第44話 あの日の真相
「だからエフェを殺したのか?」
ロスタルが皇帝を睨んだ。その言葉にハンナ、サーブル、エトワール、モンテス、アンベス全員が絶句した。
「アハハハハ。なんだよく知ってるな。まあ、どうもあの偽善者の様な女は好きになれなかった。」
「不死鳥の卵の在処を教えたら皇帝と離縁して村にリテと戻ってもいいかと相談してきた。エフェは卵の在処を教える事を悩んだが、エトワールも一緒に帰る事も条件にすると言ってエフェを騙したんだ。」
ロスタルのその言葉にエトワールは絶望した。
「それなのにあのバカ女、卵を持って逃げ出したのだ。二つは奪い返したがあと一つはあの女が持って逃げたんだ。」
皇帝が面倒くさそうに言った。
「エフェは卵を守ろうとしたんだ。あの時僕は心配で付いて行った。エフェは皆の目を盗んで守り抜いた卵を一つ僕に渡して来た。それを持って安全な場所に隠してとお願いされたんだ。僕は卵を持って走った。そしてあの日、あの場所に居たハンナ嬢のゆりかごの中に卵を隠したんだ。」
「なんだロスタルお前が犯人だったのか。」
皇帝はロスタルを見た。
「だが皇帝達が手にした卵は孵化することはなかった。不死鳥の卵は危険を感じると一番安全な卵に魂を移すんだ。その証拠として他の白い不死鳥よりも大きく綺麗な色に育つんだ。」
ロスタルが話し終えると皇帝が拍手した。
「素晴らしい。それを聞くと益々、あの紫の不死鳥の力を手に入れたくなったぞ。それでこの世界を私の思うがままに動かすのだ。」
「何だと!?それでも国を治める皇帝なのですか!?国民の見本とならなければいけないのに!」
サーブルが我慢できずに皇帝に向かって行った。皇帝はサーブルの動きをまるで読んでいたかの様に交わしみぞおちを素手で一発殴った。
「グフッ!!!!!!」
サーブルは鈍い音と共に数十メートル飛ばされた。あのサーブルを一撃で吹き飛ばすのは相当だ。
「サーブル!」
ハンナがサーブルの方に駆け寄って行こうとした時、皇帝が物凄いスピードでハンナを捕らえた。その強い力に到底かなう訳もなかった。
「ハンナ。早くあの紫色の不死鳥を呼ぶのだ。」
皇帝はハンナをグっと締め上げた。
「苦しいっ」
ハンナが苦悶の表情を見せる。
「やめろ!」
サーブルが剣を抜き皇帝に向かって行くが皇帝の魔力で体が動かなくなった。
「サーブル。お前は強く素直だが融通が利かない。エフェと同じだ。今度生れて来る時はもっと賢くなれ。あの日、エフェを谷底へ突き落したら怪物たちの地鳴りのする様な鳴き声が響き渡り、鳥達が騒ぎ出したのだ。エフェはいい餌になったに違いない。お前もいい餌になるだろう。」
皇帝の告白は到底、許される事の出来ないものだった。
「お前は最低野郎だ。」
サーブルは怒りで震えていた。
「ではお前は虫けらだ。じゃあな。サーブル。」
皇帝はサーブルを彷徨いの谷の方へ振り落とした。
「サーブル!!!!」
ハンナの悲鳴に近い叫び声が響き渡った。
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