぇ」
フローナ「でも、確かにシェルが落ち込んだとこ見たことないね」
シェル「んー落ち込む理由がない訳じゃないよ、
でも、俺が落ち込んでる間にお前らに何かあったらずっと後悔するだろうし
それにその落ち込んでる時間、お前らと楽しいことしてた方が良いじゃん・・・ってどうしたお前ら?」
天を仰ぐ一同。
メリサ「自分の汚れた心が浄化された気がするよ、後光差してるし」
レン「右に同じく」
シェル「え、何どゆこと?」
フローナ「シェルが尊いってことだよ」
シェル「うん?」
コキア「?」
〜自分を大事に〜
隣に座って酒を飲んでいた男が暴れ出し、酒瓶を机に叩き付けた。
その破片がメリサの顔の方へ飛んで来た為、シェルは咄嗟に腕で庇った。
メリサ「!隊長!腕が」
シェル「大丈夫、ただの擦り傷だ」
フローナはズンズンとその男の元へ行き胸ぐらを掴んだ。
男「なんだおま・・・ひぇ」
フローナ「ちょっとお話いいかしら!?」
フローナはその男をずるずると店の外へ引きずっていった。
メリサ「隊長いいのかい?行かなくて」
シェル「あの男じゃフローナに敵わないから大丈夫」
レン「気の毒に」
数分後。
レン「あ、戻って来ましたね」
フローナ「ここにいるみんなー!お代はこの人が持つって!」
男「はい、払わさせて頂きます」
"くそぅ、この女めちゃ強ぇじゃん・・・て事はこいつらはもっと強いのか!?"
フローナ「ごめんなさいは?」
男「ご迷惑をおかけしてすみませんでした・・・」
客1「まじかよー!ラッキー!」
客2「いいぞーねーちゃん!カッコいい〜!」
店にいた全員がフローナに拍手と歓声を送った。
メリサ「フローナちゃんには敵わないね」
シェル「あぁ」
メリサ「隊長」
シェル「ん?」
メリサ「さっきは庇ってくれてありがと」
シェル「俺は当たり前な事しただけだよ」
メリサ「手当てするから来て」
シェル「えー?こんなもん唾でも付けときゃすぐ治るって」
メリサ「だーめ!隊長はもっと自分を大事にして」
シェル「・・・ありがとな」
シェルは一瞬驚いたような表情をした後、優しく笑って礼を言った。
メリサ"隊長、僕は君がいなかったらこんなに楽しい毎日を送れなかったよ
だからさ自分の事ももっと大事にしてよ"
〜悪夢の原因〜
フローナの悪夢の原因とついに対決することになったシェル。
シェル「ついにのこのこ出てきたな」
「邪魔をするな半妖風情が」
シェル「フローナが毎日のように悪夢見るって言うからなーんかあるなとは思っていたが・・・やっぱり妖怪が取り憑いてやがったな、
お前だろ?フローナの正気を吸い取ってたの」
「その通り、だが、お前と出会ってからは吸い取れなかった、お前の強い妖気があるとどうも力が鈍るらしい」
シェル「なるほど、俺が防御壁代わりになってたってことか、
どうりで旅を始めてから悪夢を見なくなったってフローナが言ってた訳だよ、
俺と丸一日離れた日なんて旅を始めてからなかったからな」
シェルが眠っているフローナをチラッと見る。
「俺にとってお前は邪魔でしかない」
シェル「その言葉、そっくりそのまま返すぜ、
俺は仲間を傷付けられるのが一番嫌いなんだ、覚悟しろよ」
悪夢の原因を倒した次の日。
フローナ「あの、シェル・・・」
シェル「んー?」
フローナ「昨日のこと私、よく覚えてないんだけどありがとう、メリサさんから聞いたよ」
シェル「良かったな、悪夢から解放されて」
フローナ「うん!」
シェル「あんなもん覚えてなくて正解だよ」
フローナ「あ、でもでも、シェルが守ってくれてるなっていうのは伝わってたよ?」
シェル「え、どうやって??」
フローナ「本当はね、旅を始めてからも悪夢はあったの」
シェル「え?でも無くなったって言ってたよな?」
フローナ「うん、だって、悪夢が来るたびにシェルが戦って守ってくれてたから、
悪夢が悪夢じゃなくなってたんだよ」
シェル「夢に俺が?」
フローナ「うん」
シェル「いつも?」
フローナ「うん」
シェル「(ぶわっ)」
フローナ「どしたの?」
シェル「いや、何でもない」
〜安全ルート〜
キャンピングカー。ミーティングルーム。
フローナ「この道真っ直ぐ行った方が早くない?」
シェル「いや、この道は危険が多いんだ、遠回りにはなるがこっちの道から進もう
目的地に早く着くよりも"お前ら"の安全が最優先だ」
シェルは畳の上にあぐらをかきながらそう言った。
フローナ「・・・」
小さな治療部屋。
メリサ「フローナちゃん?どしたのさ」
フローナ「昼間の事で」
"お前らの安全が最優先だ"
フローナ「シェルは俺らって言わないんだなって」
メリサ「隊長はいつもそうだからね
僕らには過保護なくらい思考を回すのに自分の事は置き去りにする」
フローナ「それがちょっと悲しいです」
メリサ「隊長が自分のこと大事にできないんなら僕らがいっぱい大事にしてあげようね」
フローナ「はい!」
メリサ「ははは、君は健気で可愛いねぇ!」
〜花の居場所〜
チューリップ畑に来た時の話。
フローナ「わぁ、チューリップ綺麗〜!」
シェル「持って帰って飾る?」
フローナ「ううん、せっかく咲いてるのに摘んだらかわいそう
それにこの子たちの居場所はきっとここなのよ」
シェル「フローナってほんと花好きだよな」
フローナ「うん」
シェル「俺、フローナのそーゆーとこ好き」
フローナ「え」
シェル「ははは、顔真っ赤!」
フローナ「誰のせいよ」
〜フローナの感〜
とある屋敷に足を踏み入れた時のこと。
「お待ちしてました!ささ、こちらへ」
家の主人に案内され、中に入った。
そして飲み物を出された。
しかし、シェルは出された飲み物に手を出さない。
皆んなも同じように手を出さない。
レンが作った食事以外を口にする時はシェルが毒が盛られていないか匂いで判断した後に食べ始めるようにと言われていたからだ。
「どうかされましたかな?」
シェル「ねぇ、これ毒入ってるよね?」
「・・・なぜ分かった」
シェル「匂いでね、それに君たち、最初からずっと殺意ダダ漏れなんだもん」
「さすが半妖だな、鼻が効くらしい」
シェル「まぁね」
シェル"フローナに関しては敷地内に入っただけで違和感を感じてたしな
フローナの感は妙に当たるんだよな"
15分前。
フローナ「何かここ怖い」
メリサ「どしたのさ?」
フローナ「あ、えと、何となくなので自分でもよく分からないんです」
シェル「分かった、お前ら用心しとけ」
フローナ「でも気のせいかも!」
シェル「いや、気のせいでも用心に越したことはない」
シェル"俺は直接その場に行って匂いを嗅いで状況を把握したり、相手の表情や仕草を見たりする事で思ってる事や考えてる事を読み取る事はできる、
でもフローナはたどり着く前から相手に会う前から危険かどうか察知してる、
本人は気のせいだと思ってるみたいだが・・・
俺でさえ気付かない事に気付くんだもんな"
シェル「フローナ、怖いと思ったらそれでいいんだ
違ってたって誰も責めないし、ついでに違ったらラッキーって思っとけばいい、な?」
フローナ「う、うん」(キュン)
〜うちのお姫様は〜
仲間を傷付けた貴族に対し、
ワニに食われそうな貴族を見捨てたフローナに貴族が反抗する。
貴族「助けてくれても良かっただろ!!」
貴族「お前らは俺たちを助けるべきだ!俺たちは貴族だぞ!」
貴族「そーだそーだ!」
フローナ「は?」
貴族「ひ!?」(ビクッ)
貴族「!?」
フローナ「仲間を傷付たあんたらの命なんかチリほどにも興味ないわ」
貴族「な、ななな・・・」
貴族「し・・・ん」
シェル「だから言ったじゃん、うちのお姫様は怒らせたら怖いって」
レン「自業自得ですね」
メリサ「うんうん」
コキア「桃食べたい・・・」
2話 レンの過去
シェル「なぁレン、最初に殺した奴の事覚えてるか?」
レン「忘れたくても忘れられませんね
最初に殺したのは実の父親でしたから」
俺の父親は暴力を振るう人だった。
10歳の時。ついにエスカレートした父が母に椅子を振り上げた。
俺は無我夢中で父の背後から花瓶を頭部目掛けて投げて命中。
そのまま父は息を引き取った。
母は俺を庇って警察に逮捕された。
日頃暴力を振われていた事もあり、逮捕期間は短かかった。
出所して数年が経った頃、母は病で亡くなった。
俺はその後随分荒れた。
そんな折、隊長に出会った。
シェル「今でも覚えてるよ、お前と出会った時の事
光を帯びないこの世の全てに殺意を抱いてるような目に
俺はどうしようもなく惹かれたんだ」
レン「隊長も物好きですよねぇ、普通近付きませんよ」
シェル「なぁレン、俺といて楽しいか?」
レン「えぇ、隊長の面倒見るのは大変ですけど」
シェル「おー耳がいてぇ」
レン「ですが、あなたに出会えて良かったですよ」
シェル「!俺もだ」
レン「隊長覚えてます?あの時あなたが言った言葉」
シェル「え、何だっけ?」
レン「俺がお前の居場所になるってくっさい台詞言ったでしょう」
シェル「あー言ったわ」
レン「嬉しかったんですよ」
シェル「へへ、照れるじゃん」
シェルは鼻の下を人差し指で小さく掻いた。
レン"あなたは眩しかった
出会ったあの日からずっと
どんな暗闇も照らしてしまうくらい眩しくて
そんなあなたに俺がどれだけ憧れたか
きっとあなたは知らないでしょうね"
じっとシェルの顔を見るレン。
シェル「何?」
レン「いえ」
シェル「なぁ、レンは何で仲間になってくれたんだ?」
レン「あなたがしつこかったからですよ」
シェル「だってお前」
レン「?」
シェル「ずっと同じ場所にいたから」
レン「!」
シェル「本当に俺が嫌なら場所変えて逃げるだろうなって
それに武器も向けて来なかったしな」
レン「・・・っ」
レンは悔しそうに顔を赤く染めた。
不意打ちを食らったような顔をした。
レン"手を伸ばすのが怖かった
差し出された手を取れば暗いだけの自分が消えて無くなってしまいそうで
なのにまた明日も来るのではといつの間にか願っている自分が苦しくて
そんな自分を救って欲しくて
輝く太陽のような笑顔を向けるあなたのその手を取った"
シェル「俺は両親を殺した罪悪感から逃げたくてチェルを可愛がった
弟と離れた寂しさから早く仲間を作りたくてお前に執着した
俺はお前が言うような綺麗な奴じゃないよ」
レン「いいじゃないですか、今こうして一緒に旅できてるんですから
俺はそんな隊長だからこそ救われた
弟さんも自慢気に言ってましたよ
にーちゃんは俺のスーパーヒーローなんだって」
シェル「・・・」
レン「あ、隊長ひょっとして泣いてます?」
シェル「泣いてないし」
〜レンは優しい?〜
フローナ「レンさんって女の人に優しいんですね」
レン「?俺は優しくないですよ」
シェル「そういや、レンが女の子に優しくしたのなんて見た事ないな」
フローナ「え、でも・・・」
メリサ「そうそう、女の子に話しかけられてもいっつも無愛想だしましてや相手を気にかける事なんてないさね」
フローナ「そ、そうなんですか?私にはそうは見えないですけど」
シェル「あー、レンはな、心を許した相手には懐くんだよ」
レン「懐くって犬じゃないんですから・・・」
シェル「警戒心の強い犬みたいなもんじゃん」
レン「それを言うならあなたの方が犬でしょう」
シェル「えーそうか?」
フローナ「そうねぇ、シェルはゴールデンレトリバー、レンさんはドーベルマンって感じ」
メリサ「わ、それめちゃ分かる!」
レン「フローナさんにとって俺も犬みたいな感覚なんですか・・・」
シェル「まぁ、俺はフローナが飼い主ならアリだな」
レン「あんたそれ本気で言ってんですか・・・」
シェル「だってさー、そしたら頭撫でてもらったり散歩連れてってもらったり、ご飯の用意もしてくれるんだぜ?めちゃいいじゃん!」
フローナ「え?シェルって撫でなでされたかったの?」
フローナ"それなんか可愛い"
コキア「でも、それじゃいつもの隊長と変わらないような」
シェル「え」
メリサ「確かに・・・頭撫でなではともかく、僕ら散歩は毎日一緒にしてるようなもんだし、レン君にご飯の用意もしてもらってるしねぇ」
シェル「はっ・・・って事はひょっとして俺の飼い主はレン・・!?」
レン「勝手に俺を飼い主にしないで下さい」
メリサ「何か自己完結したみたいだね」
フローナ「うーん(笑)」
〜寄せ鍋〜
お昼。
シェル「そばにいていいか?」
フローナ「でも・・・」
シェル「泣いても怒ってもいいからそばにいさせて欲しい」
フローナ「うん」
・・・。
フローナ「シェル、ごめんね、迷惑かけて」
シェル「こんなの迷惑のうちに入んないよ」
シェルはフローナの頭をポンポンする。
フローナ「ありがと」
シェル「手繋ぐか?」
フローナ「え?」
シェル「弟が泣いてる時によく手繋いたんだ
そしたらすぐ泣き止んでてさ
嫌だったら・・・」
フローナはそっとシェルの袖を掴んだ。シェルは微笑むとその手を優しく握った。
数分後、フローナがうとうとし始めた為、そのまま寝かせる事にした。
メリサ「隊長、入るよ」
シェル「ああ」
メリサ「フローナちゃん眠れたみたいだね」
シェル「うん」
メリサ「・・・ずっと手繋いでたのかい?」
シェル「まあな、弟にしかやった事なかったから効果あるか分かんなかったけど
しばらくしたら落ち着いたみたいでさ
うとうとしてたからそのまま寝かせようと思ってな」
メリサ「そうかい、それなら後は隊長に任せるよ」
シェル「うん」
・・・。
フローナ「ん・・・あれ、私寝ちゃってた?」
目こしこし。
シェル「起きたか」
フローナ「シェル、えーと・・・手もしかしてずっと繋いでてくれたの?」
シェル「うん」
フローナ"そっか、シェル振り解かずにいてくれたんだ・・・"
フローナ「あの、ありがとね?」
シェル「いえいえ、さっきよりは顔色良くなったな
良かった」
フローナ"シェルはほんと優しいなぁ・・・"
夜。
メリサ「よし!僕はこれからフローナちゃんの不調を無くす薬を開発するよ!」
シェル「珍しくやる気だなメリサ」
レン「それなら俺は微力ながら元気になれる食事を調べて作ります」
フローナ「メリサさん、レンさん・・・」
コキア「なら僕は抱き締めてあげます」
フローナ「え?///」
コキア「抱き締めると精神が安定すると言うデータがあるんです」
シェル「な!コキアずるいぞ!俺だって手繋ぐだけで我慢したのに!あ・・・」
コキア「手、繋いだんですか?」
レン「ほぉ?それは聞き捨てなりませんね」
シェル「いや、フローナが落ち込んでたから励まそうと、ちょっとだけな??」
レン「急にもごもご言うじゃないですか」
メリサ「いーや、ガッチリ繋いでたね、しかもず〜っと!」
シェル「メリサ!レン、落ち着けって、な?」
レン「問答無用!」
レンは刀を鞘から抜くとシェル目掛けて振り下ろす。
シェル「ひえぇ!助けてぇ!」
当然シェルは逃げる。
フローナ「ふふ」
コキア「・・・」
コキアは二人は追いかけっこをしている隙にフローナに近付くとぎゅっと抱き締めた。
フローナ「え、ちょっと、コキア君!?///」
シェル「あー!どさくさに紛れて何フローナに抱き付いてんだ!」
レン「そうですよ!抜け駆け禁止ですよ!」
フローナ「まぁまぁ!コキア君まだ子どもなんだから」
シェル「俺の一個下なだけじゃい!」
レン「そうですよ!13歳はもう立派な男です!」
コキア「二人もフローナさんとハグしたいんですか?」
シェル「え、そりゃまぁ・・・」(照れ)
レン「んん!」(咳払い)
メリサ「じゃあもうまとめて皆んなでハグしちゃおうよ♪」
フローナ「え?わぁ!」
メリサはフローナに抱き付いてるコキアごと抱き締める。
シェル「俺も俺もー!!」
レン「いえ、俺は・・・」
シェル「つべこべ言ってないでお前も来いって!」
シェルはレンの腕をグイグイと引っ張った。
レン「え、ちょっと!」
最終的に一番体がデカいシェルが全員を抱き締める形となった。
フローナ「あったかーい!」
メリサ「だね♪」
コキア「・・・」
レン「やれやれ・・・今日の夕飯は寄せ鍋ですね」
〜自分の為に人を殺めても〜
レン「隊長は冷酷な人ですよ」
フローナ「え、冷酷ですか・・・?そんな風には見えないけどな・・・」
レン「例えば我々が誘拐されたとして
隊長の足止めをする為に敵が子どもを人質に取ったとしますよね」
フローナは頷く。
レン「そうなった場合、隊長は1ミリも迷うことなく子どもごと相手を切り捨てて先に進むでしょう、
仲間を守ろうとした時の隊長は絶対に揺らぎません、
そういう男なんですよ」
フローナ「そういう場面に出会したことあるんですか?
フローナのその言葉にレンは困ったように微笑んだ。
レン「フローナさんもいつか背負うことになるかもしれません、隊長はそれを恐れているんです、
ですからその時はどうか隊長を受け入れてあげて下さい、隊長が一番気にしていることでしょうから、仲間に命を背負わせてしまうことを」
フローナ「私・・・正直その場にならないと分からないです」
レン「ええ、それは仕方のないことです、我々もそうでしたから」
フローナ「でも」
レン「?」
フローナ「少なくともシェル一人に背負って欲しくないです、シェルには笑っていて欲しいから」
レン「その言葉、隊長が聞いたらきっと喜びますよ」
〜フローナとレンの精神不調〜
メリサ「あれ、フローナちゃんまだ起きてこないね、僕起こしに行ってくるよ」
シェル「いや、俺が行くよ」
コンコン。
シェル「フローナ、開けるよ」
フローナはベッドの淵に座ったまま青い顔をしていた。
シェル「フローナ、何かあったか?」
フローナは首を左右に振る。途切れ途切れに言う。
フローナ「急に不安と恐怖感がきて・・ごめ、ね・・・時々あることだから大丈夫」
フローナ"こんな私じゃ皆んなに見放されても仕方ないよ・・・"
そんなフローナをシェルが抱き締める。
シェル「大丈夫だ、俺らが付いてる、俺に言いにくい時はメリサやレンやコキアに言ってくれていいからな」
フローナ「うん・・・ありがと」
それから二週間後。
レンが突然、息が苦しいと廊下でしゃがみ込んでしまった。
フローナ「レンさん、大丈夫ですか?今メリサさんを」
シェル「フローナ、大丈夫、俺がやるから」
その時、シェルが後ろから声を掛けてくれた。
フローナ「え?」
シェルがレンを抱き締めていると続いてメリサがやって来た。
メリサ「フローナちゃん、ちょっといいかい?」
フローナ「は、はい」
メリサはフローナをキッチンに連れて行く。
フローナ「フラッシュバック?」
メリサ「うん、レン君の場合、過去のことを思い出して過呼吸になっちゃう時があるんだ」
フローナ「あんなにしっかりしたレンさんでさえ・・・」
メリサ「何かを抱えてるのはフローナちゃんだけじゃないってことさ、
大丈夫だよ、フローナちゃんやレン君には僕らがついてるんだから」
フローナ「ありがとうございます・・私、こんな弱いまままだと皆んなが離れていっちゃうんじゃないかって不安だったんです」
メリサ「んー、じゃあさフローナちゃん」
フローナ「はい、何ですか?」
メリサ「フローナちゃんは隊長はよく暴走するけど嫌になったかい?」
フローナ「え、いえ、全く」
メリサ「それと同じじゃないかな」
フローナ「全然違う気がしますけど・・・」
メリサ「それは仲間として一緒にいるからだろう?
他人だったら面倒だし放っておくよ」
フローナ「まぁ、確かに・・・」
メリサ「何百回も同じ場面見てるのに全然嫌じゃなくて
放っておけないって思うのって仲間の特権じゃないかなって僕は思うよ」
フローナ「そうですね、私も全然嫌だって思ったことないです」
メリサ「だろ?それで、レン君のことなんだけど、
なーぜか隊長が抱き締めると発作が治るんだよね」
フローナ「不思議ですね、私の時もそうでした」
メリサ「おや、フローナちゃんもなのかい」
フローナ「シェルには不思議な力があるのかな」
メリサ「あれはアニマルセラピーだよ」
フローナ「ぶっ、ちょっメリサさんそれ的確過ぎます」
メリサ「あ、今の上手かった?」
メリサはケラケラ笑っている。
それにつられてフローナも笑う。
シェル「だーれがアニマルセラピーだメリサ」
後ろからすかさずツッコミが入る。
メリサ「やだよ、聞いてたのかい?」
フローナ「シェル、レンさんは・・・」
シェル「心配すんな、今眠ってるよ」
メリサ「そうかい、ならひとまず安心だね」
フローナ「悩んでるの私だけじゃなかったんだな・・・」
シェル「ん?あー、精神的なやつか」
フローナ「うん」
シェル「まぁ、何にも抱えてない奴なんかいないだろ」
フローナ「そっか、そうだよね・・・」
メリサ「ってことは隊長も何か悩んでるのかい?悩んでるの見たことないけどさ」
フローナ「でも確かにシェルが悩んでるとこ見たことないね、怒ってるとこもないし」
メリサ「隊長は基本的に喜怒哀楽の喜と楽しかないんだよ」
フローナ「それも凄いですね」
シェル「あのねぇ・・俺だって悩む時くらいあるっての」
メリサ&フローナ「「例えば?」」
シェル「え?うーん、悩み、悩みかー・・うーん」
メリサ「悩みがないことに悩まないどくれよ」
その時、コキアが眠そうな目を擦りながらキッチンに入って来た。
コキア「ふぁ・・・」
フローナ「あ、コキア君おはよう」
コキア「おはようございます」
メリサ「あ、そうだ、今レン君眠ってるんだった、
えーと、コキア君、桃と牛乳でいいんだったよね?」
コキア「はい、あ、フルーツ牛乳にしてもらえると」
コキアはフルーツと牛乳しか食べない。
特に桃の季節になるとそればかりだ。
メリサ「はいよ」
フローナ「あ、私やります」
メリサ「ありがと、一緒に作ろうか」
フローナ「はい!」
二人が作業に取り掛かると
コキアがシェルの裾をくいくいっと掴んだ。
シェル「ん?どしたコキア」
コキア「何かあったんですか?」
シェル「あぁ、さっきレンが発作起きてな、けど今眠ってるから起きたら治ってると思う」
コキア「なるほど」
10分後。
メリサ「はいよ、コキア君」
フローナ「どーぞ」
コキア「ありがとうございます・・・ごくごく」
その時、レンがキッチンに入ってきた。
顔色はだいぶ良くなっている。
フローナ「あ、レンさん!」
シェル「よー起きたか、気分どうだ?」
レン「大丈夫です、ご迷惑をおかけしました」
メリサ「全然だよ」
フローナ「レンさん元気になって良かった」
シェル「んじゃ、俺焼き魚食いたいー!」
メリサ「ちょいちょい、レン君病み上がりなんだから今日は適当にパンでも買って」
レン「俺ならヘーキです、というか何もしてないと落ち着かないです」
メリサ「そうかい?ならいいんだけど、無理はしないでおくれよ」
レン「ええ、ありがとうございます」
3話 メリサ登場
レンが風邪を引き、薬を買いに店に入った時のこと。
メリサ「連れの方、風邪かい?」
シェル「ああ、熱があるんだ、けど半妖の連れってだけで病院にも行きづらくてな」
メリサ「なら僕が看病してあげるよ」
シェル「え!?マジでいいのか?」
メリサ「うん」
シェル「ありがとう!!助かるよ!」
キャンピングカーに移動し、
しばらくしてメリサが調合した薬が効いてきたのかレンは穏やかに眠っている。
シェル「ありがとう、君のおかげで助かったよ」
メリサ「いいよ、てゆーか、君、仲間はあのレンって人だけなのかい?」
シェル「ああ、そうだよ」
メリサ「医者一人くらい仲間にしたらいいのに」
シェル「君、なってくれない?」
メリサ「いいよ、僕が仲間になってあげる」
シェル「え、本当に??」
メリサ「何か楽しそうだし」
シェル「ありがとう!!」
メリサ「ところで、僕、男なんだけどいいの?」
シェル「うん?最初から知ってたよ」
メリサ「よく気付いたね」
シェル「動き見てれば分かるよ」
メリサ「さすが半妖君だね・・・僕はメリサだよ」
シェル「シェルだ」
二人はそう言って握手をした。
〜メリサ事情〜
シェル「メリサは女の格好してるが男だぞ」
フローナ「え!?」
メリサ「そう言えばまだ言ってなかったね」
フローナ「えと、とゆうことは心は女性なんですか?」
メリサ「いや、僕は綺麗なものが好きなだけで心は男だよ」
フローナ「なるほど」
メリサ「引いたかい?」
フローナ「いえ!好きなものに真っ直ぐなメリサさん素敵だと思います!」
メリサ「あはは、君はいい子だねぇ」
フローナ「??」
シェル「ま、フローナならそう言うだろうって俺は思ってだけどな」
〜メリサの狙撃〜
崖にフローナが落ちそうになるが、何とか手で崩れていない部分を掴んだ。
レン「フローナさ!・・・ほっ・・今引き上げます」
しかし、そんなフローナの足元から敵が忍び寄る。
フローナ「ありがとうございま・・・ひぇ!?」
レン「フローナさん!」
メリサ「任せて!」
フローナ「!」
メリサがフローナの手を掴むレンの上から敵に銃を向けた。
バンッ!!
一瞬で敵を撃退した。
メリサ「フローナちゃん捕まって!」
レンとメリサがフローナを引き上げた。
フローナ「ありがとうございます」
レン「無事で良かったです、それにしてもさすがメリサさんですね、あの状態から敵を正確に撃ち抜くとは・・・」
フローナ「本当、凄いですメリサさん」
メリサ「射撃なら任せておいて!」
〜メリサとローズ①〜
過去。15年前。
ローズ「あなた男ですの?」
メリサ「そうだよ」
ローズ「心はどっちですの?」
メリサ「男」
ローズ「わたくし、あなたの事気に入りましたわ、
友達になりましょう」
メリサ「うん、いいよ」
二人はガッと握手した。
それからは幼馴染みたいに一緒にいたよ。
親同士の問題で途中からは離れ離れになってしまったけど、僕は一度だって彼女を忘れたことはなかった。
フローナ「メリサさんはローズさんに気持ちは伝えたんですか?」
メリサ「いや・・・怖かったんだ、気持ちを伝えてしまう事で
唯一の心のよりどころである彼女との関係が壊れてしまうのが」
フローナ「それはローズさんも同じ気持ちかもしれないですよ?」
メリサ「そうかもしれないね、フローナちゃん聞いてくれてありがとう」
フローナ「いえいえ!また会えるといいですね」
メリサ「うん」
次の日。
5人が街を歩いていると・・・。
突如バラの花びらが舞った直後、上空から声が聞こえてきた。
ヘリの梯子に派手なドレスを身に纏った一人の女性が乗っている。
ローズ「お久しぶりですわねメリサ」
メリサ「あ!?ローズ!!」
タッとメリサが地面に着地すると三人の黒スーツにサングラスの男性が現れた。
メリサ「この人たちは?」
ローズ「この三人は私のボディーガードですわ」
メリサ「まじか」
ローズ「まじですわ、名前はハリラ、ベルベル、ケフタ」
ハリラ「よろしく」
ベルベル「よろしく」
ケフタ「よろしく」
メリサ「よ、よろしく」
見た目じゃ全然違いが分からない・・・。
ローズ「浮浪者をやっていたからスカウトしたんですのよ」
メリサ「相変わらず大胆なことするね、
あれ、でもそしたら給料払うんじゃないの?家とは縁切ったって言ってなかった?」
ローズ「ええ、もちろん自分で稼いだお金から払ってますわ」
メリサ「え!?凄いじゃないか、何の仕事してんのさ?」
ローズ「ドレスのデザイン会社の社長をしてますのよ」
メリサ「まさかの社長!?」
そんなこんなでローズとボディガード三人としばらく旅を共にすることになった。
メリサは旅が始まると真っ先にバラの花束をローズに渡した。
メリサ「僕は君が好きだ、やっと言えたよ」
ローズ「ありがとうメリサ、メリサ、わたくしも次にあなたに会ったら言おうと思ってましたのよ」
メリサ「何を?」
ローズ「私、メリサが好きですわ」
メリサ「ローズ・・・僕はあの時、唯一の心の拠り所である君を失うのが怖くて好きだと言えなかった」
ローズ「メリサ、私もそう思ってましたわ
でもあなと離れてみて気付いたんですのよ、
好きなものを好きと言わない私は私ではないと」
メリサ「!ローズ・・・そうだね、僕らは僕ららしくない事してたんだね」
メリサ"あぁ、彼女は変わらないな、ずっとあの日から僕の好きな君のままだ"
ローズ「メリサはいつか私を好きでなくなる日が来るのかしら?」
メリサ「そんなの絶対ないよ」
ローズ「街が変わるように人の心もいずれ変わってしまいますわ」
メリサ「確かに、僕はこの趣味がずっと続くかは分からない、でも、君を好きな気持ちは変わらないよ絶対に、
ローズは自分の気持ちが変わってしまうと思う?」
ローズ「ないですわね」(キッパリ)
メリサ「!」
ローズ「わたくし、この格好とメリサだけは一生好きですもの」
メリサ「本当に昔から君はブレないな」
ローズ「メリサ、一つお願いがありますわ」
メリサ「何だい?」
ローズ「結婚式を挙げましょう、と言っても本当に結婚する訳ではなくあくまで形だけ、
私、結婚はしたくありませんけどウエディングドレスは着てみたいんですの」
メリサ「あは、君も結構わがままな人だね」
ローズ「これが私ですもの、こういうわたくしはお嫌い?」
メリサ「ううん、好きだよ・・・しようか、式と言っていいのか分からないけど」
メリサ「そうですわね、"なんちゃって結婚式"とでも命名しましょうか」
メリサ「いいね君らしくて・・・それに"僕は君には勝てないから"」
ローズ「ふふ、決まりですわね」
メリサ"ローズ、僕は正直何だっていいんだ、君が僕の側で笑っていてくれるなら"
〜メリサとローズ②〜
ローズがボディーガードたちに守られている理由があった。
ローズの蹴りにやられた男が弱々しく訪ねる。
「こんなに強いのに何故周りの連中に守られているんだ・・・?」
ローズ「それはあえてそうしてるだけですわ、
私を守る体制を常に取らせておけば、私が弱いと相手を油断させる事ができますもの、
今まさにあなたがそれを証明してくれましたわ」
「くそ!!」
ローズ「それと一つ、私は仲間を傷つけたあなたを絶対に許しませんわ、覚悟しなさい!」
敵は更なるローズの足蹴りによって一瞬で意識を失った。
レン「ローズさん、物凄い蹴りですね」
メリサ「ローズは戦闘民族の末裔だからねぇ、7歳の時、一撃で熊を倒してたよ」
レン「それは凄いですね・・・」
〜悩む暇なし(ローズ)〜
ローズ「メリサは男ですわよ」
「え!?なーんだそっか、じゃあ君だけでもいいからさ」
メリサ「駄目だよ、ローズは僕のものなんだから」
「え、君、心も男なの?じゃあ何で女装してんの?」
メリサ「うるさいな、僕の勝手だろ」
「派手なねーちゃんとオカマのカップルとかやべーわw」
ゴスッ。
ローズは男の股間目掛けて勢いよく脚を蹴り上げた。
「!???」
ローズ「人の恋路にちゃちゃ入れる人は嫌いですわ」
「こんのあま・・・ぐぅ・・・」
男は股間を押さえてうずくまっている。
一撃で熊をも倒すローズの蹴りだ。
そんな蹴りが股間に命中すればひとたまりもないだろう。
シェル「わーお兄さんどいてどいてー!!」
その時、突如背後から猛スピードで走ってくるシェル。
ドンっ!!
