落ちこぼれの僕が世界最強に憧れるのは間違っていない!

@yamibell

第1話 落ちこぼれ(ノーギフト)

「カッコいいなー。僕もこんなふうになれるかな」ある少年はとある物語に夢中になっていた。「クリストフもいつかなれるわ。ママ応援してるから」少年の母はいつもの光景に笑みを漏らす。

 この世界では神から十三歳になると、ギフトがもらえる。その力を何に使うのも自由だ。

 この世界にはダンジョンが存在する。ダンジョンから湧き出るモンスターを倒すハンターという職業があり、子供たちはいつも輝かしい目でハンターたちに魅入っている。

 この世界は希望に満ちている。都市が存在し、至る所で喧騒が聞こえる。

 この世界では闇が胎動している。まだ息を潜めているが、いつか彼らは…


「わーー!大きい!」十四歳になった少年はハンター育成学校に入学した。三百名の定員で十クラスに分けられる。「建物がいっぱいある!何に使うんだろ?」少年は胸をときめかせながら、教室へ向かう。「おーい遅いぞ」かなり早めに来たのに、僕が最後だった。「すいません」どうやら学校に夢中になってしまっていたらしい。「それじゃあ全員揃ったことだし、自己紹介をしていこうじゃないか」担任の先生は筋骨隆々で、すごく明るそうな人だった。「まずは俺からだな。俺の名はフェルガーだ。これからお前らを一人前のハンターになるようにビシバシ鍛えていくからな。覚悟しとけよ。次は遅刻してきた君だ」「はい。僕の名はクリストフ。クリフって呼んでください。最強のハンター獅子心王ライオンハートに憧れてます。僕はギフトがないけど、ここで精一杯頑張って一人前のハンターになりたいとおもいます」教室が騒ついた。「あいつギフトがないって?」「そんなの聞いたことねぇぞ」「まぁ静かに」フェルガー先生が注意をする。「おい。クリフとかいう奴。俺は認めねぇぞ。お前なんかがハンターになる?獅子心王に憧れる?ふざけんじゃねぇぞ。ギフトもねぇ雑魚は資格がないんだよ」「まぁ落ち着けって」フェルガー先生が宥める。「そんな君はなんていう名前なんだい?」「俺はルベル。最強になる男だ。さっきの雑魚とは違って、ギフトは火の魔法の超強化だ」「おー!いいギフトを貰っているじゃないか。しかし、だからといってギフトが無い子を馬鹿にしていい理由にはならないぞ」ルベルはフェルガーの注意に舌打ちをして席を座った。その後も自己紹介が進んで、全員がし終えた。「一旦休憩!」先生は教室を出て行った。「あんなこと言われて大丈夫か?」後ろの席の子がさっきのことについて気にかけてくれた。「うん。覚悟してたから。ノーギフトだけど、僕はハンターを目指す!」クリフの目は前だけを見据えていた。「お前、強いな。俺の名前はアミクスだ。これからよろしく」「うん、アミクスよろしくね」

