第28話「質問3」
Q.決死の覚悟で、僕と勇者がマホさんの魔法を受けました。僕だけ避けることはできたのでしょうか?
A.非常に困難だと推測されます。
ソウヤが被弾することを覚悟の上で行動したため、勇者に当てることができました。またマホがソウヤにだけ当てないように魔法が使えたかもしれませんが、その場合は勇者に与えるダメージも下がってしまうでしょう。
Q.僕は、剣で挑むのは間違っていたのではないでしょうか? 魔法や他の技を学ぶべきだったのではないでしょうか?
A.いえ、剣で挑むのは最善手であったと考えられます。
ソウヤは剣を2年間、振り続けてきました。
そのアドバンテージがあったからこそ、闘力を知覚したのち、大きく成長しました。
魔法を学んだとしても、勇者の行動を予測することが出来ず、即死していたでしょう。
Q.じゃあ治癒魔法ぐらいはどうでしょう?
A.戦況はあまり変化しないと考えられます。
治癒魔法があったとしましょう。多少の傷を治療出来ても、治癒が追いつかず傷が増えるか、即死攻撃を受けてしまえば意味がありません。
Q.……もしここから助かるなら、どうすればいい?
A.ここから“生存”や“復活”の可能性を残すには、それなりの理由や仕掛けが必要です。
①“替え玉”だった。
何らかの技や魔法で分身・幻影・他者の身代わりを作れば、助かるでしょう。
②代償付きの復活。
かなりの代償付きで、蘇生術を探す。
記憶を失うこと、誰かの命を代償とすることなどが考えられます。
③死後の世界で生きている。
死後も生きているなら、助かっているといってもいいでしょう。
Q.①:ない。あったらすでにやってる。
②:そんな都合のいい魔法なんてない。
③:助かってないよ。そんなの。
A.失礼しました。では他の方法を——
「——もういい」
ソウヤは、短くも鋭く、自分の今の心情をぶつけた。
「もう、終わりだ、アイ」
「……承知しました」
画面の中のAIは、静かに次の行動を求めた。
「この記録は、今回の結果で終わってもよろしいですか?」
「ああ、ゲームオーバーだ……また、勝てなかった」
「……」
そうして、ソウヤは背もたれに力なくもたれかかった。
静寂が続く部屋の中で、彼は目をつぶった。
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