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22時、店を出た。
30分ほど電車に乗ると駅に着く。
高校は東口を出てすぐ、
西口から自転車で15分走ると私の家はある。
家賃4万の木造アパート、2階。
「ただいま、」
返事はない。
誰もいない部屋に電気をつけて、
風呂にお湯をためる。
その間に洗濯機を回して、
軽い夕飯を済ませる。
最初は寂しかった。
一人分の食事を作り、一人分の洗濯物を干して、入浴後はすぐに湯を抜く。
慣れてしまった今、
物音ひとつない部屋で生活することを
寂しいなんて思わない。
家で口を開くことがあるとすれば、
感謝して食べなさい、と
祖母からしつこくしつけられた
いただきますとごちそうさま。
家族との会話がなくても
寂しくない。
心がずっと麻痺している。
今も、寂しくないと言い聞かせている。
ばあちゃんに会いたい
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