第52話 夫は私達のもとに来る
「コローケイ殿は、王都に来られるのか?」
ヨーカン王国国王ナトウは、コローケイのもとに遣わした使者、彼はコローケイの返答を持って帰ってきたところである、に問うた。
「公は、陛下のお言葉には、喜んで従います、急ぎ支度をして王都に向います、とのご返事でした。」
ナトウとトウフウの前に跪いた彼は報告した。
「そうか。それで、領内の様子はどうだった?」
「さあ?私は公に王命を伝えに行って、その足で戻ってまいりました。調査などしておりませんので、詳しいことは申し上げられませんが。」
「往復の中で見た領内の印象でよい。度々、コローケイ殿の所に行っているお前なら比較も出来るだろう。」
彼は、困惑気味であったが、それならばということで話始めた。
彼の結論は、領地は順調である、ということだった。以前と比べて、以前と比べると田畑や牧場は拡大、整備も進んでいるようだったし、住民の血色も、衣服もよくなっているようだったし、物資の流通も豊富になっているように見受けられた。それから、以前見かけないところに風車、水車、湯屋等ができ、聖樹、神樹も生き生きとしていた、ということだった。
かなりの魔族もコローケイとともに亡命してきた。彼の領地として、以前反乱を起こし、鎮圧され、処刑された正統派教会信徒の貴族の領地が与えられた。戦乱で人口が減少していたこともあり、多くの魔族と正統派教会信徒の人間達を受け入れるのには調度よかったという面もあった。それ以上に、正統派教会教皇から良き信徒と名指しされたコローケイは、新領主として相応しいと考えられたからである。彼の以前の統治実績からも、好ましい結果をもたらすと考えられた。そして、実際、彼はその期待に応えていた。
「それで、彼の周囲の女性達はどうだ?」
「そうですね・・・。亡くなられた方々への悲しみも区切りがつかれたようですね。」
彼は、一時一人になった。彼を裏切った男の妻が彼の供となった。その後、次々に彼を助け、彼に加わる者達がいたが、その中には女性も多く含まれていたし、彼の傍らに立とうとする、傍らに立って彼を助けようと、助けたいと考え、想う女達は何人もいた。
魔族の貴族出のレザンは、コローケイを裏切って夫に失望するとと同時に彼への忠誠心から夫と袂を分かって、彼の供となったのである。そういった経緯もあり、ともに夜営して、寒さから逃れるために身を寄せ合った時でも、男女の関係はもたなかった。彼女は愛想をつかし、袂を分かったとはいえ前夫への思いがあり、貞節を保ちたい思いがあったし、彼もその彼女の気持ちを推測できた。だからなのだが、2人ともかなり耐え忍んでいた、互いの性欲が燃え上がるのを。さらに、彼女は彼の姿を身近でより知ることになると彼への純粋な好意を強めていった。
その彼女を一歩踏み出させるのは、コローケイのもとに駆け付けてきた、カステーラ王国女騎士、かつて彼に軍監としてつけられて反発しまくった、グレ―プだった。彼への討伐軍の一部隊を率いて想定される場所に展開していたのだ。彼を見たという情報を聞き、全てを捨てて駆けつけて、地元の義勇兵、賞金を狙った集団だが、と戦っている彼を救ったのである。彼女は、積極的だった、地位も立場も裏切ってという気持ちが強かったし、事前に悩んで決断したこともあって、彼へ想いが契機になったからでもある。
そのグレープを見て、レザンも抑えていたものに火がついてしまった。競って迫られた彼は抵抗できなかった。
そのまま2人は、彼の愛人、妻となった。が、慣れない土地、捨てて来たことへの罪悪感による心労もあったのか、体調を突然崩し、1年ほど前に突然相次いで倒れ、数日後死んだのである。コローケイは、悲しみ、かなり憔悴した。自分のせいで、こんなに早く死なせたと苦しんだという。
その彼が、その後しばらくして結ばれたのは、元魔女王ウバだった。
「ウバ魔侯爵とともに、すっかりお元気になられ、仲のよい姿は臣下達が呆れいるということです。コローケイ様も、侯爵に慰められたおかげと言っておられました。」
自分に従う僅かな部族を率いて、彼に合流して彼と共に道を切り開き脱出した、彼女は。彼に自分と自分の部族を度々救われた、その恩に報いるということもあったが、彼に頼る、彼と一蓮托生でしか死中に活を求めざるを得なかった、結局彼のお蔭で今日に至ったという事実を理解しながらも、あくまで同盟者、同志という気も持ちでいた。落ち込む彼を慰めようとしたのだが、実は失意に沈む彼女を失意の彼が彼女の気持ちをより理解して、彼女を救った面が大きいが、慰め合ううちに彼女は素直になり、彼女の気持ちを彼は受け入れないではいられなかったのである。
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