4

22時、店を出た。





30分ほど電車に乗ると駅に着く。




高校は東口を出てすぐ、

西口から自転車で15分走ると私の家はある。





家賃4万の木造アパート、2階。












「ただいま、」







返事はない。







誰もいない部屋に電気をつけて、

風呂にお湯をためる。



その間に洗濯機を回して、

軽い夕飯を済ませる。









最初は寂しかった。





一人分の食事を作り、一人分の洗濯物を干して、入浴後はすぐに湯を抜く。





慣れてしまった今、

物音ひとつない部屋で生活することを

寂しいなんて思わない。







家で口を開くことがあるとすれば、


感謝して食べなさい、と

祖母からしつこくしつけられた


いただきますとごちそうさま。






家族との会話がなくても

寂しくない。





心がずっと麻痺している。





今も、寂しくないと言い聞かせている。








ばあちゃんに会いたい






















  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る