第4話 盗賊との戦い

「で、この村で何をするんですの? 国王から行けと言われましたけど、何をしたら言いかは聞いていませんわ」

「大丈夫。星があるから」

「星?」

「ストーリーの進行に関係がある人の頭には、星マークがついてるんだよ。ただのモブにはついてない。昔はしらみつぶしに話かけなきゃいけなかったけど、最近はユーザーに甘いからなぁ」

「よくわかりませんけど、星ってあれですの?」


目の前で、頭の上で星がピカピカ光っている男の子が僕たちを見ていた。

「僕たちに何か用かな?」

「盗賊に盗まれた村の宝を取り戻してほしいんだ」

序盤が盗賊退治というのもテンプレだ。

「わかった。盗賊のアジトはどこにあるの?」

「村の西のほうだよ」

「よし、じゃあ僕たちが取り戻してくるよ」


こうして、僕とジャンヌは盗賊のアジトに向かった。

途中、モンスターたちが現れる。

さすがにジャンヌも、くだものナイフ1本では苦戦している。


【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/hm-ciao/news/16818792435406432668


僕もこん棒で加勢する。


こうして、盗賊のアジトに到着した。

次々とモブの盗賊が現れるが、順当に倒していく。


そしてとうとう、盗賊のボスとの闘いになる。


【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/hm-ciao/news/16818792435406460499


「ふん。ここまで来るとはな。しかしオレは倒せんぞ!」

盗賊は2本のダガーを構える。

そして、ジャンヌに斬りかかる。

「くぅ! 速い!」

盗賊は、目にもとまらぬ速さで斬撃を繰り出す。

どんどん追いつめられるジャンヌ。

「ダガー2本に対して、くだものナイフ1本では分が悪いですわ!」

「まかせろ! スピーダ!」

すると、ジャンヌの体が淡く光る。

「速度を上げる魔法だ! 10秒しかもたないから、早く!」

「たまには役に立ちますわね! いきますわよ! 疾風斬!」


ジャンヌのナイフによる斬撃は盗賊のダガー2本を吹き飛ばし、さらにマントも切り裂く。

すると、そこに現れたのは。女の子だった。

まぁ、よくある展開だけど。


【挿絵】

https://kakuyomu.jp/users/hm-ciao/news/16818792435406483892


紅いショートヘアーに、全身が黒くてピッチリした服。

体のラインが出てて、なんかエロい。


「ふん、やるな。しかし宝は渡さん」

そう言うと、盗賊は何かを投げた。

すると、モクモクと煙が立ち込める。

煙玉だ。

逃げる気か。

「そうはさせない。エアリア!」

今度は風圧を起こす風魔法だ。

さらに、風の刃で切り裂く。

盗賊はどこにいるかわからないので、範囲は全体に設定した。


「くっ!」

煙は吹き飛び、盗賊の姿が現れる。

ダメージは浅い。


「ちょっと! 何するんですの!」

「え?」

振り返ると、ジャンヌの服がボロボロになっていた。

というか、ジャンヌのほうがダメージが大きい。

しまった。

魔法を全範囲に指定したときに、ジャンヌまで巻き込んでしまった。

体を隠すため、ナイフを落としてしまっている。


「チャンス!」

盗賊は、ここぞとばかりに格闘術でジャンヌを攻撃する。

くそ! ならば。


「デバリア!」


敵の防御力を下げるデバフ魔法だ。

これで、ジャンヌも少しは楽になるはず。

と思っていると

「きゃああ!」


なんと、盗賊の服がどんどん減っていく。

あ、防御力を下げるって、そういう感じ?

上半身は完全に裸になり、下半身もほとんど服は残っていない。

というか、隠れ巨乳だな♡

「ひゃぁぁ」

盗賊は体を隠してうずくまっている。


ピロリロテッテテッテーン♪


経験値とお金を入手し、僕はレベルが上がった。

まさか、補助魔法で決着がつくとは。


「さあ、村の宝を返してもらおうか」

「くっ! 殺せ!」

これまたベタなセリフだな。

すると。


ヒュン!

くだものナイフが飛んできた。

「ちっ! 外れましたわ」

「ななななっ! 何するんだ!」

「殺せって言いましたわ」

「ジャンヌ。こういうときは本当には殺さないんだよ」

「そうなんですの?」

「(´~`)! 常識のねぇやつだな!」


「さて、どうして村の宝を盗んだりしたんだ?」

「オレは親父から、男として育てられた。一人前の盗賊になるためにな。けれど、親父は死んだ。魔王の部下に殺されたんだ。オレは盗賊団を率いることになった。それでまず手始めに、近くの村の宝を狙ったんだ」

「僕たちは、魔王を倒す旅をしている。よかったら一緒に来ないか?」

「ちょっとヒロト。何を言ってるんですの?」

「いやまぁ、なんというか、そういうもんなんだよ」

「いいのか?」

「うん。一緒に魔王を倒そう」

「わかった。オレの名前はリッカ。よろしくな」


こうして、リッカと共に村に戻り、宝物を返した。

すると子どもたちは、リッカのほうを見て言った。

「ありがとう! おねえちゃんたちが取り戻してくれたんだね!」

「ま、まあな。たいしたヤツじゃなかったよ」


いや、盗んだのお前だろ。

こうして、新たな仲間が加わったのだった。

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