第3話 ダンジョン実習

「うわー大きいねー」「洞窟って感じのダンジョンだね」今回の実習のダンジョンは、洞窟に似た地形で、かなり広い。「みんなー話をしっかり聞いてくれー」「今回来たダンジョンはレベル二のダンジョンだ。基本ゴブリンやスライム、アルミラージなどが出てくる。皆んなにはこの剣を配布するから。これでモンスターをビシバシ倒してこい。この一週間で魔力を体に纏うのにもなれただろうが、油断はしないことだ。痛いものは痛いからな。皆んなにはまだ言っていなかったことが一つあるんだが、魔法を撃つ時は基本的に、魔法名を言う。これによって魔法の威力を底上げすることができる。例外的に風魔法にはないんだがな。火の魔法はイグニス。水の魔法はアクア。土の魔法はフムス。そしてどのパーティが一番活躍するのかをポイントで測る。ポイントはモンスターから稀に出現するドロップアイテムで換算する。さらに、ボスを倒したことで出る宝物はかなり高得点だから、積極的に狙うと良い。しかし、ボスを倒して宝物を入手できるのは、一つのパーティーだけだ。くれぐれも争うことのないように!万が一に備えて、ダンジョンの中間地点に私がいるから、何かあったら、すぐこの水晶で伝えてくれ」「みんなわかったな。それではダンジョン実習スタートだ!」一斉に駆け出す。「ミセリア、アミクス僕らも行こう!」「おー!」「うん!」


「本当に広いな。しかも少し不気味だ」「そうだね、まだモンスターにも出会ってないし」「あ!ゴブリンだ」ゴブリンの群れが暗闇から現れた。「よし、僕がいく」僕はゴブリンに向かって駆け出す。「イグニス」後ろから凄まじい炎が駆け巡る。ゴブリンが爆散する。「何だ!?」「ノロノロしてんじゃねぇよ!クリフ」ルベルの魔法らしい。そのままルベル率いるパーティーが駆け抜けていく。「あいつクリフに当たりそうだったぞ!」「ルベルくん、やな奴」アミクスとミセリアがルベルに不平を漏らす。「でも威力凄かったね。僕らも負けていられないな」「そうだな。先を急ごう」


「モンスター複数来てるよ!」アルミラージとスライムが集団で襲ってくる。「今度こそ!」「俺も負けてられねぇ」クリフとアミクスが距離を詰める。クリフが先頭のアルミラージを切り裂く。続いて、アミクスがスライムとアルミラージを一気に切り裂く。「みんな離れてー」後方からミセリアが火の魔法で残りを一掃する。「俺ら良い連携が出来てるな」「そうだね。どんどん先を進もう」


「なんか戦っている音が聞こえないか?」「確かに、武器と武器がぶつかっているような甲高い音があっちから聞こえる」「向かってみようよ!」「そうだな、ボスが近いのかもしれない」音がだんだんと近づいてくる。「もうすぐだ」急に視界が広がる。「あれはオーク?」「待って、血だらけで二人倒れてるよ!」「おい!ルベルが一人で戦ってるぞ。やばくないか?」クリフの鼓動が早まる。「早く助けないと!」「ちょっと待てよ!俺らであんなのに勝てるのか?」「そうだよ!クリフくん。流石にまずいよ」「勝てるか勝てないじゃなくて、今はルベルの命を!」「仕方ねぇな。行くしかねぇ!ミセリアは倒れている二人を回復させて、フェルガー先生に連絡しろ」「うん!」「行くぞ!クリフ!」僕らは同時に駆け出す。僕は右から、アミクスは左から攻める。「ルベル下がって!」「クソが!」僕はオークの棍棒を交わしながら、下から一閃する。(手応えがない!)アミクスはオークの左腕に一撃入れる。「アミクス避けて!」「やべ」オークの棍棒に薙ぎ払われて、アミクスが壁に激突する。「アミクス!」(くっそ。一撃もらったら、おしまいだ)「おい!クリフ。ダメージが一切入ってねぇ。同時に火の魔法を撃て!」「わかった!」「イグニス!」二人合わせた火の魔法が飛んでいく。しかし、無傷。オークは棍棒でいともたやすく薙ぎ払う。「くそがーーー」ルベルががむしゃらに突っ込む。「待って!」当然の如く、ルベルは薙ぎ払われ、凄まじいスピードで壁に衝突。(あとは僕しかいない)「クリフくん!もう逃げよ」「ダメだ!ここで逃げたら、みんなが死んでしまう」僕は決死の覚悟でオークへの距離を詰める。「イグニス!」オークが棍棒を振り下ろそうとするタイミングで火の魔法を撃ち込み、攻撃をキャンセルさせる。「おらー!」全身全霊の力を使って、切り裂く。「あぶねー」オークが棍棒を振り下ろすギリギリで、風の魔法を地面に撃ち、回避する。上空から火の魔法を撃つ。着地してまた斬り込もうとする。「あ」(ぐねった)足がぐねってしまい、着地に失敗。その隙を見逃さまいとオークの棍棒が振り下ろされる。(死んだ)そう覚悟した瞬間に凄まじい風を切る音が聞こえた。オークが吹き飛ばされ、体の中心が切断される。「なんだ?」「先生!」「すまない。まさか赤眼だったとは。みんな大丈夫か」「はい。私が何とか回復魔法で…」「それは良かった。ダンジョン実習は中止だ。入り口へ戻れ」


「クリフ、よく戦ってくれた。君がいなければ、今頃はもうルベルのパーティーは全滅だったかもしれない」「完全に私のミスだ。本当にすまなかった」「いえ。先生は僕の命を救ってくれました。それより先生、赤眼というのは何でしょうか?」「赤眼のモンスターと呼ばれるモンスターがごく稀に出現する。通常のモンスターのレベルより三つ程度上のレベルになるんだ」「まじか」アミクスが驚きの顔に染まる。「そんな化け物に結構奮闘していたクリフはすげぇし、そいつを瞬殺したらしい先生はどんだけなんだよ」アミクスは終始驚いている。「アミクスは大丈夫そうだが、ルベルたちは大丈夫か?」「はい。大丈夫です」ルベルのパーティーの一人が答える。「クリフもよくやってくれたが、ルベルもなかなかなものだ。オーガを一人で抑えていたんだから」「あたりめぇだ。クリフにできて俺ができないなんてことはない!」「ルベルも元気そうだ。先にみんなは帰っているから、そろそろ出発しようか」「はい」


 フェルガークラスのダンジョン実習は中止という形で終わり、ポイントは計測されなかった。他のクラスでは一際輝く一部の生徒たちが前年を大きく上回る結果を出していた。


 ダンジョン実習によって、クリストフ、アミクス、ミセリア、ルベルのレベルが二に到達。魔力は等しくDに、体力、力、俊敏はミセリアを除く計三名がDに到達。

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落ちこぼれの僕が世界最強に憧れるのは間違っていない! @yamibell

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