【祝10万PV達成】淫乱美少女と体の関係を持ってから始まるラブコメだよっ!?

藤本茂三

第1話 出会いは突然

――やべえな白石、顔滅茶苦茶可愛いわ

――スタイルも良いし。あ~あの巨乳も揉みしだきたてー!

――昨日載せていたインスタの写真なんて、胸が凄く強調されてて凄かったぞ!

――ふっ、白石さんは胸だけじゃない。あの安産型の形のいい尻こそ至宝なんだよ   


男子同士の下品な会話が男子更衣室で行われていた。彼らが話しているのは白石茜で、学校で一番と言われる程に美麗な容姿を持っている。


髪の毛は栗色で背中まで届くロングのストレートで、身長が高めでありスタイルも抜群である。

更に男女隔てなく気配りが出来き、学園のアイドル的存在だ。


上場企業の社長令嬢ということで富裕層でありながら、モデル活動も積極的にしているため日本だけでなく海外にも名前が広まり始めているほどの人気を持つ。


それだけでなく学年でもトップの成績を誇っており文武両道・眉目秀麗。まさに完璧な女性だ。


(そんな白石さんと俺が話すことはないんだろうな……)


辰馬は男子生徒のエロトークを聞きながら、黙って更衣室で着替えていた。彼の身体

は顔には似合わず腹筋が割れており、まさに絞れた身体であったが誰も辰馬を気に留めていないため見られることは無かった。なぜなら全員が白石さんの話をしている彼らへ注目しているからだ。


(夏なのに体育の授業って、なんであるんだろ……)


面倒だと感じながらも仕方ないと割り切って更衣室を出る。


****


学生ながらもプロボクサーとして、界隈では有名な辰馬であるが国内チャンピオンですらないので、お金持ちというわけではない。そのため、彼が住まう家はワンルームのボロアパートである。だが、そこに住む最大のメリットもある。


それは、目の前に辰馬の通う高校があることだ。

通学時間がほぼないことは、ボクシングの練習で疲れ切った体を休めるのに重要であるからだ。


通学時間は短縮出来るが、ボクシングジムへ行くのには少し距離がある。辰馬の足ならば走って十分程度なので遠いというわけではないが、炎天下の東京では外にも出たくない。それでも節約するために地下鉄を使うわけにはいかない。ロードワークも兼ねてジムへ行く日は必ず走っていくことにしていた。


(外はまだ暗くないし……暑いよな……)


辰馬はジムでのトレーニングを終えたが、中々帰ろうしなかった。外をぼんやり眺めていた。既に大量の汗を掻いているのに更に炎天下で汗を流すことに嫌気を覚えていたからだ。


それでも明日も学校があるのだから帰らなければならない。学生だから宿題もあるし、一人暮らしのため料理も自分で作る。やる事がいっぱいあるのだ。


(ハァ……帰るか)


「お疲れ様でした~」


『お疲れ~』


『おっつ~』


「あぁお疲れ様。気を付けて帰りなさい」


辰馬はジム全体に聞こえるように挨拶をする。

辰馬専属トレーナーである河野が丁寧な口調で返答する。このクソ暑いなかでも紳士な性格故かスーツを常に着ている。


(俺もサラリーマンになったらスーツ着ないといけないのか……それは嫌だ!)


辰馬はジムから出て走って家に向かう。道中に辰馬では絶対入れないような高級ホテルなどが並ぶ高層ビルが目に入る。


(俺もこんな場所に入れるような男になりたいもんだ


ボクシングで大成することが出来たら好きなだけホテル暮らししてみたいと妄想しながら毎日走っていた。


そして、この日は珍しく辰馬以外にも走っている人物がいた。

誰かが言っていた。


――出会いというのは突然に起きるものである。


その人物が辰馬に向かって走ってくる。まるで何かから逃げるように焦った様子と乱れた髪を気にせず素足で走っていた。


その人物とは――学年のアイドルである白石 茜であった。

ノースリーブの黒いドレスを着ており、こんな路上でなければ非常に華やかだろう。

そんな彼女の類まれなる美貌と男を誘惑するようなスタイルに周りの男たちの目は蛾のように吸い寄せられていた。


(どうしたんだろ……何か焦って……後ろからスーツ姿の男二人?)