「ぐへっ」
鈍い音と共に男が倒れる。
シェル「あーあ、だからどいてって言ったのに」
メリサ「隊長、何してんだいローラースケートなんか履いて」
シェル「いやー街で見かけてついやりたくなっちゃって、けど難しいわこれ」
フローナ「シェル大丈夫?」
シェル「俺はへーき」
「誰か俺の心配して・・・ガクッ」
男の声は虚しくかき消された。
メリサ「この人達がいると悩む暇ないね」
ローズ「本当ですわね」
メリサ"君も何だけどね"
〜再登場(ローズ)〜
「ぐっ・・この野朗!」
警察「あ、こら!暴れ・・!?」
突然音楽が鳴り始め、ローズがヘリコプターから犯人目掛けて飛んできた。
「ぐえっ!!」
メリサ「あー気の毒に」
ローズ「お久しぶりですわねみなさん、あら?やけにここの地面柔らかいですわね?
あら、ごめんなさい」
警察はポカンとした後。
警察「あ、ありがとうございます、この男は今連行中でして」
ローズ「そうなんですの?それなら」
グイッと犯人の首根っこを掴み上げる。
ローズ「あげますわ」
警察「は!ご協力感謝します」
シェル「ほんとこいつらって面白いよなぁ」
4話 コキア登場
森の中。
シェルはとある少年に声を掛けられた。
コキア12歳。
コキア「スラ?」
シェル「え?」
コキア「あ・・・」
メリサ「もしかして知り合いに似てたんじゃないかい?」
シェル「なんだそっか〜!じゃあとりあえず一緒に飯食うか!」
コキア「え?」
メリサ「ちょっとちょっと、彼困ってるじゃないのさ」
レン「あなたはいつもそうやって」
コキア"誰も僕を気味悪がってない
誰も僕の体にある無数の傷に怯えたりしていない
伸びた前髪も喋り方も態度も否定しない"
コキア「僕、フルーツ以外食べないのでいいです」
シェル「え、そうなのか!?レン、フルーツあったっけ?」
レン「ええ、ありますよ」
しばらくして。
シェル「何だコキアは感情がないのか!そりゃ大変だ!」
メリサ「ちょっと隊長、失礼だろ?」
コキア「構いませんよ、僕は感情がないので」
シェル「ははは、ほんと面白いなお前!」
コキア"目がキラキラしてる、スラそっくりだ"
レン"これは・・・仲間にするとか言い出すんだろうな"
メリサ「てゆーかコキア君、手、切れてるよ!待ってすぐ手当てするから」
コキア「ああ・・・気付きませんでした」
メリサ「えぇ!?だって血こんなに出てるよ」
コキア「僕は痛みを感じませんから」
シェル「君もなかなか難儀だねぇ」
メリサ「隊長もなんだよねぇ、腕が折れてても血がダラダラ出てもヘラヘラ笑ってるし、怖いからね普通に」
コキア「変わった人ですね」
メリサ「いや、君も相当だからね?」
シェル「だな!ははは!」
コキア"ああ、彼と同じように笑うんだなこの人は"
〜当たり前なことなんて〜
コキア「僕は車の運転以外、役に立てる事がないですから」
フローナ「え、運転できるの凄くない?」
コキア「運転なんて他の人だってできますよ」
フローナ「そんな事ないよ!だって私はできないもん!(ドーン)
なんかね、私が運転したら死んじゃうからって皆んなに止められるんだよね」
コキア「それは・・・なんか分かる気がします」
フローナ「そー??まぁだから、できて当たり前な事なんて一つもないんだよ」
コキア「!」
フローナ「コキア君はちゃんと役に立ってるし私達にとって大切な仲間だよ」
コキア「そう、ですか」
レン「フローナさん、コキアさん、食事の準備できましたよー!」
フローナ「はーい!行こうコキア君!」
コキアは小さく頷く。
コキア"そうか、皆んなが当たり前にできた事が僕にできなかったように
僕が当たり前にできる事も皆んなにとって当たり前じゃないんだ"
〜コキアの過去〜
僕は生まれた時から感情がなく、痛みも感じない。
周りから付けられたあだ名は"ロボット"。
気味悪がって誰も近付かなかった。
だけど僕には感情がないから何を言われてもどうでも良かった。
コキア10歳。
この頃、僕には特技がある事が分かった。
剣術が人よりも優れているらしい。
そんな僕は10歳で兵隊になった。
恐怖も感じない、痛みも感じない、反抗もしない、僕は闘うに当たって好都合な存在だった。
体には無数の傷跡。痛みを感じないから気を抜けば死が待っている。
いつも最前線で闘う部隊の更に先頭に立たされていた。
「死んだらまた新しい兵を補充するだけだ」
それが僕の日常だった。僕が死んでも誰も困らない。
スラ「なぁ、一緒に飯食おうぜ!」
兵隊仲間の中で唯一僕に話しかけてきたのはスラと言う同い年の男だった。
今思うと隊長に似ていた気がする。
彼はいつも笑ってた。誰かが死んだ日も隊長に殴られた後もいつも笑っていた。
どうして僕に話しかけるの?どうして僕にそんな風に笑いかけるの?
最初はただの同情心で仕方なく話しかけてるものだとばかりだと思っていた。
スラ「ももちゃんは絶対に幸せにならなくちゃいけない人間なんだよ!」
スラは口癖のようにそう言っていた。
でも、僕には感情がないから、
君がどんなにそう願ってくれていても僕が幸せになる事はないんだよ。
スラ「ねーねー、ももちゃんももちゃん」
コキア「ねぇ、どうしてスラは僕のことももちゃんって呼ぶの?」
スラ「え、だってももちゃん、桃好きじゃん!」
コキア「え、でも僕一言も桃が好きだなんて言ったことないよね?」
スラ「桃食べてる時、嬉しそうにしてる」
コキア「?僕、喜んでないよ」
スラ「いや、俺には分かる!」
コキア「そう」
スラ「あー、ももちゃんと桃いっぱい食べに行きたいなぁ〜!いつか二人で行こうな!」
コキア「別にいいけど」
スラ「やったー!ありがとももちゃん!」
コキア"何で君の方がお礼を言うんだろう、本当に不思議な人だ"
戦いの中、スラが死にかけていると聞いた僕はスラの元へ向かった。
スラ「ももちゃん来てくれたのか・・・なぁ、俺はもう死ぬんだな」
コキア「うん、君は死ぬよ」
スラ「はは、こう言う時は嘘でも死ぬな、俺が助けるって言うもんだろ」
コキア「・・・」
スラ「正直、ももちゃん来ないと思ってた」
コキア「体が勝手に動いてた」
スラ「はは、そうか、体が勝手にか、
でも死ぬのが俺で良かった・・・ももちゃんは悲しみに飲み込まれる事はないが
俺はおももちゃんが死んだら悲しみに飲まれてた」
コキア「何で君は僕にそんなにこだわるの」
スラ「友達だからな」
コキア「友達・・・?」
スラ「まぁ、分からなくてもいいさ今はな、
いずれ分かる時が来る・・・じゃあなももちゃん」
拳と拳をぶつけようとしたがスラの腕は僕に届く前に力尽きた。
"基地にはお前の墓を立てておいた
お前はもう戦うな、これからはもっと自由に生きろ"
生まれて初めて僕を友と呼んだ男が死んだ。
僕が涙を流すことはなかった。
雪だけがただただ僕らの上に降り続けていた。
僕が戦から帰って来ると、そこには僕の墓があった。
100%助からない闘いだと思われていたからだ。
そんな時、ふとこのまま僕は死んだ事にして別の生き方をしたらどうなるのかと気になった。
だけどすぐに気づく。闘う以外の生き方が分からない。
人と付き合っていく事にはことさら向いてなかった僕は森の中でひっそりと暮らす事にした。
〜コキアの拷問にならない話〜
拉致されてしまったコキアを奪還すべくシェル達は監獄に向かった。
見張りを倒し、コキアが投獄されている部屋にたどり着いた。
シェル「コキア「迎えに来たぞ!だいじょ・・・」
コキア「ずず・・・(お茶)」
シェル「ってなんで牢屋の中でくつろいでんだお前はー!」
コキア「他にやる事ないですし・・・あ、でも頼んだらお茶はくれました」
シェル「そっかそっかーそりゃあ良かったな!ってちがーう!
お前何もされてないのか?」
コキア「はい、今のところ、ああ、でもこれから拷問される予定みたいですよ、ずずっ、確か3時からとか」
コキアが部屋の外にある時計を見ながら呑気に言う。
一同「いやいやいや」(ブンブン手を振る)
シェル「みたいですよじゃないのよ、だめだから!」
コキア「でも僕、痛みも恐怖も感じませんし問題ないです」
シェル「感じなくても怪我は怪我なの!拷問だめ!絶対!」
コキア「分かりました」
メリサ「とりあえずここから早く出よう、こんな陰湿な場所嫌だよ僕は」
シェル「ああ、ほら、行くぞコキア」
シェルはコキアの手を取ると立ち上がらせた。
コキア「せめてこのお茶だけでも・・美味しいんです、どこの産地なんですかね」
シェル「どれどれ、あ、本当だうまい、このまろやかさは・・・」
レン&メリサ「「やってる場合か!!」」
レン「お茶はいいから早く行きますよ!」
シェル&コキア「はーい」
看守役の人と鉢合わせ。
「ふん、こいつは感情もなけりゃ痛みも感じないんだ、ほっとけばいいだろう」
シェル「ばーか、だから放っておけないんだよ
コキアは恐怖も痛みも感じないんだから助けてって言う事もない
でも、痛みは感じなくても大怪我には変わらない
だから俺らが守ってやらねーと
放っておいたら死んじまうだろーが」
コキア「・・・」
〜初めての笑顔(コキア)〜
闘いの中。
コキア「このまま突っ込んでいけば勝てる」
周りから無数の矢が飛んできて身体中に刺さっているがコキアは無視して敵のところへと飛び込もうとしていた。
その時、シェルとの会話を思い出す。
出会ったばかりの頃。
シェル「危なかった〜!あのまま突っ込んでたら死んでたぞ
これからは死なないように闘ってくれよな」
コキア「僕が死んだら代わりを探せばいいでしょう」
メリサ「コキアく!!・・・隊長・・・」
メリサが声を荒げそうになるのをシェルは手で止めた。
シェル「分からないモンを理解しろってのは無理あるよな
まー俺は命は大事にするもんだとか粗末にすんなとか大層な事言うつもりはない
お前に死んで欲しくないって言う俺の我儘だ」
コキア「わがまま・・・」
シェル「そ、だから俺の為に生き抜いてくれ」
コキア「分かりました」
シェル「ありがとな」
コキア"どうしてあなたは僕に死ぬなって言うの?
どうして僕に生きて欲しいと願うの?"
シェル「コキア、絶対死ぬなよ」
コキア「はっ・・・」
タンッ!!
敵の攻撃が当たりそうになったコキアは咄嗟に後ろに退いた。
コキア「はー、やれやれ・・感情とは厄介な代物ですねぇ」
コキア"でも、理由は分からないけど感情がなかった時より腕力や脚力が上がってる
これなら死なずに勝てる"
「何をごちゃごちゃと抜かしてやがる!」
コキアは一度刀を鞘に納めると目を閉じた。
そして深く息を吸う。
その間にも無数の矢がコキア目掛けて飛んでくる。
「はっ、観念したか・・・!?」
ダンッ!!
「な!?」
コキアは一瞬にして無数の矢を切り、相手の懐へ飛び込んだ。
「ぐあっ!!ば、ばかな・・・」
ドサッ・・・。
コキアは刀から血を振り払うと鞘に納めた。
コキアが敵を倒した後、たどり着いた皆んながコキアの元へ駆け寄る。
シェル「コキアー!!」
フローナ「コキアくーん!」
メリサ「大丈夫かい!?」
レン「凄い怪我ですね」
メリサ「すぐに手当てしよう」
シェル「コキア、遅くなって悪かった」
コキア「いえ、なんとか勝てましたから」
シェル「そうか・・・?コキア、前より強くなったか?」
コキア「自分でもよく分からないんですが急に腕力や脚力が上がったみたいなんです」
シェル「急に?なんかきっかけがあったのかな」
コキア「あの・・・」
シェル「ん?どした?」
コキア「ただ、いま・・・」
コキアは消え入りそうなほど小さな声でそう言った。
シェル「!ニカッ、お帰り!!」
フローナ「お帰りコキア君!」
レン「お帰りなさい」
メリサ「お帰り!」
風がコキアの髪を撫でる。
コキア「ふっ・・・」
メリサ「あ、コキア君が笑ったの初めて見たよ!可愛いじゃないか」
フローナ「ふふ、本当可愛い」
コキア「スンッ」
シェル「あら??元に戻っちゃった」
メリサ「さぁさ、とっとと治療しに行くよ」
コキアは仲間に囲まれながら車へと戻っていった。
その日、僕は夢を見た。遠く懐かしい君の夢を。
スラ「俺、コキアの笑った顔が見たい!!」
君はそう言って四六時中、僕を笑わそうとしてたっけ。
僕は一度も笑ったことはなかったけど。
スラ、僕はその日、生まれて初めて笑ったんだ。
皆んな喜んでくれてた。
君にも見せたかったよ。
君と笑い合いたかったよ。スラ・・・。
〜初めての涙(コキア)〜
コキアの感情が芽生えて初めてシェルが重傷を負った時のこと。
コキア「嫌だ!隊長!僕を置いていかないで!!」
コキアがベッドに横になっているシェルにしがみ付いた。
シェル「一番冷静なコキアが泣くとは思わなかったな、
コキアはこういう時、隊長が死んだら代わりの隊長見つけに行きますって言う奴だったろ?」
コキア「うっ、うっ・・・」
シェル「コキア大丈夫だ、少し時間はかかるが
必ず戻ってくる、だから俺を信じて待っていてくれ、
皆んなを頼んだぞ」
コキア「うっ・・・ゴシッ、分かりました」
シェルはフッと微笑み、コキアの頭をそっと撫でると目を閉じた。
隊長が目覚めたのはそれから一ヶ月後のことだった。
目が覚めた瞬間、今までのブランクを取り戻すかのように仲間たちに懐いてきた。
今はコキアの頭をワシワシ撫でまくっている。
コキア「隊長痛いです」
メリサ「死にかけた人とは思えないほど元気だね」
フローナ「眠ってた一ヶ月分が溜まってたんだね、うんうん」
レン「ほら隊長、病み上がりなんだから大人しくしてなさい」
レンがコキアからシェルをぐい〜っと引き剥がす。
シェル「えー、ちょっとくらいいいじゃん」
レン「あなたのちょっとはちょっとじゃないんですから」
シェル「ぶーぶー」
レンは怒った風だったがその目には優しい光が宿っていた。
〜コキアと雪〜
フローナ「うわぁ!雪だ雪だー!」
レン「雪ってそんなに嬉しいものでしたっけ?」
シェル「あー、フローナの住んでた南の地は雪降らないからな」
レン「そう言えばそうでしたね」
メリサ「フローナちゃん何してんのさ?」
フローナ「え、何って雪うさぎ作るんです✨」
メリサ「めちゃ目が輝いてる・・・楽しそーだね」
シェル「よっしゃ、そんじゃ俺はデッカい雪だるま作るかな!」
メリサ「二人とも作るのはいいけどちゃんと手袋しとくれよ」
フローナ「私はしてますよ!ほら!」
フローナは手袋をはめた両手を見せた。
メリサ「ならいいけどさ」
シェル「え、俺もすんの?」
メリサ「隊長のことだから指から血が出ても作り続けそうだからだよ」
レン「はい、あなたの手袋」
レンはポンっとシェルに手袋を渡した。
シェル「さんきゅー、へへ、じゃ作ってくるわ!」
メリサ「全く、あの子たち二人揃うと子どもみたいにはしゃぐんだから」
レン「ですが、ああやって無邪気に遊べるのは少し羨ましい気もします」
メリサ「はは、レン君も作ってきたら?」
レン「手袋ぐしゃぐしゃになるから嫌です」
メリサ「分かる〜、あれ、コキア君、起きてきたのかい?」
その時、車の中にいたコキアも外へ出てきた。
コキア「雪・・・」
メリサ「そう、雪降り始めたんだよ
あ、ちなみに隊長とフローナちゃんは雪で遊んでるよ」
コキア「そうですか」
コキアは屋根があるメリサとレンがいる場所から一歩外へ出た。
コキアが空を眺めていると・・・雪が頭の上に積もっていく。
メリサ「コキア君、じっとしてたら頭に雪積もっちゃうよ?せめて傘持って・・・」
メリサが傘を渡そうとした瞬間。
コキア「スラ」
バタッ・・・。
メリサ「え、ちょっとコキア君!?」
レン「大丈夫ですか!?」
フローナ「コキア君どうしたの!?」
シェル「コキア!!」
皆んなが駆け寄る。コキアは意識を失っていた。
メリサ「コキア君、一体どうしちゃったんだろね」
シェル「倒れる直前、何か変わった事なかったか?」
レン「じっと空を見つめていました、そう言えば倒れる直前にスラという名前を口にしていましたね」
メリサ「それ僕も聞いた」
シェル「スラってコキアの軍隊仲間だったよな?」
レン「ええ、戦いの中で命を落としたと言っていましたね、確か吹雪が凄かったと」
シェル「なるほどな、最近コキアは感情が芽生え始めてる
過去のトラウマがフラッシュバックしたのかもしれないな」
メリサ「それはあり得るね、今までは感情が無かったから過去を思い出して落ち込むって事がなかったけど
感情が芽生え始めた今、一気に今までの分が流れ込んできたとしたら相当ツライはずだよ」
シェル「念の為、しばらくコキアを雪に近付けない方がいいかもな」
レン「そうですね、特にこの冬の間は、
本人の自覚がない以上、我々が止めないと危険ですね」
メリサ「また倒れるかもしれないしね」
フローナ「コキア君大丈夫かな・・・」
シェル「大丈夫だって、俺らが付いてるんだから」
フローナ「うん!」
ベッド。
コキア「そうですか、僕倒れたんですね」
メリサ「コキア君、痛いとことか具合が悪いとことかある?」
コキア「いえ」
フローナ「良かったー!コキア君目が覚めて」
コキア「心配かけてすみませんでした」
フローナ「コキア君は何も悪くないよ」
メリサ「そうだよー心配するのが仲間の役目だからね」
コキア「ありがとうございます・・・」
シェル「コキア、しばらくの間、雪を見るのは様子見ながらにしよう
見るにしても必ず近くに俺らがいる場合だけにしてくれるか?」
コキア「はい、分かりました」
シェル「ありがとな」
そう言ってシェルはコキアの頭を撫でた。
コキアは心なしか嬉しそうに頬を緩めるのだった。
〜戦友との再会(コキア)〜
コキア「スラ・・・」
スラ「よっ!ももちゃんのそんな感情がある顔、初めて見たな」
コキア「ごめん・・・僕はあの時、あっさり君を見捨てた
僕が急いで君を医務室へ運んでいたら助かったかもしれなかったのに」
スラ「いーや、あの時の俺は確かに致命傷を負ってた
ももちゃんは俺のそばにいてくれた
それだけで充分だよ」
コキア「・・・」
スラ「最近のももちゃんは楽しそうだ、良かったよかった!」
コキア「え・・・」
スラ「だから言ったろ?ももちゃんは幸せになるんだって
これからもずっと見守ってるからな」
コキア「うん・・・ありがとうスラ」
スラは泣いているコキアの頭を撫でると優しく微笑んだ。
コキア「スラ、君はもう逝くんだね・・・」
スラ「もーもちゃん、笑顔笑顔!」
スラは自分の人差し指で自分の口の端をイーッとした。
コキア「・・っ・・・」
コキアは涙を堪えながら笑った。
それを確認したスラは・・・。
スラ「ニッ」
と笑いながら消えていった。
5話 キリュウ登場
シェルが夏バテの中、猛スピードでシェルに斬りかかる男が現れた。
レンとコキアが刀で止めに入る。
キイィン!!
レン「っ!!」
コキア「!」
レン「何ですあなたは」
シェル「!キリュウ!」
レン「え、隊長知り合いなんですか?」
キリュウ「あんたらなかなかいい腕だな」
キリュウは刀を鞘に収めた。
キリュウ「はぁ・・・相変わらず暑さに弱いみたいだな、同じ半妖とは思えねぇな」
シェル「冬場布団にくるまって出てこねーお前に言われたくねーよ」
キリュウ「何故それを知ってる」
メリサ「えーと、お二人さんは?」
シェル「キリュウは俺の友達だ!」
キリュウ「俺はお前と友達になった覚えはねぇ」
レン「と、申しておりますが?」
シェル「えー、でも俺はキリュウの事好きだぜ?」
シェルは一点の曇りもない目でジーっとキリュウを見つめる。
キリュウ「勝手に言ってろ」
シェル「うん!✨」
メリサ「何か大丈夫みたいだね」
レン「ええ」
フローナ「敵じゃなくて良かった・・・」
コキア"この人強い"
〜仲間とはぐれて(キリュウ)〜
キリュウ「仲間とはぐれて不安だろうがあいつは必ず迎えに来る、心配すんな」
フローナ"あ、この人、優しい人だ"
フローナ「ありがとうございます・・・キリュウさんって優しいんですね」
キリュウ「優しくした覚えはない、お前に何かあったらあいつが喚き散らすだろ、そうなったら面倒だからな」
フローナ「キリュウさんってシェルのこと好きなんですね」
キリュウ「何でそうなる」
フローナ「だって困ったところ見たくないってそういうことじゃないですか」
キリュウ「別にそういうのじゃねぇ」
フローナ「あ」
その時、甘味処の看板が目に入った。
キリュウ「何だ、それ食いたいのか?」
フローナはコクンとうなずく。
キリュウ「入るか」
フローナ「え、いいんですか?」
キリュウ「ああ」
キリュウ"ま、泣かれるよりはいいか"
フローナはあんみつとお茶を注文。キリュウはお茶だけを注文した。
フローナ「キリュウさんは食べないんですか?」
キリュウ「あぁ、甘いもんは苦手だ」
フローナ「そうなんだ・・・」
キリュウ"それにしても美味そーに食うなぁ・・・
なんか餌付けしてるみたいな気分だ"
キリュウもお茶を飲む。
キリュウ"つか、何まったりしてんだ俺は!?
こいつが無害だからって気抜き過ぎてた
すっかりこいつのペースになってんじゃねーか!"
フローナ「どうしたんですか?」
キリュウ「いや・・・つーか敬語やめやめ!名前も呼び捨てでいい」
フローナ「でも・・・」
キリュウ「俺がいいって言ってんだからいいの」
フローナ「分かった、じゃキリュウ君ね」
キリュウ"ま、さんよりはマシか"
お会計。
フローナ「え、お勘定」
キリュウ「いーよそんなん気にしなくて」
フローナ「ありがと・・・ごちそうさま」
キリュウ「ああ」
そして夜になった。
フローナ「あ!夜景!」
キリュウ「・・・見に行くか」
フローナはコクコクと頷く。
キリュウ"こりゃーあいつらに会うまではしばらく子守みたいなもんだな"
フローナ「キリュウ君!凄い綺麗だね!」
キリュウ「んー?あぁ、まあそうだな」
キリュウ"俺の側で無邪気な笑顔を見せたのはあいつとお前だけだ"
その後、無事に仲間たちと合流した。
メリサ「フローナちゃん!大丈夫だったかい!?」
フローナ「はい、キリュウ君がそばにいてくれたので」
メリサ「フローナちゃんに変なことしてないだろうね?」
キリュウ「するかよ、俺はちびすけの子守りしてただけだ」
フローナ「ちょっと?ちびすけって誰のこと?」
キリュウ「お前以外に誰がいるんだ」
フローナ「私の名前はフローナよ!」
キリュウ「ちびすけだろ」
フローナ「むぅ」
シェル「へぇ、随分仲良くなったんだな」
キリュウ「どこがそう見えるんだ」
シェル「まぁとにかく、ありがとな、フローナを守ってくれて」
キリュウ「別に礼言われるほどのことはしてねーよ」
シェル「行くのか?」
キリュウ「ああ」
フローナ「キリュウ君!色々とありがとう!」
キリュウは背を向けたまま手のひらだけひらひらさせながら歩いて行った。
〜キリュウの過去〜
キリュウ。
俺は生まれてすぐに捨てられた。
そしてすぐに拾われた。
拾った女の名はミネと言う老婆だった。
歳は58。この時代では珍しく長生きだったがあと2年も持たないだろうと互いになんとなく理解していた。
だが、俺が物事を理解し始めた二歳の頃、家に戻るとミネは死んでいた。
半妖の俺を庇った事で村人達に殺されたんだ。
俺はその場にいた村人全員皆殺しにした。
そいつらを許せなかった。そして何より自分自身を。
それからは自分より強そうな奴に喧嘩を挑んでは戦い続ける日々を送っていた。
戦いだけが俺の生きる目的だった。
あの日、お前に会うまでは・・・。
〜皆んなでスケート〜
皆んなでスケートに来た時の話。
シェル「うわ!!」
スケートをしていたシェルは転んで盛大に尻もちをついてしまった。
キリュウ「何やってんだ、へったくそだな」
シェル「いたた・・てか、何でキリュウはそんなに上手く滑れるんだ?相変わらず器用だよなお前は」
キリュウ「ん」
キリュウはぶっきらぼうに手を差し出す。
シェル「!さんきゅ」
シェルはキリュウの手をグッと掴んで立ち上がる。
キリュウ「いいか、ここをこうやってみ」
シェル「お、おう」
メリサ「へー、キリュウ君って意外と面倒見いいんだね」
レン「意外ですね」
フローナ「ふふ」
キリュウ「そ、力そんな入れなくていいから・・・ほらできたろ?お前元々運動神経いいんだから慣れりゃすぐできるんだよ」
シェル「ほんとだ!キリュウ!見て見て!できた!」
キリュウ「・・・ま、俺の教え方が上手いおかげだな」
シェル「うん、キリュウのおかげだよ!ありがとな!!」(めちゃくちゃ嬉しそ〜)
キリュウ「っ・・・それは良かったな」
フローナ「キリュウ君って何気シェルの事大好きですよね」(ヒソヒソ)
メリサ「ね」(ヒソヒソ)
キリュウ「聞こえてんぞ」
〜おやつの時間(キリュウ)〜
シェル「レン!おやつの時間にしようぜ!」
レン「えぇ、今クッキー焼いてます」
キリュウ「おやつって・・・お前らって戦う時以外いつもこんなな訳?」
シェル「ああ、だいたいこんな感じだぞ、
けどおやつの時間作ったのはフローナが来てからだな」
キリュウ「へーやっぱちびすけはちびすけなんだな」
フローナ「む、それどーゆー意味?」
キリュウ「そのまんまの意味だ」
レン「焼けましたよ」
フローナ「わーい!レンさんありがとー!」
キリュウ「やっぱちびすけだな」
フローナ「だってレンさんのクッキー美味しいんだもん!」
キリュウ「はいはい笑」
レン「そう言って頂けると嬉しいです」
フローナはレンに満面の笑みで返す。
メリサ「は〜いい匂い、キリュウ君は食べないのかい?」
キリュウ「甘いもの苦手なんだ」
メリサ「そりゃ残念だね」
フローナ「ん〜美味しー!」
キリュウ「はぁ・・・こんなんじゃ気が抜ける」
シェル「抜いちゃえ抜いちゃえ」
キリュウ「ったく相変わらずヘラヘラしやがって」
レン「キリュウさん、甘くない無糖のココアクッキーありますが食べます?」
キリュウ「ああ、ぱくっ、ん、美味いな」
レン「俺も甘いもの苦手で自分の分はこうやって砂糖を使わずに作ってるんですよ」
キリュウ「てことはこれ自分の分なんじゃないのか?」
レン「いいんですよ、今日はいつもより多めに焼きましたから」
キリュウ「そうか、ならありがたく頂く」
シェル「フローナ、なーにニヤニヤしてんの」
フローナ「え?ううん、なんかほのぼのするなって」
シェル「あー確かにそうだな」
ほのぼの〜。
キリュウ"さすがに気抜きすぎだろこいつら・・・"
〜ライバル(キリュウ)〜
昔の俺はとにかく好戦的で戦いの中でしか生きれないような奴だった。
戦う事でしか自分の存在を証明出来なかった。
シェルに会った時、一目見てこいつしかいねぇと思った。
キリュウ「おい、お前、俺と戦え」
シェル「え、何で?俺お前と戦う理由なくね?」
キリュウ"こいつののほほんとした態度が気に食わなかった"
キリュウ「甘ぇこと言ってんじゃねえ!戦わねーなら殺す!!俺が勝ったらお前の命はもらう、お前が勝ったら後は好きにしろ」
シェル「!いいぜ」
キリュウ「いくぜ!!」
しばらく戦った後、キリュウが負けた。
キリュウ"負けた"
キリュウ「殺せ」
シェル「えーやだよ」
キリュウ「!?」
シェル「だって俺お前の命なんか欲しくねーもん、
だからさ、またやろうぜ!」
キリュウ「!」
シェル「じゃーなー!あ、俺が勝ったんだから勝手に死ぬなよー!また戦いに来いよなー!」
シェルがひらひらと手を振った。
キリュウ「くそっ・・・何なんだよあいつ・・」
キリュウは手で顔を抑えた。
続編。
「死ね!!」
シェルと別れた後、今までにないほど強い敵に出会した。
キリュウ"俺、お前以外のやつにやられるんだな"
キリュウはシェルの顔を思い出していた。
相手の刀がキリュウに届く前にシェルが受け止める。
偶然近くにいたらしい。
キリュウ「!」
シェル「なーに勝手に死のうとしてんだよ」
キリュウ「っ・・・」
シェル「おい、選手交代だ」
「貴様も半妖だな、いいだろう相手になろう」
キリュウとの戦いで弱っていた敵はシェルの手によって倒された。
キリュウ「何で助けに来た」
シェル「え、だってお前俺の友達だもん、助けに来んの当たり前だろ?」
キリュウ「はあ?俺はお前を殺そうとしたんだぞ?
