第5話

 顔立ちの事は散々言われていた。

 焦茶の髪に琥珀色の瞳。

 で一見、女性に見えるほどに優しげで童顔。

 なので『その筋』の趣味を持つ奴らに声を何度かけられたか。

 一生懸命年相応に見えるように、ミニグラスをかけてみたりした。

 

「あんまりボーっとしていると…ミカいっちゃえ!」

 そういうとアヤの頭上を飛んでいる鷹―――ミカという名前をつけたらしい―――が俺の頭を攻撃する。

 あまりの事に俺は騎乗している鳥の上から落ちてしまった。

「あははっ、ミケ落っこちてるー!」

 ケラケラと笑うアヤ。 気さくな反面いたずら好きで。

 この前も俺が久々に臨時公平パーティーでもしようとパーティー募集広場に行った所、後をついてきていたらしく。

 アヤの仕掛けたトーキーを踏んづけた俺は、大衆の面前で顔から火が出るような自己紹介(?)をされてしまった。


 あの時のことは一生忘れない、というか覚えてろ、アヤめ…。 と思うものの。

 アヤの快活で憎めない言動が全ての悪行(?)を打ち消す。


「ねぇミケ」

「だから『ミケ』は止めろといってるだろうが」 

 リンゴジュースを飲みながら二人で何気なくたたずんでいた。

「…キス…した事ある?」 

 

 ぶっ!

 いきなりそれかよ…。

「当たり前だろうが…俺をいくつだと思ってるんだ」 

「そっか。

 …じゃあキスしようか」

「…は?」

「いいならいいよーっだ!」

 イーっと睨み付けると立ち上がり、溜まり場を後にしようとする。

「いいのか?俺で?」

「ん…いいよ」

 そう言うと俺に近づき、軽く唇を合わせた。

 それから、たびたび人目がないところでキスを交わした。

 何度も。 時々舌を絡ませるようなキスもした。


 けど、恋人ではない。 そんな関係が続いた。

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