第三話 何者だ?
ここは?さっきまでいた部屋?
「うわ!まじで異世界に来ちまったのか!?」
「なわけないだろ?とりあえず戻るぞ。」
「どうして?せっかくだから少しだけ見ていこうぜ?」
「これから塾があるんだ。だから一旦戻って明日またここに来ればいいだろ?」
「塾なら仕方ないな。だったら俺も帰って寝るわ。」
「めっちゃ寝るやんこいつ。まぁいいや。あれ?」
「ん?どした?」
「俺たちここから来たよな?」
「そうだけど?どうかしたか?」
「…いや、ないんだよ。ここにあった抜け穴がなくなってるんだよ。」
「……それってつまり…」
「…帰れない。」
「……だよ」
「え?」
「どういうことだよ!帰れないってさ!!」
「いや、だって閉じるなんて思わなかったんだよ!」
「それくらい頭に入れておけよ!優等生なんだろ!!」
「分かんないじゃないか!そんなこと!初めての経験なんだよ!」
「じゃあどうしろってんだよ!」
怒鳴り合っていたところに利根川は何か気づいたような顔をしてあることを言い出した。
「…まだなにか方法はあるんじゃないのか?」
「方法ってなんだよ」
「ここでお前がやった儀式をやろう」
「…無駄だと思うぞ」
「やってみないと分からないだろ?」
「何が起こっても知らないぞ?」
「その時はまた別の方法を考えよう。」
「…分かったよ。……さっきはごめん」
「いや、俺も取り乱してごめん。さぁやろう」
「あぁ、信じるぞ。」
「わかってる」
俺は意を決して来た場所にあの言葉を唱えた。
自分の魂を捧げます
「……何も起こんないな…」
「だから言っただろ。無駄だって。」
利根川が次の方法を考えていると
「なあ、利根川。」
「ん?なんだよ。今考えてるからちょっと静かにしててくれ。」
「いや、ちょっと。」
「だから、なんだよ。」
「いや、揺れてないか?」
「何が?」
「ここの絵画。揺れてる。」
山口が指を指した。その指の先はベートーヴェンの絵画を指していた。
「確かに微かだけど、揺れてるな。」
「ちょっと見てみるか?」
「そうだな。何かあるのかもしれないな。」
山口が椅子に登り絵画を取り外した。絵画の後ろの壁には黒く塗りつぶされた様な跡があった。その跡に山口が触れた。その瞬間、何かが飛び出してきた。山口は慌てて椅子から落ちた。
「うわ!」
「大丈夫か?!山口!」
「大丈夫だ。それより何かが出てこなかったか?」
「あぁ、見た。その机の下に行ったみたいだぞ。」
机の下に隠れている何かを山口、利根川と山口が阿吽の呼吸の様にその何かを捕らえることにした。
「いいか、山口。せーので行くぞ。」
「いつでも大丈夫だ。」
「よし、せーーの!」
山口が何かを掴んだ。そこ感触はスライムの様にヌメヌメとしていた。
「うえ!気持ち悪!」
山口がその感触に耐えられず離してしまった。
「悪い!利根川!そっち行った!」
「任せろ!」
利根川が何かを掴む。
「なんなんだ。こいつ。」
「分かんない。何だこの感触!気持ち悪!」
利根川がその何かを見つめているとそいつが話し始めた。
「離せ!この薄汚い害虫が!」
「うわ!こいつ話せんのかよ!」
「離さないと毒かけるぞ!毒!」
「なに!毒?!利根川そいつ離せ!」
「いや、ブラフかもしれないぜ?」
「何悠長なこと言ってんだ!ほんとだったらどうする?!」
「クソ!バレた!」
「嘘かい!」
「なんだこいつ。異世界人か?」
「いや、人ではないだろ?」
「それもそうか。スライムみたいだもんな。」
「あんなちんちくりんと一緒にすんな!俺はこの世界の神ハクタクだ!」
「何?!神だと!お前みたいなやつが?!」
「いやまた嘘かもしれない。」
「クソ!バレた!」
「嘘かい!」
「で?お前は一体なんなんだ?」
「…お前らみたいな害虫に話すもんかよ。」
「こいつ殺すか?」
「そうだな。問題ないだろ。」
「おい!待て!話すから!殺すのだけはご勘弁を!」
「じゃあお前はなんなんだ?」
「俺は元々人間だったんだ。」
「は?」
「どうせまた嘘だろ。」
「いや今回のは本当だ。」
「マジなの?」
「マジだよ。」
この話を聞いて山口と利根川の血の気が引いた。こいつは一体何者なんだ?
ここから抜け出す方法を知っているのか?
分からない事ばかりだ。
ドッペル学園 イカニカン @ika2can
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