「よーしお前ら、早速だが授業を始めていく。まずはステータスについてだ。構成要素は主に四つある。魔力、体力、力、俊敏だ。これらは特殊な水晶によって、数値化され、カードに記す。これらはモンスターを倒したり、魔法を使ったりすることで上げられる。レベルは十段階存在し、四つの要素はS、A、B、C、D、Eの六段階に分けられる。続いて、魔力についてだ。魔力は色がある。魔力の練度によって、魔力の色が変化する。練度が低い順にアルブスルーフステヌイカエルニウムウィオラーケウスとなる。そして魔法についてだ。基本魔法と呼ばれるのが水、火、土、風だ。この中で最も重要なのは風だ。なぜなら、水、火ともに、玉を作るだけだからだ」「それじゃあ風が重要になる理由になっていませんよ」生徒が指摘する。「そうだな。この玉を飛ばすのが風の魔法だからだ。つまり、水、火の魔法だけでは攻撃ができない。それを風によって飛ばして攻撃するから風の魔法が一番重要なわけだ。そして土魔法は地面を自由自在に変形させることができる。魔法の威力はレベルや魔力に応じて変化する」「基本魔法があるっていうことは応用魔法もあるんですか?」「いい質問だ。基本魔法は誰にでも習得できるが、応用魔法はそうはいかない。応用魔法はギフトで現れることがある。例えば、氷魔法、錬金魔法、雷魔法などだ。これらの魔法は基本魔法とは一線を画す威力を持つ。そして防御についてだ。モンスターとの戦いにおいては、攻撃をくらってしまうことが多々あるだろう。生身の人間ならば、致命傷になり、最悪死んでしまうかもしれない。そこで、魔力を使う。魔力を知覚できるようになれば、その魔力を自由自在に使うことができる。そう、魔力を体全身に纏うんだ。モンスターなどと戦う時は常に魔力を体に纏う。そうすれば、防御だけでなく、ステータスが一時的に上乗せされた状態になる。ここからは話を少し変えて、ダンジョンについて話していく。ダンジョンは突然現れる。そしてそこからモンスターが出てきて、人々を襲うことがある。ダンジョンには私たちのレベルと同じで十段階に危険度が分けられる。ダンジョンの中の地形は様々である。草原もあれば、砂漠もある。海だってある」「せんせーい、ダンジョンの危険度はどうやって分けているんですか?」「ダンジョンの危険度はダンジョンから流れ出る魔力から推定される。しかし、モンスターの危険度は魔力だけでは計りきれない。純粋な攻撃力は充分脅威になり得る。よって、ダンジョン攻略はダンジョンのレベルの一つ上のハンターが攻略することが基本だ。もちろん。一人で挑むのはリスクが高い。だからパーティーを作って挑む。その場合はレベルが上のダンジョンであっても攻略に挑むことは多い」「ダンジョンってどうやってできるんですか?」「それがまだわからないのだ。突然と出来ては、ダンジョンの中にいるボスを倒せば、自然に消滅する。今の話を聞いているとハンターは辛い仕事のように思えるかもしれない。だが安心してくれ。ボスを倒せば、大量のお宝を入手することができる。それを買い取るメルカートという店も存在する」「ダンジョンを攻略するときに仲間はどうやって集めるんですか?」「君たちはよく質問をしてくれて助かるよ。ハンターが所属するギルドという機関が存在する。ギルドの中にも位置付けがあって、レベル八以上を三人以上所属しているギルドはSみたいに分けられている。ギルドはSからEまでの六段階存在する。そして学校卒業前にいろいろな競技をして自分たちの力を見せるスクールフェスタというものがある。ここで自分をうまくアピールできたものはギルド側から勧誘が来る。君たちには、ギルド側から誘ってもらえるような強いハンターになってもらうよ!今日はここまでだ。しっかりと復習してまた明日元気に来てくれ。明日は魔法の練習だ」先生は教室を後にした。「先生の話面白かったね!まだ知らないことがいっぱいあって、ワクワクするよ」「そうだな。明日の魔法の授業が楽しみだ」クリストフは未知の知識に興奮し、アミクスは魔法の授業に胸をときめかせている。「クリフくーーーん!」「え!?」突然クリストフに抱きつく少女がいた。「クリフくんこれからよろしくね!」「君と僕話したことあったっけ?」「うんん、初めてだよ」「初めてにしては距離が近いね」「だって私クリフくんのこと好きだもん」「え???」クリストフとアミクスは同時に驚愕する。「話したこともないのに、好きになるとかあるの?」「好きは好きだから」「よくわかんないよ」「こいつは面白えな」アミクスがあまりのおかしさに笑う。「じゃあ、また明日!」「ちょっと待って。君名前は?」 「私の名前はミセリア。よろしくね」「なんだったんだろ。あの人…」「まぁなんでもいいじゃねぇか。それじゃあ俺も帰るぜ」「うん、バイバイ」アミクスとミセリアと別れて、クリストフは帰路に着く。「今日は色々あったけど、とっても楽しかったなー。母さんにいっぱい話さなきゃ」

「みんなおはよう。今日から実践だ」僕らは演習場に移動して、魔法の授業を受ける。「まずは魔力を知覚することだ。体の隅々に意識を集中してみろ。流れを感じるんだ」「おー!」「みんなうまくできているようだな。優秀だ」「どうしたんだ、クリフ」「フェルガー先生、魔力をうまく感じられないです」「ほらみろ、ギフトもねぇくせに魔力すらも感じられない。お粗末だぜ」ルベルがクリストフを罵る。「おいやめろよ」「そうだよ!私のクリフくんになんてこというの」アミクスとミセリアが僕を庇う。ミセリアに関してはうん…置いとこう。「急ぐ必要はない。少しずつ感覚を掴めばいいから。安心しろ、クリフ」「はい」クリフは少し残念そうにしているが、その目だけは前を見据えている。「だが、君だけを贔屓にするわけにもいかないからな。魔力を知覚できたら次は、魔力の色を見る。魔力を体の外に出すイメージで手から出してみろ」ルベルはすぐに赤い炎を出した。「おー。ルベル、君は才能があるようだね。君は燃えたぎるような赤色。かっこいいじゃないか」「当たり前だ。こんなところで躓くような雑魚ではねぇんだ」ルベルは威張ってはいるが内心嬉しそうである。その後、クリストフを除く全員が魔力の色を見る段階まで到達。「よーし、授業終了!教室に戻れー」「結局魔力の感覚を掴むことすらできなかった」「落ち込むなって。時間はまだまだあるから」「そうだよー!」二人が励ましてくれる。本当にいい人たちに恵まれたと感じる。

 学校が終わり、クリフは帰路に就こうとしていた。「クリフ、居残り練習だ。一緒に頑張ろうじゃないか」「良いんですか?」「当たり前だ。さぁ移動するぞ」クリストフは目の輝きを取り戻した。「考えるのではなく、感じるんだ。体の隅々まで神経を集中して、流れを感じろ」「はい!」クリストフが集中を開始して十分ほど経った。「先生!体の中に流れる何かを感じます」「それが魔力だ。そのまま手の中に魔力を出現させろ!」手の一点に魔力を集中。「おー!出来たじゃないか。まだ魔力は白色だが、充分な成果だ」「フェルガー先生ありがとうございます!」「良いんだ。その感覚を忘れるな。それでは解散!」こうして無事クリストフは魔力を知覚、出現の段階へ到達。

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