何が友達だよ、ざけんな」
シェル「後は好きにしろって言ったじゃん」
キリュウ「・・・っ」
シェル「まさか約束破るなんてことしねーよなぁ?」
キリュウ「てめぇ・・・ちっ、勝手にしろ」
シェル「ニカッ」
キリュウ"こいつといると調子狂う"
シェル「俺はシェル、お前名前は?」
キリュウ「キリュウだ」
〜前世はきっと(キリュウ)〜
ちょっとした作業に取り掛かろうとした時のこと。
メリサ「いいじゃん、キリュウ君にもやらせれば」
キリュウ「はー?何で俺がそんな七面倒くさい事しなきゃならんのだ」
シェル「なー頼むよキリュウ、俺お前がいないと困るよ」
キリュウ「・・・で、何すんの」
メリサ「何だいあれ」
レン「キリュウさんって隊長には従順なんですねぇ」
フローナ「キリュウ君ってシェルがお願いしたら何でもやってくれそう」
レン「確かに・・・」
フローナ「前世はきっと主人と犬だね」
メリサ「それ、どっちが主人で犬だい?」
メリサ&フローナ&レン&コキア「・・・」(想像)
メリサ「ぶはっ、どっちも違和感ない!」
フローナ「ほんとほんと笑」
キリュウ"あいつら・・・好き勝手言いやがって"
〜たこ焼きで〜
シェル「なぁなぁ、キリュウ!修行の相手になってくれよ!」
キリュウ「嫌だと言ってるだろ」
レン「あ、キリュウさん、夕飯たこ焼き食べ放題ですよ」
キリュウ「ピクっ(耳反応)、今日のところはたこ焼きに免じて付き合ってやる」(たこ焼き大好き)
シェル「やったー!!」
メリサ「最近レン君、キリュウ君の扱い方上手くなってきたよね」
レン「キラン(メガネ光る)」
〜キリュウは誘拐犯?〜
キリュウとフローナが街中を歩いていた時のこと。
警察官A「おい、そこのお前!」
キリュウ「?」
警察官A「お前だな、か弱い女性を誘拐した犯人は!」
警察官B「もう逃げられないぞ!」
警察官A「君、我々が来たからもう大丈夫だぞ!」警察官二人がフローナを保護しようと近付く。
フローナ「違いますよ刑事さん!この人は犯人じゃありません!」
しかし、フローナは両手を広げてキリュウの前に立った。
警察官A「可哀想に・・この男に脅されてそう言わされているんだな・・・」
警察官B「こんないたいけな少女に・・なんて奴だ!」
フローナ「だから、違うって言ってるでしょ!」
フローナは警察官Aの胸ぐらを掴んだ。
警察官A「うわ!?な、何をするんだ君!」
しかし、キリュウがすぐにフローナの首根っこ(服の部分)を掴み・・・。
キリュウ「おいおい、ちびすけが警官に殴りかかってどうすんだ」
フローナ「離してよ、私がこの二人ぶっ飛ばしてやるんだからー!」
フローナは掴まれたまま警察官に飛びかかろうとするがキリュウに引き戻されてしまう。
警察官A「な、なんかこの子、誘拐された訳じゃ無さそうだぞ・・・?って言うかこの男よりこの子の方が怖い
・・」
警察官B「あ、ああ・・・どうやら違うらしい
君、この子とはどういう関係なんだ?」
キリュウ「俺は、まぁ・・・こいつの保護者役みたいなもんだ」
フローナはキリュウに掴まれたままジタバタと暴れている。
警察官A「そうか、何だかよく分からないが、君は誘拐犯じゃないらしいな、誤解して悪かった」
警察官B「俺からも謝ろう」
警察官二人はキリュウに頭を下げた。
キリュウ「いや、半妖には凶悪な奴も沢山いる
半妖がいるって聞いて過敏になるあんたらの気持ちも分かる
俺の方こそ、騒ぎにさせてすまなかった
目当てのものを買ったらすぐにこの街を出るから安心してくれ」
警察官A「おま、お前・・・いい奴だな・・」
警察官B「何かあったら俺達が力になるからな!いつでも頼ってくれ!」
キリュウ「あ、ああ・・・それはどうも」
警官が戻っていった後・・・。
フローナ「キリュウ君、私、もう大丈夫だから下ろして」
キリュウ「ん?ああ・・・」
キリュウは首根っこを掴んで持ち上げたままフローナの顔を見た。
キリュウ「ぶくくっ」
フローナ「ちょっとちょっとー、何で笑うのよ」
キリュウ「いや、子猫がフーフー威嚇してるみたいだなと思ってな」
キリュウはそっとフローナを下ろした。
フローナ「もう・・服伸びちゃった・・・」
キリュウ「ちびすけが警察官二人を相手に殴りかかろうとするからだろ
全く、自分のことを悪く言われた訳じゃないんだからあんなに怒ることないだろう
ちびすけらしくもない」
フローナ「だからムカつくんじゃん!キリュウ君の事何にも知らないのに悪く言ってさ!」
キリュウ「!」
フローナ「あー!今思い出しただけでも腹が立つ〜!
キー!!」
フローナは右腕を上げてブンブンと振り回した。
シェル「フローナはさ、ちょっと変わってる奴だけど一緒にいたらキリュウにもきっと良さが分かると思うよ、仲間に対しては絶対的な味方でいてくれる優しい奴だからさ」
キリュウは未だにプンプンしているフローナを見るとフッと笑った。
キリュウ「なるほどな」
フローナ「何がなるほどなの?」
キリュウ「さーな」
フローナ「え〜教えてよー」
キリュウ「嫌だ」
ミネ"キリュウ、あんたの為に怒ってくれる人が現れたら大事にしな
その人はキリュウにとっても私にとっても大事な人だからね"
ミネの過去の言葉を思い出すとキリュウはフローナが警官2人に怒っていた時のことも思い出した。
フローナ「大体、キリュウ君は優し過ぎるんだよ、もっと怒ったっていいんだからね!キリュウ君?私の話聞いてる?」
キリュウ「ああ、聞いてる・・・フッ」
キリュウはフローナを見ると目を細めた。
フローナ「なーに?」
キリュウ「いや、何でもない」
キョトンとしているフローナを見た後、キリュウは空を見上げた。
キリュウ"見つけたよミネ、俺にとっての大事な人・・・"
ミネ"大丈夫、その人はキリュウの世界で一番の味方になってくれるからさ"
フローナ「あー!なんっか怒ったら甘いもの食べたくなってきた!ケーキ食べたい〜!」
キリュウ「んじゃ、食いに行くか」
フローナ「え、いいの?」
キリュウ「騒いだのちびすけだろ」
フローナ「いや、まぁそうなんだけどさ」
カフェにて。
フローナはミルクティーにいちごタルト、キリュウはコーヒーを注文した。
フローナがいちごタルトを食べている途中、口元にタルト生地が付いているのに気付く。
手を伸ばして取ろうと一瞬思案した後、自分の口元を人差し指でトントンと叩く。
キリュウ「ちびすけ、付いてる」
フローナ「あ、ほんとだ、ありがとう!」
フローナはお手拭きで軽く口元を拭くとにぱっと笑ってお礼を言った。
その後も黙々といちごタルトを食べ進める。
キリュウ「それにしても美味そうに食うなぁ」
フローナ「だって美味しいもん」
キリュウは一口コーヒーを飲むと円形のカフェテーブルに置いた。
その時ふと思う。
キリュウ「・・・俺もあいつみたいに甘いものが好きだったらちびすけはもっと楽しめてたんだろうな」
フローナ「うん?今もキリュウ君といて楽しいよ??」
キリュウ「お前な・・・」
キリュウ"俺はこれからもちびすけやあののほほん族に振り回される人生なんだろうな、
ま、それも悪くねぇかもな"
〜キリュウとハヤテ〜
〜小さな出会い〜
キリュウ"はー・・腹減ったな、また森に行って食料調達するか"
キリュウは空腹から街中の公園の木の下で大の字になっていた。
すぐ近くに森がある。
ハヤテ「お兄ちゃん、お腹空いてるの?僕のたい焼きあげる!」
話しかけてきたのは小さな男の子だ。
キリュウ「・・・お前、俺が怖くないのか?」
ハヤテ「怖くないよ!はい!これあげる!」
ハヤテが持っている袋の中にはホカホカのたい焼きが二つ入っている。
その中のひとつをキリュウに差し出しているのだ。
キリュウ「それ、お前のだろ?」
ハヤテ「うん、僕とママの分、でも、お兄ちゃんの方がお腹空いてそうだから僕の分あげる、
あとで先に食べちゃったって言うから大丈夫」
キリュウ"こいつ、飛んだお人好しだな"
キリュウ「俺は森の中で食い物を見つけてくるからいい」
ハヤテ「えー、だったら余計にお腹空いてたら危ないよ!」
キリュウ「はぁ・・・分かった」
キリュウ"参ったな、甘いもんは苦手なんだが・・・
ん、これなら食べれる甘さだな"
食べ終わった後。
キリュウ「おいガキ」
ハヤテ「僕の名前はガキじゃないよ、ハヤテだよ」
キリュウ「そうか、ハヤテ美味かった、礼を言う」
ハヤテはお礼を言われたのが嬉しいのかニコニコしている。
キリュウ"あいつに似てる"
ハヤテ「お兄ちゃんの名前は?」
キリュウ「キリュウだ」
〜火事現場〜
キリュウも近くにいた為、匂いで炎の中にハヤテがいる事に気付いた。
ハヤテはアパートの4階の窓の近くに立っている。
母「ハヤテ!!」
母親らしき人が中に入って行こうとするのを他の人達が止めている状態だ。
ハヤテ「ままぁ!熱いよぉ!」
母「ハヤテ!!」
キリュウ「おい、あんた、ハヤテの母親か?」
母「え、ええ、あのあなたは?」
キリュウ「今はそんな事どうだっていい」
キリュウは脚に血液を集中させて一気に4階の窓までたどり着いた。
タンタンタンッ!!
ハヤテ「うわぁんお兄ちゃん!!」
キリュウ「もう大丈夫だ、心配すんな」
ハヤテ「うん」
キリュウはハヤテを抱いたまま4階から飛び降りた。
すぐに腕から下ろすと母親の元へ駆けてく。
ハヤテ「ママぁ!!」
母「ハヤテ!!良かった、無事で!ありがとうございます!ありがとうございます!」
キリュウ「俺は借りを返しに来ただけだ」
ハヤテ「ありがとうお兄ちゃん!!」
キリュウ「あぁ」
母「ねぇ、借りって何のこと?」
ハヤテ「僕とお兄ちゃんとのひみつー!」
母「あらあら」
ハヤテ「お兄ちゃーん!また今度遊びにきてねー!」
キリュウは手をひらひらとさせながら歩いて行った。
ハヤテ「僕、またお兄ちゃんに会いたいな!」
母「ふふふ、また会えるわよきっと」
〜再会〜
隣町に来たハヤテと母親は妖怪に虐げられていた。
母「ハヤテ!早く逃げなさい!」
ハヤテ「やだ!ママは僕が守るんだ!」
「死ねガキ!!」
キンッ!!
キリュウの刀が敵の攻撃を防御する。
ハヤテ「!!・・・お兄ちゃん!」
キリュウ「怪我ねーか?」
ハヤテ「僕はないけどママが!」
母親の腕から血が出ている。
キリュウ「・・・傷は深く無さそうだな、下がってろ」
ハヤテ「わ、分かった!お兄ちゃん死なないでね!」
キリュウ「安心しろ、俺はこんなクズにやられたりしねーよ」
「クズだとぉ!?貴様ぁふざけやがって!」
キリュウ「こんな小さいガキ相手に剣振り回す奴なんかクズだろーが
やるんなら自分と互角かそれ以上にしろよ」
「それはお前の都合だろぉ!?俺は弱い奴を痛ぶるのが好きなんだよ!」
キリュウ「救いようのないクズだな」
「うるせぇ!!」
キリュウ"感情に任せた攻撃、隙だらけだな"
ザンッ。
「ぐああ・・・」
一瞬だった。
キリュウ「あんた、血は?」
母「止まりました」
キリュウ「そうか、だが念の為病院に行って診てもらえ」
母「は、はい・・・」
ハヤテ「お兄ちゃん!ありがとう!ママを助けてくれて・・・ひっく、ひっく・・・」
母「もうハヤテはほんとに泣き虫さんね」
キリュウ「いや、ハヤテは強い、こんな小さな体で母親を守ったんだからな、勇敢だった」
ハヤテ「!ありがとうお兄ちゃん!」
母「でも、良かったわねハヤテ、お兄ちゃんにもう一度会えて」
キリュウ「?何の話だ?」
母「この子、お兄ちゃんに会いたいってずっと言ってたんですよ」
キリュウ「そ、そうか・・・」
母"あら?ひょっとして照れてる・・・?"
ハヤテ「ママ、病院行くよ」
そう言ってハヤテは母親の背中をぐいぐいと押す。
ハヤテも照れているらしい。
母「あらあら、お兄ちゃんとお話ししなくていいの?」
ハヤテ「いーの・・・でもお兄ちゃん、次会った時はいっぱいお話ししようね!」
キリュウ「頼むから次会う時は妖怪に捕まらないでくれよ」
ハヤテ「うん、気を付ける!お兄ちゃんじゃーねー!」
ハヤテが母親の背を押しながら顔だけキリュウに振り返るとブンブンと片腕を振る。
キリュウは小さく手を振り返した。
〜キリュウとソード〜
雨の中を歩いていると一匹の子犬が箱に入っていた。
かなり弱っているようだ。
キリュウ「なんだ、お前も捨てらちまったのか?」
子犬「クゥン・・・」
キリュウ"僅かだが妖気を感じる、見た目も普通の子犬とは違うしおそらくそれが原因で捨てられたんだろうな"
キリュウ「何も悪いことしてないのにな」
一瞬悲しそうな表情をしたキリュウに子犬は弱々しくもキリュウの手をペロペロと舐めた。
キリュウ「何だ、俺を慰めてんのか?」
キリュウ"こんな小さな体で、こんなに弱ってんのに俺の心配してんのかこいつは・・・"
キリュウは子犬を抱き抱えて歩き出した。
キリュウは洞窟に入り、捕まえてきた動物の肉を焼くと短剣で小さく切った。
それを葉っぱの上に乗せて子犬の前に出した。
すると子犬は肉を少しずつ食べ始めた。
キリュウ"体もやせ細っててかなり衰弱してるし体温も冷たい
食ったら温めてやらねーとな"
キリュウはご飯を食べた子犬を足の上に乗せて温めた。
キリュウ「いつまでもおいって呼ぶのもあれだな」
その言葉を聞くと子犬はキリュウの剣に興味を持ったのか近付いて匂いを嗅いでいる。
キリュウ「フッ、名前決まったな」
子犬の名前は"ソード"。
雨が上がり、日が登り始めた。
敵と遭遇。かなりの強敵だ。
膝をついたキリュウの前にソードが立って威嚇した。
ソード「ワンワンワン!!」
キリュウ「ばか!何してる、早く逃げろ!!」
「フン、子犬か、邪魔だどけ!」
敵がソードに刀を振り下ろす。
キリュウ「くっ!!」
キンッ!!
キリュウは何とか相手の刀を受け止めた。
「貴様半妖だろう!たかが子犬を何故構う!
そんな何の役にも立たない子犬を」
キリュウ「てめーには関係のない話だ」
と、その時。
ゴロゴロ。
ピシャ!!!
二人めがけて雷が落ちる。
「運の悪い奴らだ・・・なに!?」
煙の中から現れたソードは体が大きくなっていた。
体から電気が放出されている。
キリュウ「ソード、お前、雷獣だったのか・・・」
ソード「わんわん!」
「雷獣か・・・貴様も髪の色が変わっている、雷属性だったか」
キリュウ「らしいな」
「属性は生まれつき使えるパターン、途中から使えるパターン、属性を持つ奴が隣にいて覚醒するパターンの三つだ、お前はどうやらそれに当たるらしい」
キリュウ「俺にとってソードがその相手だったらしい」
「面白い、覚醒したお前たちと俺、どちらが勝つか勝負するとしよう」
キリュウ「負ける気がしないがな」
「ほざけ!!」
敵を倒しソードがキリュウの周りを駆け回っている。
ソード「わん!わん!」
キリュウ「ありがとな、助かったよ」
その言葉を聞いたソードが走るのを止めて座る。
キリュウが撫でると心地良さそうにしている。
キリュウ「しっかし、この電気まさかずっとこのままじゃねーだろーな」
ソード「わん!」
キリュウ「ん?」
ソードが短く鳴いた後、元の小さな体に戻った。
するとキリュウの髪の色が金色から赤色に戻る。
キリュウ「へぇ、こりゃ便利だな」
ソードが小さくなるとキリュウは肩の上に乗せて歩き出した。
〜キリュウの想い〜
街を歩いていると一人の老婆が視界に入った。
男に絡まれ、付けていたネックレスを奪われていた。
「婆さんいいもん付けてんじゃねーか」
男は老婆からネックレスをひったくる。
勢いで鎖が切れてしまう。
老婆「それだけは!返しとくれ!」
男に飛びかかるも殴られそうになる。
「このババア!!・・!?」
老婆がぎゅっと目をつむる。
しかし、衝撃が来ず、老婆が不思議に思っていると背後から男の腕をキリュウが掴んでいた。
キリュウ「おい、無抵抗の女を殴るな」
老婆「!」
「はぁ!?このババアが女?笑わせん・・いだだ!悪かった!俺が悪かったよ!!」
キリュウ「いいから奪ったネックレス返せ」
「ほら!返すよ!!」
老婆「怖い顔のお兄さん、ありがとうね」
キリュウ「ああ」
老婆「このネックレスはお爺さんからもらったものでね、本当にありがとう」
警官「こらー!君ー!」
その時、警官が血相を変えて走って来た。
どうやらキリュウが老婆からカツアゲしたと思っているらしい。
しかし老婆がすぐに説明をして警官に説教をした。
警官「す、すみません・・・」
老婆「あんたも言い返さなきゃダメじゃないか」
キリュウ「半妖の俺が本当のことを言ったところで信じちゃもらえねーよ」
老婆「何言ってんだい、言わなかったら誰にもあんたの声は届かないだろう?」
キリュウ「!」
キリュウ"俺はこの人にそう言われてミネに昔言われた言葉を思い出した"
ミネ「キリュウ、あんたは自分の気持ちをもっと素直に出していいんだよ
あんたは何も我慢する必要ないんだから」
キリュウ「俺は我慢なんて・・・」
ミネ「なーに、今すぐにじゃなくたっていいんだ
いつかあんたの心を開いてくれる子が現れるさ」
キリュウ「そんな奴現れないよ」
ミネ「いやいや、私の感は結構当たるんだよ・・・
ねぇキリュウ、もしこの先そんな子が現れたら、100%のうちの1%くらいはその子に本音を伝えてあげな」
キリュウ"そうだ、俺はあの時、ミネに返事をしなかった"
老婆「なあに大丈夫、必ず誰かに届くさ、私もそのうちの1人だしね」
キリュウ「・・・」
シェル「おーいキリュウ〜!」
フローナ「キリュウ君〜!」
老婆はキリュウの表情が緩んだのを確認すると。
老婆「あの子達、あんたの仲間かい?」
キリュウ「・・・ああ、大事な仲間だ」
老婆「ふふふ、じゃあ私は行くわね、本当にありがとう」
キリュウ「ああ」
シェル「珍しいな、お前が人助けなんて」
キリュウ「似てたんだよ」
シェル「うん?」
キリュウ「昔、俺を育ててくれた人に」
シェル"・・・キリュウが素直に言うなんて珍しいな"
シェル「そっか、良かったな」
シェル「ああ」
その日の夜。
シェル「なぁ、キリュウは俺の事嫌いか?」
キリュウ「嫌いじゃない」
シェル「そっか」
キリュウ"嫌いじゃない、そう言っただけで何でそんな嬉しそうなんだこいつは・・・"
"お前とまた会うまでの間、どこか物足りなかった、
街でお前の匂いがした時、気付けば探していた、
仲間と話してる姿を見た瞬間、子どもが宝箱を開ける時のような高揚感を覚えた、
そんな経験一度だってないのに"
シェル「俺キリュウに嫌われてんのかな」
フローナ「違うんじゃないかな
キリュウ君、シェルを本気で拒絶してないし
きっとキリュウ君、シェルに会いたかったんだと思う
じゃなきゃ街で見かけたって無視するよ
不器用だから素直に気持ちを表現できないんだよ」
シェル「そっか、そうだよな!うん、ありがと」
ところ変わって。
フローナ「ねぇ、本当はキリュウ君はシェルにずっと会いたかったんじゃない?」
キリュウ「!・・・そうかもな」
フローナ"あれ、意外、そんなわけないだろって怒るかと思ったのに"
フローナ「キリュウ君、変わったね、最初の頃だったら言い返してたのに」
キリュウ「ああ、そうだな、変わったのかもな
・・・俺はあいつに会ってからずっと物足りなさを感じてた
その事にようやく気付いたよ」
フローナ「キリュウ君、それを寂しかったって言うんだよ」
キリュウはフローナに図星を刺されて不貞腐れたのか
フローナの頬を軽く引っ張った。
フローナ「きりゅくん、なにふんのよ」
キリュウ「ちびすけのくせに生意気だぞ」
〜シェルvsキリュウ〜
シェルが力の制御ができず暴れた時の事だった。
キリュウ「ったく何やってんだよバカ」
シェルがキリュウに掴み掛かる。
ガッ!!
キリュウ「ぐぅ・・・おもしれぇ、俺も全力で行くぜ!」
キリュウ"あの時、俺は確かに不調だった、
負けた言い訳にしたくはなかったが・・・"
シェル「キリュウ、全力じゃなかったろ?
俺らが本気で闘ったらたぶん互角だもん」
・・・・・。
フローナ「お願いキリュウ君、シェルを助けて!
正気に戻った時に、仲間を自分が殺したなんて悲し過ぎるよ」
キリュウ「自分が殺されそうになってんのにあいつの心配かよ・・・ったくどいつもこいつも・・・」
シェルが再びキリュウに飛び掛かる。
キリュウ「シェル、俺は今機嫌が悪いからな、死んでも恨むなよ」
シェル「グルルっ」
完全にシェルは半妖の力に支配されてしまっている。
なんとか元に戻ったシェルはキリュウに謝罪をする。
シェル「キリュウ、悪かった・・・お前のおかげで仲間を死なせずに済んだよ」
キリュウ「頭なんか下げなくていい・・・俺も途中から私情挟んだしな」
シェル「え?」
キリュウはフローナの頭を軽くペシペシする。
フローナ「え、ちょっとキリュウ君?なに・・・」
キリュウ「今度泣かせたら許さねーからな」
フローナ「!?///」
シェル「!・・・ああ」
〜瀬戸際で(キリュウ)〜
瀕死の状態でキリュウがたどり着いたのは三途の川だ。
目の前に一人の老婆が立っている。
キリュウ「ミネ!?・・・そうか、俺もう死ぬんだな」
ミネ「何言ってんだいキリュウ、
あんたには帰るべき場所があるだろう?
あんたはまだこっちに来るんじゃないよ」
キリュウ「俺の帰る場所?」
振り返るとそこには皆んなが立っていた。
キリュウ「ああ、そうだな、俺、こんな半端なとこで死ねねーよな」
ミネ「キリュウ、振り返らずに行きな」
キリュウ「ああ」
キリュウ"また、ミネに助けられちまったな"
〜ミネと最後の会話(キリュウ)〜
ミネ「キリュウ、大きくなったね
私はもう行くけど今のあんたならもう大丈夫だね」
キリュウ「ありがとう・・・母さん」
ミネ「こんな年老いた私を母さんと呼んでくれるんだね
嬉しいねぇ、
キリュウは本当に優しくていい子だよ、
ありがとうね、じゃあ私は行くよ」
キリュウ「ああ」
〜キリュウとココア〜
眠れないフローナに手作りココアをふるまうキリュウの話。
フローナ「あ、キリュウ君」
キリュウ「なんだ、眠れねーのか?」
キッチンで二人は顔を見合わせた。
フローナ「うん」
キリュウ「・・・何か飲むか?」
フローナ「うん、ココア飲もうかなって」
キリュウ「そうか、それなら俺もコーヒー飲むから待ってろ」
フローナ「え、いいよ、それくらい自分でやるよ」
キリュウ「いいから座ってろ」
フローナ「う、うん・・・え、インスタントじゃなくて粉から作ってるの?」
キリュウ「まあな・・・」
少しして。
キリュウ「ほら」
フローナ「ありがと、ん!美味しい!!」
フローナ"レンさんが作ってくれるココアは甘めだけどキリュウ君のはほろ苦だ・・・苦めなのも好きかも"
キリュウ「そうか」
フローナ「なんか意外」
キリュウ「なにがだ」
フローナ「キリュウ君がココアの作り方知ってたなんて」
キリュウ「ああ、ミネが好きだったからな、よく作ってたんだ」
フローナ「へぇ、キリュウ君ってほんと優しいんだね」
キリュウ「俺は優しくない」
フローナ「もー素直じゃないんだから」
・・・。
フローナ「ん、眠くなってきたかも、今なら寝れそう」
キリュウ「部屋まで送る」
フローナ「え?そんな大丈夫だよ」
キリュウ「貧血なんだろ」
じっと目を見られ降参する。
フローナ「わ、分かった、お願いするよ」
・・・。
フローナ「あの、もう部屋着いたから大丈夫だよ、
ありがとう」
キリュウ「おー」
フローナ「お休みなさい」
キリュウ「お休み」
パタン。
フローナ"貧血とはいえこれは・・・キリュウ君って結構過保護なのかな?"
〜キリュウver〜
またね編。
フローナ「キリュウ君、ほんとに行っちゃうの・・?」
キリュウ「・・・」
キリュウは数秒フローナを見つめると。
キリュウ「おいお前ら、10秒後ろ向いてろ」
メリサ「なんでさ」
シェル「向いてやれメリサ」
キリュウはしゃがむとフローナの耳元で囁く。
キリュウ「次会ったらお前を攫ってく」
フローナ「!?///」
皆んなには聞こえていないがシェルだけは聞こえていた。
シェル"丸聞こえだっつーの"
キリュウはそれだけ伝えると歩き出した。
フローナは腰が抜けてしまいその場にへたり込んだ。
去って行く背を見送りながら
フローナはしゃがみ込んだまま声をかける。
フローナ「キリュウ君!またね!」
キリュウ「おー」
キリュウは背を向けたままひらひらと手だけ振った。
仲間に編。
フローナ「あのねシェル・・・」
フローナが言い出しにくそうにしているとシェルはフローナの頭をポンポンしてキリュウに話しかけた。
シェル「キリュウ、フローナは俺の大事な仲間だ、いくらお前でも渡す訳にはいかない
かと言ってこのまま放っておいて駆け落ちでもされたら困るしな」
キリュウ「?お前何言って」
シェル「フローナが欲しけりゃ仲間になれキリュウ」
キリュウ「はは、何だそれ脅しか?」
シェル「まぁな」
キリュウ「ほんと、お前には敵わないな」
シェル「なんのなんねーの」
キリュウ「なってやる、お前からちびすけ奪うのも骨が折れそうだからな」
シェル「素直じゃねーな相変わらず」
シェルはキリュウの肩を組んだ。
フローナ救出作戦編。
シェルは大怪我の末動けないでいた。
フローナは建物の中で拘束されたままだ。
フローナの近くには爆弾が設置されている。
シェル「ぐっ・・・俺さえ動けりゃ・・」
メリサ「せめて場所さえ的確に分かれば・・・」
キリュウ「俺が行く」
シェル「え」
キリュウ「俺なら匂いで辿れる、シェル、まだ多少動けるか?」
シェル「え、あぁ・・」
シェル"キリュウお前やっぱりフローナの事・・"
キリュウ「俺がちびすけ見つけたら窓ガラスを割る
それが合図だ、ちゃんと受け止めろよ
あんたらはガラスの破片危ねぇから離れてろ」
レン「我々だけ安全な場所にいるなん」
キリュウ「いいからちびすけ助けたかったら言う通りにしろ!
俺らならともかく、普通の人間がガラスの破片全身に食らったら即死なんだよ」
シェル「キリュウ・・・分かった、フローナを頼む、けどお前も死ぬなよ」
キリュウ「ったく忙しい奴だな、分かった分かった、俺もちびすけも生きて戻る」
そう言ってキリュウは走って建物の中に入っていった。
シェル「メリサは薬の準備を、レンは飯の準備して待っててくれ」
メリサは何かを言おうとしてグッと堪えた。
メリサ「分かったよ」
レン「隊長・・・」
シェル「心配すんな、ガラスの破片くらいで死なねーから」
レン"それは通常の状態なら、でしょう・・・今のあなたは相当の深傷なんですよ"
フローナ「あーあ、まさかこんな最後になるなんて・・・皆んなは大丈夫かなぁ」
爆弾の時間が数秒に迫った頃、キリュウが走って来た。
フローナ「え!?」
キリュウは刀でフローナを拘束している鎖を一瞬で断ち切った。
フローナ「キリュウくん!?」
キリュウは刀を窓ガラス目掛けて勢いよく投げた後、フローナを抱えて窓ガラス目掛けて走る。
シェル「来た」
シェル"絶対受け止める!!"
