第3章 — 邂逅(かいこう)の刻

⚔️ 戦場の余響


「幸いにも――悪魔たちは群れではなかった。

犠牲者はまだ出ていない」

村長は落ち着いた声で告げた。鋼鉄の兜の下、その視線は静かに戦況を見据えている。


彼の鎧は磨かれた鉄製で、内部には緻密に編まれた革が貼られ、重さを和らげながらも俊敏に動ける構造だった。歳を重ねた体躯はあるが、その振る舞いはまるで若き剣士のように鋭い。


後方では弓の鋭い音が響き、火矢が空中で炸裂する。炎の矢が次々と悪魔に浴びせられ、火柱が吹き上がった。


前線では剣と槍が衝突し、咆哮と爆音が大地を揺らす。


「数は少なくとも…こいつら、人間じゃ耐えきれねぇ!」

叫んだ声とともに、黒い風のようなものが影の幕を裂いて飛び込んできた。


「巨拳――」

村長はその一撃に反応し、背中の盾を左手で取り出し構える。


> ドォン!




鉄の盾が灰色の拳を受け止め、地面が震えるような衝撃が響いた。


盾はびくともしない。村長は唐突にほくそ笑み、宙に舞いながら剣を振るった。その刃は空気を震わせ、悪魔の頭を切り裂いた。


しかしまだ間に合わず――彼は左手で剣の柄を押し、斬撃をその体を真っ二つに貫通させた。


火矢が背中に刺さったまま、悪魔の体は地に崩れ、闇へと蒸散していった。



---


🐎 シルバーの登場


馬の蹄音が暗闇に轟き、シルバーがその姿を現す。勇猛の騎士であり、村長の右腕とも言える冒険者だった。彼は煙と闇を突き抜け神社の階段へと向かう。


松明のゆらめく火が、彼の背に運命の光を与えた。


「こっちは裏手だ、悪魔は表に偏っている。森林のこちらには隠れていないだろう…」

彼の声は低く、しかし確固たるものだった。



---


🌙 クラウの決意


一方でクラウは、洞窟の入口に立ち尽くしていた。月光がその輪郭を浮かび上がらせる。


「やっと…着いたんだな…」

彼は息を切らしながら歓喜の声を漏らした。


馬の影が静かに立ち現れた。


「坊や、乗れ! 迎えに来たぞ!」

シルバーは叫びながら、一歩踏み出した。


「シルバーさん! どうしてここに…!?」

クラウは驚きを隠せない。


「後で話す。とにかくすぐに来い!」

彼は叱咤し、馬の背を指さした。


クラウは馬に飛び乗り、腰へしがみつく。馬は勢いよく駆け出した。


彼の視線は剣へと戻る。


シルバーは馬を巧みに操り、木立や小径を縫うように、村の中心へと進軍した。


兵たちは夜空に反射する鋼板を見上げ、背筋を伸ばす。あの光が希望の灯火だと知っていた。



---


🌌 闇との邂逅


月明かりと鋼の反射が交差する瞬間——


左手に悪魔が現れた。


巨大で不気味に静かだ。その空洞の瞳は、生気を失っている。


クラウとシルバーはゆっくりと振り返った。

風向きが変わり、一瞬にして冷気が全身を貫いた。


悪魔は一足飛びに駆け込み、重力すら無視するような速度で迫ってきた。土煙も立たないほどだ。


漆黒の爪が振り下ろされようとしたそのとき——



---


✨ 剣の奇跡


クラウの古びた剣に、月光が引き寄せられた。

欠け、錆びた刃がみるみる輝きを取り戻し、刃筋が研ぎ澄まされていく。


それはまるで伝説そのものだった。


すぐに白刃の神器が発光し始め――


勝利のための瞬間が、クラウの心に訪れたのだ。


> ――そして、反撃の時は来た。

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光と影の道 13Day @13Day

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