鯉慕情
Rie
― 鯉椿 ―
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彼の背に踊る鯉は、
夜の闇に溶ける 漆黒の波紋。
肌を這う その模様が
わたしの血を 焦がす
滲む汗 肌をつたえば
絡みつく指先が 鱗をなぞる
ひとつ、またひとつ 息をほどき
蕾は 鋭く脈打つ鯉のように
蜜を零して 花ひらく
墨絵の海に沈む背中
それは わたしの欲を映す盃
触れれば 沈む
沈めば 戻れない
夜情の鯉は 闇を泳ぎ
わたしの奥で 身をくねらせる
ゆらり、音もなく
夜ごと 濡れて
ただ 香り立つ
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鯉慕情 Rie @riyeandtea
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