ガラスの破片がシェルに降り注ぐがそんな事お構いなしにシェルは3階から降ってくる2人を抱き止めた。
シェルはそのまま後ろに倒れ込む。
破片が落ち着いた頃、仲間がすぐさま3人を医療室へと運ぶ。
フローナ「シェル!キリュウ君!」
キリュウ「俺より先にシェルを・・・」
レン「あなたもですよ、あなただって爆風浴びてるんですから」
キリュウ「へいへい」
メリサ「2人同時に治療するよ、任せな」
フローナ「私も手伝います!」
レン「俺も」
コキア「僕もやります」
メリサ「ありがとう」
2人の手当てを終わった後、フローナは眠っている2人の隣に座っていた。
フローナ「2人とも私の為に・・・」
フローナは涙をポタポタと流した。
キリュウはそっと目を覚ました。
キリュウ「ちびすけ・・泣いてんのか?」
フローナ「!キリュウ君!」
キリュウ「シェルなら大丈夫だ、あいつしぶといからな」
フローナ「キリュウ君もだよ!」
フローナの目からポロポロと涙が落ちる」
キリュウ「お前俺の為に泣いてんのか?」
フローナ「当たり前じゃない、どうして私なんかの為にここまでしたの、一歩間違えたら死んでたかもしれないのに」
キリュウ「さぁな、体が勝手に動いてた」
フローナ「さぁなって・・・」
キリュウはフローナの頬を伝った涙を指先で拭う。
フローナ「!///」
キリュウ「お前に泣かれると困る」
キリュウは優しく微笑んだ。
フローナ「キリュウく・・・」
キリュウ「・・・」
フローナ「!?///」
バッとフローナが隣の方に目を向ける。
シェル「あ、いいよ続けて」
シェルはとっくに起きて横向きになっていた。
片腕で頭を支えている。
キリュウ「起きたんなら言え!」
シェル「やーだって目覚ましたら2人がイチャつき始めたからタイミング掴めなくってさ、俺隣で寝てんのに困っちゃうよねぇ、ははは」
キリュウ「イチャイチャなんかしてねぇ!泣いてるから慰めてやってただけだ!」
シェル「へーふーん、あそう?」(にやにや)
キリュウ「てんめっ・・・」
フローナ「良かった2人とも生きてて!!」
キリュウ「つーか泣き過ぎだろ」
フローナ「だってだってー!!」
キリュウ「ガキじゃあるまいし・・・」
シェル「フローナは怪我大丈夫なのか?」
フローナ「2人が庇ってくれたからかすり傷で済んだよう・・ありがとう、本当にありがとう!」
キリュウ「おー」
シェル「気にすんな!」
レン「やれやれ、2人とも大丈夫そうですね」
メリサ「相変わらず凄い回復力だよねぇ」
二人はラブラブ?編。
「ねーねー彼女!これからお茶しに行かない〜?」
フローナ「すみません、人を待ってて」
キリュウ「ちびすけに何か用かよ」(ドドン)
「ひえ!ごめんなさぁい!!」
キリュウの睨みに男は一目散に逃げていった。
フローナ「キリュウ君!」
キリュウはフローナに振り返ると軽くデコピンした。
フローナ「あだっ!何すんのよー!」
キリュウ「隙だらけなんだよお前は」
フローナは痛かったのか頬を膨らませながらポカスカと両手で小さい子どものようにキリュウを叩く。
キリュウ「はは、それで反撃してるつもりか?」
メリサ「何あれラブラブ〜って感じ?」
レン「そのようですねぇ」
シェル「すげーよな、どっからどう見ても両思いなのに本人達気付いてないんだぜ」
意識編。
キリュウ「行くぞちびすけ」
フローナ「うん!」
フローナ"あれ、いつからだっけ・・キリュウ君にちびすけって呼ばれるの嫌じゃなくなったの
いつからだっけ・・・"
キリュウ「何でそんな遠いとこにいんだ?」
フローナ「え、いや、えーと・・・」
キリュウ「あー、なるほどな、心配しなくても取って食ったりしねーよ」
フローナ「そ、そうだよね!私、魅力も色気もないもんね!」
フローナ"うわぁ、ばかばか何言ってんの私!"
キリュウ「別にそう言う意味で言ったんじゃねぇよ」
フローナ「え・・・」
キリュウ「ちびすけに魅力がないなんて思ってない」
フローナ「キュン・・あ、ありがと」
キリュウ甘える編。
シェル「あ!お前、酒飲んだな?」
キリュウ「んー?」
フローナ「キリュウ君大丈夫?お酒弱いんだね」
キリュウはフローナを抱き寄せた。
フローナ「きゃ!?キリュウ君?」
キリュウ「んー」
キリュウは後ろからフローナを抱き締めたまま眠ってしまった。
フローナ「ちょ、え!?」
メリサ「あらら、凄い寝方だね」
シェル「はは、キリュウなりの甘え方なんだよ」
フローナ「そっか・・・」
レン「嬉しそうですね」
フローナ「だってキリュウ君が甘えたとこ見たことなかったから嬉しい」
シェル「キリュウは甘え方が分からないだけだよ」
もういいよな?編。
両思いを確認した後。
キリュウ「もう触ってもいいんだよな?」
フローナ「う、うん」
キリュウはそっとフローナの頬に触れた。
フローナ"わ、キリュウ君触り方優しい・・・"
キリュウが口付けようと近付く。
フローナ"キリュウ君色気やば・・・ふらっ"
キリュウ「おい!」
フローナ「え?」
キリュウ「鼻血出てるぞ、大丈夫か?」
フローナ「大丈夫、キリュウ君の色気にやられただけだから」
フローナはグーサインをする。
キリュウ「あぁ、うん、お前が変態なのは今のでよく分かった」
安否確認編。
キリュウは抱えたていたフローナをそっと下ろす。
キリュウ「怪我してねーな?」
フローナ「うん、ありがと」
キリュウ「!おい、足怪我してんじゃねーか」
フローナ「ただのかすり傷だよ」
キリュウ「ほら」
キリュウは屈んで背中を向けた。
フローナ「ほんとに大丈夫だって!」
キリュウ「いいから黙って乗れ」
フローナ「う、うん」
フローナ"わ、キリュウ君の背中大きい・・・てゆーかなんかキリュウ君いい匂いする・・・"
キリュウ「ん?・・・ってちびすけ鼻血出てる!」
フローナ「うわ、ほんとだ!」
キリュウ「何かやましいことでも考えてたのか?」
フローナ「え、何で分かったの!?」
キリュウ「マジなのかよ」
フローナ「だってキリュウ君いい匂いするんだもん!」
キリュウ「クンクン、いや何も匂いしねーけど?
香水もつけてないしな」
フローナ「じゃあキリュウ君自体がいい匂いなんだね」(ドヤァ)
キリュウ「んな勝ち誇ったような顔されてもな・・・
まぁとりあえず、その状態で直射日光は浴びねー方がいいだろ、日陰行くぞ」
フローナ「う、うん、ありがと」
フローナ"キリュウ君って何だかんだ面倒見いいんだよね・・・"
数分後。
キリュウ「落ち着いたか?」
フローナ「うん」
"これじゃしばらく手出せそうにないな"
フローナ「なぁに?」
キリュウ「何でもねぇ」
"ま、それでも良いか"
初恋編。
メリサ「キリュウ君ってひょっとしてフローナちゃんが初恋だったりしてー?」
フローナ「えー、まさか、そんな訳ないじゃないですか〜」
キリュウ「うん?そうだけど?」
フローナ「え!?(キュン・・・)」(めちゃくちゃ嬉しい)
事情があるんです編。
フローナ「あ、私ちょっとトイレ行ってきます」
メリサ「君達さぁ、さっさと付き合っちゃいなさいよ」
キリュウ「うるせーな、俺には俺の事情があるんだよ」
シェル「そんな事言ってると一生童貞だぞ」
キリュウ「な!うるせぇなお前だって童貞だろーが!」
シェル「何故それを知ってる、まだ誰にも言ってないのに」
メリサ「やだよ隊長も童貞だったのかい?」
レン「何とゲスな会話だ・・・あ」
キリュウ&シェル「あ!」
フローナ「二人とも外まで丸聞こえだよ・・・」
膝枕編。
フローナ「キリュウ君、膝枕しよう!」
キリュウ「何だ急に」
フローナ「まーまー良いから」
フローナは膝をポンポンと叩いた。
キリュウ「・・・まぁお前がそこまで言うなら」
フローナは嬉しそうだ。
フローナ「どう?」
キリュウ「硬いな」
フローナ「あー、クッション入れる?」
キリュウ「このままでいい・・なんか妙な気分だな」
フローナ「あんまり?」
キリュウ「いや、いい眺めだ」
フローナ「そ、それなら良かった」
キリュウ"お前はそんな顔で膝枕するんだな"
価値観編。
キリュウ「ちびすけの事は好きだが俺は結婚もしねぇし子どもも作らねぇ、
それは捨てられた時から決めてる、
女をまともに愛せる器もない、
だから俺といてもちびすけを幸せにはできない」
フローナ「え、じゃあちょうどいいじゃん
私も結婚にそもそも興味ないし子ども作る気もないから」(さらりと)
キリュウ「え」
フローナ「それに私すでに幸せだからキリュウ君が言った悩みは全部解決済みだけど
あとまだ何かある?」
キリュウ「いや、何か拍子抜けした」
フローナ「そこら辺の女と一緒にしないでよね」
キリュウ「はは、やっぱちびすけはちびすけだったな」
フローナはニッと笑った。
ラーメン屋編。
フローナ「ぐぅ〜」
キリュウ「腹減ったな」
フローナ「うん」
店主「ちょっとそこの君達」
声をかけてきたのは屋台ラーメンの店主のおじさんだ。
店主「お腹空いてるんならうちで食べていかないかい?」
フローナ「ラーメン・・・✨」
フローナはじ〜ッとキリュウを見つめた。
キリュウはため息をつくと。
キリュウ「あんた、俺が怖くねーのか?」
店主「大切なお客様だからね、怖くないよ
それに、その子の表情を見ていればいい人かそうでないか分かる」
フローナ「分かるんですか?」
店主「ああ、伊達に年をとっちゃいないよ」
店主「へい、ラーメンお待ち」
フローナ「わぁ美味しそう‼︎頂きます!」
キリュウは手を合わせたフローナを見ると同じように手を合わせた。
キリュウ「頂きます」
店主はそれを見てニコニコ微笑む。
店主"可愛いカップルだなぁ"
フローナ「ごちそうさまでした‼︎」
キリュウ「ごちそうさま」
店主「またいつでもおいで」
キリュウ「さて、行くか」
フローナはキリュウの後ろをとててッとついて行く。
フローナ「あーお腹いっぱい!」
キリュウ「一杯で腹一杯になるとはちっさい胃だな」
フローナ「そんな事ないよ!ちゃんと一杯食べれたもん!」
フローナは頬を膨らませながら手をブンブンさせた。
キリュウ「はいはい笑」
二人のやり取りを屋台から見ていた店主はホカホカ気分で片付けをしにキッチンへと入っていった。
寂しさの正体編。
キリュウ「家族や友達と仲良いんだろ?それでもあいつらと旅を続けていくのか?」
フローナ「うん、寂しいけどそれ以上にみんなと旅したいから」
キリュウ「寂しい、ね」
フローナ「あーごめん、ちょっちたんま」
キリュウ「なんだ」
フローナ「何か急にホームシックって言うか・・・」
キリュウ「泣きたきゃ泣けよ」
フローナ「でも・・・こんな事で泣くなんて」
キリュウ「泣く理由にこんなもあんなもないだろ
俺に気なんて使わなくていい、気が済むまで泣けよ」
フローナの目からポロポロと涙が溢れ落ちていく。
キリュウ"そんな泣くほど寂しくてもあいつらとの旅を選ぶんだなお前は"
キリュウはそっとフローナに上着をかけると木の下に腕を組んで座った。
しばらく泣いた後。
フローナ「ごめん、ありがと」
キリュウ「あぁ」
フローナ"キリュウ君は慰めたりはしないけど泣き止むまでそばにいてくれるんだな・・・
不器用だけど優しい人"
フローナ「ねぇ、キリュウ君は寂しくなったりしないの?」
キリュウ「あいつにも言われたな、俺はあいつと違ってあったものが無くなった訳じゃない、
最初から何もなかったからな
だから悲しいとか寂しいとかそう言う感情が分からない
あいつより傷はずっと浅いしな」
フローナ「・・・傷に浅いとか深いとか無いと思うよ
自分が痛いと感じたならそれはもう大怪我なんだよ」
キリュウ「!・・・そうか」
キリュウの好物編。❗️
レン「キリュウさんは何が好きなんです?」
キリュウ「たこ焼きとお好み焼き」
レン「へぇ、意外ですね」
フローナ「可愛い」
キリュウ「可愛いって言うな」
フローナ「だってかわい・・・いはいいはい!」
キリュウは両方の頬を軽く引っ張った。
キリュウ「言うなっつーに」
フローナ「わはったからはなひて!」
キリュウはお好み焼きが着くや否や嬉しそうに食べた。
レン「お味の方はどうですか?」
キリュウ「すげぇ美味い」
レン「それは良かったです」
フローナは顔を抑えながらキリュウの可愛さに必死に耐えている。
メリサ「フローナちゃん・・・」
たこ焼き屋編。
たこ焼き屋の前にぬっとキリュウが現れた。
店主「うわ!?な、何だお前!う、うちには金目のもんはないぞ!?」
フローナ「あの、たこ焼き10個下さい」
店主の目線が下の方にいき・・・。
店主「あ、ああ・・・」
その時、キリュウのお腹が鳴った。
フローナ「ふふ、もうすぐ食べられるから」
キリュウ「あ、ああ」
店主「あ、あいよ」
フローナ「ありがとうございます、良かったねキリュウ君たこ焼き買えて」
キリュウ「ん」
キリュウは手を出す。
フローナ「ありがと」
店主"この兄ちゃん、ただたこ焼き食べたかっただけなのか"
店主「さっきは失礼な態度取って悪かったよ
これおまけだ、良かったら食べて」
フローナ「いいんですか?ありがとうございます!」
キリュウは店主にお辞儀をすると先に歩き出しているフローナの横に向かう。
店主「おじさん今日はいーい一日になりそうだよ」(ホヤホヤ)
君に会えて編。
キリュウ「よお、久しぶりだな・・・何泣いてんだよ」
フローナ「だってだってだってー!会いたかったんだもん!心配してたんだもん‼︎生きてて良かったぁ・・・」
キリュウ「はー・・・忙しい奴だな」
フローナは帽子で顔を隠すがキリュウが帽子を指でつまんで取ろうとする。
ぎゅっと力を込めて取られないようにしている。
フローナ「やーめーてー」
キリュウ「ははは」
無意識編。
男「俺と遊ばない?」
フローナ「いえ、結構です」
男「ちっ、なんだよお高く止まってんなよブス!」
キリュウ「?こいつは可愛いだろ」
フローナ「え!?」
キリュウ「つか、その面でよく言えたな
自分の顔鏡で見た事ねーのか?」
男「な!!」
相手が男前過ぎて何も言い返せない。
メリサ「ぶっくく、キリュウ君ナイス」
浮気ってなんだ?編。
フローナ「あの、浮気しないでね?」
メリサ「キリュウ君は浮気しないだろう」
キリュウ「・・・」
シェル「何黙ってんだよキリュウ、ちゃんと答えてやれよ、フローナが不安がるだろ」
キリュウ「なぁ、浮気ってなんだ?」
肩にぽんっとシェルが手を置く。
シェル「いいんだお前はそのままでいてくれ」
キリュウ「だから何だってんだよ!」
レン「浮気と言うのはですね」
シェル「やめろレン!キリュウには純粋なままでいて欲しいんだ!」
・・・。
キリュウ「つまり、彼女がいるのに他の女とも関係を持つ事ってことか」
シェル「そう言うこと」
キリュウ「アホらし」
シェル「まぁお前がするとは俺も思ってねーよ、なんせフローナにベタ惚れだもんな!」
キリュウ「?そうだけど?」
シェル「おま、よく恥ずかしげもなく答えれるな」
キリュウ「付き合ってんだから惚れてんのは当たり前だろ?」(曇りなき眼)
メリサ「やめたげて!フローナちゃんのライフはもうゼロよ!」
フローナ「ふるふる」
甘い時間編。
キリュウ「なんだ、そんなジーッと見て俺に見惚れてたのか?」
フローナ「えっそうだけど」
キリュウ「今のは冗談で言ったんだが・・・その人の顔見てニヤつく癖なんとかならないのか?」
フローナ「分かった」
虚無顔。
キリュウ「いや、そこまでしろとは・・・あーいや、悪い、やっぱりちびすけはそのままでいい」
フローナ「え?」
キリュウ「ヘラヘラした顔が見れなくなるのも寂しいしな」
キリュウは手を伸ばしてフローナの髪を撫でるとフッと笑った。
フローナ「!///」
キリュウ「はは、顔真っ赤」
フローナ「誰のせいよ」
キリュウ「このまま」
フローナ「うん?」
キリュウ「時が止まればいいのにな」
フローナ「ギュンっ‼︎そ、そうだね」
フローナ"何この甘い時間‼︎"
6話 水龍登場
半妖の人達が集まる場所にいた時のこと。
一人の男がフローナを見るや否や声をかけてきた。
水龍24歳、半妖。
水龍「!君可愛いね、俺水龍って言うんだ、君は名前何て言うの?」
フローナ「それはどーもありがとうございます、フローナです」
フローナは特に動じることもなくピッと手を小さく上げた。
水龍「ははは、フローナちゃんって面白いね、ねぇ、俺とデートしない?」
フローナ「えー、どうしようかなぁ」
レン「あれ、意外とフローナさん満更でもなさそうですね」
メリサ「フローナちゃんってなーぜか半妖にモテるよねぇ・・・隊長とかキリュウ君とか」
レン「うーん・・・」(否定できない)
水龍「いいじゃん♪行こうよデート」
シェル「良いわけないだろ」(ずいっ)
シェルが後ろから声をかけた。
フローナ「シェル!」
水龍「なに君、ひょっとしてフローナちゃんの彼氏?」
フローナ「あ、いえ、シェルは・・・」
水龍は怪訝そうな顔をしながらシェルを指差した。
シェル「違うよ」
水龍「じゃあ別にいいじゃん、俺が今フローナちゃんを口説いてんだから邪魔しないでくれる?」
シェル「いーや、隊長として仲間が変な男に引っ掛かるところを黙って見てる訳にはいかないな」
水龍「ふーん、隊長として、ねぇ・・・(ニヤニヤ)」
水龍はシェルを煽るように片眉を上げて言う。
シェル「・・・」
バチバチと目線の攻防が始まる。
フローナ「やめて二人とも!私の為に争わないで!なんちゃって!」
メリサ「フローナちゃん、君は呑気だねぇ・・・」
フローナ「一度言ってみたかったんですこの台詞」
レン「隊長が少し気の毒のような気もしますね・・・」
水龍「まぁまぁ、夜までにはちゃーんと返すからさ」
そう言ってイケメン半妖はある写真をシェルに見せた。
シェル「あのなぁ、え・・・なるほど、そういうことか」
水龍「ね!」
シェル「見ず知らずの奴にフローナを連れてかせるわけにはいかな・・・」
その時、フローナが後ろからシェルの裾を掴んでくいくいっと引っ張る。
シェル「ん?」
フローナ「この人、悪い人じゃないよ」
水龍「お、フローナちゃん話が分かるねぇ」
シェル「え、何でそう思うんだ?」
フローナ「感?」
シェル「感か・・・フローナはどうしたい?」
フローナ「私はデートくらいならしてもいいよ」
水龍「やったー!ありがとうフローナちゃん!」
シェル「フローナがいいって言うなら俺は何も言わない
けど、手だけは出すなよ」
シェルは水龍にビシッと指を刺す。
水龍「分かってるって、てか、今までも遊びで手出したことないけどねぇ」
フローナ「じゃあちょっと遊んでくるね」
シェル「くれぐれも気を付けてな、ちょっとでも危なくなったら叫ぶんだぞ?」
フローナ「うん、分かった」
水龍とフローナが並んで歩いて行く。
フローナ「あの、どこ行くんですか?」
水龍「あー、タメ口でいいよタメ口で」
フローナ「うん、分かった」
水龍「じゃあまずは街中お散歩しようか」
フローナ「うん」
しばらくして・・・。
とあるカフェの看板のケーキが気になったフローナは・・・。
水龍「このお店のメニュー気になる?」
フローナ「うん、ケーキ美味しそうだなって思って」
水龍「じゃあここにしよう」
フローナ「いいの?」
水龍「うん、俺はフローナちゃんと話したかっただけだから
場所はどこでも良かったんだ」
フローナ「ありがとう・・・」
過去。
ミリア「お兄ちゃん!私、ケーキ食べたい!」
水龍「分かった、一緒に食べに行こうな」
ミリア「うん!お兄ちゃん大好き!」
水龍はフローナの後ろ姿を見ながら昔のことを思い出していた。
フローナ「うわぁ、どのケーキも美味しそう〜!」
水龍「どれでも好きなもの頼みなさい」
フローナ「・・・」
フローナ"やっぱりこの人・・・"
フローナ「じゃあいちごタルト!と紅茶にしよう」
水龍「了解、そこの可愛い店員さん、いちごタルトと紅茶二つずつお願いね」
店員「は、はい」(イケメンに可愛いって言われた!キャー!)
フローナ「水龍君、私と同じので良かったの?」
水龍「うん」
フローナ「ところで・・・そろそろ教えてくれない?」
水龍「え、何を?」
フローナ「どうして私を誘ったのか」
水龍「ん?だから君が可愛かったからだって」
フローナ「私より可愛いコなんていくらでもいるでしょう?それに、水龍君モテるし、女の子には困ってなさそうなのにどうしてだろうって思って」
水龍「フローナちゃんって意外と鋭いんだね・・・可愛いって言われても全然自惚れないし、
うん、分かった、ここまで付き合わせておいて本当のこと言わないのはフェアじゃないしね
話すよ、俺がなぜ君を誘ったのか」
フローナ「うん」
水龍「その理由はこれさ」
水龍は一枚の写真を懐から取り出し、フローナに見せた。
フローナ「この子は?」
水龍「俺の妹さ、ミリアって言う名前でね
生きていたらちょうど今の君と同くらいの歳になるかな」
フローナ「生きてたらってことは・・・」
水龍「亡くなったんだ、7年前に
妹は体が弱くてね、長年患っていた病である日突然
治療したり俺の血を分けたり、手を尽くしたけどダメだった」
フローナ「そっか・・・それで似てる女の子を探してたの?」
水龍「いや、それは単純に俺が女の子大好きなだけ」(しれっ)
フローナ「あ、そう・・・」
水龍「でもフローナちゃんは違うよ、一目見て妹に似てるなって思ったら体が勝手に動いて声をかけてた」
フローナ「なるほど」
会計時。
フローナ「あの、お金・・・」
水龍「女の子はそんな事気にしなくていいの」
フローナ「ありがとう・・・」
店員「良かったらこちらどうぞ」
水龍「ん?チケット?」
店員「はい、このお店から少し離れたところに植物園があるんです
このチケットを持っていくと半額で見られるのでぜひ」
水龍「そう、ありがとう」(ニコッ)
店員「キューン・・・」(イケメン・・・)
お店の外。
フローナ「水龍君、ごちそうさま」
水龍「どういたしまして」
フローナ「植物園のチケットもらっちゃったね」
水龍「うん、植物園か、ミリア好きだったなぁ・・・」
フローナ「水龍君、行こう!植物園」
水龍「え、でもいいの?」
フローナ「私も花好きだから」
水龍「そっか、妹が生きていたらフローナちゃんと話が合っていたかもしれないね」
植物園へ向かう途中。
水龍「フローナちゃん!危ない!」
フローナ「え」
立てかけてあった鉄パイプがフローナの方へ倒れてきた。
ガシャーン!!
水龍「大丈夫?」
フローナ「うん・・・!水龍君、手!怪我!」
水龍「あー、ただのかすり傷だよ、これくらい放っておけば大丈夫、それにほら、俺、半妖だから」
フローナ「ダメだよ、ちゃんと手当しないと!
ばい菌が入ったらどうするの?
怪我にね半妖とか関係ないの
はい、絆創膏!」
フローナはカバンから絆創膏を取り出し、水龍の手の甲にぺっと貼った。
水龍「ありがとう・・・」
過去。19年前。水龍3歳。
ミリアが産まれてくる少し前。
水龍が腕に怪我をして帰って来た時の事。
水龍の母(人間)「水龍は強い子だからこれくらいの怪我ヘーキよね?痛かったら自分で手当てしてちょうだいね」
水龍「うん」
水龍の父(妖怪)「お前は人より体が強いんだから妹を守ってやれよ」
水龍「分かったよ、父さん」
自分の部屋。
水龍「いたた・・・まだ血出てる、自分で手当てしよう」
水龍は利き手じゃない左手で右腕の消毒を終え、たどたどしく包帯を巻き始めた。
水龍「ちょっとガタガタだけどないよりはマシか」
その後ろ姿はまだ小さく、幼かった。
それから3年後。
ミリア「お兄ちゃん!怪我したの!?大丈夫?」
水龍「ちょっと指が切れただけだよ」
ミリア「血が出てるじゃない、すぐに手当てしないと!」
水龍「これくらい放っておけば治るって、兄ちゃん人より体強いから大丈夫だよ」
ミリア「ダメだよ!体が強くたって怪我は怪我なんだから!強いとか弱いとか関係ないの」
ミリアは絆創膏をバッグから取り出して水龍に貼った。
水龍「・・・ありがとうミリア」
今まで俺の心配をしてくれる人なんていなかった。
半妖だから。人より体が強いから。
周りの大人達には俺が怪我をしても熱を出してもお前なら大丈夫だろうと言われて放置されることが多かった。
でもミリアだけは違った。
自分の方が体が小さいのに。自分の方が体が弱いのに。
いつも俺の心配をしてくれた。
水龍「なぁ、ミリア、兄ちゃんは大丈夫だから、ミリアは自分の体の心配をしてくれよ」
ミリア「私のことはいいの」
水龍「いや、そういう訳にはいかないんだよ」
ミリア「だって、私のことはお兄ちゃんが心配してくれるから
だから私はお兄ちゃんの心配をするの!」
水龍「!ミリア・・・」
水龍はミリアを抱き締めた。
ミリア「お兄ちゃん?よしよし」
ミリアは水龍の頭を初めて撫でた。
水龍「・・・」
水龍は黙ったまま、しばらくミリアを抱き締めていた。
それから一年後、両親はたまたま遭遇した強い妖怪に殺された。
両親が最後まで俺とミリアを守ってくれたおかげで何とか二人生き残る事ができた。
水龍の母親「ミリア、あなたは体が弱いんだからお兄ちゃんにしっかり守ってもらいなさい」
ミリア「うん・・うん・・・」
ミリアは涙を必死で堪えていた。
その震える肩を水龍が支えた。
水龍の母「水龍」
水龍「何?・・・」
水龍の母「水龍、あなたは妹に守ってもらいなさい」
水龍「え?」
水龍の母「私達は体の弱いミリアのことばかりであなたのことを放置し過ぎたわ、ごめんなさい」
水龍「そんなのいいんだよ母さん、俺は人より強いんだから」
水龍の母「あなたは体は強いけれど心はそう強くはないでしょう?だからこれからは二人で支え合って生きていってちょうだい」
水龍の父「水龍、ミリアを頼んだぞ、ミリア、水龍を頼んだぞ」
水龍「母さん、父さん・・・」
現在。
フローナ「水龍君、どうしたの?」
水龍「ちょっと昔のことを思い出しちゃってさ」
フローナ「昔のこと?」
水龍「うん」
フローナはそれ以上の事は聞かなかった。
フローナ「植物園、行こっか」
水龍「そうだね」
帰り際。
水龍「今日は付き合ってくれてありがとう、楽しかったよ」
フローナ「うん、私も楽しかった、色々とありがとう」
水龍「フローナちゃん」
フローナ「何?」
水龍「またデートしてくれる?」
フローナ「うん、いつでも」
水龍「ありがとう」
水龍はそう言って切なげに微笑みながらフローナの頭を優しく撫でた。
フローナ"優しい撫で方・・本当に妹さんのことを大切にしていたのが伝わってくる、
そして今も大切に思ってる"
水龍「じゃ、俺はそろそろ行くよ」
フローナ「うん、またね」
水龍「じゃあね、チェリー君♪」
シェル「その呼び方辞めろっ」
シェルは顔を赤くしながら小声で反論する。
水龍「フローナちゃんに好きって言えたら呼ぶの辞めたげるよ
」(ニヤニヤ)
水龍も小声で話を続ける。
シェル「な、なんでお前にそんなこと言われなきゃならないんだよ」
水龍「へぇ、好きって言わないってことは君の気持ちも大したことないんだね」(煽)
シェル「あのなぁ、俺はちゃんと好きだっつーの」
水龍「あのねぇ、恋なんてただでさえ曖昧なんだから
好きなら好きって伝えないと、好きじゃないのと同じなんだよ?」
シェル「う、そ、それは・・・」
水龍「フローナちゃん、あの半妖君が好きなんでしょ?」
フローナ「え!?な、何でそれを・・・」
水龍「だって分かりやすいんだもん」
フローナ「///」
水龍「その様子だと告白はまだって感じか」
フローナ「言えないですよ」
水龍「どうして?」
フローナ「私には眩し過ぎて・・・」
水龍「あんまりのんびりしてるとフローナちゃん、他の男に取られちゃうよ?」
シェル「でも、フローナは恋愛興味ないって言ってたし・・・」
水龍「はぁ、これだからチェリー君は・・・それは現段階ではってことなの、ある日突然恋に落ちることだってあるんだからさ、
明日フローナちゃんのタイプの男がひょっこり現れて連れ去っちゃうかもしれないよ?