素足で走っているため所々擦り切れて痛々しい足である。それでも痛みを堪えて走っていたのだろうが限界が来たのだろう。


「あっ!」


もつれた足のせいで茜は、顔面からアスファルトに衝突しそうになる。


「……ッ!……あれ?」


「白石さん、大丈夫?」


辰馬が彼女を抱きしめるようにして抱える。少し距離があったが、その距離を埋めるダッシュ力、茜が転びそうになるのを見極める洞察力が無ければ無理な行動であった。


「あ、き、君は……」


「ちょっと待っててね」


辰馬は追って来る二人のスーツ姿の男達から茜を庇うように立ち塞がる。そして日焼け対策とカッコつけのために着ていたパーカーを脱いで、茜の横へと投げ捨てる。


辰馬はボクシングで鍛え抜かれた腕を露わにして追って来る男達に相対する。


「白石さんをそんなに追うなんて、どういう用件でしょうか?」


「…お前のようなガキに用はない。早くその女を寄こせ」


「そうだ。早くその女を連れて行かないと日枝会長に殺されちまう」


「日枝?」


「お、お前……何口走っているんだ」


「わ、悪い」


「……まぁいいです。白石さんも嫌がっているようなので、お引き取りを」


「ハァ……早くコイツをボコるぞ」


「そうだな。二対一だからすぐだ」


「交渉決裂ですか……ハァ……かかってこいよ?」


「ケガしても文句知らねぇ――っ……」


バタっという音と共に男は横に倒れる。

辰馬に殴り掛かろうと助走をつけるように走っていたのに、何故か倒れていた。目の前の光景に、もう一人の方の男は唖然とした表情を浮かべる。


「な、何を…何をしたんだ!」


「さぁ当ててみたらどうです?それで……まだやりますか?」


倒れた男の頭を踏みつけながら辰馬は問う。気絶しても苦しそうにしている。


「お、おい止めてくれ!」


「なら白石さんを解放してくれます?」


「そ、それは……いや、分かった」


「そうですか……。ならこの男を運んでおいてくださいね」


辰馬が後ろを振り返り、辰馬のパーカーを着ようとしている茜へと声を掛けようとすると後ろから殺気のようなモノを感じる。


(ハァ……仕方ない)


辰馬は後頭部目掛けて来る拳を横に躱してから、回転するように男の顎目掛けて左肘を当てる。


「グ、グオ!」


そして脳を揺らされてしまった男は、フラフラしながら後ろへ倒れる。


辰馬は男達が立ち上がらないことを確認して、茜へと声を掛ける。


「お待たせ。大丈夫かな?」


――スンスン


無言で辰馬のパーカーの匂いを嗅ぎ続ける彼女に再度体を軽く揺らして話しかける。


「……大丈夫?」


「え…あ、うん。……えっと、確か萩原君だよね?助けてくれて、ありがとう」


「別に構わないよ。それとここは目立ちすぎるから、ちょっと失礼するよ」


「え、きゃっ!」


辰馬は茜をお姫様抱っこをする。彼女が小さく悲鳴を上げるが、直ぐに辰馬の首に手を回して姿勢を安定させる。


(俺って思い切ったことしているような気がするけど……白石さん嫌がっていないよな?……多分)


ケガしている茜への配慮のことでした行動であった。

彼女の体の柔らかさと甘い香りに別の意味で脳がクラクラする。


「そ、それで……どこに行けばいいかな?」


「……家には帰りたくない。でも、お金も持っていないし……」


「そっか……。なら俺の家に来る?一人暮らしのワンルームで良ければ……」


「えっと……お願いしてもいいかな?」


「もちろんだよ」


(てっきり断られると思っていたいんだけどな…)


辰馬自身大胆な提案をした自覚があった。それでも茜は、少し悩みながらも辰馬の提案を受ける。


(さて走るとしますか!)


他の追手も来ないとは限らないので、辰馬は全力でその場を後にした。黒スーツの彼らも次期に目を覚めることは確認済みなので問題ない。幾度となく友人を気絶させてきた経験から言える事だった。



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