旅の決意

「おい寿命が吸い取られたとかどういうことだよ!」

「知らねーよ!それよりも、お前があの姉さんとどうやってヤッたのかを教えろ!ずるいぞ!」


 こんな緊急時にこいつはなんて呑気な!

 そもそも、サキュバスだとか、寿命を吸い取られただとか、色々急に言われても...


「というか、レン、そこの机に置手紙あんじゃねーか!俺にも読ませろ!」


 置手紙...?あ、これのことか。

 俺はユウトと机の紙を拾いあげ、読んだ。



『昨夜はありがとう、レン君♡

 あなたの命、すごく美味しかったよ。

 申し遅れたわね、私はリリカ。サキュバスという淫魔よ。

 サキュバスは、昨夜みたいに性行為して相手から寿命を吸い取って生き続ける種族なの。あなたの寿命も吸い取らせてもらったわ。

 あなたの寿命は残り100日。楽しんで!

 それと、私を殺すことで寿命はもとに戻るわ。取り返したいのなら、私を殺してみなさい。

 魔王軍幹部、第二位、紅淫のリリカは、あなたを待っているわ。

 ちなみに、私が勝ったら、あなたのこと、犯しちゃうよ?

 バイバーイ♡』



「俺...やっぱり寿命を吸い...」

「レン」


 俺の言葉を遮ったユウトの声の雰囲気は、今までに聞いたこの無いほど重かった。それほど、真剣なのだろう。

 数秒の沈黙が続いたあと、ユウトが口を開いた。



「俺...リリカさんに恋しちゃった...」



 ...は?


「いや、待て!意味が分からない!」

「すまない。俺は、リリカさんが好きだ。もう寿命吸い取られてもいいから、えっちしたい!」


 クソ!出た!たまに出るこいつの良くわからない発言。

 前世でも、「俺は、グラップラー〇牙のような男になる!」と言って、本当に格闘技を始めて、5人相手でも素手で圧倒できるほどの強さになった。

 つまり、こいつは、言ったことは必ずやる男!

 しかも、こいつの初恋だ。

 もう、こいつは止められない。小学生からの付き合いだから良く分かる。


「...レン!探そう!リリカさんを!」

「...お前がセ〇クスしたいだけだろ...」

「お前は寿命を取り返したい。俺は寿命を捧げたい。目的は違うが、目標は同じ人物だ。リリカさんを見つけたとき、俺たちは衝突する。でも、いいじゃないか。それで!」

「......」

「な?旅に出ようぜ!せっかく異世界に行ったんだ。冒険せずに何をするってんだ」

「...チッ...しょうがねーな...」


 だが、このユウトにすぐに説得されてしまうのが、俺だ。

 実は、俺も、ユウトに影響され、格闘技を始めた。まあ、こいつみたいに強くはなれなかったが。


「そうこなくっちゃな!よし、さっそく準備するぞ!サキュバス探しの旅!」



レンの残り寿命:100

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