本当に好きならちゃんと捕まえときなよ」
シェル「う・・・」
水龍の正論に何も言い返せないシェル。
水龍「じゃ、とにかく次会う時までに告白しときなよね」
水龍はそう言うとシェルの返事も聞かずに手を振りながら去っていった。
〜水龍のガールフレンド〜
水龍のガールフレンド二人は防御能力がめちゃくちゃ高い。
フーライとユーエンは家出をしていたところを水龍に救われた。
それ以来、水龍を慕っている。
フーライ「水龍様」
ユーエン「ここは私たちにお任せを」
二人は黒いポニーテールの髪をなびかせながらそう言った。
ザッと二人がフローナたちの周りにそれぞれ立って攻撃を防御している。
戦闘服顔負けのカッコ良さだ。
水龍「分かった、フローナちゃん達は任せた」
シェル「水龍も一緒にいなくて大丈夫なのか?」
水龍「この二人は防御能力がめちゃ高い、問題ないさ」
シェル「分かった!じゃあ二人ともこいつらを頼む!」
二人が頷く。
水龍「行くよ、シェル君」
シェル「ああ」
〜イカ焼きコンビ〜
とある祭りにて。
水龍「お、あそこにいるのはフローナちゃんじゃないか、おーい!フローナちゃーん!」
その声に反応したフローナとシェルが振り返る。
すると・・・。
水龍「って二人ともイカ焼き食べてんの!?」
フローナ「もぐもぐ、ごくん、あ、すいりゅーくん」
シェル「もぐもぐ、よお、すいりゅー」
水龍「二人とも口の周りイカ焼きのタレで凄いことになってるぞ・・・」
水龍"なんちゅー色気のないカップルだ・・・"
メリサ「ほら、フローナちゃん、口の周り拭かないと」
メリサはティッシュでフローナの口の周りを拭う。
フローナ「ありがとうございます」
レン「隊長、あなたもですよ」
レンはメリサからティッシュをもらうとグイッと口に押し付けた。
さっさと拭けという合図だ。
シェル「ぶっ・・・さんきゅレン」
フローナ「はー!イカ焼き美味しかったぁ!!」
シェル「なー!美味かったな!!」
水龍「フッ」
水龍"ま、フローナちゃんが幸せそうだからいいか"
〜謎解きとドラゴン〜
二人の後ろ姿を見た水龍は話しかける。
水龍「やぁ、フローナちゃん、シェル君、久しぶ・・・り・・って二人とも何食べてんの??」
フローナ「もぐもぐ、あ、水龍君久しぶり!イカ焼きだよ」
シェル「もぐもぐ、美味いぞ、水龍も食べるか?」
水龍「いや、俺はいいかな」
水龍"なんちゅー色気のないカップルなんだ・・・
まぁ、フローナちゃんが楽しそうだからいいか"
シェル「それで、何で水龍がここにいるんだ?」
水龍「あ、そうそう、隣町で謎謎やっててさ、参加券もらったんだ、商品が植物園のチケットなんだってさ、フローナちゃん見かけてちょうどいいかなと思ったんだ、どう?」
フローナ「行きたーい!」
シェル「彼氏の前で誘うか普通」
水龍「何言ってんの、君たちも来るだろ?」
シェル「え?」
水龍は手に持っていた参加券をスライドさせた。
水龍「俺たちも見たんだけどてんで分からなくてね、
こういうのはフローナちゃんとシェル君なら解けるかなと思ってさ」
シェル「なんで俺とフローナなんだ?」
水龍「こういうのは純粋な心の目を持った人の方が解きやすいんだよ」
フローナ「私って純粋?」
シェル「俺って純粋か?」
二人は顔を合わせて首を傾げた。
メリサ「この二人に純粋さで勝てる人なんていないさね」
レンは静かにうんうんと頷く。
水龍「まぁ、とりあえず参加券に書かれた謎謎を見てみてよ」
「空を見上げてごらん赤い星が沢山見えるよ
赤い星と星の間から見えるのは四つの白い流れ星
待ち合わせの時間は鳩が知らせてくれるよ
美味しい料理を作って待っている」
シェル「なんじゃこりゃ・・・」
レン「分かりやすいような分かりにくいような絶妙なラインですね」
水龍「シリアスな感じじゃなかったから気難しく考えないでいいと思うよ」
メリサ「赤い星か・・・絵を描く場合、星っていうと黄色だし、実際見ると白色だよね」
レン「赤い星・・・人の名前とか建物の名前でしょうか?」
水龍「うーん、俺もそう思って街の人に聞いてみたんだけどそんな名前の人も建物もなかったよ」
レン「なるほど・・・」
フローナ「んー、あ!」
フローナは何やら思いついたらしく目の前の並木通りに走った。
シェル「フローナ?どした?」
フローナが指を差しながら言う。
フローナ「赤い星がいっぱい」
シェル「え?」
シェルたちもフローナの後に続く。
フローナ「ほら、上」
並木通りは紅葉で彩られている。
シェル「あ!赤い星って紅葉のことか!!」
フローナ「いや、分からないよ?ただ、何となくそう見えて」
水龍「いや、こういうのは案外そのなんとなくが重要だったりするんだ、もしかしたらもしかするかも」
シェル「じゃあ、とりあえず赤い星が紅葉だと仮定して
次は白い四つの流れ星と鳩だな」
フローナ「うーん」
レン「四つの流れ星と鳩・・・」
メリサ「鳩がいる場所・・・」
レン「四つの流れ星はともかく、鳩がいる場所で美味しい料理というと鳩を飼っているカフェとかレストランですかね?」
シェル「けど、カフェとかレストランで鳩って衛生的にどうなの」
フローナ「でも、猫カフェとか犬カフェがあるくらいだから飼ってる鳥を看板としてっていうのはありそう?」
シェル「野生じゃなきゃありうるか」
メリサ「鳩、はとねぇ・・・」
通りすがりの老婆「おや?あんたち鳩を探してるのかい?
レン「ああいえ、鳩がいる飲食店を探しているんですが・・・」
シェル「おばあちゃん知らない?」
老婆「そうだねぇ、猫カフェなら旦那と行ったことあるけど鳩はないねぇ、
あぁ、でも鳩時計があるカフェなら友人から聞いたことがあるよ、場所は確か空港の近くだったかな
名前までは分からなくてごめんね」
シェル「いや、充分だよ!おばあちゃんありがとう!」
フローナ「ありがとうございます!」
老婆「なんだかよく分からないけど見つかるといいねぇ、気を付けて行くんだよ」
フローナ「はーい!」
シェル「ところでレン、鳩時計ってなんだ?」
レン「昼の三時、おやつの時間になると時計から鳩の人形が出てくるんですよ」
メリサ「でも、今どき珍しいね」
レン「俺も母に写真で見せてもらっただけなので実物は知らないんですが」
水龍「紅葉と鳩は分かったけど、昼の3時だと流れ星は見えないよね」
キーーン!!
その時、音がして空を見上げる。
シェル「ん?飛行機、空港・・・あ、そうか、飛行機雲のことか!」
レン「飛行機雲ですか?」
シェル「たぶんな」
水龍「ああ、確かに4本の線が見えるね、四つの流れ星ってそういうことか」
メリサ「「じゃあ、まとめると空港付近で鳩時計のあるカフェかレストランに3時でいいってことかね」
シェル「ああ、とにかく空港に行ってみよう、あと2時間しかない」
水龍「空港なら二つ隣の街にあるよ、行こう」
フローナ「うん」
空港で聴き込みをしていると一件だけ鳩時計があるカフェを見つけた。
カランカラン。
店主「やぁ、待っていたよ、どうやらたどり着いたのは
君たちだけのようだ」
シェル「じゃあ俺らの推理は合ってたんだな」
フローナ「良かった」
店主「料理を用意してある、好きなものを好きなだけ食べてくれ」
シェル「やったー!!お腹ぺこぺこだよ」
食べ終わった後。
店主「さぁ、商品の植物園のチケットだ、受け取ってくれ」
水龍「ありがとう」
店主「それともう一つ」
水龍「え?商品は植物園のチケットと料理だけだよね?」
店主「秘密にしていたんだ、これを受け取る人を見極めたくてね」
シェル「卵?」
フローナ「変わった柄ね」
店主「これはドラゴンの卵さ」
シェル「ど、ドラゴン!?」
店主「ああ、あれは雷がこの家の近くに落ちた時のことだった
雷が落ちた場所にこの卵が落ちていたんだ
だが、ワシが持っていても一向に割れる気配がない、
これはこの子が飼い主を選びたいんだろうなと思ってな」
水龍「ほんとにドラゴンなのか?」(ヒソヒソ)
シェル「さ、さぁ・・・」(ヒソヒソ)
と、その時、店主の手から卵がフローナの手へふわふわと宙に浮いて届いた。
フローナが両手を広げるとその手の中にぽすっと入った。
水龍「え!?」
フローナ「あったかい・・・」
店主「ふむ、どうやらこの子は君を選んだようだね」
パキッ。
シェル「え、卵割れ始めた!?」
パリィン!!
「キィー!!」
水龍「ほ、ほんとにドラゴンの子どもだ・・・」
フローナ「か、可愛い〜!!」
店主「どうかな?ぜひこの子を育ててやってくれないか?この子も君を気に入っているようだし」
フローナ「シェル、この子連れてってもいい?」
シェル「おー、いいぞ」
レン「だ、大丈夫なんですか隊長、ドラゴンを飼うなんて・・・」
シェル「俺たちがいればなんとかなるだろ、見たところ害はなさそうだし」
「キィー!キィー!」
メリサ「名前どうしようかね」
フローナ「キーちゃん!」
水龍「なんて安易な・・・」
キー「キィ♪キィ♪」
シェル「ん?名前ほんとにキーみたいだぞ」
水龍「正確にはKey(鍵)みたいだね」
二人は動物の言葉が分かる。
フローナ「え、ほんとに?じゃあやっぱりキーちゃんだね!」
店主「二人とも、ドラゴンの言葉が分かるのかい?」
シェル「まぁね」
水龍「ちなみに俺ら動物の言葉も分かるよ」
店主「そりゃあすごいな」
メリサ「キーちゃんこれからよろしくね」
フローナ「よろしくねキーちゃん」
キー「キィ!!」
メリサ「ほわぁ・・・可愛いね」
フローナ「可愛い過ぎる〜!!」
それから。
店主「じゃあ、ここまで来てくれて感謝するよ、しかし、よく謎が解けたね?」
シェル「フローナが最初に紅葉に気付いてくれたおかげなんだ」
フローナ「シェルだって飛行機雲に気付いたじゃない」
店主「これは子どもの心を忘れないようにと作られた謎謎なんだ、二人は子どものように純心なんだねろ」
フローナ「そ、そうかな?」
シェル「そうなのか?」
二人はまた顔を見合わせて首を傾げる。
水龍「ね?だから言ったでしょ?二人なら解けるって」
7話 シェルは誘拐犯?
市場でシェルとフローナが雑貨を見ていた時の事。
フローナが突然、警察官に話しかけられた。
警察官A「君!」
フローナ「え?」
警察官B「半妖に誘拐された女性がいると聞いてたけど君だね?」
フローナ「違いますけど・・・」
すぐ近くにいたシェルが出てきた。
シェル「え!?フローナ誘拐されたのか!?」
警察官二人がじ〜ッとシェルを見る。
シェル「あ、俺?」
シェルはフローナを担いで走った。
フローナは担がれたまま後ろから追いかけてくる警察官二人に向かって人差し指で目を下に下げ、ベーっと舌を出している。
シェル「こらこら、君が喧嘩売ってどーするの」
フローナ「なんか面白くなっちゃって笑」
シェル「あはは、いいことだ!」
少し離れた場所からメリサの声が聞こえてきた。
メリサ「フローナちゃーん!隊長ー!って警察官に追いかけられてるじゃないか」
レン「はぁ・・・何でこうあの人は次から次へと・・・」
コキア「走ります?」
レン「ええ」
タタタっと三人が走り出す。
メリサ「もー、隊長がいるとトラブルが絶えないよ」
レン「全くですね」
シェルとフローナ合流。
シェル「わりーわりー、なんか俺が誘拐犯ってことになったみたい」
レン「なったみたいじゃありませんよ、全く」
メリサ「フローナちゃん担いだまま走ってたら余計に誘拐犯だろ」
シェル「あ!そっか!」
レン「やれやれ・・・」
〜隊長の印象〜
レン「能天気の塊」
メリサ「元気!明るい!かな」
フローナ「太陽みたいな人」
コキア「キラキラ星人」
シェル「太陽とキラキラ星人って何だ??」
コキア「そのまんまの意味です」
フローナ「シェルって太陽みたいに眩しいから、コキア君のキラキラと似てるかも」
コキア「太陽もキラキラしてますしね」
フローナ「うんうん」
シェル「なんか今キュンってなったわ」
〜隊長らしさ〜
バサッと赤い鳥が屋根の上から飛び立った。
シェル「あ!!赤い鳥だ!」
レン「隊長ちょっとまっ」
ダダダッ!!
レン「はぁ・・・何であの人はいつもこうなるんだ・・」
メリサ「まぁ隊長だからねぇ」
フローナ「シェルらしいとゆーかなんとゆーか」
コキア(頷く)
〜暑さに弱い隊長〜
シェル「・・・」
フローナ「意外、シェルって暑さに弱いんだ・・・私も夏苦手だけど私以上だね」
メリサ「フローナちゃんもかなり弱い方だけど隊長は桁外れだよね」
レン「いつも夏本番はこんな感じです」
レンはペチペチっとシェルの頬を叩く。
レン「隊長、そろそろ起きて下さい」
シェル「一歩も動けない」
フローナ「シェルは人一倍体温高いし・・・可哀想・・・レンさん、いつもこう言う場合どうしてるんですか?」
レン「川か海にぶん投げますね」
川に到着。
レンとコキア、メリサの三人によって川に投げられたシェルは嘘みたいに元気になった。
シェル「おっしゃ水〜!!」
フローナ"凄い、ほんとに元気になった"
シェル「お前らも来いよー!」
レン「キラン✨」(メガネ光る)
レンさんは既に水着に着替えていた。
隊長に向かって走り出す。
ダダダッバシャン!!
シェル「!?おいっ!!」
レンが飛び込んだ水しぶきがシェルにかかる。
シェル「やりやがったなレン!!」
シェルがレンの肩を抱える。
2人は戯れ合っている。
フローナ「レンさんって意外と子どもっぽいとこあるんだなぁ、ふふふ」
メリサ「フローナちゃんも入るのかい?」
フローナ「はい、気持ち良さそうなので」
メリサ「じゃあ僕はコキア君とここで見てるよ」
フローナ「はーい!」
一通り遊び終わり、フローナが川から上がろとした時、足を滑らせた。
フローナ「わぁ!!」
シェル「!!危ねぇ!」
間一髪、シェルの胸にフローナがダイブする。
シェル「!!」
フローナ「ごめん、ありがと」
フローナは気にも止めずすったかたーと着替えに戻っていった。
レン「フローナさんケロっとしてましたね」
シェル「あいつは自分に魅力がないと思ってるとこが一番の欠点なんだよ」
レンは無言のままシェルの方にポンっと手を置いた。
〜金銭感覚〜
フローナ「ずっと気になってたんですけどお金どこから出て来てるんですか?誰も働いてる様子ないのに」
メリサ「いーい質問だフローナちゃん」
レン「隊長、自分をオークションに出したんですよ」
レンがシェルを腕を組んだまま人差し指だけで指差す。
フローナ「えぇ!?ほんとなの?」
シェル「ああ」
メリサ「ほんと無茶する人だよね」
シェル「人間相手なら逃げれる自信あったからな、金だけ奪って逃げた笑」
メリサ「それでもだよ!自分達の隊長がオークションに出されるなんていい気しないんだからね」
シェル「けどそのおかげで一生遊んで暮らせるじゃん」
メリサ「う、それ言われると反論できない」
レン「それだけじゃないでしょう?フローナさん、隊長は単にお金を奪って逃げただけじゃないんですよ」
フローナ「え?それはどういう・・・」
レン「相手はたまたま目の前にいた令嬢だったんですが、一目で隊長のことを気に入ってしまったんです、なんでもルックスが好みだったとかで」
フローナ「シェルかっこいいもんね」
シェル「え?そ、そう言われると照れるな」
レン「まだ話の続きがあるんですよ」
フローナ「なんですか?」
レン「最初は貴族達の間で3億、4億と値が上がっていったんです、
そしてついには8億に」
フローナ「凄い・・・」
レン「俺もその辺りで終わると思っていたんですが・・・この人、その令嬢に何て言ったと思います?」
フローナ「え、うーん、なんだろ?」
シェル「お姉さん、俺のこと買ってくれるよね?」
令嬢「12億!12億出しますわ!!」
レン「と・・・そして、その令嬢がお金を用意した瞬間、縛り上げてお金だけ奪って逃げたというわけです」
フローナ「うわぁ・・・」
レン「一番タチ悪いのは隊長なんじゃないかと思いましたね」
シェル「人身売買なんてやってる方が悪い」
メリサ「さすがに僕も呆れてものも言えなかったね」
フローナ「なんかとんでもない話を聞いてしまった・・・」
シェル「使えるもんは利用しないとね♪」
メリサ「ま、結局、その騒ぎに便乗して他の奴隷にされた人達も逃げれたみたいだけどね、本人にその気はなかったみたいだけど」
シェル「ぜんっぜんなかった!」
フローナ「それはある意味凄い・・・」
レン「この人、時々サイコパスなこと平気でやるから怖いんですよ」
フローナ「あはは」
〜シェルの血〜
街の人「ねぇ、あのトラックの運転手、様子変じゃない!?」
トラックに乗っている男は気絶してハンドルに突っ伏してしまっている。
メリサ「ちょ、やばくない!?」
フローナ「あのままだと民家にぶつかっちゃう!」
レン「あの男性、俺達が買ったたこ焼きの屋台の人ですね」
シェル「お前らはここにいろ」
レン「まさか1人で止めに行くですか!?」
メリサ「無茶だよ、何トンあると思って」
シェル「俺を誰だと思ってんだ?」
シェルは自信満々な笑みで走っていく。
街人「きゃあー!!人が轢かれる!!」
街人「何やってんだ危ないぞ!!」
シェルはトラックの前に飛ぶと全身を使って止めにかかる。
しかしトラックの重さにシェルの体は押される。
フローナ「シェル!!」
シェルは両足で踏ん張りながら止めに入る。
シェル「レン!コキア!タイヤを切ってくれ」
レン&コキア「「了解!」」
ザンッ!!
二人がタイヤを斬った。
トラックのスピードは弱まる。
シェル「メリサ!窓を撃て!」
メリサ「あいよ!」
バンッ!!バリィン!!
メリサの銃で割れた窓ガラスにフローナが入り込む。
中から扉を開けて男性をメリサと共に外へ救出した。
「今の見たか?」
「すっげー連携技だったよな!」
「うん!カッコよかった!!」
シェルはトラックの男を運び出すと病院へ連れていった。
男性「うぅ・・・」
シェル「おっちゃん、半妖の血で良けりゃ分けてやる」
男性「あぁ・・・頼む、妻をひとりにはできない・・・」
シェル「分かった」
男性は怪我をしていて血を流していた為、シェルが血を分けたのだ。
その男性の妻が駆けてきた。
妻「あの、本当にありがとうございました!ありがとうございました!あの何かお礼を」
妻は泣きながらお礼を言う。
シェル「良いよ礼なんて、これ以上ここにいたら騒ぎになっちまうし俺らは行くよ」
妻「あの、せめてお名前だけでも」
シェル「シェル」
数日後。
フローナが貧血を起こした時のこと。
コキア「メリサさん」
メリサ「どうしたんだい?」
コキア「僕気付いたことがあるんですけど
この間、隊長おじさんに血を分けてましたよね?」
メリサ「うん」
コキア「あの人、その後すぐ元気になってましたよね?」
メリサ「うん」
コキア「だったら隊長の血をフローナさんに分けたら元気になるのでは?」
シェル「それだー!!」
フローナ「え、でも怪我したわけでもないのに血をもらうなんて悪いよ・・・」
メリサ「何言ってんだい、貧血は立派な怪我だよ!」
シェル「そうそう、俺なら身体ちょー頑丈だから大丈夫だよ」
レン「まぁ、血を分けたら隊長も少しは大人しくなるかもしれないですしね」
シェル「わぁレンちゃん相変わらずキレッキレだね」
レン「ちゃんは辞めて下さいちゃんは」
血を分け中。
フローナ「シェルありがとね」
シェル「ニカッ、元気になるといーな!」
フローナ「!うん」
フローナ"シェルは本当に優しいなぁ・・・"
15分後。
フローナ「すごーい!体軽ーい!シェルありがとう!
なんかね!体がすっごい軽いの!何か今なら何でもできそう!」
シェル「おーおー良かったなぁ、俺は今ほど半妖に生まれて良かったと思った事はないよ」
メリサ「元気になって何よりだよ」
レン「この2人は日に日にフローナさんの保護者みたいになっていくな・・・」
フローナ「わーいわーい!」
レン「・・・」(ほわほわ)(自覚ないもの約1名)
コキア「?」
〜生きて俺の元に〜
シェル「いいかフローナ、この先は老人が倒れていようと、子どもが泣いていようと、足を止めずに走れ」
フローナ「助けを求められても?・・・」
シェル「フローナ、俺達は正義の味方じゃないんだ」
レン「生きて必ず俺の元に帰って来い、ですよね?」
シェル「ああ」
フローナ「うん、分かった」
シェルはフローナを不安にさせないようにニコッと笑った。
メリサ「ところでコキア君、君は何してんのさ?」
コキア「耳栓です、断末魔うるさいので」
メリサ「尊敬するよ君のそう言うところ」
シェル「まぁ、ここまでなれとは言わんが・・・
俺はフローナの命を最優先にだな」
メリサ「隊長、いい話してるとこ悪いけどフローナちゃんあっちだよ」
フローナ「コキア君、便利なもの持ってるね」
コキア「フローナさんも使いますか?予備用の新品のものがありますよ」
フローナ「え、いいの?助かるー!」
シェル「心配いらなかったのね・・・って!じゃなくて!断末魔はともかく俺の指示まで聞こえなくなるから二人とも耳栓はだめ!」
フローナ「えー」
コキア「隊長の指示が聞こえなくても問題ないのでは?」
シェル「俺一応お前らの隊長なんだけどな」
〜綿あめ〜
東の街K地点。
この街では大々的に祭りが行われていた。
シェル「ん?あれ何だ、あのふわふわしたやつ!」
街を歩いているとシェルが気になったものを指差した。
フローナ「あー、あれ綿あめだよ」
シェル「わたあめ??」
フローナ「空に浮かぶ雲みたいなお菓子、砂糖を機械でふわふわにするの」
シェル「砂糖ってことは食べ物だよな?」
フローナ「そーだよ」
シェル「なーなー!俺わたあめ食べてみたい!」
フローナ「私も食べたーい!」
シェルとフローナは目をキラキラとさせながらレンの方を見る。
レン「はいはい、じゃあ綿あめ買ってから車に戻りましょうか」
シェル「やったー!!」
レン「やれやれ・・・」
レンはため息をつきながらも綿あめにはしゃぐシェルとフローナの姿を見て微笑ましい気持ちになるのだった。
数分後、無事に綿あめを買った5人。
シェル「ん?これどうやって食べんの?」
シェルは食べ方が分からず、綿あめとにらめっこをしている。
フローナ「直接口で食べてもいいけど、私は口にベタベタ付くのやだから指で少しずつ摘んで食べてるよ」
フローナはそう言って人差し指と親指で綿あめを摘んで食べた。
シェル「そっか・・パクッ」
シェルは口の周りに砂糖が付くことなどお構いなしに直接口で食べた。
フローナ「どう?」
シェル「ほんとに砂糖の味する」
フローナ「原料砂糖だからねー」
メリサ「それにしても綿あめなんて久しぶりに食べたよ
、昔、ローズと家を抜け出して食べたっけ」
フローナ「私もです、祭りは何度も来たことあったけど綿あめ食べるのは子どもの頃以来だなぁ、懐かしい」
レン「俺も母と食べて以来なのでこれで二度目ですね」
コキア「甘い・・・」
メリサ「はは、まぁ砂糖だからねぇ」
シェルは綿あめを食べている皆んなを見るとフッと笑った。
メリサ「隊長?どしたのさ?」
シェル「ああ、いや、俺祭りに来たことなかったから
お前らとこうやって綿あめを一緒に食べれて良かったなと思ってさ
なんかこういうのいいな」
シェルは嬉しそうに微笑んでいる。
フローナ「シェル・・これからも祭りがあったら一緒に行こうね!」
シェル「うん!」
フローナ"やっぱり私、シェルの笑顔好きだなぁ、
シェルが笑うと世界までキラキラするよ"
レン「あれ、メリサさん、ひょっとして泣いてます?」
メリサ「何言ってんだい、目にゴミが入っただけだよ」
メリサは指で熱くなった目頭を押さえている。
コキア「メリサさん、ハンカチどーぞ」
メリサ「ありがと」
レン「この際、今日のお昼ご飯は屋台の料理にしましょうか」
メリサ「レン君、君も何気にお祭り楽しんでるね?」
レン「今日は楽をしようと思っただけですよ」
メリサ「またまたぁ♪」
フローナ「せっかくだし屋台のご飯食べてこうよ!」
シェル「いいな!じゃあ焼きそばとお好み焼きとたこ焼きとーあれ?あそこにいるのは・・・」
シェルの目線の先にいたのは・・・。
キリュウ「たこ焼き10人前頼む」
店主「あ、あいよ」
シェル「キリュウー!」
シェルはキリュウの名前を大声で呼びながら腕をブンブン振った。
キリュウ「ん?なんだお前か」
シェル「おお、俺だ、なーんだキリュウも祭りに来てたのか!」
キリュウ「俺はたこ焼きを買いに来ただけだ」
メリサ「とか言ってキリュウ君もなんだかんだ祭り楽しんでるみたいじゃないかい」
キリュウ「俺は別に・・・」
シェル「なぁなぁ、キリュウも一緒に食べよーぜ!」
キリュウ「俺はいい」
フローナ「えー!キリュウ君も一緒に食べようよ!」
キリュウ「・・・分かった」
メリサ「あれ、やけに素直じゃないか」
レン「フローナさんに言われたら逆らえないんですよきっと」
メリサ「なるほど」
キリュウ「おい、勝手に納得するな」
シェル「まーまー!いいじゃん♪てか、キリュウほんとたこ焼きだな、こんなに屋台あるのに全部たこ焼きとお好み焼きって」
キリュウ「使える金は限られてるからな、だったら好きなもんの為に使った方がいいだろ」
シェル「キリュウはいっつも金ないもんな」←悪気はない
キリュウ「大きなお世話だ」
メリサ「ねーねーフローナちゃん」(ヒソヒソ)
フローナ「?何ですか?」
メリサ「キリュウ君って一途そうだよね」
フローナ「それはなんか分かるかもです」
〜ほの字〜
シェル「俺が殺したんだ、母親と父親を」
フローナ「え」
シェル「俺のこと嫌いになったか?」
フローナ「全然」(けろっ)
シェル「え」
フローナ「そうしなきゃいけない理由があったんでしょう?殺されかけたとか、もしくは・・・弟君を守る為とか」
シェル「・・・ほんとフローナは俺を否定しない女だよな」
フローナ「後悔してるの?」
シェル「いや、してないよ、それに俺の手は元々汚れてるからいいんだ」
フローナはシェルの手にそっと触れた。
フローナ「シェルの手は汚くなんかないよ
私たちを守ってくれる温かくて優しい手だもん」
シェル「フローナ・・・ありがとな」
シェルはフローナが部屋に入っていくのを確認すると人差し指で頬を掻いた。
シェル「フローナって不思議な奴だよな」
メリサ「ん?」
シェル「誰よりも頼りなく見えるのに誰よりも頼りになるってゆーか」
メリサ「フローナちゃんに過去のこと話したのかい?」
シェル「ああ、迷いなく受け入れてくれたよ」
メリサ「フローナちゃんは仲間に対して絶対的な味方でいてくれるからねぇ」
シェル「あぁ」
メリサ「ははは」
シェル「な、何だよ急に」
メリサ「隊長、顔にほーれたって書いてあるよ」
シェル「なぬ!?」
メリサはケラケラと笑いながら治療部屋へ入っていった。
その後。
レン「隊長、最もらしいこと言ってますけど
本当はフローナさんを好きになった理由、一目惚れなんじゃないですか?」
シェル「ゲホゲホッ」
〜シェル犬化〜
シェルが犬になってしまった(中身だけ)とメリサさんから聞かされた。
シェル「わんわん!!」
レン「これはキツイな」
メリサ「まぁまぁ、隊長は術かけられてるだけなんだからさ」
コキア「普段と変わらないような」
シェルが四足歩行のままフローナに近付き、しゃがむと頬を足に摺り寄せた。
フローナ「・・・お手!ちんちん!」
シェル「わん!わん!」
シェルは交互に自分の手をフローナの手に乗せた。
フローナ「よしよし、いい子いい子」
フローナはシェルの頭を撫でる。
メリサ「順応早!!」
レン「あれを0.5秒で受け入れるとは・・・」
メリサ「何だろう、フローナちゃんの底知れぬ懐の広さを垣間見た気がする」
〜不発なくしゃみ〜
シェル「ふぇ・・・」(くしゃみ出そう)
と、その時フローナがペチッとシェルの鼻を手のひらで軽く叩いた。
シェル「あでっ!」
レン&コキア「!?」
メリサ「ブホッ」
メリサが紅茶を飲みかけて吹いた。
シェル「何すんじゃい!」
フローナ「くしゃみ止まるかなって思って」
シェル「止まったわい」
レン「今の隊長、最高に間抜けでしたねぇ」
シェル「やったのフローナなのに!?」
〜隊長の苦手なもの〜
森。
フローナ「わーなんかこの森お化け出そう〜」
レン「フローナさんダメですよ、隊長の前で幽霊の話をしちゃ」
レンがこそっとフローナに言う。
フローナ「え?どうしてですか?」
レン「あれ見て下さい」
レンの指差す方にしゃがんで両耳を押さえているシェルの姿が見える。
フローナ「もしかしてシェルって幽霊が苦手?」
レン「ええ」
メリサ「まぁ僕も得意じゃないけどね」
フローナ「私もですけど私は皆んながいればヘーキかなぁ」
メリサ「僕も僕も」
フローナ「コキア君は・・・」
コキア「??」
メリサ「コキア君はこのまんまだよ」
フローナ「ですよね!・・・でもシェルの方は重傷みたいですね」
メリサ「自分は半妖のくせにね、大体、隊長は妖怪とだってよく戦ってるじゃないか」
シェル「妖怪は生きてるからいいんだよ!幽霊は死んでるんだぞ!」
フローナ「シェル・・・大丈夫だよ!もし幽霊が出て来たら私がやっつけるから」
(気分はナイト)
シェル「ほ、本当に?」
フローナ「うん!私が付いてるから大丈夫だよ」
シェル「ありが・・・わぁ!?」
ガサガサッ!!
急に草むらが音を立てて動いた。
シェルは咄嗟にフローナの後ろに隠れた。
シェルは198cm、フローナは153cmなので全くもって隠れられていないのだが。
「にゃあ」
フローナ「シェル、猫だよ?」
シェル「はー、なんだ猫か」
レン「あんた恥ずかしくないんですか・・・自分より小さいフローナさん盾にして・・」
シェル「だって・・・」
〜隊長は下着泥棒?〜
タタタッ。
フローナが洗濯物を干す為、洗濯カゴを持って外へ出ようとした時だった。
下着が一枚カゴから落ちてしまう。フローナは気付かずに物干し竿の方へ向かってしまった。
そして、シェルが第一発見者となる。
シェル「・・・」
5分後。
シェルは正座させられていた。
フローナはパンツを洗い直し、干しに行っている。
フローナ"ぶかぶかになっちゃった"
レンは静かに怒りつつ腕を組んで隊長を見下ろしている。
レン「それで?どうしてフローナさんの下着をあなたが所持していたんですか?」
シェル「いや、あの、廊下に落ちてて・・・たまたま拾いました」
レン「そこまでは分かりますよ、洗濯物を運ぶ際に落ちてしまったんでしょう、
ですが何故頭に被る必要があったんですか?説明をして下さい」
シェル「えと、パンツ被ったらどんな気持ちになるのかなって思って」
レン「この状態で照れないで下さい」
シェル「好奇心でつい、出来心で・・・すみません」
レン「ついじゃありませんよ、ついじゃ、この"下着泥棒"が!」
シェル「(ピシャーン!!)人聞き悪いこと言うなよ、
俺は盗んだんじゃない拾っただけだ、誰かれ構わず盗む下着泥棒と一緒にしないでくれ、俺は彼女のだから被ったんだ」
レン「よくもまぁ抜け抜けとそんなこと言えますね」
(ゴゴゴ!!!)
