小さな泥棒とクイーンズ・オウス・リング
episode1
俺は転生した。エリザベート王国のルブラン家に。
10歳になった俺はこの国の女王の娘、その誕生日パーティーに呼ばれていた。
奇しくも同い年の為俺の誕生日も親は兼ねているようだ。まぁ5男なんでそんなもんだろう。そんなことを思っていると女王エリザベートがやって来た。
「皆様ようこそお越しくださいました。かねてより予定していた我が娘の誕生日にお集まりいただきありがとうございます。長話もなんです、我が娘我が国の安寧に乾杯」
女王が乾杯をした後パーティーは盛り上がる。このパーティーの目的は女王の娘の顔見せ、挨拶が主な理由だろう。まぁ人によって思惑はあるだろうが。
そんなパーティーだが一応俺も5男とはいえ貴族として生まれたので女王の娘に挨拶しなければならない。俺は面倒だと思いながら挨拶しに行く。
「お初にお目にかかります。ルブラン家5男アウル・ルブランです。以後お見知りおきを」
お見知りしなくていいからね~なんて呑気なこと考えつつ挨拶をする。
「初めましてアウル様。私はエリザベート王国第一王女、エリザベス・アレクサンダー・エリザベートです。以後お見知りおきを」
「…まじか」
小声で呟いてしまう。面倒くさくてぼやぼやしてた視界がクリアになってしっかり王女様を見るとそれはもう儚く美しいお姫様がいた。あまたのギャルゲーやって来たけど目の前にこのレベルがいると最早絶句唖然失神であある。
「アウル様?」
「失礼。あまりにも可愛いくて見惚れてしまって居ました王女」
「あら、世辞が上手いのですねアウル様は」
にこやかに王女様は微笑むが最早彼女に世辞というものは存在しないレベルである。彼女はどうやら歳相応に純心のようである。
「アウル。他の者もいるのだ、挨拶はそれくらいにしとけ。エリザベス王女、愚息がすいません」
「ルブラン伯爵。良いのですよ、気にしないで下さい」
「感謝致します、王女」
父がそう言って俺の手を取り連れてかれる。去り際に小さく手を振っておいた。
彼女はとてもにこやかに手を振り返してくれた。可愛い。
異世界アルセーヌ 秋朝彩夏 @abemario
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