夢でしか会えない君へ

ラグランジュ

第1話 夢の中

 真夏の太陽が照りつけて、じっとしてても汗が出る。もう異常気象という言葉は無意味だ。


 海もプールも日焼け対策しないとならない。浜辺もテント⛺️無しではいられない。海に来る意味なんて無いだろうな。


 でも、二十歳を越えてから海の魅力を感じるようになった。何か懐かしい…ビーチサンダルでも砂が触れるだけでアチー!!となるが…


 ここは昔ながらの海の家があり、賑わってる。かき氷🍧が大人気。ふざけ合って競争してキーン!!!となってる若者も。


※トントン※


ん?誰がが肩を叩いたようだ。


【お兄さん、一人?】


一人の女性が話しかけてきた。


 これは警戒せねば…モテない人生を送って来たからこそ身についたのものだ。


辺りを見回してみたが、怪しい人はいない。


【あのねー、あからさまに疑わないでよ。友達が体調崩して来れなくなって暇なの!!】


うーん…信じて良いのもかどうか…


普通の、ごく普通の女性だ。


警戒は解かないが、様子見とするか。


【ねー、アクティビティやらない?あのボートっていうか、足で漕ぐの】


 あー、あったね。人力のタイプだから疲れるんだよな。


暑いし、気乗りしないが…


暇だし、とりあえずいいか。


黙って頷くと、女性は笑顔で、


【やったー!!レンタル出来るかどうか確認してくるね。もちろん私が払うからね】


女性は立ち上がり、予約を。


幸い空いているからレンタル出来たみたいだ。


【いこ!!早く】


 引っ張られて、そう言えば女性と手を繋ぐなんていつ以来だろう?いや、経験ないな…


あった!!キャンプファイヤーの時だ。


 ん?キャンプファイアー?語尾はどっちだったかな?


【さっきから話さないけど、私と乗るの嫌?】


ここで、はじめて言葉を発する。


警戒は解かないが…


【あっ、キャンプファイヤーとキャンプファイアーどっちだったかな?って考えて…】


ポカーンとして、暫くしてから女性は、


【キャハハハ!!何それ?そんなこと考えていたの?面白い🤣ね】


笑われた…真剣なのに。


女性は、先にボートに乗り込み、


その後乗ろうとすると、いきなり動き出し、


【あっ!!危ない!!】


咄嗟に女性が受け止めてくれて、


 ボートの上で覆い被さるようになってしまった。何だこのドラマチックな展開は?


ドラマティック?だったかな?


【ねー、君、いつまで乗ってるの?】


咄嗟に、


【あっ、いや、ドラマチック?か、ドラマティック?どっちだったかな?って…】


そんなことじゃ無いよな…


【相変わらず…最高だね!!君。とりあえず重いんだけど、どいてもらえる?】


【あっ、ごめん!!】


※バッシャーン!!※


海に落ちてしまった…暑いから良かったけど。


【ほんと、不器用な人…はい、つかまって】


手を伸ばされたが、どうせ離すつもりだろう…


よく、あるシーンだ。お笑いとかで。


 手を伸ばしたが、おや?しっかり掴んでくれた。


【足とか怪我してない?…君、細いのに意外と筋肉あるんだね!!胸板とか厚いじゃん】


※ドキドキ💓※


ほんと、免疫ないな…


二十歳を過ぎて、こんなに緊張するとは。







 

 

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