シェル「う・・・」
レン「第一、あなたが誰かれ構わず盗んでいたら今頃斬ってますよ」
シェル「う・・・」
レン「いくら付き合っているとはいえあなたにはデリカシーというものが足りないんですよデリカシーが」
(ガミガミ)
フローナが戻って来た。
メリサ「フローナちゃんも嫌なことは嫌ってはっきり言った方がいいよー?」
フローナは正座させられているシェルの前へと一歩出る。
フローナ「シェル・・・」
シェル「フローナ・・・ごめんなさい・・・」
シェルはしょんもりしている。
フローナは少し屈むと首を傾けて言った。
フローナ「下着が欲しいなら買いに行く?」
ズコー!!(レンとメリサが転けた音)
コキア「??」
(何でこの二人は揃って転けたんだろう?)
シェル「違うよ、俺はフローナのパンツだから被ったんだ!他の女のパンツなんか興味ない!」(バーン!!)
フローナ「シェル・・・」(キュン!!)
""何かが、何かが果てしなく間違ってる!!""
〜結婚願望0〜
メリサ「いいのかいフローナちゃん」
フローナ「何がですか?」
メリサ「隊長、結婚願望0な人だよ?」
シェル「結婚やだー、自由じゃないのやだー、やたやだー」
後ろの方でシェルが騒いでいる。
メリサ「こんなのと付き合っていいのかい?」
シェル「こんなのっておい」
フローナ「え、結婚願望なんてあったら旅に出ずに故郷で相手作ってとっくに結婚してますよ」(けろっ)
メリサ「あー!!」
コキア「確かに」
レン「フローナさんて時々核心突いてきますよね」
シェル「まぁないだろーな、この間だって俺がウエディングドレスが飾られてた店の前にいたら・・・」
少し前。
フローナとシェルが二人で歩いていた時のこと。
ショーウィンドウに飾られたウエディングドレスの前でシェルが立ち止まった。
シェル「フローナがこのウエディングドレス着たら綺麗なんだろーなぁ・・・お帰りなさい、あ、な、た、ご飯にする?お風呂にする?それともわ、た、し?
きゃ!・・・ってあれ!?フローナがいない!!」
すると少し先の方にフローナの姿が。
屋台。
フローナ「イカ焼き二つ下さい!」
店主「はいよ」
シェル「フローナ、俺はお前のそうゆーとこも好きだぜ」
フローナ「シェルー!何してるのー!一緒にイカ焼き食べようよー!」
シェル「ああ、今行くよ」
〜激しい〜
貴族が登ってくる橋をシェルが持ち上げる。
「貴様!何をする!」
「そんな事をしてただで済むと思っているのか!」
ギャーギャー。
シェル「じゃーねーバイバイー!」
「ぎやぁああ!!」
川に落下していく貴族達。
レン「相変わらずダイナミックなやり方しますねぇ」
シェル「だーいじょーぶ!下は川だし、運が良ければ助かるって!」
レン「よく言いますよ、あなた、あの川がピラニアの住処だと分かっていたでしょう?」
シェル「あれぇ?そうだったかな?」
レン「やれやれ」
コキア「じーっ」
コキアはピラニアに食べられている貴族達を見ながら呑気に牛乳を飲んでいる。
メリサ「コキア君、君はよくあんなの見ながら牛乳飲めるね・・・」
コキア「ピラニアってああやって餌食べるんですね」
メリサ「本当にマイペースな子だよ」
〜心理戦〜
大会にてトランプ対決をする事になったシェル。
相手は感情が読み取れないほど表情の無い女の子だ。
シェル「俺行くわ」
フローナ「シェル、ババ抜き得意なの?あの子表情読みづらそうだけど・・・」
レン「隊長はババ抜き強いですよ」
メリサ「心理戦で隊長に勝てる人なんていないんじゃない?」
フローナ「へぇ・・・そんな強いんだ」
互いに冷静さを保ったまま淡々と手札を引いていく。
レン「手強いですね」
メリサ「あの手のタイプはさすがの隊長も読みづらいだろうね」
シェルは途中で手を止めた。
審判「おっと、シェル選手の手が止まった!これはかなり難航しそうだー!」
シェル"やれやれ、女の子を威圧するような真似はしたくなかったんだけど・・・"
シェルはトランプを見つめて一瞬考える素振りを見せた後、両手を組んで相手の女の子の目を真っ直ぐ見た。
「!?」
相手の女の子はシェルの予想外の動きに一瞬動じたように見える。
フローナ「!空気が変わった・・・」
レン「本気出したみたいですね」
メリサ「あの隊長を本気にさせるなんて大した子だね」
シェルがカードを引いていくうちに相手が焦りの色を見せ始めた。
そして最後の一枚を取ろうとした瞬間、相手は焦ったのかカードを持つシェルの手を掴んでいた。
だが、すぐに諦めたように手を離した。
「負けた・・・」
シェル「君、意外と負けず嫌いなんだね、
そう言うの良いと思うよ!」
シェルはニカッと笑った。
「!」
相手は一瞬不意を突かれたような表情をした。
シェルは優勝の品の中からアクセサリーを手に取って歩き出した。
レン「え、隊長?」
シェルは対戦相手の子にアクセサリーを渡した。
「どうしてこれを私に?・・・」
シェル「あ、バカにしてるとかじゃないからね?
最初に景品見た時にこのアクセサリーの時だけ視線が止まってたから
俺らアクセサリーに興味ないからさ、せっかくなら好きな子が持ってた方がアクセサリーも喜ぶじゃん、だから良かったらもらって」
「負けたのにもらえない」
シェル「んー、じゃあまたババ抜きしようよ
それでどう?」
"ああ、そっか、私、戦う前から負けてたんだ、この人に"
「・・・分かった」
シェルはニカッと笑った。
「あの」
シェル「ん?」
「あり、がとう」
少女は辿々しくお礼を言った。
シェル「どういたしまして!そんじゃまたね〜!」
シェルは大きく手を振った。
その子はアクセサリーを握り締めたまま静かに微笑んだ。
その事は誰も知らない。
〜怪獣のぬいぐるみ〜
雑貨屋にて。
フローナ「わ、この怪獣のぬいぐるみシェルに似てる!」
メリサ「あれまほんと」
レン「そっくりですね」
シェル「そうか?」
フローナ「可愛い〜、これ買おうかな」
シェルはひょいっとフローナから怪獣のぬいぐるみを奪うと元あった場所に置いた。
フローナ「あ、ちょっと!何するの」
シェル「似てる本人がいんだからいらないだろ」
フローナ「怪獣・・・」(しょぼん)
メリサ「レン君、あれは黒だねぇ」
レン「えぇ、間違いありませんね」
レンはクイっとメガネを上げた。
コキア"今日も平和だなぁ"
フローナが部屋から出てこない為、シェルが様子を見に行った。
コンコン。
シェル「フローナー、入るぞ?」
フローナはまだ眠っていた。
シェル「って、何であのぬいぐるみが?
フローナの奴、こっそり買ってたな」
フローナは怪獣のぬいぐるみを抱きしめながら寝ていた。
シェル「なぁ、これってそーゆー事?」
シェルはツンツンと怪獣のぬいぐるみをつついた。
フローナ「zzz」
〜ヤキモチ〜
シェル「コキアだって男なんだから気を付けろよ?」
フローナ「それってヤキモチ?・・・ってそんな訳ないか」
シェル「そうだって言ったらどうする?」
フローナ「え・・・///」
シェルはじっと真っ直ぐフローナを見た。
フローナ"何でそんな真っ直ぐな目で見るの!?
目逸らせない・・・"
シェル「・・・!」
その時、背後からレンが近寄って来た。
レン「隊長ー、フローナさん、食事できましたよ」
シェル「おー」
フローナ「はーい」
フローナ"何よ、平気な顔して行っちゃわないでよ・・・ばか"
〜告白〜
シェル「あー俺さ、フローナの事好きだわ」
フローナ「え、私も好きだよ」(ケロっ)
シェル「な!?何でいきなり言うんだよ!」
フローナ「シェルだっていきなり言ったじゃないの」
シェル「そーだけど、心の準備ってもんがあるだろ!」
フローナ「えー、じゃあ今の一旦無しにする?」
シェル「それはできない」(真顔)
フローナ"可愛いな"
フローナ「・・・あのさ、本当に私でいいの?」
シェル「それはどう言う?」
フローナ「後から若くて可愛い子が良かったとか言わないでよ?」
ちょっと拗ね気味な顔でフローナは言う。
シェル「言わないよ、つか、フローナこそ歳上で包容力ある男が良かったーとか言うなよ?」
フローナ「言わないよ、だって・・シェル以上の人なんてこの世界中どこ探し回ったっていないもの」
シェル「今・・・何かが刺さった」
フローナ「え?なになに何が刺さったの?」
シェル「よせ、これ以上俺をいじめてくれるな」
顔を真っ赤にしているシェルにフローナは容赦なく近付く。
フローナ「いいじゃん教えてよ〜!」
シェル「だーめ!」
フローナ"シェル、大好きよ、
私のこと1秒でも長く好きでいてね"
〜シェルの過去〜
チェル「・・・本当なの?母さんと父さんを殺したって」
シェル「・・・ああ」
チェル「何で・・・」
シェル「・・・母さんと父さんはお前と俺を売る気で産んだんだ」
チェル「え・・・?」
シェル「半妖は高く売れるからな、
その事を知ったのは俺が3歳の時だ」
チェル「それって俺が産まれた時・・・?」
シェル「ああ、
両親が話してるのを聞いて耳を疑ったよ、
このままだとお前も俺も売り飛ばされる、
俺がお前を抱えて逃げようかと思ったが
また売り飛ばす為に子供を作りかねない、
半妖の知力や運動能力は普通の人間の10倍程度、
少し考えれば事故に見せかけて2人を殺すのは容易い事だった」
淡々と話すシェルの表情には切なさも混じっていた。
チェル「何で教えてくれなかったんだよ・・・何で一緒に背負おうとしてくれなかったんだよ
にーちゃんは俺が辛い時にはいつも駆けつけてくれてた
なのに俺はにーちゃんが辛い時、気付けもしないでずっと・・・」
シェル「お前には幸せな記憶のままにしておきたかったんだ
ごめんな、ずっと良いにーちゃんのままでいたかったけど・・・」
チェルはシェルに駆け寄り抱き締めた。
チェル「にーちゃんは俺にとってずっと良いにーちゃんだよ!!
俺がいなかったらにーちゃんは一人で逃げれたのに
俺がいたから・・・ごめん、にーちゃん、ごめん」
シェル「ばーか、お前が謝る事なんて一つもない、
俺はお前がいたから生きてこられたんだ、
お前は俺の大事な弟なんだよ」
チェルは泣き出す。
シェルはチェルの頭を優しく撫でた。
チェル「にーちゃんずっと辛かったよね、苦しかったよね・・・」
チェル"どんな理由であれ両親を殺すのは相当な心のダメージを負う
それをずっと誰にも言えずに一人で抱えて"
シェル「・・・なーに、俺は今まで旅をする上で何人も手に掛けてきたんだ、
たった2人増えただけさ」
シェルはこんな時にも笑顔を見せた。
チェル「にーちゃん!もう、いいんだよ・・・」
チェルは兄を抱き締めた。
シェルの目に涙が滲む。
知力や運動能力が人の10倍あれど、心は3歳と同じ。
葛藤もあっただろう。
辛くて悲しくて泣き叫びたくなる時もあっただろう。
それでもシェルは笑っていた。どんな時も。
いつも笑って皆んなを照らしてくれていた。
その笑顔の裏には誰も知り得ない心の傷があった。
一生をかけても到底癒えないような深い傷が。
シェル「チェル・・・っ」
チェル「にーちゃん!にーちゃん!」
2人は抱き合って泣いた後、皆んなの"隊長"に戻っていった。
太陽のような笑顔とともに。
〜自慢の彼氏〜
フローナはシェルに声をかけようとしたが足を止めた。
シェル「フローナ?どした、こっち来いよ」
フローナはてててっとシェルに近付いた。
シェル「ずっとそこにいた?」
フローナ「考え事してる風だったから」
シェル「あぁ・・・海や空を眺めながらいつも自分に言い聞かせてるんだ」
フローナ「言い聞かせる?」
シェル「あぁ、何があっても仲間を守るってな
毎日だぜ、カッコ悪いだろ?」
シェル"人はほんの1ミリでもズレたら、全く違う方へ傾いちまうからな"
フローナはシェルを後ろから抱き締めた。
フローナ「そんな事ないよ、シェルは世界で一番カッコイイ私の自慢の彼氏だもん」
シェル「!・・・ありがとう」
シェルはフローナの手に指先を重ねた。
シェル"敵わないな"
〜星空〜
フローナが座っていると隣に座っていたシェルが体をぐい〜っと寄せてきた。
フローナ"かっわ///"
フローナは可愛さに悶えそうになるのを必死に耐えながら質問をした。
フローナ「なぁに?」
シェル「ん、フローナが星ばっか見てるから」
フローナ「だって星見に来たんでしょ」
シェル「そうだけどさ」
フローナはむくれているシェルの肩をちょんちょんとつついた。
シェル「な、に」
フローナはシェルにキスをした後、ニッと笑った。
フローナ「隙あり」
シェル「・・・」
シェルはガシッとフローナの腕を掴んで引き寄せた。
フローナ「わっ」
急に引っ張られた為、当然驚く。
フローナ「シェル、これじゃ私星見れないよ」
そう言われてシェルは後ろからハグする形に変えた。
フローナ「あ!流れ星!!」
フローナが空に向かって指を刺す。
シェル「おー!てかすげぇ流れ星いっぱい!!」
フローナ「こんなの初めて見た!」
シェル「俺も俺もー!」
フローナ「シェルと一緒に見れて良かった!」
フローナは満面の笑みをシェルに向けた。
シェル「!そうだな」
シェル"何なんだこの可愛い生き物は!"
シェルは胸元をぎゅっと掴みながらそう思うのだった。
〜背中の傷〜
レン「あの背中の刀傷は隊長が俺達を命をかけ守ってくれた証」
シェルは仲間3人を抱き締め、敵の攻撃から庇った。
当然、背中は無防備に晒されていた為、斬られた。
「あの傷じゃどのみち助からん、隊長を失った一味など取るに足らん、行くぞ」
レン"隊長は瀕死の状態だった
背中の傷を見た俺達は、全員顔が青ざめた
体の半分近くまで切られていたからだ"
レン「隊長、死なないで下さい・・・我々はあなたが死んでしまったら旅を続けることも笑うこともできない」
メリサ「隊長、目を覚ましとくれよ」
レン「敵にとって誤算だったのは隊長の治癒能力が桁外れで強かったこと」
「生きてやがったのか・・・あの傷で
大した奴だ」
シェル「あの時、俺の体を真っ二つにしとかなかったのは誤算だったな」
"分かるぜ、こいつ、前よりはるかに強くなってやがる"
「面白い」
敵は遥かに強くなったシェルによって倒された。
「やはり、あの時お前を殺さなくて正解だったよ」
シェル「何?」
「病じゃなく、こんな強い相手に殺されて死ねるんだからな」
シェル「お前・・・」
「さぁ、やれ」
シェルはその言葉と同時に相手を刺して殺した。
「隊長がやられた!逃げるぞ!」
「おう!巻き添えはごめんだ」
シェル「お前らそりゃねーんじゃねーか?」
「俺達は財宝が手に入るって話があったから乗っただけだ!」
シェル「知るかよ、お前らの意思でこいつにくっついて来たんだろうが」
シェルは目を光らせたかと思うと2人目掛けて飛んだ。
「ひ!」
「やめ!!」
シェルはダンッと飛ぶと二人同時に斬り捨てた。
フローナ"こんなシェル初めて見た・・・"
レン「隊長、珍しく怒ってますね」
シェル「そう見える?」
レン「ええ」
〜隊長のピンチ〜
ケシアの実の煙で弱ってしまったシェル・・・。
レン「くっ、死なせて・・死なせてなるものか・・・」
レンはシェルを命がけで庇った。
「何故そこまでして庇う?」
レン「隊長はいつも仲間を守ってくれていた
隊長のピンチに仲間が駆けつけるのは当然でしょう」
「その男でも俺に勝てなかったのにお前ごとき勝てるはずがないだろう?」
レン「勝てるかどうかじゃないんですよ、
仮に隊長を見捨てて逃げ切れたとしても
我々はもう旅を続けられない、笑うこともできない、
だから俺達は逃げない」
「なら望み通り死ね!!」
レンが攻撃を受けかけたその時。
シェルが刀で相手の攻撃を受け止めていた。
苦しそうに肩で息をしている。
レン「!隊長、ダメです、逃げて下さい!」
シェル「バカ野郎!お前ら置いて帰る場所なんかあるかよ!お前らが俺の帰る場所なんだ」
レン「隊長・・・」
「ほらほら、どうしたシェル、動きが鈍いなぁ・・・」
シェル「くっ・・・」
「もらった!!」
フローナ「シェル!」
フローナはシェルをぎゅっと庇う。
シェル「ばっ、やめ!!」
相手の刀が振り下ろされた瞬間、フローナはぎゅっと目をつむった。
しかし、そこへ猛スピードで突っ込んでくる男が・・・。
ガキィン!!!
「なに!?」
バカな、殺気はしていなかったはず・・・。
あり得ない。
妖怪の中でもトップクラスに感知能力が高いこの俺でさえ気付かない距離から一瞬でここまで来たというのか?
どんな脚力してやがんだこいつ・・・。
フローナ「!!・・・え、キリュウ君!?」
キリュウ「ちびすけ、行け」
フローナ「だ、ダメ!だってケシアの・・・」
キリュウ「俺にはケシアはきかねぇ」
フローナ「でも!」
シェル「キリュウよせ・・・お前だって全く効かねーわけじゃ」
キリュウ「仲間死なせたくなかったら黙ってろ!後で解毒薬でもぶっ込んでくれりゃ死にゃーしねーよ」
シェル「・・・キリュウ、悪い」
フローナ「キリュウ君、待ってるから!」
キリュウ「おー」
キリュウは手のひらをひらひらとさせた。
「ケシアが効きにくい半妖がいるとはな・・・」
キリュウ「ま、正確には俺の祖父が半妖なんだがな」
「なるほど、それで妖怪の血が薄いからケシアも効きづらいって訳だ」
キリュウ「そう言うことだ」
敵を倒した後。
キリュウはくらっと目眩を起こした。
キリュウ「ふー、血が薄いとは言えケシアは効くな」
シェルは布団で寝ている。
手当てされたレンも隣で寝ている。
フローナ「キリュウ君!良かった」
メリサ「キリュウ君、ここ座って」
キリュウ「?何だよ」
メリサ「いいから」
ドスの効いたメリサの声に一瞬キリュウがたじろぐ。
キリュウ「分かったよ・・・っておい!?」
するとメリサはいきなり注射をキリュウに刺した。
キリュウ「っ!てめ、いきなりなにすん」
メリサ「解毒薬だよ」
フローナ「キリュウ君、大丈夫なの?」
キリュウ「こんくらい何ともねーよ」
メリサ「全く無茶するね、それにしても半妖にも個人差があるのかね?」
キリュウ「ああ、いや、それは・・・俺の祖父が半妖だから妖怪の血が薄いんだよ」
メリサ「そうだったのかい」
フローナ「でもキリュウ君戻って来て良かった・・・」
その日の夜。
シェル「なぁ、何でキリュウは俺がピンチな時が分かったんだ?」
キリュウ「・・・お前の事ならだいたい分かる」
シェル「?うん」
シェルはニコッと笑う。
一同"それはもうほぼ告白では?"
〜シェル女性陣に囲まれる〜
レン「良いんですか?隊長放っておいて」
フローナ「話の邪魔したくないんで」
レン「・・・」
フローナは部屋に戻ろうとした。
シェルは女性陣をサッとくぐり抜けフローナの腕を掴んだ。
シェル「何で行っちゃうの」
フローナ「邪魔しちゃ悪いと思って」
シェル「何で邪魔だなんて思うの」
フローナ「男の人だしそう言う気分の時もあるでしょ?」
シェル"こいつは妙に物分かりがいいんだよな
期待しないっつーか、最初から諦めてるっつーか
どれだけ触れても壁がある、どこか冷めてる"
シェル「そんな悲しい事言うなよ、俺にはフローナしかいないんだから」
フローナ「・・・ありがと」
「えーひょっとして彼女?」
シェル「おう!可愛いだろ?」
シェルはフローナの頭をポンポンした後、戯れるようにワシワシと撫でた。
フローナ「もぅ・・・」
「可愛いー!!」
「やーん、ショックだけどこんな可愛い彼女いるんなら仕方ないよね」
シェル「てなわけだからごめんね」
「いいよいいよー」
「彼女さん大事にねー!」
シェル「うん」
二人は嵐のように去っていった。
〜キリュウとシェル共同作戦〜
シェル「あいつ強いな・・・」
キリュウ「シェル」
シェル「ん?」
キリュウ「俺が奴の攻撃を全て斬る、お前は奴の体の殻を斬ることだけを考えろ」
シェル「了解」
バラバラに動いていた二人が並んで立った。
シェル「勘違いしてるみたいだから言っとく、
俺よりキリュウの方が強いぞ、
確かに俺の方が腕力はあるが、スピードならキリュウの方が断然上だ」
「ほう、それで?」
シェル「つまり、俺らが揃うと最強ってわけ」
キリュウは得意のスピード力で相手の無数の触手攻撃を全て斬った。
シェルに襲い掛かる攻撃も全てキリュウが斬っている。
「ば、バカな、俺は妖怪の中でも攻撃も再生速度がトップクラスなのにそれを上回っているというのか?」
シェル「だから言ったろ?スピードでキリュウに敵う奴なんていないって」
「くそっ!!」
シェルは力を溜め得意の腕力で敵が体を守る為に纏っている殻を破ることだけに集中する。
そしてついに・・・。
ダンッとシェルが上空に飛び、一気に敵の体目掛けて剣を振り下ろした。
シェル「はあー!!」
ピキッと音がし、粉々に砕けた。
「ぐああっ!!」
シェル「キリュウ、さっきはありがとな」
そう言ってシェルは拳をキリュウの前に出した。
キリュウも拳を合わせようとするが・・・。
キリュウ「ずきっ・・・っ・・・」
瞬時痛みが走り、キリュウはそのまま腕を下ろす。
キリュウ「行くぞ」
シェル「キリュウ・・・?」
キリュウは戦いの後、両腕が痺れて使えなくなっていた。
シェル「よし、今日は俺が食べさせよう」
シェルの目がキラキラと輝く反面、キリュウの顔は青ざめている。
キリュウ「冗談じゃねぇ、俺は今日はもう何も食わん、明日になれば元に戻る、一日くらい食わなくたってヘーキだ」
シェル「ダメだよ!ただでさえいっぱい怪我してんだから!栄養補給ちゃーんとしないと!」
キリュウ「お前に食わさせられるくらいなら餓死した方がマシだ!!」
ギャーギャー。
レン「あ、キリュウさん今日の夕飯、たこ焼きですよ」
しん・・・。
30分後。
シェル「はい、あーん」
キリュウ「(パクッ、もぐもぐ)」
ニコニコしながらたこ焼きを食べさせるシェルと
ムスッとしながら渋々それを食べるキリュウ。
メリサ「キリュウ君ってほんとたこ焼きとお好み焼きには逆らえないんだねぇ」
フローナ「ふふ」
シェル「はい、あーん」
キリュウ「・・・黙って食わせられねーのかお前は」
その後も。
フローナ「キリュウ君、腕痛くない?大丈夫?」
メリサ「腕冷やした方がいいよ、僕がやったげるから」
シェル「なぁなぁキリュウ、他にして欲しいことあるか?」
キリュウ「痺れてるだけで痛くねぇし自分で冷やすからいい、それと、して欲しいことなんて何もねえ」
こいつらは放っておくと死ぬ病気にでもかかってんのか?
8話 バッタ君
シェル「おっ!バッタ君じゃん!!」
シェルは何やら葉っぱの上にいたバッタを見つけて騒ぎ始めた。
シェルが指を出すと意外にもバッタの方から乗ってきた。
そのままレンの方へ指を向ける。
レン「うわ!俺虫苦手なんですから近付けんで下さいよ!」
シェル「えー、バッタ君だよ??」
レン「いや、虫は虫でしょうが」
フローナ「私も虫系はちょっと・・・」
メリサ「もう!早く自然に返してあげなよね!」
コキア「バッタ・・・」
バッタ君(全く騒がしい奴らだな)
シェルの指からバッタ君が再び葉っぱの上にぴょんっと戻った。
シェル「あ」
バッタ君(俺は騒がしいのは苦手なんだ)
シェル「ごめんねバッタ君」
シェルは虫の言葉が分かる。
シェル「またねーバッタ君!!」
シェルが挨拶するとバッタ君の目がキランっと光り、
草の中へと帰っていった。
メリサ「めちゃくちゃ通じ合ってるよ」
フローナ「さすがと言うかなんというか」
レン「やはり隊長は野生なんですね」
シェル「俺は珍獣かよ・・・」
レン「似たようなものでしょう」
〜独裁者vsシェルたち〜
この街は今殺伐とした空気に包まれていた。
支配者第一号「さぁ貴様ら、性奴隷か肉体労働か選ばせてやる、
選ばなかったら拷問が待ってるからな!
さっさと歩けクズども!!」
鞭の音が地面に響き、人々はそれに怯えながら道を選んでいく。
メリサ「わー絵に描いたようなクズだね」
レン「フローナさん、気分悪いでしょう、車に戻りましょうか」
フローナ「正直言って・・・」
シェル「うん?」
フローナ「この街のことなんかどうでもいいし全然興味ないんだけど、なんかあいつムカつくから殴ってきていい?」
フローナが親指で支配者第一号を指差した。
シェル「よし、フローナ!俺が許す!好きなだけ殴ってこい!」
シェルが支配者たちの方を指差す。
レン「またあなたは火に油を注ぐようなことを・・・」
フローナが全速力で支配者第一号の所へと走った。
腹に蹴りを入れた後、ボコボコにしていく。
レン「もう誰も止められませんね」
メリサ「無理だね」
ひと通りボコボコにした後、紐で縛り上げた。
そして先程虐げられていた女性たちの前にポイっとゴミ箱に投げ入れる時の紙クズのように放り投げた。
支配者第一号「うぅ・・・ひえっ!?たすっ・・・」
女性たちが蹴るわ殴るわ大暴れしている。
もう一人の支配者第二号はシェルがヒョイっと掴み、スタスタと歩き出す。
支配者第二号「おい、貴様、何をする無礼者!
俺を誰だと思ってるんだ!
こんなことをしてタダで済むと思ってるのか!
今すぐ手を離せ馬鹿者!はな・・・」
シェルが崖の上まで行くと言われた通りパッと手を離した。
支配者第二号「離さないでえぇ!!」
叫びと共に崖から落下していった。
コキアがワニのエサになっている支配者第二号を見ながら牛乳を飲んでいる。
メリサ「コキア君、よくあんなの見ながら牛乳飲めるね・・・」
コキア「ワニってああやって人間食べるんですね」
フローナ「うーん、デジャヴ」
この瞬間より、シェルたちはこの街の英雄になった。
街の人たちは貧しい状態の中からなんとか食料を使ってお祝いをしてくれた。
シェルはそんな街の人たちにお金を置いてまた旅に出るのだった。
〜性犯罪のない街〜
性犯罪がない街。
その裏には秘密があった。
性犯罪、浮気をした者はこの国のトップである王女の手下たちによって男女問わず性器を麻酔なしで切り取られる。
しかも、公開処刑なので壇場で行われる。
断末魔の元、動物のエサにされるのだ。
動物にとって栄養価が高く、古くから言い伝えがあるが当時は生け贄としても使われていたんだとか。
レン「ぞっとしますね」
シェル「聞いただけで怖い」
コキア「処刑方法の中でも痛みが上位らしいですね、
ほとんどの人がショック死するみたいです」
シェル「でしょうね‼︎」
メリサ「コキア君は相変わらず冷静だねぇ・・・」
レン「俺でさえ血の気が引きましたよ」
フローナ「そう?やらなきゃいいだけじゃない」
コキア「自業自得ですね」
コキアがうんうんと頷く。
シェル「まぁ、それ見ちまったら一生トラウマもんだろうしやろうとは思わんだろうな」
フローナ「シェルはそんなの見なくたって浮気なんてしないよね?」(にっこー)
シェル「え?」
フローナ「し、な、い、よ、ね?」(にっこー)
シェル「しないです、命懸けても、はい」
メリサ「この笑顔が怖い」
レン「隊長が浮気しないことを祈るばかりです」
〜神さま乗り換え??〜
それはシェルが教会に吹き飛ばされて落ちた時のこと。
ガラガラっと瓦礫を避けると祈りを捧げる人たちと目が合った。
男性1「か、神への冒涜だ!!」
男性2「何てことを・・・」
女性1「あなた!今すぐ神に懺悔なさい!」
シェル「ごめん!急いでるんだ!これで許して!」
シェルが大金を男性の手にぽんっと渡す。
修理費を差し引いてもかなり余るほどのお金がそこに・・・。
男性1「おぉ、神よ・・・」
一人の男性の声とともにそこにいた人々が何故かシェルに向かって祈り始めた。
シェルは走りながらすかさず突っ込みを入れる。
シェル「いやいやいや!あんたらの神は俺じゃなくてそこにいる銅像でしょ!」
銅像が心なしか悲しそうにしていたとかいないとか。
〜この世の終わりみたいな顔な奴〜
「どけよブス!」
通りすがりの男にいきなりブスと言われたフローナ。
フローナ「あの人がブスって言ったー!」
メリサ「よしよし」
シェル「ああ!?」
「ひっ!!」
シェル「いや、そんなこの世の終わりみたいな顔の奴に言われてもな・・・」
レン「ブッ!!」
シェルのあまりの表現の上手さにレンが吹き出す。
「な!?」
コキア「というかその顔でよくフローナさんにブスって言えますね」
メリサ「ちょっ、二人とも辞めたげて・・・ぶくくっ」
メリサは腹を抱えて笑っている。
「お前こそ前髪で顔隠しやがって、相当なブッサイクに決まって・・・」
メリサ「ほいっ」
その時、メリサがコキアの前髪を上げた。
コキアは頭にハテナを浮かべながら上を向いた。
「な、ななな、美少年じゃねーかよお!!」
男は逃げるようにその場を去っていった。
シェル「コキア、珍しく怒ってるな」
コキア「?僕怒ってます?」
シェル「あ、やっぱ自覚なかった?」
コキア「はい」
フローナ「私ってブスなのかな」
シェル「いや、フローナはめちゃくちゃ可愛いからな?」
メリサ「フローナちゃん、心配いらないよ、君は可愛いからさ」
レン「ええ、間違いなくです」
コキア「そうですよ」
フローナ「皆んなありがとう・・・」
9話 名前
シェル・ビスケット
メリサ・ガーナ
レン・クリファード
コキア・ハーシュ
フローナ・アイリッシュ
ローズ・ロメリア
〜年齢〜
とある日のこと。
フローナ「まぁまぁ、コキア君まだ子どもなんだから」
シェル「子どもって俺と一個しか違わないんだけど」
フローナ「え?シェルっていくつなの?」
シェル「14だ」
フローナ「わっか!!」
シェル「え、フローナもおんなじくらいじゃないの?」
フローナ「いやいや、19だから全然違うよ!」
シェル「あ、じゃあメリサと近いな」
メリサ「ちなみに僕は20だよ」
フローナ「メリサさんとは近いんですね!」
シェル「ちなみにレンは16だぞ」
フローナ「え!?歳上かと思ってた・・・」
レン「ガ〜ン・・・そんな老けて見えます?」
フローナ「そうじゃなくてレンさん落ち着いてるから歳上に見えました」
シェル「まぁ確かに大人っぽいよな」
レン「あなたが子どもっぽ過ぎるんですよ」
メリサ「とゆーと、この中じゃ僕とフローナちゃんがお兄さんお姉さんなんだねぇ」
シェル「俺、割と真面目にフローナ歳下かと思ってた」
レン「実は俺も」
フローナ「え!?」
〜属性〜
メリサ「隊長は風、僕は水、フローナちゃんは雪、コキア君は闇、レン君は炎、キリュウ君は雷だね、
意外だねキリュウ君、炎タイプだと思ってたよ」
キリュウ「何でそう思うんだ?」
メリサ「だって髪赤いから」
キリュウ「そんだけの理由かよ・・・」
シェル「おー!俺は風か!!宙に浮けるの便利だな」
レン「俺は炎ですか」
シェル「レンは氷かと思った」
レン「何でですか?」
シェル「だってレンちゃんいっつも冷たいからさ」
レン「ちゃん付けは辞めて下さいちゃん付けは」
シェル「怒っちゃいやん」
コキア「僕は闇ですか」
メリサ「コキア君が闇っていうの分かる気がするよ」
コキア「そうですか?」
フローナ「わぁ、私は雪かぁ、なんか雪女みたい!
