第31話 こ、この抱っこ凄くお顔が近い……ィィ
「ハァ、仕方ない……ほら、乗れよ」
一日足らずしか茜と真面に会話出来ていないが、何となく彼女の性格を掴み始めていた。チラリと震えた足を見て、彼女の疲労度が予想よりも高いことが分かり辰馬は彼女に背を向けながらしゃがんだ。
「え~……どうせならお姫様抱っこがいい」
「それは……」
(三キロちょいの道のりをお姫様抱っこだと!いくら女子の体重だとはいえ俺の腕が持つのだろうか……)
「だ、だって……辰馬くんの顔が見れなくて不安になりそうなんだもん」
恥ずかしいのか顔を赤らめて最後の辺りはあまりの小声であり少し離れていては聞こえなかっただろう。
「そうか……なら失礼して」
「きゃっ!た、辰馬君!?」
「茜さんがお姫様抱っこしろって言ったんだろ?」
辰馬は茜の両足と腰に手を当てる。そして一気に力を入れ、そのままお姫様抱っこをした。その瞬間、腕の中にいる茜の目が、パッチリと大きく開き、さらに顔全体が赤くなる。辰馬も少し恥ずかしい気持ちを抑えながら口を開く。
「茜さん、俺の首に両腕回して」
「う、うん」
柔らかい太ももの感触と、ほんのりと温かい体温、そして甘い香りで理性がぶっ飛びそうになる。
「じゃあ帰るぞ」
「了解だよ!辰馬号しゅっぱ~つ!」
「……おう」
まだ腕には余裕があるが、これがいつまで持つかは分からない。あまりにも疲れたら背負って帰ろうと決意した。
「それにしても流石辰馬君だね~力持ち!」
「まぁこれでも鍛えているからな」
「そ、それもそうだけどさぁ……ほら、私って大きいでしょ?」
「ん?……あぁ確かに」
「お、おっぱいじゃないよっ!」
「一言も言っていないんだが……」
耳元で急に大きな声で叫ぶ茜を睨みつけるが、嬉しそうな表情で笑う茜。意味がないと辰馬は悟ると前を向く。
「冗談だよ~辰馬君ってばお堅いなぁ~。身長だよ身長!」
「確かに女子の平均身長よりは大分高いよな?」
「うん。公式発表では170センチなんだよ~」
「まぁそのくらいあるか?……公式発表?」
「実はですね……逆サバというやつをしてたんだよね」
辰馬は茜の含みのある言い方が気になって聞き返した。そして彼女の返答を聞いて一人で納得した。何となく教室の男子達よりも身長が高いと感じていたからこその違和感であったのだと。
「なるほどな。なら実際の身長は……175cm辺りか?」
「大正解~~~!?」
「確かに一人だけ頭一つ抜けていたし、この重量にも納得のいく――」
「女の子に体重の話をするのは厳禁だぞ♪」
「ちょ、ちょ、ちょい、そこは触るなって!反則だろ!」
茜は首に回していた両手から右手を離して辰馬の右乳首を爪で弾くようにして抓る。あまりにも素早いサーチ力と絶妙な力加減に辰馬は驚きの声を上げてしまう。
「え~ダメ?なら、こっちは?」
「そっちはもっとダメだ!というか、外なんだから気を付けろって!」
辰馬に触るなと言われて、更に下の領域にある辰馬の性器を弄るようにして触る。しかも、短パンの上からでなく直接である。
「ふふっ、大丈夫だよ。今この辺に私たち以外人はいないから!」
「まさか……嗅覚か?」
「そうだよ♪この辺りからは辰馬君の匂いしかしないもん」
先ほどまで辰馬の性器を触った指の匂いを嗅ぎながら、ペロペロと舐める。厭らしい笑みと魅惑的な表情。高まるお互いの体温に今ここで犯してしまいたくなる衝動に駆られてしまう。
「……俺を誘っている?」
「もちろん♪」
「……そうか」
「辰馬君凄い汗だよ?これ……辰馬君が凄く興奮している匂いがする♪」
クンクンとワザとらしく鼻を鳴らして茜は、辰馬の首筋の匂いを嗅ぐ。まだ一日しか経っていないのに、目の前にいる茜との共同生活を耐えられるのかは不安しかなかった。
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