第13話 奴隷商にて

「イチ? 王都って綺麗じゃ無いね」

「カエル君は最果ての町以外を見たこと無かったな? 大体の町が巨大か小さいかの違いだけだぞ、最果ての町が特別綺麗なだけだ」


「……そう? 旅の途中町に寄るの楽しみで無くなったよ」


「綺麗じゃ無くても、その町独特の物が有って面白いと思うぞ」

 イチは首に掛けた銀のタグを門番に見せ、門を通過した。


「イチって偉い人? 怖い門番が居る王都門を素通りして、ほら次の人止められてる!」

「別に偉くは無いぞ、銀のタグが身分を証明したから通れた」


「そうか、イチが冒険者に拘る理由が分かった」

「孤児だった私は、銅貨100枚が無くて冒険者登録に苦労したからな」


 イチは最初に冒険者ギルドに入った。

⦅うわぁ!! 王都のギルドは物凄く人が多いな!⦆

「奴隷商の場所を聞くのと、盗賊団の討伐報告を済ますぞ」


 イチは最果て町から王都に到着した事、盗賊団を殲滅した報告をしてる。


 何か恐そうな巨人が出てきて、イチに何か言ってる。

 イチの言ってる事はハッキリ分かるが、強面巨人の言ってる事が聞き取れん。


⦅イチ? 何かもめ事か? 肺に水をやる?⦆

「カエル君、この人ギルドマスターで、盗賊団のあじとの場所を説明してるの、肺に水は止めて悪人じゃ無いから」



 途中から聞き取るの諦めて寝てた、何か凄く経ってやっと、話が終わりギルドを出て奴隷商に向かってる。


「カエル君が盗賊殲滅してくれたお陰で、確認後Cランクに昇級してくれるって! カエル君が無傷で倒した猪の毛皮や牙、採取薬草素材を買取り窓口に置いて来た、明日料金受取に行くよ」


 話て居る内、何か不穏な雰囲気の場所に来てた。


「向こうはスラム街だな、ここが奴隷商みたい」

「奴隷商って普通の家だね」

 イチは扉を開けて中にズカズカ入った。


「オウツ奴隷館へようこそ銀のタグのお嬢様! 良い戦闘奴隷を取り揃えて居ります」

 真ん丸顔のオヤジが、銀のタグの事を言ってる。


 戦闘奴隷って、裸の恐そうなオバサンばっかだ。

⦅イチ? こんなオバサン買うの?⦆

⦅この奴隷商良心的だ! 取り繕う事無く、奴隷の状態が分かる案内をしてくれてる⦆


「オウツ殿、気に入った奴隷が居なかった、又の機会にする」

⦅あんなオバサンが、金貨20枚や30枚じゃ、買う気が失せるね⦆


「冒険者様、この先に戦闘奴隷では有りますが、手足が欠損した訳あり奴隷が居ります…ご覧になられますか?」

 手足欠損は、手足が無い奴隷? イチが回復出来るか聞いたのこの事か……任せろって言ってしまったぞ……あぁ右手手首から無い女、あれ位なら再生出来そう。


「リム18歳、元貴族令嬢の護衛騎士で有りますが、令嬢が無くした装飾品を盗んだ冤罪で、右手切り落とし奴隷落ちさせられた可哀想な娘、銀貨5枚で購入して貰えませんか?」


⦅イチ、この程度なら再生出来るぞ⦆

「カエル君? そんな凄い事出来るの?」

⦅この女に動くなって言って!⦆

「リム、少しの間動くな!!」


 女が不動状態になったので、右手に飛び移り。

「水の癒し実行!!」

 思った通り、女の手首がゆっくり生えて来た。


「え? えぇ? 手が……私の手が有る!!」

 リムは泣き崩れた。


⦅カエル君? 水の癒しって体力を少し回復させる魔法なんだ、再生させる魔法では無いぞ⦆



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る