一度なってみたかったんだよね雪女!」
シェル「良かったなフローナ!」
フローナ「うん!」
キリュウ「何故、今の発言に対して誰も何も突っ込まないんだ・・・」
メリサ「キリュウ君もすぐに慣れるよ」
キリュウ「慣れた時が怖いな」
〜渦巻き注意報??〜
森の中を歩いていた5人。
メリサ「なんかおかしくないかい?」
フローナ「え??」
シェル「ああ、さっきから同じ道通ってるな」
レン「ええ、どうやら俺達は迷い込んでしまったようですね」
シェル「ちょっと待ってて、俺見てくる」
そう言うや否やシェルは木のてっぺんまでタッタッタっと凸凹を利用して一気に登っていく。
レン「相変わらず身軽ですねぇ」
メリサ「あのおっきな身体で凄いよね」
フローナ「いいなぁ・・・」
シェルが辺りを見渡す。
すると、渦巻き状の物体が回転しながら時折パッと消えている。
それも数が沢山ある。
レン「隊長ー、どうですかー?」
下からレンが話しかける。
シェル「うん!なんかこう!クルクルっとしてパッ!って感じだ!」
レン「隊長ふざけてんですか?」
シェル「いやいやいや!一ミリもふざけてないって!とにかくレンも登って見てみてくれよ」
レン「猿じゃあるまいしできるはずないでしょう」
シェル「それ、遠回しに俺のこと猿って言ってる?」
結局、シェルに抱えられる形でレンも木に登って降りてきた。
メリサ「レン君、どうだった?」
レン「有り得ない、物理的に考えてあんなことが・・・」(ぶつぶつ)
シェル「な?クルクルっとしてパッてしてただろ?」
レン「ええ・・・」
フローナ「レンさんまで!」
シェル「とりあえず、一人ずつ一緒に見てみてくれよ」
メリサ「分かったよ」
数分後。
メリサ「本当にクルクルしてパッとしてたね・・・」
フローナ「確かにあれは他に表現のしようがないですね」
コキア「くるくる、ぱっ!」
コキアは人差し指で空中に渦巻きを描いている。
シェル「だから言っただろ?クルクルっとしてパッとしてるって」
レン「見てしまった以上認めざるを得ませんね・・・」
フローナ「この世界にはまだまだ不思議なことが沢山あるんだなぁ」
〜幽霊に対する反応〜
幽霊「うらめしやぁ〜」
シェル「ぎゃー!!出たぁ!!」
シェルはレンに抱き付く。
フローナ「きゃー!!」
メリサ「うわ!!」
フローナとメリサは抱き合いながら震えている。
レン「ちょっと!そのデカい図体で抱き付かないで下さいよ!!」
シェル「だってだってー!!」
コキア"・・・この人たちは何をそんなに怖がってるんだろう?"
水龍「フッ、まぁ待ちたまえ君たち」
シェル「??」
水龍「はーい、可愛い子ちゃん、ちょっと尋ねたいことがあるんだけど、願いが叶う木について知らない?」
女の子の幽霊は奥の細道をゆっくり指差した。
水龍「え、この向こうにあるの?」
幽霊は黙ったまま小さく頷く。
水龍「え!本当に!?ありがとう!!」
水龍は幽霊の手をぎゅっと握った。
幽霊「!?!?」
水龍「また今度会おうね!」
幽霊の頬が赤くなってることは誰も気付いていない。
水龍が先頭を切って小道を走ってゆく。
水龍「さぁ皆んな俺に付いてきなさい!」
シェル「水龍さすがだな!!」
フローナ「凄いよ水龍君!」
メリサ「うんうん、さすが百戦錬磨なだけあるね!」
水龍「そうだろう、俺は凄い男なのさー!」
レン「ええ、さすが人たらしですね」
水龍「レン君、それは褒め言葉として受け取っておくよ」
レン「いい性格してますね」
〜人質無意味?〜
敵に捕まったフローナを奪還しようとするシェルの妨害を試みる男がここに一人にいた。
人間の子どもが崖にぶら下がっている。
ザク「ふ、これで奴を足止めでき・・・」
ダダダッ!!
ザク「あいつ、あっさり無視しやがったー!!」
シェル"あんのやろー、フローナに手出してやがったらマジで許さん!待ってろフローナ、今行くからな!!"
ザク「いや、違う、奴は周りが1ミリも見えていないんだ!人間達と連んでるからこの手は使えると思ったが・・・くそ!足止め失敗した!!」
男は少年を崖から持ち上げると道に置き、追いかける。
ザク「待てコラー!!」
少年「・・・」
少年は怯えた様子もなく男が走っていく方向を黙って見ていた。
ザク「おいコラ」
ザクが全速力で走るシェルに追い付き声を掛けた。
シェル「・・・」
ザク「おいコラ、シェル!てめぇシカトこいてんじゃねーよ!」
シェル「・・・」
ザク「こいつ・・・マジで周り見えてねぇ・・・」
戦いの後。
シェル「さっきは助けてくれてありがとな」
ザク「うるせぇ、あんなの不可抗力だ!」
その時、少年がとととっとザクに近付いてきた。
ザク「あ?なんだお前もここまで来てたのか」
少年「僕も連れてって」
ザク「はぁ??お前もう忘れたのか?俺はお前を崖に吊るしたの!お前を殺そうとしたの!」
メリサ「え!?そうなのかい!?ちょっと君、そんな男のそばにいたら危ないよ!」
少年「でも、僕帰る場所ないし・・・」
ザク「知らねーよ、俺はガキの面倒なんか見てる暇ねーんだよ」
少年「あ!怪我・・・」
少年が男の腕から血が出てるのに気付く。
ザク「あん?あー、こんくらいただのかすり傷・・・」
少年が男の傷口に手をかざすと光を放ち、傷が一瞬で消えてなくなった。
ザク「え?お前、今何した?」
少年「僕、傷が治せるんだ、そのせいで皆んなからは気味悪がられて街から追い出されちゃったけどね」
ザク「仕方ねぇ、そんなに言うんならお前を俺の下僕にしてやってもいい」
ザクがビシッと少年を上から見下ろしながら指を刺す。
シェル「現金なやつ」
ザク「うるせぇ!!」
少年「じゃあ、連れてってくれるの?」
ザク「ああ、連れてってやる、た、だ、し、何度も言うが下僕としてだがな」
少年「うん!!」
メリサ「隊長、あの子大丈夫なのかい?」
シェル「ああ、大丈夫だろ、ザクはああ見えて根はいい奴だから」
こうしてザクと少年は新たな旅に出たのだった。
〜ケシアの毒〜
半妖が苦手な唯一の毒。
レン「煙!?」
メリサ「ふん、隊長にそんなもの効くわけな・・・」
シェル「・・・!?何だこれ・・・ただの煙じゃねーな、ケシアか?」
シェルは目眩を起こし、咄嗟に袖で口元を隠した。
レン「隊長!?どうしたんです!?」
「そう、この煙は半妖に唯一対抗できるケシアの実を煙状にしたもの
普通の人間には何ともないが半妖には効くらしいぞ、長く吸ってたらお陀仏なんだってな」
シェル「ケシアか、こいつはやべぇ・・・」
シェルは足から崩れた。
フローナ「シェル!」
レン「フローナさん、隊長を煙が届かない場所へ!」
フローナ「はい!」
数分後。
シェル「はー、フローナ悪いな」
フローナ「ううん、それより大丈夫?」
シェル「あぁ、もう大丈夫だ、煙からすぐに離れたおかげで体に毒が回らずに済んだ」
フローナ「レンさん達、大丈夫かな」
シェル「あいつらだけじゃヤバいかもな、何とか俺も闘いたいがあの煙だけでも何とかしないと」
フローナ「ん?」
フローナが街の方を見ると市場でガスマスクが売られているのが目に入った。
シェル「どした」
フローナ「いい事思いついた」
「半妖に不利なこの場所にわざわざ助けになど来ない」
レン「隊長は戻って来ますよ、何か策を練ってでもね」
三人で力を合わせてシェルが戻って来るまで持ち堪えた。
そして・・・。
シェル「おめーら、待たせたな」
レン「たい・・・!?」
メリサ「え、なにガスマスク!?」
「ちっ、姑息なまねを」
シェル「シュゴー、毒撒いてる奴に言われたくねーな」
その後、ガスマスク効果によってシェルは圧勝した。
シェル「シュゴー・・・」
メリサ「ぶあっは!」
フローナ「あはは」
メリサとフローナは腹を抱えて笑っている。
レン「ククッ・・・」
レンは顔を逸らしメガネをくいっと上げる。
シェル「助けに来たのになぜ笑う、シュゴー」
メリサ「いや、だって僕それツボで・・・」
フローナ「私も、ふふっ・・・」
コキア"壺?"(ツボが分からない)
頭の中にクエスチョンが浮かぶコキア。
シェル「君のアイデアでしょうよ」
フローナ「ごめんごめん」
シェル「シュゴー」
メリサ「ぶはっ!」
フローナ「もうだめお腹痛い笑」
シェル「君らねぇ・・・」
メリサ「あはは、とりあえず早くこの煙が届かない場所まで移動しよう」
シェル「だな!・・・このガスマスク、持って帰るか」
レン「何気にあなたにとって最強アイテムですしね」
シェル「ああ」
〜懺悔の青い炎〜
この街には罪人を焼くための青い炎が存在する。
鎖で繋がれている為、炎から逃れることはできない。
しかし、その炎は痛みや苦しみを感じない。
一方で体は徐々に焼かれて灰になり少しずつ崩れ落ちていく。
痛みも苦しみも感じないこの青い炎に焼かれた罪人達は何故か全員が体が無くなりかける途中で
懺悔をするように手を合わせて頭を下げるそうだ。
理由はいまだに解明されていない。
そしてその懺悔を見届けた後、執行人が薔薇の鞭で粉々に壊すという。
〜静寂の森〜
レン「コキアさんが攫われた場所、静寂の森という場所みたいですね」
シェル「静寂の森か、こいつはちとやっかいだな」
レン「知ってるんですか?」
シェル「ああ、静寂の森って言うと聞こえはいいが別名こうも呼ばれてる"自殺の聖地"」
レン「その森で自殺する人が多いって事ですか?」
シェル「いや、確かに自殺目的には変わりないんだけどな、木が人を吸収するんだ」
メリサ「木が人を??」
シェル「木に触れると一瞬で体ごと消える、
木の養分として吸収されるって話だ、
痛くも痒くもないらしい、
死を望む人が唯一苦しまずに死ね方法だってな」
メリサ「ちょっとしたホラーだね」
レン「しかし、それほどの強力な力を持つ場所ならば壊そうとする人もいそうなものですけどね」
シェル「それがある境界線があってな、そこから先へは死を望んでる人しか入れないんだと、
つまりぶっ壊してやろうなんて考えてる時点で中には入れない訳」
レン「なるほど」
シェル「それに苦しむ人を無理矢理生かそうとするのはエゴじゃないかって意見も多いみたいでな、
壊さなくていいと言う意見も多いらしい」
レン「確かに、人を生かすのはある意味でエゴですからね」
シェル「まぁ、俺も命だから大事だ、なんて綺麗事言うつもりはないが・・・フローナどうかしたか?」
その時、俯いて考え事をしているフローナにシェルが気付く。
フローナ「私も、死にたいって思った事があるから
その時に静寂の森があったら足を運んでたんだろうなって何だか感慨深くて・・・」
シェル「・・・フローナ、辛くても生きててくれてありがとな、
そのおかげで今こうやってフローナと楽しい旅できてるんだからな」
そう言ってシェルはフローナの頭をポンポンする。
フローナ「うん・・・」
メリサ「フローナちゃんはい、ティッシュ」
フローナ「ありがとうございますメリサさん、ずびっ、ちーん!」
メリサ「まぁでも隊長といたら死にたくはならないよねぇ」
レン「そうですね、我々は隊長の面倒見るので精一杯で死んでる暇ないですからね」
シェル「褒められちゃった!」
レン「褒めてません」
レン「とは言え・・・このままでは結界通れませんね」
メリサ「あ!一人だけ適任がいるじゃないか」
レン「それってまさか・・・」
フローナ「明水さん?」
明水。27歳。
少し前にフローナが貧血で倒れそうになっているところを助けてくれた人だ。
落ち着いた口調で心優しき僧侶だが
結界を解く刀を隠し持っている。
明水「え、静寂の森に?あの場所は危険ですよ!
いくら強いあなた方であっても・・・・」
シェル「それでも行かなきゃいけねーんだ、仲間が連れ去れちまってる以上はな」
明水「そうでしたか・・・分かりました、協力しましょう、ですがその前にミサンガつけて下さい」
シェル「ミサンガ?」
明水「はい、このミサンガは私の力を込めて作ったもの、あなた方を守ってくれますから」
シェル「ありがとう」
明水はすぐに隠し場所から刀を持ってきた。
そして静寂の森に行き、結界を切った。
ザッ!!
明水「早く、長くは持ちません」
シェル「おー!明水ありがとな!絶対戻って来るからそん時はまたよろしく!」
明水「はい、くれぐれもお気をつけて」
結界を開けた穴が閉まった後、明水は近くの木の下に胡座をかいた。
皆んなが帰ってくるまでここで祈り続けるつもりらしい。
こうして明水の力で静寂の森の中へ入ったシェル達は攫われたコキアを取り戻す為、更に森の奥へと進んだ。
結果の中に入ると異質な空気が漂っていた。
メリサ「何か辛気臭い森だね」
レン「まぁ、なんと言っても自殺の森ですからねぇ」
と、その時。
シェル「くんくん・・・コキアの匂いがする、こっちからだ」
匂いを嗅ぎ付けるや否やシェルが歩き出す。
メリサ「ちょっと、待っておくれよ隊長」
レン「我々も行きましょう」
メリサ「だね」
フローナも静かに頷く。
シェル「ちょっと待った、人がいる」
フローナ「あ、ほんとだ」
しばらく歩いているとそこには20代後半くらいの男性が一人、木の下に立っていた。
他の木よりも一回り大きな木で、その木の周りだけ草むらになっている。
辺りを見渡すと他にも似たような大きな木がいくつかあった。
男性は何やらブツブツと言った後、木に手を当てた。
すると・・・。
ピカッ!!
木が光ったとほとんど同時に男性の体も光り始め、あっという間に光に包まれてしまった。
そしてほんの数秒後、男性の体はすうっと消えてしまった。
レン「!!」
フローナ「わっ!?男の人消えちゃったよ!?」
メリサ「隊長が聞いた話本当だったんだね」
シェル「俺も初めて見たが・・・マジで消えちまいやがった・・・」
男性が消えると木の光も消える。
そこには木が静かに立っているだけだ。
レン「とりあえず先に進みます?」
シェル「いや、その必要は無くなった」
レン「え?」
シェル「出てきなよ」
ガサッ!!
近くの草むらと木の後ろから出てきたのはツインテールをしてワンピースを着た8歳くらいの小さな女の子だ。
フローナ「え」
メリサ「こ、子ども!?」
「お兄ちゃん達も死のうとしてる人達?」
メリサ「いや、僕らは死のうとはしてないよ」
フローナ「私達、仲間を助けに来たの」
シェル「君知らない?」
「あー、コキアって子?」
メリサ「え、何で名前を知ってるのさ・・・」
レン"隊長が気配に気付けたという事はこの子は生きているのか、
まぁ、幽霊の類だったら今頃騒ぎまくってるでしょうけど・・・
それにしても、生きててこの森にいるということはこの子も自殺志願者か?
だが、そんな風にはとても見えないな"
「ふーん、でもだめ、コキア君は私達の友達になったの、だから返してあげない」
シェル「俺らの大事な仲間なんだ、返してくれないかな?」
「だったら力ずくで取り返したら?お兄ちゃん、腕力得意でしょ?半妖さんみたいだし」
シェル「返す気はないみたいだね」
メリサ「あのねぇ、隊長はこれでも普通の人間の10倍は強いんだよ?」
レン"妙だな、半妖で大柄な隊長を見ても少しも動揺する気配がない、大人でさえたじろぐというのに何故こんな相手を挑発するようなことを?・・・とても戦えるような力を持っているようには見えないが・・・"
シェル「・・・お前ら下がってろ」
メリサ「え?隊長、まさか本気で行く気!?」
フローナ「シェル、無茶しないでね」
メリサ「え?何でフローナちゃん隊長の心配を・・・?」
ダダダッ!!
シェルが女の子に向かって走り出した。
全速力ではないものの、これだけ大柄な男が自分目掛けて走って来たら腰を抜かしてしまいそうなものだが、
女の子は少しも怯む様子もなく突っ立ったままだ。
タンッ!!
シェルが女の子に向かって飛んだ。
あと数センチで肩に手が届く、瞬間。
「ニッ」
シェル「!?」
シェルの体がいきなり衝撃を食らったかのように後ろに吹き飛ばされ、木に激突してしまった。
バンッ!!ドサッ・・・。
シェル「ぐっ、ゲホゲホ!!」
シェルが膝をつく。
レン「隊長!!・・・あの隊長が膝をつくなんて・・・」
メリサ「ちょっ、隊長嘘だろ?そんな子どもに何負けてんのさ!」
フローナ「今、あの子手使ってなかった」
レン「ええ・・・あの子、ただの子どもじゃありませんね」
シェル"何だ?あの子に触れる直前、黒いモヤみたいなものが周りに見えた、
そう思った時には体が吹き飛ばされてた・・・これってもしかして・・・"
シェル「念か」
「ピンポーン!当たり〜!さっすが半妖のお兄ちゃんだね」
メリサ「信じられない、あの隊長がこんなあっさり・・・」
「この森ではね、死にたいという想いだけが力を持つ場所なの、だから半妖のお兄ちゃん達みたいに今を楽しんでる人達はここでは無力なんだよ」
フローナ「ってことは君も死にたくてここに来たの?」
「うん、そうだよ」
シェル「一つ聞いていい?」
「なーに?」
シェル「死にたいと思ってここに来たならどうして木の力を使わないでいるの?
仮に死にたくないって思ってて止まってるとしたら
これだけの力は出ないはずだし」
「ふーん、半妖のお兄ちゃん、おバカな感じの人かと思ってたけど意外と頭いいんだね」
シェル「あのねぇ・・・」
「まぁでも教えてあげる、"私達"はね、この森に住んでるの」
シェル「私達ってコキアのことか?」
「違うよ」
シェル「なるほど、つまり、君と似たような子が何人かいるわけだ」
「そうよ」
レン「隊長、どうするんです?力で勝てないのなら一度戻って明水さんに相談を・・・」
シェル「いや、一度出たら次また入れるか確証はない、今どうにかするしかないよ」
「ふーん、半妖のお兄ちゃんって本当に頭いいんだね、
でも、どんな技を使ったって私には勝てな・・・」
その時。
ザッ!!
「!?」
シェルが女の子に向かっていきなり土下座をした。
シェル「コキアは俺らの大事な仲間なんだ!
だから返して下さい!」
レン「・・・」
仲間は静かに二人のやり取りを見守る。
「わ、分かったわよ・・・」
シェル「本当!?ありがとう!!」
シェルが膝を付いたまま頭を上げるまとニカッと笑った。
「!!」
額は擦り傷が出来て血がタラ〜っと流れている。
メリサ「隊長!!血!!」
シェル「あー、大丈夫大丈夫」
メリサ「大丈夫じゃないだろ、全く」
メリサが軟膏を額に塗ると大きな絆創膏をペシッとシェルのおでこに貼った。
シェル「ありがと」
メリサに手当てをしてもらい、お礼を言った後も依然としてシェルは膝を付いたままだ。
「コキア君は返してあげる、でも、一つだけ条件があるの」
シェル「何?」
「その代わり半妖のお兄ちゃんはここに残って私達と一緒に暮らして」
レン「な・・・」
メリサ「なんて無茶な・・・」
フローナ「シェル・・・」
シェル「ごめん、それはできない!!」
バアアン!!
「どうして?コキア君は返すって言ってるんだよ?」
シェル「だって、俺がいなかったら皆んなを守れないからさ」
「キュンッ・・・で、でも、この人達だって結構強いでしょ?だから大丈夫だよ!」
シェル「それがさ、意外とそうでもないんだよ、仲間より強い奴はいるよ、今の君みたいにね」
「それは、ここが静寂の森だからでしょ?こんなのレアだって」
シェル「この先もそういう場所が出てこないとは言い切れないよ、俺も仲間達も世界の全てを見たわけじゃないからね」
「ぐっ・・・」
シェル「君もそうなんじゃない?」
「ぐぬぬ〜・・・」
レン「もうちょっとで落ちますね」
メリサ「だね」
フローナ「何がですか?」
メリサ「見ててごらん」
フローナ「は、はい・・・」
シェル「ね?だからコキアと俺らをこの森から出させてよ、君にしか頼めないんだ」
(くぅ〜ん)
「わ、分かったわよ!!分かったからその目で見ないで!!死んだ、死んだラムネにそっくりなんだからぁ!!」
レン&フローナ「!?」
メリサ「え、死んだラムネ?」
シェル「死んだラムネって?」
「飼ってたわんちゃんよ、ゴールデンレトリバーで体がおっきな男の子!とっても可愛いかったの!!」
メリサ「まさかの飼い犬!!」
レン「分からないでもない・・・」
フローナ「見てみたかったけど・・」
シェル「飼ってたってことは・・・」
「うん、死んじゃったの」
シェル「お母さんとお父さんは?」
「いない、パパとママ、私が5歳の時に車の事故で死んじゃって孤児院で育ったから」
シェル「そっか・・・それは辛かったね・・じゃあラムネの後を追いたくてここに?」
「うん、孤児院の子達は優しい子が多かったけど学校の子たちに虐められてそれで・・・今までは孤児院にラムネがいたから我慢できたの、でも今はそれができない、
だからね、孤児院で死にたいって言った子と学校で飛び降りようとしてた子と一緒にこの森で死のうって話になったの」
シェル「そっか・・・俺も虐められた経験あるから君の気持ちは分かるよ」
「え、本当に・・・?来夢(らいむ)だけじゃなくて半妖のお兄ちゃんも虐められてたの?」
シェル「来夢って名前なんだ、やっと名前聞けたね」
来夢「キュンッ・・・」
シェル「俺はシェル、よろしくね」
来夢「う、うん、よろしく・・・」
シェル「俺も君と同じくらいの歳にね、
学校の人達だけじゃなくて近所の人達からも半妖がいるって騒がれて、
殴られたり川に突き落とされたり、教科書燃やされるし花瓶でぶん殴られるし、参っちゃうよねぇ!あはは!」
しーん・・・。
来夢「お、お兄ちゃん、そんなに酷かったの?・・・だ、大丈夫?」
来夢はしどろもどろになりながらシェルに話しかける。
シェル「へーき、正直、あんま痛くなかったから、
人間の力じゃ武器使っても衝撃はたかが知れてるし」
来夢「へぇ・・・半妖さんって凄いんだね・・確かに
さっきあれだけ吹き飛ばされたのに怪我一つしてないし
おでこの擦り傷ももう血止まってるみたい」
シェル「そうそう、怪我もすぐ治るんだ、だからヘーキヘーキ・・・あだっ!!」
その時、レンが後ろからシェルの頭に強めのチョップをする。
レン「そういう問題じゃないんですよ」
(ズゴゴゴッ)
シェル「あらやだレンちゃん凄い殺気」
レン「全く、あなたがそうやってヘラヘラ笑ってるから周りの人達が調子に乗るんですよ、ちゃんと怒るなりやり返すなりすれば良いでしょう」
シェル「ごめんなさい」
来夢「ふっ、あはは、シェル君って変な人〜!」
シェル「うん、よく言われる」
来夢「ごめんね、膝痛いでしょ?もう立っていいから」
シェル「ありがと」
そう言ってシェルはようやく立ち上がった。
来夢「じゃあ、コキア君のところに案内するね!」
シェル「ありがとう」
来夢が先頭を切って歩いていくとコキアが木の下に座っているのが見えた。
コキアの周りに来夢と同い年くらいの子どもが4人立っている。
男の子が2人、女の子が2人だ。
シェル「コキア!だいじょ・・・」
コキア「もぐもぐ・・・」
シェル「何まったりしてんだ君はー!!」
コキア「あ、隊長、皆さんも・・・だってこの子達、桃いっぱいくれるんですよ、
静寂の森にしか成らない特別な桃らしいです、めちゃくちゃ美味しくて」
シェル「おーおー、それは良かったな、ってちがーう!!」
(ちゃぶ台返し)
フローナ「うーん、デジャヴ」
シェル「君ねぇ、もっとこう寂しがるとか逃げ出そうとするとかないわけ?」
コキア「一度出ようとしましたが出られなかったので諦めました、あと桃くれたので」
シェル「コキアにとって俺らって桃以下なのか?・・・
まぁとにかく!俺らと一緒に帰るぞ」
女の子A「ダメだよ!!」
男の子A「コキア君は俺たちの友達なんだ!」
男の子B「そうだそうだ!僕たちの友達だ!」
女の子B「コキア君は渡さないわよ!」
4人の子ども達がキャーキャーと騒ぐ。
レン「やはり一筋縄ではいきませんね・・・」
メリサ「ま、こうなる気はしてたけどね」
フローナ「シェル、どうするの?」
シェル「う〜ん、困ったな」
シェルが腕を組んで考える素振りをする。
来夢「待って皆んな!あのね!!」
来夢が説明すると皆んなはあっさり・・・。
男の子A「うん、分かった」
男の子B「分かった」
女の子A「来夢ちゃんがそう言うんなら」
女の子B「そうよね、私も来夢ちゃんにさんせーい!」
レン「あれ、意外とあっさり?」
メリサ「きっと来夢ちゃん、皆んなに慕われてるんだろうね」
フローナ「なんだか皆んな楽しそう」
シェル達が静寂の森に入ってから半日後。
5人は子ども達に別れを告げ、森の向こうで待つ明水の元へと向かった。
レン「隊長、良かったんですか?あの子達をあのままにしておいて」
メリサ「僕は連れて来た方がいいと思うけどね」
シェル「ここにいたいって言うのを無理矢理連れてけないだろ、
あの子達にはあの子達なりの事情があるんだろうし、
必ずしも周りの奴らと同じことが正解じゃないさ」
フローナ「うん、それは本当よく分かるよ」
シェル「それにあの子達、ここにいられて幸せだって言ったんだ、
外の世界でさえ幸せだと思える人生歩めるかは奇跡みたいなものだからさ、
幸せだって言うんなら部外者の俺らが口出すもんでもないしな」
フローナ「さすがシェルだね、あの子達の気持ちを尊重してる」
レン「というか、あの子達を無理矢理外の世界へ連れて行こうとしてもまた念で吹き飛ばされるだけですしね」
シェル「グサッ!!レン、俺結構さっきのこたえてるんだからな・・・あんな小さな女の子に吹き飛ばされてさ」
レン「あれ、こたえてたんですか?その割にヘラヘラ笑ってたじゃないですか」
シェル「ヘラヘラなんてしてないもん!ちゃーんと真面目に交渉してたもん!」
レン「はいはい、偉い偉い、確かラムネでしたっけ?
良かったですね来夢さん達の飼い犬に似てて」
シェル「更にグサッ!!・・・俺ってそんなに犬に似てる?」
レン「ええ、そっくりですよ」
シェル「犬、犬かぁ・・・ま、おかげでコキア取り戻せたし良しとするか!」
コキア「あの、隊長」
コキアがシェルの裾をくいくいっと摘む。
シェル「んー?どしたコキア」
コキア「迎えに来てくれてありがとうございます、
皆さんも・・・僕信じてました、隊長達ならきっと助けに来てくれるって」
一同「「キュンッ!!」」
シェルがぎゅっとコキアを抱き締める。
シェル「コキア、お前って奴は〜!お前って奴は〜!」
メリサ「うんうん、コキア君が戻って来て良かったよ」
フローナ「本当、良かった」
レン「心配しましたよ」
コキア「心配かけてすみません・・・ぐぅ・・・」
シェル「って寝たぁ!!」
シェルは腕の中で眠ってしまったコキアをおんぶの形に変える。
レン「行きますか」
シェル「ああ」
シェル達が静寂の森の中に入り半日後。
次の日の朝。
シェル「はーまじでやばかっな」
レン「腕力も技も効かなかったですからね・・・」
フローナ「明水さん、ずっと待っててくれたんだ・・・」
レン「そのようですね、感謝しなければ」
明水「あ、皆さん、よくぞご無事で、今開けますからね」
明水が立ち上がり、刀で結界を斬った。
ザッ!!
