白昼夢

Rie

― 命の境界で ―

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血のにおいが 皮膚の下でふくらむ

割かれた肉が あなたを吸い寄せる


 


わたしの奥で ぬめる音が鳴り

まだ死にきれない声が そこに漂っている


 


あなたは はじまりの奥へ

静かに 還っていく


 


そこは

はじめて光を知らなかった部屋

やわらかく 濡れて 深く

罪もないまま すべてを受け容れる場所


 


抱かれて

壊されて

溶けるわたしは

もう一度 胎のなかで 女に還る


 


肉と肉が軋むたび

何かが 生まれ、死ぬ

ふたりは 胎に還る

血の蜜が シーツを染めて


 


生も 死も

ここでは ひとつ

愛し合うたびに 命は閉じて

また、ひらく



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白昼夢 Rie @riyeandtea

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