第6話 紅一女とはなむけの歌①

 パジャマ姿で映画室に戻って来る。


 今はスクリーンには何も映ってなく、シン!としている。


『お疲れ様!』

 と、であの優しい声がする。


 うん! 色んな意味で“ゆでダコ”になっちゃったよ


『ハハ そうだね』


 でも、まあ、とにかく、色々アレだけど…… なんとかやっていきますわヨ


『やっていただいてくださいませ』と“影日向くん”の声が笑った。

『さて、杏ちゃんの体も大変だから、そろそろボクを”脱いで”もらおうか。膝で立って床に手をついてもらえる?』


“影日向くん”の言う通りに床へ手を付くと、いきなり体ごとゴソッ!!と下に引っ張られる感じがして、一瞬、あどけない金髪の美少年の顔が見えた気がする。


 でも、今は……まるで私が、パジャマ姿の影日向くんを押し倒したような恰好になっている?!


 慌てて飛びのくと影日向くんはニコニコと身を起こした。


“苦労して着た”パジャマ姿の影日向くんが私の目の前に居るものだから、何だかとても不思議な感じだ。

 でも、やっぱりこれが本当の影日向くんなんだという気がする。


 その影日向くんが私に右手を差し出した。


「また仁義切るの?!あっ!に戻っている!」


 パジャマ姿の影日向くんは吹き出して笑った。

「やっぱり杏ちゃんは面白い!」

 影日向くんは笑いが止まらず、左手でおなかを押さえながら「これからも、よろしく」と右手を差し出した。


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