観測ログ17:帰還と報告

宝物の回収を終えた一行は、慎重にダンジョンの出口を目指して移動を始めた。

 最深部とは思えないほどの静けさで、魔物の影もほとんど見かけない。


「……魔素の流れが変わってるな。ボスを倒したせいか」


 ヴォイドが、歩きながらぼそりとつぶやく。


「ダンジョンってのはまだ分かっていない事の方が多いのよ……」


 ヴォイドの問いかけにエリシアはこう前置きして。


「おそらく。ミスリルゴーレムと"守護者"どちらがボスだったのかは分からないけど、倒した事によってダンジョン自体が“一区切り”を迎えたのかもしれない」


「報告は……どうする?」


 「ミスリルゴーレムを倒したらコアとお宝が出てきた事にして"守護者"の事は伏せてもらえるとありがたい」


と、ヴォイドがお願いすると、

グラディオはヴォイドと視線を交わした後、静かにうなずいた。


「うちのリーダーがいいって言うなら俺は文句ねえが…

はあ〜欲がねぇな〜。

調査隊が"誰か"によるが詳しい報告はこっちでやっておこう」

 

「まずは管理小屋へ。ギルド本部への報告はそのあとね♡」


 


 

◆◆◆



 


 ダンジョンの階段を抜け、ようやく地上へと戻ってきた頃には、空はすっかり夕焼けに染まっていた。


「かーえったぞー♪♪」


 ミアが両手を挙げて叫ぶ。

 澄んだ空気が肺に染みわたり、地上のありがたさが身にしみる。


 そのまま管理小屋に立ち寄ると、そこにはすでにギルド支部の職員が待機していた。


「おお、戻ったか! 無事で何よりだ!ギルドでは調査隊も待っているだろう。早く帰って安心させてやってくれ」


 ここはダンジョンの出入りを管理しているだけなので特に報告は行わない。


「……ヤツならダンジョンまで乗り込んで来ると思ったが成長したな」 


「ヤツ?誰だ?」


 その言葉に、ヴォイドたちは顔を見合わせた。


「とにかくギルドに帰還の報告だけしたら調査隊に会わないように急いで宿に戻ってゆっくり休め」


「そしてこっちから使いを出すまでギルドには来るな」


「そんなにヤベェヤツなのか?」


「いいから、三人とも分かったな!」


「……は、はい」


有無を言わせぬカイルの言い方にヴォイド達は頷くしかなかった


「落ち着いたらお宝の選別と打ち上げをしましょ♡」


「うひゃー、ならデッカい肉がいい!パーティ確定じゃーん!」


「お宝♪お宝〜♪」 


 ライガが元気よく叫び、ミアがよく分からないお宝の歌を歌い他のメンバーもどっと笑った。


 


 


◆◆◆


 


村に戻った頃には、空はすでに群青色に染まっていた。


 ギルド支部を訪れると、案内されたカウンターの奥で、受付嬢がぱっと顔を明るくした。


「おかえりなさい! 待ってましたよ!」


「とりあえず今日は帰還の報告だけさせてくれ」


 ヴォイドがギルドタグを差し出すと、受付嬢が丁寧に受け取り、魔導装置に通す。


 ──ピピッ。


 淡く光る魔力表示に、彼女の目が見開かれた。


「……あれ?ダンジョン制覇の記録がないわ……」


「そんなはずは…確かに最深部まで行ってボスを撃破したんだけど…」


「今回は未踏破エリアだからまだアーティファクトは設置してないんだろ!」


先に静かなる剣の報告を受けていたギルドマスターのダリオが割って入る


「テヘッ♪こっちで後日調整して制覇の記録は残るようにしますね!」

 

ラナは仕事は出来るんだがどこか抜けているんだよなぁ


「お前達よく無事で帰ってきた!詳しい話はこっちでやっておくからアイツが来る前に早く宿に帰って休め!あ、あとこっちから呼びに行くまでしばらく休養でいいぞ!

ギルドには来るなよ!」


(ダリオまでそんな事言い出すなんてそんなに調査隊って厄介なのか?

まあ確かに疲れてるからちょうどいいか…)


静かなる剣の面々はこちらに小さく頷き帰宅を促しているようだ。


「また会いましょうね♡」


ミニーだけは投げキッスでアピールしているが…


「……と、いうことなんであとは諸々後日ということで…

ヴォイドさんは精霊の宿木亭ですよね?落ち着いたら呼びに行くので…

とりあえずお疲れ様でした」


ラナに追い出されるようにギルドを後にする三人だった。

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