シェル「ふー、やっと戻って来これたな」
メリサ「ほんと窮屈だったね、息しづらいし」
シェル「薄暗いしジメジメしてたしな」
明水「とにかく、また会えて良かったですよ
静寂の森に入って無事だった人なんて見たことありませんでしたから」
シェル「それは俺も知ってたけど、仲間が攫われちゃー行かないわけにはいかないよ」
明水「ええ、そのお気持ちは否定するつもりはありません、
自力で突っ込まずに私を頼ってくれたこと実は結構嬉しかったんですよ」
シェル「明水って本当いい奴だな・・・」
フローナ「うんうん」
明水「お仲間さんは大丈夫なんですか?」
コキアはシェルに抱えられたままだ。
シェル「大丈夫、眠ってるだけだから」
明水「そうですか、それなら良かった・・・それにしても全然起きる気配ないですね」
シェル「コキアは一度寝たらなかなか起きて来ないからなぁ」
レン「まぁ、お腹が空いたり敵が現れたりすれば起きますけどね」
明水「なんと・・・」
シェル「つーか、明水も休んだ方が良さそうだな」
メリサ「そうさね、ずっと座ったまま夜から朝まで祈り続けてたんだ、相当疲れてるはずだよ」
明水「いえいえ、普段修行を重ねていますからこれくらいは平気ですよ」
フローナ「さすが明水さん」
明水「また何かありましたら声を掛けて下さい、
何かないのが一番なのですが」
シェル「次は茶菓子食べに寄るよ」
レン「なんと図々しい・・・」
明水「構いませんよ、あなた方に会える日を楽しみにしてます、行ってらっしゃいませ」
そう言って明水は深く頭を下げた。
シェル「ほんと明水さんっていい人だよな」
フローナ「本当、優し過ぎるくらいだよ」
シェル「大人の余裕があるってゆーかなんてゆーか」
レン「隊長とは正反対ですね」
シェル「グサッ・・・レン、今のわざとでしょ」
レン「さて、どうでしょうね」
後日談。
シェル「そう言えばさ・・・ずっと気になってたんだけど、何でコキアは静寂の森の中に入れたんだ?」
コキア「さぁ、たまたま迷った先があの森でしたから」
シェル「たまたまって言ったってあそこは死にたい奴しか入れな・・・はっ」
コキア「?」
シェルがガシッとコキアの両肩を掴んだ。
シェル「悩みあるなら聞くから何でも言えよな!」
メリサ「そうだよ!静寂の森産地の桃はないけどさ!
レン君が沢山桃の美味しい料理作ってくれるから!」
レン「ええ、コキアさんの為ならばそれはもう作りまくりましょう!」
レンがくいっとメガネを人差し指で上げる。
フローナ「私!ジュースくらいなら作れるよ!!」
コキア「あの、そんな心配しなくても大丈夫ですよ、
僕、死にたいと思ってませんから」
シェル「ほ、本当か?」
コキア「はい、何で入れたかは謎なんですけどね」
メリサ「そう言えば明水さん、あの森に入れるのは死にたい人か幽霊かのどっちかだって言ってたような・・・」
コキア「え、僕って死んでるんですか?」
シェル「そんなわけないだろ!俺が気配感知できるんだから」
フローナ「そうだよ!影だってちゃんとあるし!」
コキア「ああ、そう言えばあの子達影なかったですもんね」
一同「「え?」」
シェル「ふらっ・・・」
パタッ!
フローナ「わぁシェル!!大丈夫!?」
メリサ「今背筋凍ったよ!!」
レン「俺もですよ・・・」
フローナ「ん〜でも、やっぱりあの子達幽霊だったんだ」
フローナが人差し指を口元に当てながら言う。
メリサ「え、フローナちゃん、あの子達が幽霊だって気付いてたのかい?」
フローナ「影はドタバタしてて気付かなかったですけど、何となく昔幽霊見た時と空気が似てたので」
メリサ「サラッと怖いこと言わないでおくれよ」
レン「あれ?でも、それならどうして隊長が気配を感知できたんでしょうか?」
フローナ「う〜ん、でも、静寂の森があるくらいだから
この世にはまだまだ知らないことが沢山あるのかも、
全部見たわけじゃないし」
メリサ「隊長もさっき自分でそう言ってたしね」
シェルはまだカチンコチンに固まっている。
レン「完全にフリーズしてますね」
フローナ「しばらくこのままかも」
メリサ「だね」
コキア「?」(隊長が何故固まってるのか理解できない)
10話 リトとフローナ
フローナ「私、リト君助けたい」
リト、とはフローナに唯一懐いてきた半妖の男の子のことで
肩まで伸びた癖毛の赤い髪とグリーン色の瞳、そして小さく尖った耳が特徴の8歳の男の子だ。
しかし、街に滞在中、半妖を狙った貴族たちにリトが捕まったという情報が入った。
そんなリトを真っ先に助けたいと言ったのがフローナだった。
シェル「初めて聞いたな、フローナが仲間以外を助けたいなんて・・・子ども、苦手じゃなかったか?」
フローナ「リト君は特別よ」
シェル「このーツンデレ♪」
フローナ「うるさい」
フローナが頬を膨らませて怒ったふりをする。
シェル「よし分かった、リトを助けに行くぞ、
フローナのボディーガードは俺に任しとけ」
シェルが自分を親指で刺す。
フローナ「一緒に来てくれるの?」
シェル「当たり前だろ、仲間が助けたいと思った相手は
俺にとっても助けなきゃならない相手だ、
けど約束してくれ、
1人で突っ走らない、絶対俺のそばを離れないって、
今回かなりヤバい場所に侵入しなきゃならないからな」
フローナ「うん、分かった、ありがとう」
メリサ「僕も行くよ」
レン「隊長はともかく、フローナさんを危ない目に合わせるわけにはいきませんね」
コキア「僕も行きます」
フローナ「皆んな・・・ありがとう」
ガサガサッ。
レン「隊長、それ例のガスマスクですか?」
シェル「おー、念の為な」
リトが鎖で繋がれ、ケシアの煙を吸わされていた。
死なない程度の微量の分を少しずつ。
リト「うぅ・・・」
フローナ「リト君!!ちょっとあんた!」
「な、何だ貴様は!!」
ドッ!!
フローナが男のみぞおちに強力な蹴りを入れた。
「ぐえぇ!!」
ドサッ。
フローナ「リト君、大丈夫?」
シェル「フローナ、鍵」
シェルが倒れた男の懐から鍵を盗んでフローナに渡す。
フローナ「ありがとう、リト君、もう大丈夫だからね」
リト「フローナさん・・・」
リト無事に奪還後。
リトがフローナの両手をぎゅっと握った。
フローナ「へ!?」
リト「あなたは僕の女神だ、さっきシェルさんにお礼を言った時に聞きました、俺はフローナが助けたいと言わなかったら助けてなかったって、
あなたが僕を一番最初に助けたいと言ったのだと」
フローナ「私は言っただけでシェルや皆んながいたから助け出せたんだよ」
リト「謙虚なあなたも素敵だ・・・」
シェル「リト!なにちゃっかりフローナの手握ってんだよ!」
メリサ「まぁまぁ、リト君まだ子どもなんだから」
レン「大人気ないですよ隊長」
シェル「むぅ・・・」
リト「・・・フローナさぁん!!」
ぎゅっ!!
そんなシェルを尻目にフローナにいきなり抱き付くリト。
シェル「あんにゃろ!」
メリサ「まぁまぁ」
フローナ「わっ!?急にどうしたのリト君」
リト「フローナさん、僕、怖かったです・・・ケシアは苦しいし、鎖は痛いし、男の人たちは怖いし・・・ぐすっ」
フローナ「リト君!!」
ひしっとリトをフローナが抱き締め返す。
フローナ「もう大丈夫だよ、悪い奴らはシェルがやっつけてくれたからね」
リト「はい・・・」
リトが自分より5cmほど背の高いフローナの肩越しにシェルを見ると人差し指で目尻を下げ、べぇっとする。
レン「おや・・・」
メリサ「隊長、これは強敵が現れたね」
シェル「ぐぬぬ・・・リト、先に言っておくがフローナは俺の恋人だからな!」
メリサ「隊長、子どもに張り合うんじゃないよ・・・」
リト「確かに今は子どもですけど、あと6年経ったら今のシェルさんと同じ歳ですよ」
シェル「リト、お前・・・」
一瞬バチバチっとなった後、
リトがフローナにパッと向き直る。
リト「フローナさん、僕はあなたの側にいられるのであれば側室でも構いません」
シェル「な!?」
フローナ「そ、側室って・・・」
メリサ「リト君、どこでそんな言葉を覚えてきたんだい・・・」
レン「恐ろしい子だ」
リト「では、僕は行きますね」
フローナ「うん、またねリト君」
リトはフローナの手を取ると甲にちゅっとキスをする。
シェル「あ!!リト、てんめっ」
リト「フローナさん、いえ、僕の女神様また会いましょう」
フローナ「は、はい・・・」
こうしてシェルはまた新たなライバルができたのであった。
〜崖とテレーゼ〜
崖から落ちかけたキリュウの腕をシェルが掴んだ。
シェル「キリュウ!目覚ませキリュウ!くそ、だめだ、完全に気を失ってる・・・さすがの俺もこの体勢と片腕じゃ支え切れねぇ・・・」
手元から崖が崩れ、その衝撃で二人は崖へと放り出されてしまった。
シェル「わ!?やばっ・・・」
「ははは、これで奴らは死ん・・・なに!?」
フローナが走っていき、崖から飛んだ。
コキア「!」
メリサ「フローナちゃん!!」
レン「フローナさん!!」
「ふん、バカな女だ、仲間の後を追って自ら死にに行くとは」
シェル「ば、お前何やって・・・!?」
羽が舞い、フローナの体に羽が生える。
フローナがシェルの手を握った。
フローナ「もう大丈夫ですよ」
シェル「その声、テレーゼか?」
フローナがニコッと微笑む。
「ふん、これで奴らは崖の底だ」
レン「貴様・・・うっ・・・」
メリサ「レン君、傷大丈夫かい?」
レン「ええ、なんとか・・・」
コキアがレンとメリサを庇うように立った。
「ん?なんだ?この感覚は、何か来る・・・!?」
フローナは二人を地上まで引き上げると空中にふわりと浮いた。
シェル「はー、助かった・・・ありがとうフロ、じゃなかった、テレーゼ」
テレーゼがニコッと微笑む。
「くそっ、羽が生えたからなんだというんだ!!」
敵はフローナの中にテレーゼの魂があることを知らない。
術か何かによって羽が生えただけだと勘違いしている。
「はあっ!!」
敵が攻撃するがフローナの周りにはバリアが張られていてそれを全て跳ね返している。
「ば、バカな、俺の攻撃が・・・ぐあっ!!」
フローナが手をかざすと光を放ち、一瞬で敵は吹き飛んでいった。
シェル「っと!お疲れさん」
敵を倒すとテレーゼの魂が眠り、力尽きたフローナがシェルに寄り掛かる。
レン「眠ってしまいましたね」
メリサ「またテレーゼに助けられちゃったね」
シェル「ああ」
眠っているフローナと気絶しているキリュウを車まで運んだ後、互いに手分けして治療をし合った。
疲れがたまった4人は2人が眠っているベッド付近にそのまま倒れ込むように眠ってしまった。
こうして6人は同じ部屋で長い長いお昼寝をしたのだった。
〜テレーゼの力覚醒〜
戦いの中、
シェルは息を切らしながら敵の攻撃からみんなを庇うように立った。
シェル"チェル、悪い、お前との約束果たせそうにない"
チェル「にーちゃん?」
チェルは何かを察したように空を見上げた。
しかし、負傷して倒れていたはずのフローナがシェルの前に立った。
シェル「フローナ!?」
フローナの体が光り輝いている。
レン「フローナさん!?」
「貴様、瀕死の状態だったはずじゃ・・・」
シェル「どうなってんだ・・・」
フローナがテレーゼにダブった次の瞬間。
「金色の髪、白い羽根・・・テレーゼだと!?」
シェル「テレーゼ、何であんたがここに」
テレーゼ「フローナさんの中に眠っていたもう一つの魂が私なのです」
「くそっ!!」
攻撃を出すがテレーゼの周りにはバリアが張られていて効かない。
「ばかな・・・俺の攻撃が・・」
テレーゼが手をかざした瞬間、敵の体が吹き飛ぶ。
「ぐはっ・・・ばか、な・・・」
ドサッ。
テレーゼが力を放出するとシェルたちがいる場所がリング状に光出した。
シェル「傷が全部癒えてる・・・焼けた葉っぱや花も全部再生してる・・・これがテレーゼの力」
レン「まさかこれほどまでに神秘的な力が存在するなんて・・・」
テレーゼ「フローナさんに戻ったら休ませてあげて下さい、
この力を人間の体のまま使うにはかなり疲労しますから」
シェル「ああ・・・何が何だかよく分からないけどそうするよ・・・」
パシュッと光が消えた後、
元に戻ったフローナはシェルにもたれかかった。
シェル「フローナ!なんだ、眠ってるだけか」
レン「フローナさんはテレーゼの魂を持ってたんですね」
シェル「ああ、こんな事あんだな」
レン「ゆっくり休ませましょう」
シェル「ああ、フローナ、さんきゅな」
フローナ「zzz」
〜テレーゼとキーとの別れ〜
フローナ「テレーゼ、あなたがいたから私は仲間を守ることができた、本当にありがとう」
テレーゼ「いいえ、私はあなたの潜在能力を引き出したに過ぎません、
あなたの仲間を守りたい強い意志が私の力を発動させたのですよ」
フローナ「そんな、私は何も・・・」
テレーゼ「私はもう行かなくてはいけないけれど、あなた達ならもう大丈夫ですね」
テレーゼはそう言うと消えていった。
・・・。
フローナ「テレーゼ・・・」
シェル「つまり、テレーゼの魂があってもなくてもフローナは俺らの女神ってわけだ!」
フローナ「え///」
レン「あなた、サラッとよくそういう事が言えますね・・・」
シェル「え、俺なんか変なこと言ったか?」
レン「変ではないですけど・・・」
キー「キ?」
キーの体が光り始める。
フローナ「キーちゃん?・・・あ、そうか、キーちゃんはテレーゼの守護神だからテレーゼと一緒に行くんだね・・・」
キー「キー・・・」
キーがじっとフローナを見上げる。
フローナ「キーちゃん、今までありがとう」
キー「キィ!!」
キーがフローナにぎゅっと抱き付く。
フローナ「キーちゃん、元気でね」
キーが空に向かって飛び立つ。
小さかった体が本来のドラゴンの姿に変わる。
キーが飛んだ箇所からキラキラと星屑のような光が降り注ぐ。
フローナ「綺麗・・・」
シェル「ああ」
シェルはフローナの隣に寄り添うように立っていた。
フローナ「キーちゃんはさ、テレーゼの魂があったから私に懐いてくれてたんだよね」
シェル「いや、それだけじゃないと思うよ」
フローナ「え?」
シェル「きっかけはテレーゼの魂かもしれないけど
キーはちゃーんとフローナが好きだと思うよ、
フローナがフローナだったから側にいたんだ、
俺らがそうであるようにな」
フローナ「シェル・・・うん、そうだね、ありがとう」
メリサ「ぐすっ・・・」
コキア「メリサさんティッシュどうぞ」
メリサ「ありがと」
レン「フローナさん大丈夫でしょうか・・・」
メリサ「すぐには無理だろうね、一番キーちゃんの側にいたんだし」
レン「ですね」
〜クアッカワラビーの旅〜
クアッカワラビーは南の街にある小さな島に住んでいた。
フローナの住む街と近い。
その中の一匹のクアッカワラビーがフローナに懐いていた。
フローナが仲間になる際にシェル達とも出会った。
旅に出るフローナと離れたくないクアッカワラビーだったが、仲間たちの説得で残る事になった。
それから一年後。
旅先でシェル達と再会するがその姿はあちこちが傷だらけで痩せており、かなりボロボロだった。
南の街の小さな島で沢山の友達や家族に囲まれていたクアッカワラビー。
しかし、一人で出かけて帰って来くると、仲間や家族が敵に襲撃されて全滅していた。
クアッカワラビーは涙が枯れるまで泣き続けた。
寂しかったクアッカワラビーは唯一頼りにしていたフローナ達を見つける為に旅に出た。
この時、初めて島の外へ出たのだ。
シェル「そうか・・辛かったな」
フローナ「ねぇ、クゥちゃんも一緒に旅してもいい?」
シェル「ああ、もちろんだ」
メリサ「動物を飼うって言うから暴れたり食べ物漁ったり色々大変だろうと思ってたけど、クゥちゃんは大人しいしわがまま言わないね」
シェル「わがまま言って俺らが離れてくのが怖いんだろ
頼れるの俺らしかいなかったみたいだしな」
レン「随分、クゥさんの気持ちが分かるんですね隊長」
シェル「似てるんだよ、なんとなく弟に」
レン「なるほど・・・」
シェル「クゥ、実はな、お前が来るまで色々あってフローナ元気なかったんだ」
クゥ「クゥ??」(そうなの??)
シェル「辛かっただろうが来てくれてありがとな
クゥのおかげでフローナ元気を取り戻せたみたいだ」
クー「クゥ!」(よかった!)
シェル「クゥ、これからはお前は一人じゃない、俺らがついてるからな」
クゥ「クゥー!クゥー!」(ありがとうー!ありがとうー!)
シェルは微笑むと嬉しそうにしているクゥの頭を優しく撫でた。
〜クゥちゃんは最強①〜
シェルが森の中で修行をしていた時のこと。
いつものように蹴りやパンチの練習をしていた。
クゥ「クゥー!クゥー!」(僕もやるー!僕もやるー!)
シェル「ん?何だ、クゥもやりたいのか?よし、じゃあ、木に布巻き付けてと・・・力入れ過ぎると手痛めるから軽くでいい、殴ってみ?」
クゥ「クゥ!」(分かった!)
クゥ「クゥ!」
バキッ!!ズドドーン!!
シェル「え?」
メリサ「え、今、クゥちゃんが木を倒したのかい?・・・」
フローナ「ま、まさか、シェルが何かしたんだよね?」
シェル「いや、俺は何もしてない・・・なぁ、クゥ、今度は木を蹴ってみてくれないか?」
クゥ「クゥ!」(分かった!)
バキッ!!ズドドーン!!
しーん・・・。
レン「有り得ない、あの小さな体のどこにあんな力が・・・」
シェル「こりゃ、守ってもらうのは俺らの方かもな・・・」
〜クゥちゃんは最強②〜
とある酒場での出来事。
男1「ねーねー、君たち可愛いねぇ!」
男2「俺たちと一緒に遊ばない?」
メリサ「嫌だよ」
フローナ「結構ですー」
男1「そんなこと言わずにさぁ」
男2「ねー!」
そう言って男1がフローナの、男2がメリサの肩に手を回そうとした。
ダダダッ!!ドカッ!!
クゥがぴょんぴょん跳ねたと思った次の瞬間、
男1に目掛けて突進したのだ!
男1が吹き飛ばされ、完全に気絶している。
男2「は・・・?な、何だ今の、こいつがやったのか?はは、いや、まさかな・・・」
男2がメリサから距離を取る。
クゥ「クゥ!!」
クゥが男2に対して威嚇している。
男2「お?なんだ、よく見りゃクアッカワラビーじゃん珍しい、こりゃあ高く売れそうだ・・・な・・ひえっ!?」
男2はガシッとフローナに肩を掴まれた。
フローナ「クゥちゃんに手出したらコロす」
(ゴゴゴッ)
男2「ひいぃ・・・ごめんなさーい!!」
フローナ「クゥちゃん、さっきは守ってくれてありがとね!」
メリサ「おかげで助かったよ!」
クゥ「クゥ!クゥ!」
シェル「俺らの出る幕なかったな」
レン「クゥさんは最強のボディガードですね」
11話 戦国時代
前世のシェル&フローナと
現代のシェル&フローナが出会う。
戦国シェル「500年後もフローナは変わらず可愛いらしいなぁ」
フローナ「え///」
シェル「なーんかフローナ見惚れてね?」
フローナ「だ、だって戦国バージョンのシェル、色気が凄いんだもん」
シェル「へいへい、すいませんねぇ現代の俺は色気がなくて」
フローナ「そんな事言ってないじゃない」
戦国フローナ「ふふ、500年後のお2人は随分可愛らしい恋をしているのね」
シェル「!そうっすかね」
フローナ「自分だって照れてるくせに」
シェル「だって色気が」
フローナ「はいはいすいませんね私には色気がなくって」
シェル「んな事言ってねーだろ」
戦国フローナ「うふふ」
500年前。
シェル「フローナを俺の専属にしてくれ」
じい「分かりました」
フローナ「あのー一つ聞いてもいいですか?」
シェル「何だ?」
フローナ「どうして私を専属にと?」
シェル「決まっているだろう、俺がお前を好いているからだ」
フローナ「え///・・・シェル様ほどのお人がなぜ私を?」
シェル「笑った顔が好きなんだ、
それだけでは理由にならないか?」
フローナ「い、いえ・・・」
シェル「フローナ、俺の女になってくれ!」
フローナ「いけません!私のような身分も低いものがシェル様となど許されません」
シェル「ならば周りが許せば、身分が無ければ俺のものになってくれるのか?」
フローナ「シェル様は意地悪ですね・・・本当に困った人」
シェル「フローナは俺が嫌か?」
フローナ「嫌だなんて!好きで・・・あ・・・」
シェル「よし、決めた!」
シェルが胡座をかいている膝をポンっと叩く。
フローナ「え?」
シェル「俺は何としてもフローナを自分ものにする!」
フローナ「そんな!勝手に困ります」
シェル「もう決めた」
シェル様は一度決めたことは覆さない人だ。
「シェル様、見合いの話が来ています」
シェル「俺フローナが好きだと言っているだろう」
「しかし、身分のない使いのものでは」
シェル「口を慎め、俺の想い人の悪口は許さない」
「無礼をお許し下さい!」
「しかしシェル様、この者の言う事は皆が思う事です、
どうかその事はお分かり頂きたい」
シェル「皆の気持ちも分かる、
だが俺はフローナでなければ嫁も側室も取らない、
他のものにもそう伝えておけ」
「は、はい・・・」
シェルはフローナの仕事中、暇な時はよく足を運ぶようになった。
フローナ「シェル様、仕事中は困ります」
シェル「仕事など放っておけば良い」
フローナ「そうはいきません、任された仕事ですので」
シェル「フローナは硬いなぁ、まるでレンのようだ」
レン「俺が何ですって?」
シェル「レン!いたなら声をかけろ」
レン「フローナさん、すみません、シェル様がお仕事の邪魔をしてしまいまして」
フローナ「いいえ!来て下さるのは嬉しいのですが
周りの目もありますので・・・」
レン「シェル様、あなたが良くてもフローナさんを困らせてはいけませんよ」
シェル「フローナ、また来る」
シェルはレンに連れていかれながら手を振った。
全く懲りていないようだ。
またとある日。
「シェル様、あなたともあろうお方が使用人に本気になるなどなりませぬ」
フローナ「私もそう思います、私はあなたのようなお方に恋仲にと言って頂けただけで充分ですから」
シェル「フローナが充分でも俺は充分じゃない、
俺はお前が欲しいんだ」
フローナ「・・っ///」
シェルの一途な想いに負け、いつの間にか周りの人達も応援するようになっていた。
「フローナ、そろそろ腹を決めなさい」
フローナ"最初は皆んなが反対してたから言い訳をつけて逃げれたけど
私も覚悟を決めなきゃよね"
シェルからアプローチを受けて二年が経った。
フローナ「シェル様」
フローナが名前を呼ぶとシェルは優しく微笑みながら手を差し出した。
シェル「俺の手を取れフローナ」
フローナ「もう、負けました」
フローナは困ったように微笑むと手を重ねた。
晴れて二人が恋仲になった瞬間だった。
最終話 屋敷で暮らそう
シェルが旅を始めて20年後。
5年前にクゥが亡くなったり、それぞれが年齢とともに体が疲れやすくなってきたりなど色々なことがあり
大きな屋敷を買って皆んなで暮らすことになった。
部屋の椅子に座り、書き物をしているフローナにシェルが声を掛けた。
シェル「また小説書いてるのか?」
フローナ「うん」
シェル「今度はどんな話なんだ?」
フローナ「皆んなが旅をする話だよ」
シェル「それってもしかして俺ら?」
フローナ「うん」
シェル「何てタイトル?」
フローナは窓の外を眺めて言った。
フローナ「僕らの物語」
ピンポーン。
屋敷のチャイムが鳴る。
シェル「あ、来たな」
フローナ「みたいね」
フローナはノートをパタンと畳むと机の上に置き、シェルと一緒に玄関に向かった。
ガチャ。
シェル「久しぶりだなリト」
フローナ「久しぶりリトく・・・」
リトは会った瞬間、フローナの手をぎゅっと握った。
リト「フローナさん!久しぶりです!パーティー、招いてくれてありがとうございます、また会えて嬉しいです」
シェル「リト!手握るの禁止だって言ってるだろ!」
リト「べーだ!」
フローナ「まぁまぁ、やっと会えたんだから」
シェル「むぅ・・・」
水龍「玄関先で賑やかな声がするなと思ったら君は初めて見る子だね」
フローナ「水龍君!フーライさんとユーエンさんも!」
水龍「やぁ、久しぶりフローナちゃん」
フーライ「お久しぶりです」
ユーエン「お久しぶりです」
水龍「ところでフローナちゃん、彼氏の前で堂々と浮気するなんて君もなかなか罪な人だね」
フローナ「え?あ、いや、これは・・・」
シェル「だーもう!いつまで手握ってんだリトは!」
シェルがフローナからリトを引き剥がす。
リト「ちっ」
シェル「今ちって言っだろ」
リト「いえ、言ってません」
水龍「フローナちゃん、この子は?」
フローナ「リト君だよ」
水龍「どうも、リト君、俺は水龍だ」
リト「どーも」
水龍とリトが握手をするがバチバチと火花が散っている。
シェル「あ、そろそろキリュウを起こしてくるか」
フローナ「キリュウ君、まだ木の下で寝てるのかな」
シェル「だと思う・・・お、その必要なくなったな」
メリサ「キリュウ君とコキア君連れて来たよー」
コキア「んー?」
コキアが目をコシコシと掻く。
キリュウ「ふあ・・・何だ、もう朝か?」
フローナ「キリュウ君、今お昼だよ」
キリュウ「ん?そうか」
(まだ寝ぼけている)
メリサ「二人とも庭の木の下で寝てたんだよ」
フローナ「そうだったんですね」
レン「皆さん、ご飯できましたよ」
シェル「おー!さんきゅレン!」
屋敷の中に入り、大きなテーブルをみんなで囲む。
人数が多い分いつもより賑やかだ。
水龍「おぉ!凄い豪華だな、レン君一人で作ったの?」
レン「ええ、そうですよ」
フーライ「言って下されば手伝いましたのに」
ユーエン「大変でしたでしょう」
レン「お気遣いありがとうございます、実はフローナさんとメリサさんも手伝いを申し出てくれたのですが
俺が皆さんを驚かせたくてあえて断ったんです」
フーライ「まぁ・・・そうだったんですか」
ユーエン「素晴らしいお心遣いですね」
そのとき、屋敷の外から風の音とプロペラが回る音が聞こえてきた。
メリサ「あ!ローズも来たみたいだね!僕、呼んでくるよ」
シェル「おー、頼むよ」
メリサが玄関を出るとちょうどローズがヘリコプターから降りてくる最中だった。
ローズはタンっと身軽に着地をする。
メリサ「久しぶりローズ」
ローズ「お久しぶりですわねメリサ、ごめんなさい、遅れてしまったかしら」
メリサ「いや、ちょうど今から始まるところだよ」
ローズ「それなら良かったですわ」
メリサ「ハリラ、ベルベル、ケフタも久しぶりだね」
ハリラ「お久しぶりです、メリサ様」
ベルベル「お久しぶりです」
ケフタ「お久しぶりです」
メリサ「もっとリラックスしとくれよ、これからパーティーなんだからさ」
ハリラ「はっ!お心遣い感謝致します」
メリサ「もう・・・ま、とにかく皆んな入って!レン君が飛び切り美味しいご飯作ってくれたからさ」
ローズ「ありがたく頂きますわ」
シェル「よし!皆んな揃ったな!
まずは集まってくれてありがとう!皆んな元気そうで良かった、じゃあ乾杯しよう」
「「乾杯〜!!」」
皆んなの乾杯の声とともにグラスの鳴る音が聞こえる。
水龍「しっかし、まさか屋敷に住むことになったとはねぇ・・・あの自由奔放で旅好きのシェル君がさ」
シェル「まぁな、充分旅は楽しんだし、俺は皆んなといられればそれでいいんだ」
水龍「へぇ、人は変わるもんだね」
シェル「まぁな」
リト「そう言えばフローナさん」
フローナ「なーに?」
リト「フローナさんって何か書き物してます?」
フローナ「え、何で分かったの?」
リト「さっき手を握った時に気付いたんです、ペンだこができてたのでもしかしたらと思って」
フローナ「うん、そうなの、ちょっと小説書いてて」
リト「え!?凄いですね!フローナさんにはそんな才能まであるんですか!」
フローナ「ないない!ただの老後の趣味だよ!」
リト「老後ってまだ37歳じゃないですか」
フローナ「いやいや、平均寿命が55歳なんだからもう立派な老後だよ」
リト「こんなにお美しいのに?」
フローナ「やだなぁもうリト君ったら」
リト「それはそうと小説見せて下さい!見たい見たい!」
フローナ「でも、まだ書き途中だから・・・」
水龍「なになに、フローナちゃん小説書いてるの?」
フローナ「うん」
シェル「出来上がったやつ見せてもらってるけど、結構凄いぞ」
水龍「さすが俺の妹だね、俺も是非とも読んでみたいなぁ」
リト「え!?水龍さんとフローナさんって兄弟だったんですか!?」
フローナ「血は繋がってないんだけどね」
水龍「血の繋がりなんて些細なことさ」
ローズ「今日はいつにも増して賑やかですわね」
メリサ「うん、何てったって全員集合だからね」
ローズ「メリサ、楽しそうですわね」
メリサ「うん、凄いよね、あの子たちとは20年一緒にいるのに僕は一度も退屈したことがないんだ」
ローズ「あの隊長さんがいたら退屈している暇はありませんものね」
メリサ「ほんと、世話の焼ける人だからね、あの人は」
シェル「なーなーキリュウ、そろそろ一緒に住もうよ」
キリュウ「冗談じゃねえ、お前らと同じ家になんか住めるか」
シェル「フローナがいるから?」
キリュウ「ゲホゲホッ、別にそういうんじゃねー」
シェル「まぁ、お前がどうしても嫌だって言うなら無理強いはしないけどさー、ぶーぶー」
キリュウ「あのなぁ・・・」
リト「え!キリュウさんもフローナさんのこと好きなんですか!?じゃあ僕ら四確関係ですね」
シェル「勝手に決めるな!」
レン「モテる女性は辛いですね」
フローナ「モテるとゆーかあれはチヤホヤしてくれるだけですよ」
レン「本当にそうでしょうか?」
フローナ「え?」
レン「フローナさん、お継ぎしますよ」
フローナ「あ、ありがとうございます??」
レン「ふふ、乾杯」
レンが不敵な笑みを向ける。
フローナ「か、乾杯です・・・ぷしゅ〜」
シェル「あ!レン!何俺を差し置いてフローナとイチャついてんだ!」
レン「何言ってんですかあんた」
水龍「レン君はなかなか策士だね」
フローナ「これはそういうんじゃな」
リト「そうですよ!意外と隅に置けない人ですねレンさんって!」
フローナ「あーも〜!皆んなまとめてかんぱ〜い!」
こうして時々パーティーに皆んなを招待しつつ、
五人の屋敷での生活はこれからも続いていくのでした。
お終い。
僕らの物語〜シェル編〜 昼月キオリ @bluepiece221b
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