恐ろし病の直し方

雨宮 治

第1話 No.1殺人衝動症候群

今日もまた、治らない病を抱えた人々が

この病院を頼っていく

できるだけの処置の仕方も

私は知らないのに。

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「今日は、どうしたんですか?」

『すみません、ここはどんな病でも

治してくれると聞いて来ました』

「えぇ、えぇ、そうですよ」

『厨二病とかだと思われるかもしれない

んですけど、僕多分殺人衝動とか、

あるんじゃないかって、』

殺人衝動、咄ゝに殺人がしたくなってしまう、

そういう病だ、

「えぇ、えぇ、そうですか、なるほど

何故そう思ったのですか?」

『あぁ、えっと最近身内が次々に亡くなって

しまうんです、しかも僕の近くに居る人が、』

「それで、貴方がやった、と?」

『い、いえ、まだ僕がやったとかは完全には、

って感じなんですけど、

僕が起きたら死んでて、

僕の記憶が無いだけじゃないかって、』

「あぁ、そうなんですね、

ひとまずここの病室で一晩泊まってみて、

それで衝動が現れたら治療をしていきましょう」

『で、でもまた僕が人を殺めてしまったら、』

「えぇ、大丈夫ですよ、ちゃんと管理を

しておくので貴方が心配する必要は無いですよ」

『あぁ、そうですか!それは安心ですね、』

ー今夜人が一人居なくなった

もちろん最初に疑われるのは

殺人衝動だと焦っていた男性

他の人を疑おうともしない

ここにいる人々は全員病に犯されているから

誰も何も疑わないように

ちゃんと直さなければ、

その男性は隅で留まり頭を抑えて

うずくまっている。

その周りにいる他の患者と看護師

そして私、犯人はこの中に居る

遺体を見るに殺されたのは

数時間前、少なくとも4時間は経っていそうだ

きっともう冷たくなっている

その人は看護師で鳩尾には

赤黒く服に染みた液体が見える

他の看護師と患者は警察は、救急車は、と

混乱しているようだ

そこへ私が入っていく、

「皆さん、落ち着いてください

彼女はまだ生きていますよ」

『え!ほんと?』

『マジか良かったな、』

『じゃあ彼奴殺人未遂じゃん』

『でも一応警察と救急呼んだ方が、』

「えぇ、えぇ、大丈夫ですよ

私が責任を負いますし、

彼女の手当は私がしますので、」

『先生が言うなら大丈夫か』

『あんしんかな?』

殺人未遂の容疑をかけられていた彼が

此方へヨロヨロと歩いてくる

『あ、あの、あの、』

「どうしたんですか?」

『えぇ、責任は僕が、

きっとこの犯人も僕です、きっと』

「ですけれど、記憶は無いのでしょう?

では確信はできませんので

責任は取らなくて結構ですよ、」

『えぇ、けれど、でも、違うくて、何か

何か変なんです』

「、、、私は彼女をベットへ連れて行きますね」

きっとあの人は勘づいた、

勘づいてしまったのだ。

この病院の秘密に、他の人の違和感に

自分の病の秘密と私の発言に、

きっと完全には分からない

分かる筈はないんだ、分かった時にはきっと

彼女を置いて彼女をこうした犯人について

考えているうちに周りの景色が一転する

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恐ろし病の直し方 雨宮 治 @coha3141

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