チューハイマンの夜ふかしシネマ
店主
チューハイと人工太陽と、眠らない都市で見た夢
『ブルーライトは朝を知らない』(原題:Blue Light Never Sleeps/2021/アメリカ/112分)
どうも、こんばんは。名前はチューハイマン、週末限定の映画レビュー屋です。普段はごく普通の会社員やってますが、土曜の夜になると缶チューハイ片手に映画の世界へダイブしてます。ジャンルに縛りなし、感想に遠慮なし。そんな感じで今週もやっていきましょう。
今夜の相棒は、氷結無糖レモン(7%)とセブンのチーズスティック。未来SFにしては優しいタイトルだったので油断してましたが、脳にくる映画でした。
■ あらすじ(ネタバレなし)
24時間人工太陽が照らし続ける"光都市セラフィム"。昼と夜の概念が失われたこの都市で働く青年・ノアは、ある日"夜"の記憶を持つという女性・ルミと出会う。彼女の体内時計は旧時代のリズムで動いており、2人は光の合間にしか重なれない。やがて都市の秘密と、彼女の過去が明らかになっていく。
■ チューハイとともに観た感想
まず率直に言うと、夜って大事なんだなって思いました。ずーっと画面が明るいのに、なぜかずっと心は曇り気味っていう、なんか不思議な体験でした。
特にルミのキャラが良い。眠れない夜にカーテン越しに外を見てるシーンとか、「え、こっちまで眠れなくなるじゃん」ってくらい静かに刺さる。目元のクマと声のトーンだけで感情伝えてくるのズルいです。
ノアはノアで、仕事中に必死で「元気なフリ」してるのがリアルすぎて、自分の平日かと思った。缶コーヒーを飲む手がちょっと震えてるのとか、地味だけどグッとくるやつ。
あと、ロマンス要素についても一言。SFの舞台にしては意外と甘さ控えめだけど、そのぶんリアル。ノアとルミの関係って、"好き"とか"付き合う"って言葉の前にある、あの曖昧な感情の時間を描いてる感じで、すごく良かったです。
特に、ふたりが一緒に“夜のふり”をするシーン(カーテン閉めて、照明落として、ただ静かに息を揃えるやつ)が最高。光に覆われた世界で、あれだけ暗さを分かち合えるって、むしろ恋の最終形じゃない?って思いました。
■ こんな人におすすめ
明るいのに不穏、みたいな感覚が好きな人
"夜って必要なんだな"と思いたい人
カーテンを閉めてもまだ光が差す人間関係に疲れてる人
■ まとめ
『ブルーライトは朝を知らない』は、SFの近未来的な世界観のなかに、すごく静かで、でも確かなロマンスを溶け込ませた作品でした。派手な展開はないけど、明るすぎる都市でこっそり育つふたりの関係が、ずっと胸に残ります。
"眠れないまま誰かと過ごす夜"って、こういうことかもな…と思わせる優しい余韻。ラブストーリーが好きな人にも、ちょっと疲れてる人にもおすすめです。
ちなみにこの映画をチューハイでたとえるなら、無糖レモンの強炭酸。味はシンプルだけど、後からじわっと効いてきて、飲み終わったあとも喉の奥に残る感じ。甘くないけど、忘れられない一本。
それではまた、次の日曜の夜に。
次の更新予定
毎週 日曜日 21:00 予定は変更される可能性があります
チューハイマンの夜ふかしシネマ 店主 @s_alan
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