牡蠣の殻を

Iloha

第1話

わたしのことばは詩のことば

ほら白い羽根が飛び立つわ


わたしのことばは詩のことば

そうことりと真珠がこぼれるの


わたしのことばは詩のことば

あなた睫毛をぬらしてくれるのね


わたしのことばは詩のことば

わたしを思ってあなたは泣くのね


あなたの頬を最後にそっと撫でたわ

潮風が鳴る

わたしのことばはそこへ還る

あなたの涙もそこへ散る


浜辺に牡蠣の貝殻を埋めて束の間

わたしがいた標にしてね


海の音にかき消えてしまうわね

それはとても空疎なことばだから

しぶきになってあなたの肌に沁むといい


これは詩のことばではないの

あなたを愛している

さよなら、ね










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