第2話 ある外相の答弁
ここは港湾都市フォーターディープの議会
外相のイワヤがぶら下がりの記者に答弁している。
「外相、危険な麻薬をウォーターディープからフェイルーン諸国に輸出している
疑惑がありますが本当でしょうか」
「現在調査中です」
「その調査機関の職員が酒場で重要な書類を紛失したという報告がありますが」
「事実です」
「にわかには信じがたいですね。政府はこの件を隠蔽しようとしているんじゃ
ないですか?」
「そんなことはありません」
「これを受けて各国の外交官がウォーターディープを離れようとしていますが
なにか対策はありますか?」
「憂慮すべき事案と心得ております」
「それに加えて各国から関税を20%かけると宣言されていますが、原材料を加工
し輸出する我が国にとって存亡の危機じゃないんですか?」
「現在関係閣僚と協議中です」
「噂では麻薬の製造には「六つ目ザナサー」が関わっているらしいですね。
この地下の組織と外相はグルじゃないんですか?」
「合成麻薬「フェンタニル」には私、イワヤはいっさい関与しておりません!」
「外相については北部の不毛な土地を開拓している財団に多額の投資を
いくつも過剰にしていますが…キックバックがあるんじゃないですか?」
「そんな事実はありません。
あくまで北部の荒地の有効利用につとめているだけです」
「外相がアンダーマウンテンの第三階層深部にあるスカルポートに探検に行った
時にザナサーの娼館のダークエルフにハニートラップを仕掛けられたと
もっぱらの噂ですが、今回それがあるから表立った行動をしないんですか?」
「まったくのガセです」
イワヤはそそくさと庁舎に消えた。
「次の参議選挙が楽しみです。現場からは以上です」
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