第二話 モヤ

 俺はあの儀式をしてしまった。

 自分を責めることしか出来ない。

 …この先、どうしたら…


「おい、なんか悩み事あんのかよ。」


 …利根川


「利根川…知ってるか?あの噂を」


「噂?なんのことだ?」


「自分の魂を授けて瓜二つの自分が現れるっていう噂だよ。」


「あぁ。聞いたことはあるな。そんな厨二臭いこと言い出してなんだよ。」


「俺はその噂を耳にして暇だったからやっちまったんだよ!」


「まっまて、落ち着け。えっと。今日授業を受けていたお前はその瓜二つの自分、ドッペルゲンガーだったのか?」


「…多分な。」


「瓜二つの自分を見たら死ぬっていうよな。」


「だからよぉ俺はもしかしたら死ぬかもしれねぇんだよ。」


「みっ、見たのか?!」


「…儀式をやったあと体育倉庫裏に戻ろうとしたんだ。そしたら、人影が別棟から出るのを見たんだ。」


「それがお前の分身って考えてんだな。」


「あぁ、そうだ。」


「とりあえず明日、またお前の分身が授業に出るかもしれない。だからお前はサボってろ。」


「んっなんか複雑な気持ち…」


 ♢


 利根川に何か作戦があるみたいだった。

 こういう頭が切れる友達がいるっていうのは幸運なことなんだなぁ。


 もし俺が今日見た人影が俺の分身だったら。

 …俺は今日死ぬかもしれないのか。

 いつ死ぬかまでは噂に入ってないけどな。


 なぜドッペルゲンガーは自分と瓜二つの相手を殺すんだ?自分の方が優秀だから殺すのか?

 理不尽だなぁ。この世は。



 妄想にふけながら俺は自室のベットに埋もれた。



 まぁ明日になってみないと何も分からないもんな。明日考えよっ。


 翌朝


 カーテンに朝日が透けて見え、雀の鳴き声も聞こえる。


 ビリリリリリ〜


 アラームうっさ。


 まぁ、このくらいしないと起きられんしな。

 しゃーなし。


 …ていうか俺、生きてんな。やっぱり見間違えたのか?


 学校行ってみないとわからんな。よしっ!準備すっか。…これからサボるけどね。


 学校


「よう、利根川。」


「おはよう。」


「あれから俺の分身来たか?」


「いや、来てないな。」


「そうか、俺がいなくなると出てくるのかもな?」


「かもしれないな。じゃ、一限の授業お前サボれよな。」


「わかってるよ。」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



 サボる場所は体育倉庫の裏だ。授業中俺のクラスを覗いてもいいが、見回りの先生に見つかったらめんどいし。ここが安全だな。


 一時間後…


 キーンコーンカーンコーン〜


 おっ授業終わったな。教室行こ。


「利根川〜どうなった?」


「あぁ山口。それが、来なかったんだ。」


「え?来てないの?」


「そうなんだ。」


「じゃあ、俺普通にサボったヤツじゃん。」


「それはいつもしてるから置いといて、何があったんだろう?」


「一日だけ限定?とか?」


「自分の魂捧げてんだぞ?一日限定ってそんな馬鹿な話なのか?この噂は。」


「まぁ落ち着けって。どうしようか?」


「そうだな〜。……おっ、そうだ。」


「なんだ?何か思いついたのか?」


「その儀式した場所に行こうぜ。」


「なんでだ?」


「そこなら何かヒントがあるかもしれねぇからな。」


「可能性はあるな。…よしっ、行こう。」


「決まりだな!今日の放課後その場所に案内してくれ。」


「わかった。任せろ。」


「また、放課後な。」


「おう。」


 あの絵画。あれに何かヒントがあるかもしれない。俺が見た時は確か、普通の絵のようだったけど。しっかり調べてみないと分からないよな。


 放課後…


「よう、利根川。」


「来たな、じゃっ早速行きますか。」


「あぁ。」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー



「これがその絵画か?」


「そうだ。俺の身も心も捧げちまった絵画だ。」


「変な言い回しはやめろよな。ふーん、…見たところ普通の絵画のようだけど?」


 そういって利根川は絵画を手探りで調べ始めた。


「これ外したら…とかないか?」


「やってみるか。」


 利根川は絵画を取っ払った。すると、何か変なモヤなものがかかっていた。


「な、なんだこれ?!」


「こ、これって異世界に通じる扉みたいなものじゃねぇか?」


「さっ、触って確かめてみるか。」


 恐る恐る利根川はモヤに触る。モヤは雲のように利根川の腕を通り抜けた。


「このモヤ、どこかに通じてるみたいだぞ?!」


「え?!マジの異世界じゃないか?!!」


「そんな、まっ、まさかな?」


 うわ!


 モヤの中に利根川は吸い込まれてしまった。微かに利根川の声は聞こえるが、何を話しているのかまでは分からない。


「…利根川。くっ、俺も行くしかないか…」


 モヤの中に山口は手を突っ込む。


「うわ!何だこの感触?!ゴキブリ見た時みてぇな鳥肌が!!」


 山口は自分の気持ちを押し殺し、モヤに吸い込まれた。


「どうにでもなりやがれ!!」


 ふわっ


 ドテ!


 痛って!!


 利根川と山口が同時に痛がる声を上げる。


「こ、ここは?さっきまでいた部屋?」




 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 ここまで読んでくださった皆様本当に嬉しい超えて愛です。


 あのモヤの世界は一体なんなのでしょうね〜

次回のお楽しみです!


 面白いと思った方は星や応援コメントで評価を

 お願いいたします!!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る