クインテット・シャンタン【関川二尋さま企画『ハーフ&ハーフ5参加作品』】

銀鏡 怜尚

Intro 僕の夢と奇跡の始まり

 僕には夢がある。

 将来進みたいキャリア、結婚して家庭を持つことへのビジョンは長期的なものだ。


 そして、短期的な夢もある。それは、キャリア形成とか結婚とかの人生設計云々うんぬんの前に叶える無関係な夢だ。


 これまで割と雁字搦がんじがらめにされて生きてきた。おかげさまで、それなりに約束された将来への第一歩を踏み出せたのだけど、所詮、親の敷いたレールに乗っかってきたにすぎない。


 だから、僕は親の意思に左右されずに、何かをやり遂げたことがなかった。

 それが、僕の短期的な夢だ。


 そのために、僕はさっそく動き出さねばならない。

 時間はたったの在学中の4年間しかないのだから。


 しかし、その夢は1人では達成できないものだった。


 得てして、人は1人では生きていけないもの。

 人と人のつながりが僕たちの世界を作り出している。僕の夢とてその例外ではないものだった。

 だからこそ、僕といっしょに夢の続きを見てくれる仲間を募らなければならなかった。


 そう。

 合縁奇縁あいえんきえんを信じて始める、まさしくゼロからのスタートだった。


 人の縁というものはどこでつながっているか分からないもの。

 簡単にわかる縁もあれば、それとは気づかない縁もある。

 だからそんな縁に気づいたときは、くれぐれもしっかり握って離さないこと。

 なぜならその縁という結びつきが世界を豊かにしてくれるからだ。


 たしかにこの縁というやつは一筋縄ではいかない代物だ。

 『良縁』なんて言葉もあれば、『腐れ縁』なんて言葉もある。

 幸運だとか、素敵なめぐり合わせなんかをもたらしてくれたり。

 誰かに助けられたり、逆に誰かを助けることになったり。

 はたまた厄介ごとに巻き込まれてみたり。


 まぁ、誰もがそんな不思議な縁の存在を感じたことはあると思う。


 そのつながり『縁』が僕の夢に何をもたらしたのか? 

 これから書き記すのはそういう物語だ。


 それは僕と4人の仲間たちの物語であり、傷ついた魂の救済と再生の物語であり、不思議な縁がつないだ奇跡のような物語になるだろう。


 さて。

 まずは事の起こりから書き始めてみようか!


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