人形遊び

 少年/少女があるとき全て忘れてひとりになる話。読みたい。

 ────────────────────


 どうしてきみの親友は温かい場所で隣に立っているのに、ぼくの友達はこんなに冷たいところで寝ているの?


 11歳のときに初めてひとを殺したよ。

 隣街の美味しいパン屋さんのオーナーや綺麗な花を売ってくれる店主さんとか。

 命令されるがままに友達も殺した。

 ルーペスは魔力があったから学院でただただ魔法を学んでいればよかったのに、僕に会いたいからって会いに来て、結局僕に殺された。

 死ぬ間際に「ずっと、もし殺されるならお前に殺されたかったんだ」って言われた。そんなの、ずるい。ぼくは許されたくなんかなかったのに。

 エレンと最後会ったとき、彼はいつものように向日葵みたいにニコニコしてて、みんなから慕われてた。なのに、任務で彼が住む家の付近まで行ったときには片腕が無くて、足も曲がっちゃいけない方向に曲げられた状態で、虫の息だった。

 ぼくの任務は、そんな彼を殺すことだった。



 フレデリクもモニカもテレーズもアボットも、ニコラスもヘンドリックもリデルもギルもアンジーもチレッタもレオンも!!!!!!!

 みんなぼくが殺したんだ。

 友達だったのに。

 命令だから逆らえなかった。逆らうなんて選択肢はぼくに無かった。

 みんな死ぬとき、決まって言うんだ。

「あなたみたいな綺麗なひとに殺されるなんて嬉しいわ」

「まさか、美しい死神に出会えるとはね」

「来世もまた君の友人になれることを祈ってる」

「俺を殺しにきたのがお前でよかった」


 どうしてきみの友達は生きてるんだろう。

 どうしてぼくの友達はみな冷たいの?

 どうしてきみは命令に逆らって、友達を助けられたんだろう。

 どうしてぼくは命令に逆らえないで、友達を殺してしまったの?


 きみとぼくとで、何が違うんだろう。

 何が最適解だったかな。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る