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記録

家族

久しぶりに実家に帰ると、家族が全員、仮面をつけていた。


無地で表情のない仮面を、それぞれが当たり前のように身につけている。

食卓を囲み、テレビを見て笑い、湯呑を手に取り、普通に生活していた。


父のような声で新聞を読み、

母のような手つきで味噌汁をよそい、

妹のような体格でスマホをいじっている


背丈も、服装も、声も、家族そのものだった。

ただ、それが“家族本人である”という確証は、どこにもなかった。


名前を呼べば返事はある。会話も噛み合う。

それでも、仮面の下にいるのが本当に家族なのか、確かめる方法はない。


そのうち、自分の席にも仮面が置かれていることに気づいた。


メモ

生活反応あり

記憶の齟齬なし

着脱確認なし

帰省後の写真に、誰一人顔が写っていない

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