ひまわりと,ばくだん

館華カオル

第1話

朝、目がさめる。

今日もいつもと変わらない一日がはじまる。

「今日も無事に一日が終わりますように」

僕は大好きな女の子の写真に手を合わせる。


僕の大好きな女の子。名前は「ひまわり」


ひまわりとはじめて会ったのはずっとずっと前のこと。

その頃の僕たちは明るい未来のことしか考えていなくて、僕たちの未来は輝いていると信じていた。


いつもふたりで、いつかふたりが結婚したら、

小さな家にひまわりの種をいっぱい植えよう、

夏になってひまわりがいっぱい咲いたら、ひまわりを見ながら、しあわせをかみしめようって、夢のはなしばかりしていた。


でも ある日、会う約束した場所にひまわりは来なかった。

僕は夜まで待っていたけれど、ひまわりは来なかった。

僕は、不安になってひまわりの家まで行った。

ひまわりの家では お葬式をしていた。


「なんで?」

「どうして?」

僕はわけがわからなくて、ひまわりのお母さんに聞いた。

お母さんは泣きながら、

「あなたに会いに行く途中、公園の近くの通りで、小さい子が穴に落ちて、泣いていたんだって。ひまわりは穴に入って、その子を助けようとした。でも、その穴の中には『ふはつだん』があって、小さい子を助けたとたんに『ふはつだん』がばくはつしたんだって」

ひまわりのお母さんはポツリポツリとそんな話をしてくれた。


「なんで?」

「どうして?

ひまわりは死ななくちゃ、いけないの?」


むかしむかし、にほんがせんそうをして、

アメリカがたくさん、ばくだんを落とした。

にほんも、ばくだんをおとした。

なかには

「これでしになさい」

って、しゅりゅうだんというじさつするためのばくだんまでくばった。


そのばくだんがにほんのあちこちにまだある。

いっぱいうまっている。


にほんはへいわそうな顔をして、いっぱいばくだんとかかくしていたんだ。


せんそうがおわってずいぶんたつのに、にほんはせんそうはおわってなかったんだ。


僕はかなしかった。

ひまわりがしんだこと。

せんそうがおわっていなかったことをしらなかったこと。



そして僕は『ふはつだん』をかたづける人になった。ひまわりのように『ふはつだん』がばくはつして、けがをしたり、なくなったりする人がでないように。


本当は僕だってこわい。

いつ、ばくはつするかわからないから。

でも 一人でも多くの人に安全な町に住んでほしい。


にほんが本当の意味でせんそうがおわって、平和になってほしいから。


今日も僕は『ふはつだん』の処理にいく。自分の中の臆病とたたかいながら。


そして『ふはつだん』をぶじにとりのぞくことができたら、その近くにこっそり、ひまわりの種をまいてくる。


日本がいつかふはつだんがぜんぶなくなって、そのばくだんのあとから ひまわりの花がいっぱい咲く日がくればいいなと願っている。


日本中が僕の大好きな女の子の笑顔であふれかえったらいいなと思っている。






この物語はフィクションです。

私たちはよその国の地雷の話は知っていても、自分たちの国の不発弾のことは、ほとんど知りません。不発弾が爆発した話を聞いても「たまたま爆発した」「運が悪かった」程度でしか思っていません。日本にはまだまだたくさんの不発弾が眠っています。


 不発弾を全部とりのぞくためにはあと100年かかるそうです。

 命がけで不発弾処理をしている自衛隊のみなさまにはただただ感謝しかありません。


 本当にありがとうございます。


 日本が平和になりますように。


 世界中が平和になりますように。


 心を込めて書きました。





  自衛隊  沖縄 

第101 不発弾処理隊


  出動回数  約35、000 件

  回収量   1、738 t

(平成28年までの実績件数)










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ひまわりと,ばくだん 館華カオル @tachibana-kaoru

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